JP3570090B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、均質に且つ永久的に帯電防止された樹脂成形品を得るための熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、従来に比べ、帯電防止剤の使用量を少なくし得た熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂は、フィルム、袋体などとして包装材料や自動車部品などの材料に従来から汎用されているが、これらの熱可塑性樹脂は一般に電気抵抗が大きく、摩擦によって容易に帯電し、塵などを吸着するという重大な欠点があった。
【0003】
そこで近年、帯電防止剤を下記▲1▼、▲2▼のように使用して、熱可塑性樹脂からなる成形品に帯電防止性の付与が試みられている。
▲1▼ 帯電防止剤を樹脂表面に塗布したのち乾燥する。
▲2▼ 内部添加型帯電防止剤を樹脂中に練り込む。
【0004】
前記▲1▼の方法では、帯電防止剤として界面活性剤溶液が用いられている。しかしながら、このような帯電防止剤は、洗浄により容易に除去されるため、恒久的な帯電防止性を付与することができないという欠点がある。
【0005】
前記▲2▼の方法では、内部添加型帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルイミダゾールの四級塩などが用いられている。これらの内部添加型帯電防止剤を用いた場合には、表面の帯電防止剤が洗浄により失なわれた場合であっても、その内部から新たな帯電防止剤が順次ブリードするため、帯電防止性が比較的長期間持続するという利点がある。
【0006】
しかしながら、このような内部添加型帯電防止剤を用いた場合には、洗浄後に帯電防止性が回復するまでに長時間を要し、また帯電防止剤が過度にブリードした場合には、粘着性が生じ、かえって塵などが付着しやすくなるという欠点がある。しかも、これらの帯電防止剤は低分子量のものであるため、たとえば高温での成形加工時の熱により揮散するので、実質的な必要量以上の帯電防止剤を添加する必要があるという不利益があり、その有効量を調整することが困難であった。
【0007】
従来の内部添加型帯電防止技術の欠点を改善すべく、制電性官能基を有する高分子化合物、いわゆる永久帯電防止剤と熱可塑性樹脂を練り込むことによりアロイ化し、永久的に帯電防止された樹脂組成物が近年数多く提案されている。例えば、メトキシ基の20〜80モル%がジエタノールアミン変性されたポリメチルメタクリレート(特開平1−170603号公報)、アルコキシポリエチレングリコールメタクリレートのグラフト共重合体(特公昭58−39860号公報)、スチレン−無水マレイン酸共重合体をイミド変性したのち、四級化してカチオン化したポリマー(特公平1−29820号公報)、末端がカルボキシル基のポリメチルメタクリレートをグリシジルメタクリレートで末端カルボキシル基をメタクリロイル基に変換した高分子量単量体とアミノアルキルアクリル酸エステルまたはアクリルアミドとのくし型共重合体およびその四級化カチオン変性品(特開昭62−121717号公報)、ポリアルキレンオキサイド鎖を含むポリエーテルエステルアミド(特公平4−5691号公報)などの永久帯電防止剤が提案され、種々の熱可塑性樹脂との組成物の例が示されている。
【0008】
しかしながら、前記永久帯電防止剤は、いずれも強伸度などの樹脂の物性の低下を招き、しかも帯電防止性、およびその持続性が不充分であるなどの欠点があった。
【0009】
さらに、エチレン単位40〜90重量%とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド60〜10重量%の共重合体を成形した後、無機酸塩に浸漬して導電性樹脂成形体を得る試みもなされている(特開昭64−54041号)。
【0010】
しかし、この方法は浸漬という付加的工程が必要であり、実用上問題があった。
【0011】
以上のような制電性官能基を有する高分子化合物の欠点を解決すべく、本発明者らは、第四級アンモニウム塩基含有アクリルアミド構造単位を有するポリエチレン共重合体を提案している(特開平4−198308号公報)。この共重合体を用いると、確かに帯電防止効果とその持続性に優れたものになり、またフィルムに成形した場合にあっては強伸度に優れたものになり、上記した問題点におけるかなりの部分は解決されるものの、射出成形等により成形品にした場合、熱変形温度などの熱的特性に問題が生じ、成形加工品に適用しようとする際に支障をきたした。
【0012】
更に、本発明者らは成形加工品の熱的特性を改良した熱可塑性樹脂組成物を提案している(特開平6−212079号公報)が、テレビ、複写機などの大型射出成形品や、大面積のフィルムに適用した場合、帯電防止性(一つの尺度として表面固有抵抗があげられる)が不均質なものとなり、成形品として支障をきたす場合が生じてきた。
【0013】
また、帯電防止剤を配合することによる樹脂への悪影響(樹脂物性の悪化など)や経済的な問題を解消すべく、今日においては、帯電防止剤の添加量を何とか少なくしたいという社会的要望があり、これに対して研究・検討が進められてきている。
【0014】
[発明の目的]
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱的特性に優れ(すなわち、例えば熱変形を起こしにくく)、帯電防止性に優れているとともに大きな面積を有する成形体であってもその帯電防止性の程度が各箇所によって大きく変わるようなことはなく(すなわち、帯電防止性が均一(均質)であり)、また、充分な帯電防止性を得るのに帯電防止剤の配合量を少なくし得た熱可塑性樹脂組成物を提供するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量1,000〜50,000のカチオン性共重合体3〜30重量部、
【化19】
で表わされるエチレン構造単位80〜98モル%
【化20】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる構造単位を1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.1〜10重量部
【化21】
【化22】
からなる。
【0016】
請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)、(2)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量1,000〜50,000のカチオン性共重合体3〜30重量部、
【化23】
で表わされるエチレン構造単位79.9〜97.9モル%
【化24】
で表わされるアクリレート構造単位15モル%以下
【化25】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる構造単位を1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.1〜10重量部
【化26】
【化27】
からなる。
【0017】
請求項3記載のの熱可塑性樹脂組成物は、
(A)スチレン系熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量1,000〜50,000のカチオン性共重合体よりなる帯電防止剤1〜15重量部、
【化28】
で表わされるエチレン構造単位80〜98モル%
【化29】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる無水コハク酸構造単位を主鎖中もしくは側鎖に1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.05〜5重量部
【化30】
【化31】
からなる。
【0018】
請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)スチレン系熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)、(2)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量が1,000〜50,000のカチオン性共重合体よりなる帯電防止剤1〜15重量部、
【化32】
で表わされるエチレン構造単位79.9〜97.9モル%
【化33】
で表わされるアクリレート構造単位15モル%以下
【化34】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる無水コハク酸構造単位を主鎖中もしくは側鎖に1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.05〜5重量部
【化35】
【化36】
からなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
成分(A)
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂(スチレンモノマーの単独重合体(ポリスチレン)、スチレンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(ABS樹脂など)、ポリスチレンまたは前記共重合体と他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイなど)、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等が例示され、これら各種熱可塑性樹脂を単独もしくはポリマーアロイの如く併用して使用することができる。これらのうち、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とABS樹脂のポリマーアロイを使用すると、本発明をより効果的に実施できるので好ましい。
【0020】
ここで、ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン類、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などであり、これらの各種ポリオレフィンおよび共重合体樹脂も含まれる。中でもポリオレフィン類を使用することが、成分(B)との相溶性が優れたものとなる、という点から好ましい。
【0021】
より詳細には、ポリオレフィン類とは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン(ランダムおよび/またはブロック)共重合体などが挙げられ、これらのポリオレフィン類を単独もしくは併用して使用することができる。特に好ましいポリオレフィン類は、高密度、低密度、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン(ランダムおよび/またはブロック)共重合体の併用が挙げられ、その数平均分子量は、通常5,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000である。
【0022】
スチレン系樹脂としては、前述したように、ポリスチレン(GPPS)、ABS樹脂などのスチレン共重合体、ポリマーアロイなどが挙げられる。
【0023】
ABS樹脂については、種類は特に限定されず、NBRとAS樹脂をブレンドしたいわゆるブレンド型もしくはポリブタジエンにスチレンとアクリロニトリルをグラフト重合したグラフト型のいずれでも使用可能である。また、一般グレードの他、メルトインデックスが60g/10min程度の良流動性グレード、耐熱温度が110℃程度の耐熱グレード、難燃剤を併用した難燃グレード、ガラスフィラーを充填したGF強化グレードなどが好適に使用できる。他の共重合体としては、ポリブタジエン等のゴム成分とグラフト共重合した耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)などが挙げられる。好ましいのは上記したABS、GPPS、HIPSである。
【0024】
スチレン系熱可塑性樹脂としてのポリマーアロイの具体例としては、ABS/ポリカーボネート(PC)、ABS/ポリアミド(PA)、ABS/ポリ塩化ビニル、ABS/ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。このうち、ABS/ポリカーボネート(PC)が好ましい。
【0025】
ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどの結合単位がエステルである樹脂が挙げられる。PBT、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0026】
ポリエステル樹脂とABS樹脂のポリマーアロイとしては、PBT/ABSアロイ、ポリカーボネート(PC)/ABSアロイなどが例示できる。
【0027】
成分(B)
分子内に、式(1)で表わされるエチレン構造単位80〜98モル%と、一般式(3)で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%とを含有し、重量平均分子量が1,000〜50,000で線状のカチオン性共重合体である。各構造単位は、規則的に配列していても不規則に配列していてもどちらでもよい。
【0028】
また、分子内に、式(1)で表わされるエチレン構造単位79.9〜97.9モル%と、一般式(2)で表わされるアクリレート構造単位15モル%以下と、一般式(3)で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%とを含有し、重量平均分子量が1,000〜50,000で線状のカチオン性共重合体である。各構造単位は、規則的に配列していても不規則に配列していてもどちらでもよい。本発明の樹脂組成物に用いられるカチオン性共重合体(B)の構成について、以下にさらに詳しく説明する。
【0029】
本発明の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体において、式(1)で表わされるエチレン構造単位は、分子内に80〜98モル%含有されているが、この含有割合が80モル%未満であればマトリックス樹脂への相溶性が極端に悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難になるばかりでなく、得られた樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が著しく低下する。また、含有割合が98モル%を超える場合には充分な帯電防止能が得られない。相溶性、物性と帯電防止能との観点から、エチレン構造単位(1)の含有割合は、85.0〜97.5モル%が好ましい。
【0030】
また、本発明の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体において、一般式(3)で表わされるカチオン性構造単位は、4級アンモニウム塩の形にしたカチオン性のアクリレートまたはアクリルアミド構造単位であり、分子内に2〜20モル%含有されている。この含有割合が2モル%未満の場合には樹脂組成物が帯電防止能力に欠け、含有割合が20モル%を超える場合にはカチオン性共重合体のマトリックス樹脂への相溶性が悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難であるばかりか、該樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が低下する。帯電防止能力と相溶性、物性との観点から、カチオン性のアクリルアミド構造単位が望ましく、その含有割合は2.5〜15モル%が好ましい。
【0031】
なお、カチオン性構造単位の一般式(3)において、Zは−COO−または−CONH−を示し、R2はエチレン基またはプロピレン基を示し、これらは1分子中に混在してもよい。R3およびR4はメチル基を示し、R5は、製造の容易さや良好な帯電防止能が得られるといった観点から、メチル基、エチル基等の低級直鎖状アルキル基またはベンジル基等のアリールアルキル基を示す。さらに、Xは、Cl、Br、I等のハロゲン、CH3OSO3、CH3CH2OSO3またはR6SO3を示し、R6はC1〜C8のアルキル基またはアリールアルキル基を示す。
【0032】
また、本発明の他の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体において、一般式(2)で表わされるアクリレート構造単位は、分子内に15モル%以下含有されている。アクリレート構造単位(2)が含有されていることにより、カチオン性共重合体とマトリックス樹脂との相溶性が向上する。アクリレート構造単位(2)の含有割合が15モル%を超える場合には、樹脂組成物の物性が悪化する。相溶性の観点から、アクリレート構造単位(2)の含有割合は0.1〜13モル%が好ましく、3〜13モル%程度がさらに好ましい。
【0033】
なお、アクリレート構造単位の一般式(2)において、R1はメチル基またはエチル基を示し、R1は構造単位毎に同一であっても異なってもよい。すなわち、メチル基とエチル基が1分子中に混在してもよい。
【0034】
カチオン性共重合体において、アクリレート構造単位(2)が15モル%以下含有されている場合には、エチレン構造単位(1)は、分子内に79.9〜97.9モル%含有されている。この含有割合が79.9モル%未満であればマトリックス樹脂への相溶性が極端に悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難になるばかりでなく、得られた樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が著しく低下する。また、含有割合が97.9モル%を超える場合には充分な帯電防止能が得られない。相溶性、物性と帯電防止能との観点から、エチレン構造単位(1)の含有割合は、82〜94.5モル%が好ましい。また、カチオン性構造単位(3)は、分子内に2〜20モル%含有されている。この含有割合が2モル%未満の場合には樹脂組成物が帯電防止能力に欠け、含有割合が20モル%を超える場合にはカチオン性共重合体のマトリックス樹脂への相溶性が悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難であるばかりか、該樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が低下する。帯電防止能力と相溶性、物性との観点から、その含有割合は2.5〜15モル%が好ましい。
【0035】
上述したカチオン性共重合体の重量平均分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、超高温GPC法(絹川、「高分子論文集第44巻2号」、139〜141頁、1987)に準じて測定できる。その重量平均分子量の範囲は1,000〜50,000である。重量平均分子量が1,000未満の場合にはカチオン性共重合体がワックス状となり、ハンドリング性が悪化し、さらには過度のブリードアウトにより樹脂表面の粘着性が増すという問題を生じ、重量平均分子量が50,000を超える場合には、マトリックス樹脂への相溶性が悪化するという問題を生じる。カチオン性共重合体の好ましい重量平均分子量は、3,000〜30,000である。
【0036】
本発明の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体の製造方法は、例えば、エチレンとアクリル酸エステルとを高圧重合法により共重合させて得られるエチレン−アクリル酸エステル共重合体を、特開昭60−79008号公報に記載の方法により、加水分解と同時に熱減成して所望の分子量とし、さらに、得られたエチレン−アクリル酸共重合体またはエチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体を、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンまたはN,N−ジアルキルアミノアルカノールでアミド化またはエステル化した後、公知の4級化剤でカチオン変性し、単離して上記カチオン性共重合体を得るというものである。
【0037】
本発明の樹脂組成物において、前述したカチオン性共重合体の配合量は、成分(A)100重量部に対して実用的には3〜30重量部であるが、この配合量が3重量部未満の場合には要求される帯電防止性が得られにくく、逆に配合量が30重量部を超える場合には樹脂の機械的物性、特に衝撃強度が低下する。樹脂における帯電防止性と機械的物性とのバランスから、カチオン性共重合体の配合量は3〜20重量部が好ましい。
【0038】
なお、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用い、かつ(C)成分として特定の構造のものを使用する場合にあっては、当該(B)成分の配合量を少なくすることができる。すなわち、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用いる場合のカチオン性共重合体(B)成分の配合量は、成分(A)100重量部に対して実用的には1〜15重量部である。この配合量が1重量部未満の場合には要求される帯電防止性が得られにくく、逆に15重量部を超える場合、経済的に不利であり、また樹脂の機械物性(特に衝撃強度)の低下が起こる場合がある。
【0039】
なお、成分(B)の分子内に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐熱性、帯電防止性、耐衝撃性を悪化させない範囲で、下記式(6)、(7)に示される構造単位が含まれていてもさしつかえない。
【0040】
【化37】
【化38】
。
【0041】
成分(C)
成分(C)は、式(4)で表わされる構造単位と式(5)で表わされる構造単位を1分子あたり少なくとも1個ずつ有する共重合体である。
【0042】
式(4)の構造を与える単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、イソプレン、炭素数12〜42のオレフィン類、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0043】
成分(A)がポリオレフィン類樹脂の場合、式(4)の構造を与える単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン、イソプレンが好適である。
【0044】
成分(A)がABS、ポリスチレン系樹脂などのスチレン系樹脂の場合は、式(4)の構造を与える単量体としてはスチレン、α−オレフィン(炭素数1〜42)が好ましい。
【0045】
成分(A)が(メタ)アクリル樹脂の場合、式(4)の構造を与える単量体としては炭素数1〜4の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0046】
式(5)の具体例としては、無水コハク酸構造単位、コハクイミド構造単位、アルキルコハクイミド構造単位、アリールコハクイミド構造単位、ジアルキルアミノアルキルコハクイミド構造単位、トリアルキルアンモニウムアルキルコハクイミド構造単位等が挙げられる。この中で、好ましいのは無水コハク酸構造単位、アルキルコハクイミド構造単位(特にアルキルの炭素数4〜12)、アリールコハクイミド構造単位、ジアルキルアミノアルキルコハクイミド構造単位、トリアルキルアンモニウムアルキルコハクイミド構造単位である。
【0047】
式(5)の構造単位が1分子あたり1個以上存在しないときは、本発明の目的である均質な表面固有抵抗(帯電防止性)を示さなくなる。また、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用いるとともに特定の(C)成分を用いる場合における、少ない永久帯電防止剤の添加量で高い帯電防止効果を得るという効果を得ることができない。
【0048】
成分(C)の重量平均分子量は800〜200,000であるが、成分(A)、成分(B)への相溶性の観点から、800〜20,000の範囲が好ましい。成分(C)の添加量は(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部である。0.1重量部未満であると、均質な表面抵抗を示さない。10重量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の機械的物性、特に衝撃特性が悪化する。好ましい添加量は0.2〜7重量部、特に好ましい添加量は0.5〜5重量部である。
【0049】
(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用いるとともに特定の(C)成分を用いる場合にあっては、(C)成分の添加量を、(B)成分と同様、少なくすることができる。この場合の(C)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対して0.05〜5.0重量部である。0.05重量部未満の場合、添加することの効果がなく、また5.0重量部を超える場合、機械物性が悪くなる傾向が現れはじめる。0.1〜3重量部が好ましい範囲であり、0.1〜2.0重量部がさらに好ましい。
【0050】
成分(C)を添加することにより、均質な表面抵抗を示す成形体が得られるだけでなく、成分(C)により、成分(B)がマトリックス樹脂である成分(A)中に更に微分散する。これのみならず、成形時に永久帯電防止剤を成形体の表層付近にスジ状に分散させる効果を示す。そのことにより、成分(C)が添加されない場合に比べて、同一(あるいはそれ以上)の帯電防止性(表面固有抵抗)を示すのに必要な帯電防止剤成分(B)の添加量が少なくてすむという副次的効果も示す。
【0051】
成分(C)の製造方法としては特に限定されないが、式(4)の繰り返し単位を有する重合体に公知の過酸化物または開始剤などを使用して無水マレイン酸をグラフト反応することにより、もしくは式(4)の繰り返し単位を示す単量体と無水マレイン酸を共重合させることにより、無水コハク酸構造単位を導入できる。導入された無水コハク酸構造単位に対応するアミンと反応させることにより、各種のイミド構造単位に変換することができる。例えば、第1級アルキルアミンと反応させるとアルキルコハクイミド構造単位が得られ、芳香族第1級アミンと反応させることによりアリールコハクイミド構造単位が得られる。
【0052】
成分(C)の具体例としては、プロピレン−無水マレイン酸共重合体(三洋化成工業(株)製の、ユーメックス1001、ユーメックス1010など)、エチレン−無水マレイン酸共重合体(三洋化成工業(株)製のユーメックス2000など)、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体(三菱化学(株)製の、ダイヤカルナPA124、PA168、PA208、PA30など)、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体((株)クラレ製の、イソバン10、イソバン06、イソバン04など)が例示されるが、これに限るものではない。
【0053】
本発明の樹脂組成物の用途例としては、電子材料包装材料(ICトレー、マガジンレール、キャリアテープなど)、OA機器(ハウジング、コピー、FAX、紙トレイなど)、雑貨品(包装材料、コンテナー、クシなど)が挙げられる。
【0054】
本発明の樹脂組成物の製法は特に限定されない。公知の方法により、例えば成分(A)、成分(B)、成分(C)の規定量を予め混合するか、それぞれスクリューフィーダーなどの定量供給機を用いて2軸もしくは単軸押出機に供給して得ることができる。その他には、加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどの機械も使用できる。
【0055】
なお、本発明において他の添加物、例えば、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維等の無機充填剤、テトラキス(2,4−ジtertブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト等のリン系熱安定剤、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジtertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系、メルカプトプロピオン酸エステル等のチオ系酸化防止剤、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールAやその誘導体、さらにはジフェニルエーテルの臭素化物等の含臭素系難燃剤や含リン化合物難燃剤およびSb2O3等の難燃助剤、非イオン系、アニオン系もしくはカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン鎖を持つポリマー、例えばポリオキシエチレンやポリエチレングリコールをエステル結合、アミド結合あるいはイミド結合で重縮合させた高分子量体もしくはウレタン結合、エポキシエステル結合、エポキシエーテル結合で重付加させた高分子量体である帯電防止剤を同時に添加してもよい。
【0056】
[作用]
従来の内部添加型帯電防止剤は、樹脂の表面にブリードアウトして吸湿層を形成し、これにより静電気を漏洩するのに対し、本発明の樹脂組成物では、添加されるカチオン性共重合体がマトリックス樹脂の表層近傍で連続層を形成し、共重合体中のカチオン基の対イオンの移動に伴う電荷の移動により静電気を漏洩する。従って、本発明の樹脂組成物の静電気漏洩速度は、従来の内部添加型帯電防止剤を使用した物より速い。
【0057】
また、成形加工品の樹脂表面に帯電防止剤が付着しているのではないため、表面の摩擦、水洗により帯電防止剤が剥れ落ちることなく、帯電防止効果の消失が起こらない。
【0058】
なお、特定の構造を持つ成分(C)の添加により、カチオン性共重合体(B)がマトリックス樹脂(A)中に均一に微分散するために、帯電防止性能(表面固有抵抗)が均質なものとなる。
【0059】
【実施例】
カチオン性共重合体(成分(B))の合成例を以下に示す。
【0060】
合成例a
温度計、撹拌機、滴下ロートおよびディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、エチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体(エチレン/エチルアクリレート/アクリル酸=93/3/4モル%)150gおよびパラトルエンスルホン酸1.0gを仕込んだ。
【0061】
次に、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン21.1gを仕込み、オイルバスを用いて140℃に加熱して生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去し、さらに、140℃で17時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応を連続した。
【0062】
得られた反応物458gを80℃まで冷却し、そこへ滴下ロートよりジエチル硫酸31.1gを1時間かけて徐々に滴下した。この間、発熱が認められたが、冷却することにより反応温度を90℃に維持し、滴下終了後は100℃で4時間熟成反応を行なった。ここで得られた反応物を多量のメタノール中へ投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥してアクリルアミド系共重合体(a)を得た。このポリマー(a)の重量平均分子量を測定したところ、5,300であった。
【0063】
合成例b
温度計、撹拌機、滴下ロートおよびディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、エチレン・アクリル酸共重合体(エチレン/アクリル酸=91/9モル%)150gおよびパラトルエンスルホン酸1.0gを仕込んだ。
【0064】
次に、N,N−ジメチルアミノエチルアミン38.5gを仕込み、オイルバスを用いて140℃に加熱して生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去し、さらに、140℃で17時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応を連続した。
【0065】
得られた反応物を80℃まで冷却し、そこへ沃化メチル72.0gを1時間かけて滴下した。この間、発熱が認められたが、冷却することにより反応温度を90℃に維持し、滴下終了後は100℃で4時間熟成反応を行なった。
【0066】
ここで得られた反応物を多量のn−ヘキサン中へ投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥してアクリルアミド系共重合体(b)を得た。このポリマー(b)の重量平均分子量を測定したところ、22,000であった。
【0067】
合成例c
温度計、撹拌機、滴下ロートおよびディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400mlとエチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体(エチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸=90/3/7モル%)(原料共重合体)150g(カルボキシル基0.315モル含有)とを仕込み、100℃に加熱して均一に溶解させた。
【0068】
次に、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン30.6g(0.299モル)を仕込み、140℃に加熱し、生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去した。さらに、140℃で20時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応を継続した。得られた反応混合物を80℃に冷却し、反応混合物に対し5倍量のメタノール中へ反応混合物を投入することにより析出させ、さらにメタノールで洗浄を重ね、減圧乾燥して中間共重合体を得た。得られた中間共重合体に導入された3級アミノ基量を中和滴定により求めたところ、1.71meq/gであった。
【0069】
次に、中間共重合体150gを再度キシレンに溶解し、メタンスルホン酸メチル28.3gを滴下ロートより1時間かけて滴下した。この間、発熱が認められたが、冷却により反応温度を110℃に保ち、滴下終了後は120℃で3時間熟成反応を行ない、3級アミノ基を4級アンモニウム塩基に変換した。得られた反応混合物をメタノール中に投入して析出させ、さらにメタノールで洗浄し、減圧乾燥してアクリルアミド系のカチオン変性共重合体(c)175gを得た。このポリマー(c)の重量平均分子量は30,000であった。
【0070】
合成例d
アミンとしてN,N−ジメチルアミノエタノールを使用した他は、合成例aと同様の装置、原料樹脂、方法にてカチオン性共重合体(d)を得た。このポリマー(d)の重量平均分子量は5,300であった。
【0071】
成分(C)の合成例を以下に示す。
【0072】
合成例1
温度計、撹拌機、滴下ロート、ディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、スチレン・無水マレイン酸共重合体(モル比3/1)(エルフ・アトケム社製、SMA−3000)150gを仕込み、次にN,N−ジメチルアミノプロピルアミン41.1gを仕込み、オイルバスで140℃に加熱して生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去し、生成する水の共沸が認められなくなるまで反応を行なった。
【0073】
得られた反応物を50℃まで冷却し、イソブチルアルコール中に投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥して共重合体を得た。この共重合体の重量平均分子量は2,200であった。
【0074】
合成例2、3
合成例1で用いたスチレン・無水マレイン酸共重合体を使用し、アミンとして表1に示すものを用いて合成例1と同様の条件にて共重合体(合成例2、合成例3)を合成した。
【0075】
合成例4、5
温度計、撹拌機、滴下ロート、冷却管を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、合成例1で得られた共重合体100gを仕込み、90℃まで加熱して溶解させた。そこへジエチル硫酸62gを徐々に滴下した。反応に伴なう発熱が認められたが、冷却を行ない、反応温度を90〜110℃にコントロールした。ジエチル硫酸の滴下が終了した後、同じ温度で4時間熟成反応を行なった。得られた反応物を80℃以下に冷却し、n−ヘキサン中に投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥して共重合体(合成例4)を得た。
【0076】
ジエチル硫酸の代わりにヨウ化メチルを用いて、上記と同様にして共重合体(合成例5)を得た。
【0077】
【表1】
。
【0078】
合成例6
無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの調製(特公昭56−9925号公報参照)に準じ、結晶性ポリプロピレンの粉末100重量部、無水マレイン酸12重量部およびジクミルパーオキシド4重量部を予め混合し、スクリュー径30mm、L(長さ)/D(幅)=28の押出機をバレル温度230℃に設定し、スクリュー回転数60rpmで押出反応を行なった。吐き出されたグラフト化物を粉砕後、アセトンに浸漬して未反応無水マレイン酸を抽出除去した後、乾燥して無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンを得た。無水マレイン酸グラフト量は4.3重量%であった。
【0079】
合成例7〜9
合成例(6)で得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを用い、[表2]に示すアミンを使用して合成例1と同様の条件にて共重合体(合成例7〜合成例9)を得た。
【0080】
合成例10〜12
α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体(三菱化学社製、ダイヤカルナPA168)を用い、[表2]に示すアミンを使用して合成例1と同様の条件にて共重合体(合成例10〜合成例12)を得た。
【0081】
【表2】
。
【0082】
以下に、本発明の樹脂組成物の具体的な実施例とそれと比較対照するための具体的な比較例について説明する。なお、使用する(A)成分、及び(C)成分を下記[表4]、[表5]中において略号で示すが、その内容は[表3]に記載の通りである。
【0083】
【表3】
。
【0084】
実施例1〜17、比較例1〜17
1.樹脂組成物の製造
[表4]、[表5]に示す各種熱可塑性樹脂(成分A)と、合成例で得たカチオン性共重合体(成分B)、共重合体(成分C)とを定量供給装置の付いた2軸押出機(栗本鉄工所製、KRCニーダーS−II型)を用いて230℃で混練りして押出し(ただし、ABS/PA、ABS/PC、PAは250℃で混練りして射出)、コールドカットして組成物ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工所製、ハイパーショット3000)にて成形した試験片を用いて、以下に示す各種物性試験を行なった。比較例としては、共重合体(成分C)を含まない樹脂組成物を上記と同様の方法で製造し、これを成形して得た試験片を用いて各種物性試験を行なった。
【0085】
2.樹脂組成物の各種物性試験方法
(1)電気的特性
試験片を20℃、相対湿度60%にて24時間以上調湿した後に測定した。
【0086】
▲1▼ 表面固有抵抗および表面固有抵抗の均質性
射出成形にて得られた300mm×300mm×3mm(縦×横×厚さ)の試験片を図1のように9個の部分に区切り、それぞれの部分の表面抵抗を超絶縁抵抗計(アドバンテスト社製、R−8340型)にて印加電圧500Vで測定した。
【0087】
▲2▼ 帯電減衰速度
スタティクオネストメーター(宍戸商会社製)にて図1の試験片の(A)の部分を用いて、100,000V×30秒印加して、初期電圧の半分になるのに要した秒数で示した。
【0088】
(2)機械的特性
▲1▼ アイゾッド衝撃強度
試験片のアイゾッド衝撃強度をJIS K−7110に従って測定した。
【0089】
▲2▼ 耐熱性
熱変形温度の測定により行なった。(JIS K−7207に準拠)実施例16と比較例16はB法において実施した。それ以外はA法において実施した。
【0090】
▲3▼ ゴバン目剥離
成形した試験片の10mm×10mmの部分に、1mmの等間隔で、直交する方向に傷をつけて100個の1mm角の矩形からなるゴバン目を形成した。このゴバン目にセロテープを圧着した後、強い力で引き剥し、セロテープに付着せずに試験片から剥れなかった矩形の数を数える。
○ : 矩形が全く試験片から剥れなかった。
△ : 矩形が1〜50個剥れた。
× : 矩形が50〜100個剥れた。
剥れなかった数が多いほど、樹脂組成物が均一であることを示す。
【0091】
物性測定結果を[表6](実施例)、[表7](比較例)に示す。
【0092】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
共重合体(成分C)を加えた実施例(表6)と加えていない比較例(表7)を比べると、明らかに実施例(表6)は成形体の測定場所による表面抵抗のバラつきが少なく、帯電減衰性も良好であった。また、共重合体(成分C)を加えたものの方がアイゾッド衝撃値、熱変形温度ともに高く、機械的特性においても優れている。ゴバン目試験の結果より、本発明の樹脂組成物は均質なものであることが明らかである。
【0093】
実施例18〜30、比較例18〜21
1.樹脂組成物の製造
[表8]に示すスチレン系熱可塑性樹脂(成分A)と、合成例で得たカチオン性共重合体(成分B)、共重合体(成分C)とを定量供給装置の付いた2軸押出機(栗本鉄工所製、KRCニーダーS−II型)を用いて210℃で混練りして押出し(ただし、ABS/PA、ABS/PCは250℃で混練りして射出)、コールドカットして組成物ペレットを得た。
【0094】
得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工所製、ハイパーショット3000)にて210℃で成形した試験片を用い、上記実施例と同様、各種物性試験を行なった。
【0095】
比較例としては、共重合体(成分C)を含まない樹脂組成物を上記と同様の方法で製造し、これを成形して得た試験片を用いて各種物性試験を行なった。
【0096】
物性測定結果を[表9]に示す。
【0097】
【表8】
【表9】
上記[表9]から明らかなように、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を使用するとともに、特定の(C)成分を用いることにより、(B)成分の使用量を減じることができる。
【0098】
応用例1(導電性プラスチックシート)
ポリスチレン(SC001、旭化成(株)製)(A成分)100部、合成例cで得たもの(B成分)3部、共重合体2(C成分)1部を、2軸押出し機(KRCニーダーS−II型)を用いて210℃で混練して組成物ペレット(A)を得た。
【0099】
この組成物ペレット(A)をTダイを備えた1軸押出し機(プラスチック工学研究所、PLABOR)を用いて220℃で押出し、プラスチックシート(厚み0.3mm)を得た。
【0100】
得られたプラスチックシートの表面固有抵抗値は1.35×1010Ωであり、また、帯電減衰半減期は0.5秒であることから、このプラスチックシートは、ICキャリヤテープのベースシートとして好適に使用され得ることが容易に分かる。
【0101】
応用例2(ICキャリヤテープ)
応用例1で得られたプラスチックシートを用い、特開平7−132962号公報に記載の方法で組成物ペレット(A)を射出成形し、IC固定用の微小リブを貼着してICキャリヤテープを得た。このキャリヤテープの表面固有抵抗(シートと微小リブとの間)は、2.00×1010Ωであった。
【0102】
応用例3(ICトレイ)
HIPS(A成分)100部、合成例a(B成分)3部、共重合体2(C成分)0.5部、γーアミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されたマイカ粉末(平均粒径90μm、アスペクト比50)5部を、2軸押出し機(KRCニーダーS−II型)を用いて混練し、組成物ペレット(B)を得た。
【0103】
得られた組成物ペレット(B)を、新潟鉄工所製(NN−MI4000型)を用い、150mm×150mm×10mmのICトレイに射出成形した。
【0104】
ICトレイの評価方法は以下のとおりであり、その結果は[表10]のとおりである。
【0105】
▲1▼成形品の表面抵抗率
ハイレスタ(三菱油化社製)を用い、ICトレイの任意の3カ所で測定した平均値(Ω)で判定した。
【0106】
▲2▼成形品のウエルド強度
ICトレイのウエルド部を両手で折曲げ、破損の有無及び状態で観察した。
【0107】
▲3▼成形品の反り・歪み
ICトレイを定盤上に置き、隙間ゲージおよびハイトゲージを用い、中央部の反り(mm)と、歪みの有無で判定した。
【0108】
▲4▼強度試験
ICトレイを10枚重ね、幅9mmのポリプロピレン(PP)バンドで加締機を用いて10kgfの張力で加締めた時のトレイの割れの有無で判定した。
【0109】
▲5▼成形加工性
ICトレイを成形したときの成形不良品の割合で判定した。
【0110】
【表10】
。
【0111】
実施例31〜44
[表11]に示すスチレン系熱可塑性樹脂(成分A)と、合成例で得たカチオン性共重合体(成分B)、共重合体(成分C)とを定量供給装置の付いた2軸押出機(栗本鉄工所製、KRCニーダーS−II型)を用いて混練りして押出し、コールドカットして組成物ペレットを得た。
【0112】
得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工所製、ハイパーショット3000)にて成形した試験片を用い、上記実施例と同様、各種物性試験を行なった。
【0113】
物性測定結果を[表12]に示す。
【0114】
【表11】
【表12】
[表12]から明らかなように、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を使用した場合、他の成分、すなわち(B)成分及び(C)成分の配合量を少なくすることができる(配合量を少なくしても、同定度の良好な結果が得られる)。
【0115】
【発明の効果】
本発明により、熱的特性に優れ(すなわち、例えば熱変形を起こしにくく)、帯電防止性に優れているとともに大きな面積を有する成形体であってもその帯電防止性の程度が各箇所によって大きく変わるようなことはなく(すなわち、帯電防止性が均一(均質)であり)、また、充分な帯電防止性を得るのに帯電防止剤の配合量を少なくし得た熱可塑性樹脂組成物を提供することができた。
【0116】
カチオン性共重合体(B)がマトリックス樹脂の表面近傍に連続層を成しているために、樹脂表面の摩擦、水洗などによる帯電防止効果の消失が起こらず、耐摩擦性、耐水性に優れた樹脂組成物となる。また、帯電防止剤成分(B)が樹脂表面にブリードアウトすることがないため、樹脂表面に粘着性が生じたり、印刷特性が悪化することがない。
【0117】
特定構造の共重合体(成分C)の添加により、カチオン性共重合体(B)がマトリックス樹脂中に均一に微分散するため、帯電防止性が均質となる。さらに、成分(C)の作用により、成分(C)が添加されない場合に比べて、同一の帯電防止性(同一の表面固有抵抗)を示すのに必要な帯電防止剤成分(B)の添加量が少なくてすむという効果も示す。
【0118】
また、成分(C)の添加により、カチオン性共重合体(B)が均一に微分散するため、樹脂組成物の機械的物性の低下がほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気的特性の試験に用いた試験片の平面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、均質に且つ永久的に帯電防止された樹脂成形品を得るための熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、従来に比べ、帯電防止剤の使用量を少なくし得た熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂は、フィルム、袋体などとして包装材料や自動車部品などの材料に従来から汎用されているが、これらの熱可塑性樹脂は一般に電気抵抗が大きく、摩擦によって容易に帯電し、塵などを吸着するという重大な欠点があった。
【0003】
そこで近年、帯電防止剤を下記▲1▼、▲2▼のように使用して、熱可塑性樹脂からなる成形品に帯電防止性の付与が試みられている。
▲1▼ 帯電防止剤を樹脂表面に塗布したのち乾燥する。
▲2▼ 内部添加型帯電防止剤を樹脂中に練り込む。
【0004】
前記▲1▼の方法では、帯電防止剤として界面活性剤溶液が用いられている。しかしながら、このような帯電防止剤は、洗浄により容易に除去されるため、恒久的な帯電防止性を付与することができないという欠点がある。
【0005】
前記▲2▼の方法では、内部添加型帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルイミダゾールの四級塩などが用いられている。これらの内部添加型帯電防止剤を用いた場合には、表面の帯電防止剤が洗浄により失なわれた場合であっても、その内部から新たな帯電防止剤が順次ブリードするため、帯電防止性が比較的長期間持続するという利点がある。
【0006】
しかしながら、このような内部添加型帯電防止剤を用いた場合には、洗浄後に帯電防止性が回復するまでに長時間を要し、また帯電防止剤が過度にブリードした場合には、粘着性が生じ、かえって塵などが付着しやすくなるという欠点がある。しかも、これらの帯電防止剤は低分子量のものであるため、たとえば高温での成形加工時の熱により揮散するので、実質的な必要量以上の帯電防止剤を添加する必要があるという不利益があり、その有効量を調整することが困難であった。
【0007】
従来の内部添加型帯電防止技術の欠点を改善すべく、制電性官能基を有する高分子化合物、いわゆる永久帯電防止剤と熱可塑性樹脂を練り込むことによりアロイ化し、永久的に帯電防止された樹脂組成物が近年数多く提案されている。例えば、メトキシ基の20〜80モル%がジエタノールアミン変性されたポリメチルメタクリレート(特開平1−170603号公報)、アルコキシポリエチレングリコールメタクリレートのグラフト共重合体(特公昭58−39860号公報)、スチレン−無水マレイン酸共重合体をイミド変性したのち、四級化してカチオン化したポリマー(特公平1−29820号公報)、末端がカルボキシル基のポリメチルメタクリレートをグリシジルメタクリレートで末端カルボキシル基をメタクリロイル基に変換した高分子量単量体とアミノアルキルアクリル酸エステルまたはアクリルアミドとのくし型共重合体およびその四級化カチオン変性品(特開昭62−121717号公報)、ポリアルキレンオキサイド鎖を含むポリエーテルエステルアミド(特公平4−5691号公報)などの永久帯電防止剤が提案され、種々の熱可塑性樹脂との組成物の例が示されている。
【0008】
しかしながら、前記永久帯電防止剤は、いずれも強伸度などの樹脂の物性の低下を招き、しかも帯電防止性、およびその持続性が不充分であるなどの欠点があった。
【0009】
さらに、エチレン単位40〜90重量%とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド60〜10重量%の共重合体を成形した後、無機酸塩に浸漬して導電性樹脂成形体を得る試みもなされている(特開昭64−54041号)。
【0010】
しかし、この方法は浸漬という付加的工程が必要であり、実用上問題があった。
【0011】
以上のような制電性官能基を有する高分子化合物の欠点を解決すべく、本発明者らは、第四級アンモニウム塩基含有アクリルアミド構造単位を有するポリエチレン共重合体を提案している(特開平4−198308号公報)。この共重合体を用いると、確かに帯電防止効果とその持続性に優れたものになり、またフィルムに成形した場合にあっては強伸度に優れたものになり、上記した問題点におけるかなりの部分は解決されるものの、射出成形等により成形品にした場合、熱変形温度などの熱的特性に問題が生じ、成形加工品に適用しようとする際に支障をきたした。
【0012】
更に、本発明者らは成形加工品の熱的特性を改良した熱可塑性樹脂組成物を提案している(特開平6−212079号公報)が、テレビ、複写機などの大型射出成形品や、大面積のフィルムに適用した場合、帯電防止性(一つの尺度として表面固有抵抗があげられる)が不均質なものとなり、成形品として支障をきたす場合が生じてきた。
【0013】
また、帯電防止剤を配合することによる樹脂への悪影響(樹脂物性の悪化など)や経済的な問題を解消すべく、今日においては、帯電防止剤の添加量を何とか少なくしたいという社会的要望があり、これに対して研究・検討が進められてきている。
【0014】
[発明の目的]
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱的特性に優れ(すなわち、例えば熱変形を起こしにくく)、帯電防止性に優れているとともに大きな面積を有する成形体であってもその帯電防止性の程度が各箇所によって大きく変わるようなことはなく(すなわち、帯電防止性が均一(均質)であり)、また、充分な帯電防止性を得るのに帯電防止剤の配合量を少なくし得た熱可塑性樹脂組成物を提供するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量1,000〜50,000のカチオン性共重合体3〜30重量部、
【化19】
で表わされるエチレン構造単位80〜98モル%
【化20】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる構造単位を1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.1〜10重量部
【化21】
【化22】
からなる。
【0016】
請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)、(2)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量1,000〜50,000のカチオン性共重合体3〜30重量部、
【化23】
で表わされるエチレン構造単位79.9〜97.9モル%
【化24】
で表わされるアクリレート構造単位15モル%以下
【化25】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる構造単位を1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.1〜10重量部
【化26】
【化27】
からなる。
【0017】
請求項3記載のの熱可塑性樹脂組成物は、
(A)スチレン系熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量1,000〜50,000のカチオン性共重合体よりなる帯電防止剤1〜15重量部、
【化28】
で表わされるエチレン構造単位80〜98モル%
【化29】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる無水コハク酸構造単位を主鎖中もしくは側鎖に1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.05〜5重量部
【化30】
【化31】
からなる。
【0018】
請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)スチレン系熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)、(2)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量が1,000〜50,000のカチオン性共重合体よりなる帯電防止剤1〜15重量部、
【化32】
で表わされるエチレン構造単位79.9〜97.9モル%
【化33】
で表わされるアクリレート構造単位15モル%以下
【化34】
で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる無水コハク酸構造単位を主鎖中もしくは側鎖に1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.05〜5重量部
【化35】
【化36】
からなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
成分(A)
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂(スチレンモノマーの単独重合体(ポリスチレン)、スチレンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(ABS樹脂など)、ポリスチレンまたは前記共重合体と他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイなど)、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等が例示され、これら各種熱可塑性樹脂を単独もしくはポリマーアロイの如く併用して使用することができる。これらのうち、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とABS樹脂のポリマーアロイを使用すると、本発明をより効果的に実施できるので好ましい。
【0020】
ここで、ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン類、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などであり、これらの各種ポリオレフィンおよび共重合体樹脂も含まれる。中でもポリオレフィン類を使用することが、成分(B)との相溶性が優れたものとなる、という点から好ましい。
【0021】
より詳細には、ポリオレフィン類とは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン(ランダムおよび/またはブロック)共重合体などが挙げられ、これらのポリオレフィン類を単独もしくは併用して使用することができる。特に好ましいポリオレフィン類は、高密度、低密度、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン(ランダムおよび/またはブロック)共重合体の併用が挙げられ、その数平均分子量は、通常5,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000である。
【0022】
スチレン系樹脂としては、前述したように、ポリスチレン(GPPS)、ABS樹脂などのスチレン共重合体、ポリマーアロイなどが挙げられる。
【0023】
ABS樹脂については、種類は特に限定されず、NBRとAS樹脂をブレンドしたいわゆるブレンド型もしくはポリブタジエンにスチレンとアクリロニトリルをグラフト重合したグラフト型のいずれでも使用可能である。また、一般グレードの他、メルトインデックスが60g/10min程度の良流動性グレード、耐熱温度が110℃程度の耐熱グレード、難燃剤を併用した難燃グレード、ガラスフィラーを充填したGF強化グレードなどが好適に使用できる。他の共重合体としては、ポリブタジエン等のゴム成分とグラフト共重合した耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)などが挙げられる。好ましいのは上記したABS、GPPS、HIPSである。
【0024】
スチレン系熱可塑性樹脂としてのポリマーアロイの具体例としては、ABS/ポリカーボネート(PC)、ABS/ポリアミド(PA)、ABS/ポリ塩化ビニル、ABS/ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。このうち、ABS/ポリカーボネート(PC)が好ましい。
【0025】
ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどの結合単位がエステルである樹脂が挙げられる。PBT、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0026】
ポリエステル樹脂とABS樹脂のポリマーアロイとしては、PBT/ABSアロイ、ポリカーボネート(PC)/ABSアロイなどが例示できる。
【0027】
成分(B)
分子内に、式(1)で表わされるエチレン構造単位80〜98モル%と、一般式(3)で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%とを含有し、重量平均分子量が1,000〜50,000で線状のカチオン性共重合体である。各構造単位は、規則的に配列していても不規則に配列していてもどちらでもよい。
【0028】
また、分子内に、式(1)で表わされるエチレン構造単位79.9〜97.9モル%と、一般式(2)で表わされるアクリレート構造単位15モル%以下と、一般式(3)で表わされるカチオン性構造単位2〜20モル%とを含有し、重量平均分子量が1,000〜50,000で線状のカチオン性共重合体である。各構造単位は、規則的に配列していても不規則に配列していてもどちらでもよい。本発明の樹脂組成物に用いられるカチオン性共重合体(B)の構成について、以下にさらに詳しく説明する。
【0029】
本発明の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体において、式(1)で表わされるエチレン構造単位は、分子内に80〜98モル%含有されているが、この含有割合が80モル%未満であればマトリックス樹脂への相溶性が極端に悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難になるばかりでなく、得られた樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が著しく低下する。また、含有割合が98モル%を超える場合には充分な帯電防止能が得られない。相溶性、物性と帯電防止能との観点から、エチレン構造単位(1)の含有割合は、85.0〜97.5モル%が好ましい。
【0030】
また、本発明の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体において、一般式(3)で表わされるカチオン性構造単位は、4級アンモニウム塩の形にしたカチオン性のアクリレートまたはアクリルアミド構造単位であり、分子内に2〜20モル%含有されている。この含有割合が2モル%未満の場合には樹脂組成物が帯電防止能力に欠け、含有割合が20モル%を超える場合にはカチオン性共重合体のマトリックス樹脂への相溶性が悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難であるばかりか、該樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が低下する。帯電防止能力と相溶性、物性との観点から、カチオン性のアクリルアミド構造単位が望ましく、その含有割合は2.5〜15モル%が好ましい。
【0031】
なお、カチオン性構造単位の一般式(3)において、Zは−COO−または−CONH−を示し、R2はエチレン基またはプロピレン基を示し、これらは1分子中に混在してもよい。R3およびR4はメチル基を示し、R5は、製造の容易さや良好な帯電防止能が得られるといった観点から、メチル基、エチル基等の低級直鎖状アルキル基またはベンジル基等のアリールアルキル基を示す。さらに、Xは、Cl、Br、I等のハロゲン、CH3OSO3、CH3CH2OSO3またはR6SO3を示し、R6はC1〜C8のアルキル基またはアリールアルキル基を示す。
【0032】
また、本発明の他の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体において、一般式(2)で表わされるアクリレート構造単位は、分子内に15モル%以下含有されている。アクリレート構造単位(2)が含有されていることにより、カチオン性共重合体とマトリックス樹脂との相溶性が向上する。アクリレート構造単位(2)の含有割合が15モル%を超える場合には、樹脂組成物の物性が悪化する。相溶性の観点から、アクリレート構造単位(2)の含有割合は0.1〜13モル%が好ましく、3〜13モル%程度がさらに好ましい。
【0033】
なお、アクリレート構造単位の一般式(2)において、R1はメチル基またはエチル基を示し、R1は構造単位毎に同一であっても異なってもよい。すなわち、メチル基とエチル基が1分子中に混在してもよい。
【0034】
カチオン性共重合体において、アクリレート構造単位(2)が15モル%以下含有されている場合には、エチレン構造単位(1)は、分子内に79.9〜97.9モル%含有されている。この含有割合が79.9モル%未満であればマトリックス樹脂への相溶性が極端に悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難になるばかりでなく、得られた樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が著しく低下する。また、含有割合が97.9モル%を超える場合には充分な帯電防止能が得られない。相溶性、物性と帯電防止能との観点から、エチレン構造単位(1)の含有割合は、82〜94.5モル%が好ましい。また、カチオン性構造単位(3)は、分子内に2〜20モル%含有されている。この含有割合が2モル%未満の場合には樹脂組成物が帯電防止能力に欠け、含有割合が20モル%を超える場合にはカチオン性共重合体のマトリックス樹脂への相溶性が悪化し、押出機を用いての樹脂組成物の製造が困難であるばかりか、該樹脂組成物を用いて成形した成形体の耐水性と機械的物性が低下する。帯電防止能力と相溶性、物性との観点から、その含有割合は2.5〜15モル%が好ましい。
【0035】
上述したカチオン性共重合体の重量平均分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、超高温GPC法(絹川、「高分子論文集第44巻2号」、139〜141頁、1987)に準じて測定できる。その重量平均分子量の範囲は1,000〜50,000である。重量平均分子量が1,000未満の場合にはカチオン性共重合体がワックス状となり、ハンドリング性が悪化し、さらには過度のブリードアウトにより樹脂表面の粘着性が増すという問題を生じ、重量平均分子量が50,000を超える場合には、マトリックス樹脂への相溶性が悪化するという問題を生じる。カチオン性共重合体の好ましい重量平均分子量は、3,000〜30,000である。
【0036】
本発明の樹脂組成物に用いるカチオン性共重合体の製造方法は、例えば、エチレンとアクリル酸エステルとを高圧重合法により共重合させて得られるエチレン−アクリル酸エステル共重合体を、特開昭60−79008号公報に記載の方法により、加水分解と同時に熱減成して所望の分子量とし、さらに、得られたエチレン−アクリル酸共重合体またはエチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体を、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンまたはN,N−ジアルキルアミノアルカノールでアミド化またはエステル化した後、公知の4級化剤でカチオン変性し、単離して上記カチオン性共重合体を得るというものである。
【0037】
本発明の樹脂組成物において、前述したカチオン性共重合体の配合量は、成分(A)100重量部に対して実用的には3〜30重量部であるが、この配合量が3重量部未満の場合には要求される帯電防止性が得られにくく、逆に配合量が30重量部を超える場合には樹脂の機械的物性、特に衝撃強度が低下する。樹脂における帯電防止性と機械的物性とのバランスから、カチオン性共重合体の配合量は3〜20重量部が好ましい。
【0038】
なお、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用い、かつ(C)成分として特定の構造のものを使用する場合にあっては、当該(B)成分の配合量を少なくすることができる。すなわち、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用いる場合のカチオン性共重合体(B)成分の配合量は、成分(A)100重量部に対して実用的には1〜15重量部である。この配合量が1重量部未満の場合には要求される帯電防止性が得られにくく、逆に15重量部を超える場合、経済的に不利であり、また樹脂の機械物性(特に衝撃強度)の低下が起こる場合がある。
【0039】
なお、成分(B)の分子内に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐熱性、帯電防止性、耐衝撃性を悪化させない範囲で、下記式(6)、(7)に示される構造単位が含まれていてもさしつかえない。
【0040】
【化37】
【化38】
。
【0041】
成分(C)
成分(C)は、式(4)で表わされる構造単位と式(5)で表わされる構造単位を1分子あたり少なくとも1個ずつ有する共重合体である。
【0042】
式(4)の構造を与える単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、イソプレン、炭素数12〜42のオレフィン類、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0043】
成分(A)がポリオレフィン類樹脂の場合、式(4)の構造を与える単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン、イソプレンが好適である。
【0044】
成分(A)がABS、ポリスチレン系樹脂などのスチレン系樹脂の場合は、式(4)の構造を与える単量体としてはスチレン、α−オレフィン(炭素数1〜42)が好ましい。
【0045】
成分(A)が(メタ)アクリル樹脂の場合、式(4)の構造を与える単量体としては炭素数1〜4の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0046】
式(5)の具体例としては、無水コハク酸構造単位、コハクイミド構造単位、アルキルコハクイミド構造単位、アリールコハクイミド構造単位、ジアルキルアミノアルキルコハクイミド構造単位、トリアルキルアンモニウムアルキルコハクイミド構造単位等が挙げられる。この中で、好ましいのは無水コハク酸構造単位、アルキルコハクイミド構造単位(特にアルキルの炭素数4〜12)、アリールコハクイミド構造単位、ジアルキルアミノアルキルコハクイミド構造単位、トリアルキルアンモニウムアルキルコハクイミド構造単位である。
【0047】
式(5)の構造単位が1分子あたり1個以上存在しないときは、本発明の目的である均質な表面固有抵抗(帯電防止性)を示さなくなる。また、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用いるとともに特定の(C)成分を用いる場合における、少ない永久帯電防止剤の添加量で高い帯電防止効果を得るという効果を得ることができない。
【0048】
成分(C)の重量平均分子量は800〜200,000であるが、成分(A)、成分(B)への相溶性の観点から、800〜20,000の範囲が好ましい。成分(C)の添加量は(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部である。0.1重量部未満であると、均質な表面抵抗を示さない。10重量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の機械的物性、特に衝撃特性が悪化する。好ましい添加量は0.2〜7重量部、特に好ましい添加量は0.5〜5重量部である。
【0049】
(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を用いるとともに特定の(C)成分を用いる場合にあっては、(C)成分の添加量を、(B)成分と同様、少なくすることができる。この場合の(C)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対して0.05〜5.0重量部である。0.05重量部未満の場合、添加することの効果がなく、また5.0重量部を超える場合、機械物性が悪くなる傾向が現れはじめる。0.1〜3重量部が好ましい範囲であり、0.1〜2.0重量部がさらに好ましい。
【0050】
成分(C)を添加することにより、均質な表面抵抗を示す成形体が得られるだけでなく、成分(C)により、成分(B)がマトリックス樹脂である成分(A)中に更に微分散する。これのみならず、成形時に永久帯電防止剤を成形体の表層付近にスジ状に分散させる効果を示す。そのことにより、成分(C)が添加されない場合に比べて、同一(あるいはそれ以上)の帯電防止性(表面固有抵抗)を示すのに必要な帯電防止剤成分(B)の添加量が少なくてすむという副次的効果も示す。
【0051】
成分(C)の製造方法としては特に限定されないが、式(4)の繰り返し単位を有する重合体に公知の過酸化物または開始剤などを使用して無水マレイン酸をグラフト反応することにより、もしくは式(4)の繰り返し単位を示す単量体と無水マレイン酸を共重合させることにより、無水コハク酸構造単位を導入できる。導入された無水コハク酸構造単位に対応するアミンと反応させることにより、各種のイミド構造単位に変換することができる。例えば、第1級アルキルアミンと反応させるとアルキルコハクイミド構造単位が得られ、芳香族第1級アミンと反応させることによりアリールコハクイミド構造単位が得られる。
【0052】
成分(C)の具体例としては、プロピレン−無水マレイン酸共重合体(三洋化成工業(株)製の、ユーメックス1001、ユーメックス1010など)、エチレン−無水マレイン酸共重合体(三洋化成工業(株)製のユーメックス2000など)、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体(三菱化学(株)製の、ダイヤカルナPA124、PA168、PA208、PA30など)、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体((株)クラレ製の、イソバン10、イソバン06、イソバン04など)が例示されるが、これに限るものではない。
【0053】
本発明の樹脂組成物の用途例としては、電子材料包装材料(ICトレー、マガジンレール、キャリアテープなど)、OA機器(ハウジング、コピー、FAX、紙トレイなど)、雑貨品(包装材料、コンテナー、クシなど)が挙げられる。
【0054】
本発明の樹脂組成物の製法は特に限定されない。公知の方法により、例えば成分(A)、成分(B)、成分(C)の規定量を予め混合するか、それぞれスクリューフィーダーなどの定量供給機を用いて2軸もしくは単軸押出機に供給して得ることができる。その他には、加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどの機械も使用できる。
【0055】
なお、本発明において他の添加物、例えば、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維等の無機充填剤、テトラキス(2,4−ジtertブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト等のリン系熱安定剤、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジtertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系、メルカプトプロピオン酸エステル等のチオ系酸化防止剤、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールAやその誘導体、さらにはジフェニルエーテルの臭素化物等の含臭素系難燃剤や含リン化合物難燃剤およびSb2O3等の難燃助剤、非イオン系、アニオン系もしくはカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン鎖を持つポリマー、例えばポリオキシエチレンやポリエチレングリコールをエステル結合、アミド結合あるいはイミド結合で重縮合させた高分子量体もしくはウレタン結合、エポキシエステル結合、エポキシエーテル結合で重付加させた高分子量体である帯電防止剤を同時に添加してもよい。
【0056】
[作用]
従来の内部添加型帯電防止剤は、樹脂の表面にブリードアウトして吸湿層を形成し、これにより静電気を漏洩するのに対し、本発明の樹脂組成物では、添加されるカチオン性共重合体がマトリックス樹脂の表層近傍で連続層を形成し、共重合体中のカチオン基の対イオンの移動に伴う電荷の移動により静電気を漏洩する。従って、本発明の樹脂組成物の静電気漏洩速度は、従来の内部添加型帯電防止剤を使用した物より速い。
【0057】
また、成形加工品の樹脂表面に帯電防止剤が付着しているのではないため、表面の摩擦、水洗により帯電防止剤が剥れ落ちることなく、帯電防止効果の消失が起こらない。
【0058】
なお、特定の構造を持つ成分(C)の添加により、カチオン性共重合体(B)がマトリックス樹脂(A)中に均一に微分散するために、帯電防止性能(表面固有抵抗)が均質なものとなる。
【0059】
【実施例】
カチオン性共重合体(成分(B))の合成例を以下に示す。
【0060】
合成例a
温度計、撹拌機、滴下ロートおよびディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、エチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体(エチレン/エチルアクリレート/アクリル酸=93/3/4モル%)150gおよびパラトルエンスルホン酸1.0gを仕込んだ。
【0061】
次に、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン21.1gを仕込み、オイルバスを用いて140℃に加熱して生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去し、さらに、140℃で17時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応を連続した。
【0062】
得られた反応物458gを80℃まで冷却し、そこへ滴下ロートよりジエチル硫酸31.1gを1時間かけて徐々に滴下した。この間、発熱が認められたが、冷却することにより反応温度を90℃に維持し、滴下終了後は100℃で4時間熟成反応を行なった。ここで得られた反応物を多量のメタノール中へ投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥してアクリルアミド系共重合体(a)を得た。このポリマー(a)の重量平均分子量を測定したところ、5,300であった。
【0063】
合成例b
温度計、撹拌機、滴下ロートおよびディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、エチレン・アクリル酸共重合体(エチレン/アクリル酸=91/9モル%)150gおよびパラトルエンスルホン酸1.0gを仕込んだ。
【0064】
次に、N,N−ジメチルアミノエチルアミン38.5gを仕込み、オイルバスを用いて140℃に加熱して生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去し、さらに、140℃で17時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応を連続した。
【0065】
得られた反応物を80℃まで冷却し、そこへ沃化メチル72.0gを1時間かけて滴下した。この間、発熱が認められたが、冷却することにより反応温度を90℃に維持し、滴下終了後は100℃で4時間熟成反応を行なった。
【0066】
ここで得られた反応物を多量のn−ヘキサン中へ投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥してアクリルアミド系共重合体(b)を得た。このポリマー(b)の重量平均分子量を測定したところ、22,000であった。
【0067】
合成例c
温度計、撹拌機、滴下ロートおよびディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400mlとエチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体(エチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸=90/3/7モル%)(原料共重合体)150g(カルボキシル基0.315モル含有)とを仕込み、100℃に加熱して均一に溶解させた。
【0068】
次に、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン30.6g(0.299モル)を仕込み、140℃に加熱し、生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去した。さらに、140℃で20時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応を継続した。得られた反応混合物を80℃に冷却し、反応混合物に対し5倍量のメタノール中へ反応混合物を投入することにより析出させ、さらにメタノールで洗浄を重ね、減圧乾燥して中間共重合体を得た。得られた中間共重合体に導入された3級アミノ基量を中和滴定により求めたところ、1.71meq/gであった。
【0069】
次に、中間共重合体150gを再度キシレンに溶解し、メタンスルホン酸メチル28.3gを滴下ロートより1時間かけて滴下した。この間、発熱が認められたが、冷却により反応温度を110℃に保ち、滴下終了後は120℃で3時間熟成反応を行ない、3級アミノ基を4級アンモニウム塩基に変換した。得られた反応混合物をメタノール中に投入して析出させ、さらにメタノールで洗浄し、減圧乾燥してアクリルアミド系のカチオン変性共重合体(c)175gを得た。このポリマー(c)の重量平均分子量は30,000であった。
【0070】
合成例d
アミンとしてN,N−ジメチルアミノエタノールを使用した他は、合成例aと同様の装置、原料樹脂、方法にてカチオン性共重合体(d)を得た。このポリマー(d)の重量平均分子量は5,300であった。
【0071】
成分(C)の合成例を以下に示す。
【0072】
合成例1
温度計、撹拌機、滴下ロート、ディーン・スターク分水器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、スチレン・無水マレイン酸共重合体(モル比3/1)(エルフ・アトケム社製、SMA−3000)150gを仕込み、次にN,N−ジメチルアミノプロピルアミン41.1gを仕込み、オイルバスで140℃に加熱して生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去し、生成する水の共沸が認められなくなるまで反応を行なった。
【0073】
得られた反応物を50℃まで冷却し、イソブチルアルコール中に投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥して共重合体を得た。この共重合体の重量平均分子量は2,200であった。
【0074】
合成例2、3
合成例1で用いたスチレン・無水マレイン酸共重合体を使用し、アミンとして表1に示すものを用いて合成例1と同様の条件にて共重合体(合成例2、合成例3)を合成した。
【0075】
合成例4、5
温度計、撹拌機、滴下ロート、冷却管を備えた1リットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、合成例1で得られた共重合体100gを仕込み、90℃まで加熱して溶解させた。そこへジエチル硫酸62gを徐々に滴下した。反応に伴なう発熱が認められたが、冷却を行ない、反応温度を90〜110℃にコントロールした。ジエチル硫酸の滴下が終了した後、同じ温度で4時間熟成反応を行なった。得られた反応物を80℃以下に冷却し、n−ヘキサン中に投入し、生成した沈殿物を回収、乾燥して共重合体(合成例4)を得た。
【0076】
ジエチル硫酸の代わりにヨウ化メチルを用いて、上記と同様にして共重合体(合成例5)を得た。
【0077】
【表1】
。
【0078】
合成例6
無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの調製(特公昭56−9925号公報参照)に準じ、結晶性ポリプロピレンの粉末100重量部、無水マレイン酸12重量部およびジクミルパーオキシド4重量部を予め混合し、スクリュー径30mm、L(長さ)/D(幅)=28の押出機をバレル温度230℃に設定し、スクリュー回転数60rpmで押出反応を行なった。吐き出されたグラフト化物を粉砕後、アセトンに浸漬して未反応無水マレイン酸を抽出除去した後、乾燥して無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンを得た。無水マレイン酸グラフト量は4.3重量%であった。
【0079】
合成例7〜9
合成例(6)で得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを用い、[表2]に示すアミンを使用して合成例1と同様の条件にて共重合体(合成例7〜合成例9)を得た。
【0080】
合成例10〜12
α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体(三菱化学社製、ダイヤカルナPA168)を用い、[表2]に示すアミンを使用して合成例1と同様の条件にて共重合体(合成例10〜合成例12)を得た。
【0081】
【表2】
。
【0082】
以下に、本発明の樹脂組成物の具体的な実施例とそれと比較対照するための具体的な比較例について説明する。なお、使用する(A)成分、及び(C)成分を下記[表4]、[表5]中において略号で示すが、その内容は[表3]に記載の通りである。
【0083】
【表3】
。
【0084】
実施例1〜17、比較例1〜17
1.樹脂組成物の製造
[表4]、[表5]に示す各種熱可塑性樹脂(成分A)と、合成例で得たカチオン性共重合体(成分B)、共重合体(成分C)とを定量供給装置の付いた2軸押出機(栗本鉄工所製、KRCニーダーS−II型)を用いて230℃で混練りして押出し(ただし、ABS/PA、ABS/PC、PAは250℃で混練りして射出)、コールドカットして組成物ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工所製、ハイパーショット3000)にて成形した試験片を用いて、以下に示す各種物性試験を行なった。比較例としては、共重合体(成分C)を含まない樹脂組成物を上記と同様の方法で製造し、これを成形して得た試験片を用いて各種物性試験を行なった。
【0085】
2.樹脂組成物の各種物性試験方法
(1)電気的特性
試験片を20℃、相対湿度60%にて24時間以上調湿した後に測定した。
【0086】
▲1▼ 表面固有抵抗および表面固有抵抗の均質性
射出成形にて得られた300mm×300mm×3mm(縦×横×厚さ)の試験片を図1のように9個の部分に区切り、それぞれの部分の表面抵抗を超絶縁抵抗計(アドバンテスト社製、R−8340型)にて印加電圧500Vで測定した。
【0087】
▲2▼ 帯電減衰速度
スタティクオネストメーター(宍戸商会社製)にて図1の試験片の(A)の部分を用いて、100,000V×30秒印加して、初期電圧の半分になるのに要した秒数で示した。
【0088】
(2)機械的特性
▲1▼ アイゾッド衝撃強度
試験片のアイゾッド衝撃強度をJIS K−7110に従って測定した。
【0089】
▲2▼ 耐熱性
熱変形温度の測定により行なった。(JIS K−7207に準拠)実施例16と比較例16はB法において実施した。それ以外はA法において実施した。
【0090】
▲3▼ ゴバン目剥離
成形した試験片の10mm×10mmの部分に、1mmの等間隔で、直交する方向に傷をつけて100個の1mm角の矩形からなるゴバン目を形成した。このゴバン目にセロテープを圧着した後、強い力で引き剥し、セロテープに付着せずに試験片から剥れなかった矩形の数を数える。
○ : 矩形が全く試験片から剥れなかった。
△ : 矩形が1〜50個剥れた。
× : 矩形が50〜100個剥れた。
剥れなかった数が多いほど、樹脂組成物が均一であることを示す。
【0091】
物性測定結果を[表6](実施例)、[表7](比較例)に示す。
【0092】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
共重合体(成分C)を加えた実施例(表6)と加えていない比較例(表7)を比べると、明らかに実施例(表6)は成形体の測定場所による表面抵抗のバラつきが少なく、帯電減衰性も良好であった。また、共重合体(成分C)を加えたものの方がアイゾッド衝撃値、熱変形温度ともに高く、機械的特性においても優れている。ゴバン目試験の結果より、本発明の樹脂組成物は均質なものであることが明らかである。
【0093】
実施例18〜30、比較例18〜21
1.樹脂組成物の製造
[表8]に示すスチレン系熱可塑性樹脂(成分A)と、合成例で得たカチオン性共重合体(成分B)、共重合体(成分C)とを定量供給装置の付いた2軸押出機(栗本鉄工所製、KRCニーダーS−II型)を用いて210℃で混練りして押出し(ただし、ABS/PA、ABS/PCは250℃で混練りして射出)、コールドカットして組成物ペレットを得た。
【0094】
得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工所製、ハイパーショット3000)にて210℃で成形した試験片を用い、上記実施例と同様、各種物性試験を行なった。
【0095】
比較例としては、共重合体(成分C)を含まない樹脂組成物を上記と同様の方法で製造し、これを成形して得た試験片を用いて各種物性試験を行なった。
【0096】
物性測定結果を[表9]に示す。
【0097】
【表8】
【表9】
上記[表9]から明らかなように、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を使用するとともに、特定の(C)成分を用いることにより、(B)成分の使用量を減じることができる。
【0098】
応用例1(導電性プラスチックシート)
ポリスチレン(SC001、旭化成(株)製)(A成分)100部、合成例cで得たもの(B成分)3部、共重合体2(C成分)1部を、2軸押出し機(KRCニーダーS−II型)を用いて210℃で混練して組成物ペレット(A)を得た。
【0099】
この組成物ペレット(A)をTダイを備えた1軸押出し機(プラスチック工学研究所、PLABOR)を用いて220℃で押出し、プラスチックシート(厚み0.3mm)を得た。
【0100】
得られたプラスチックシートの表面固有抵抗値は1.35×1010Ωであり、また、帯電減衰半減期は0.5秒であることから、このプラスチックシートは、ICキャリヤテープのベースシートとして好適に使用され得ることが容易に分かる。
【0101】
応用例2(ICキャリヤテープ)
応用例1で得られたプラスチックシートを用い、特開平7−132962号公報に記載の方法で組成物ペレット(A)を射出成形し、IC固定用の微小リブを貼着してICキャリヤテープを得た。このキャリヤテープの表面固有抵抗(シートと微小リブとの間)は、2.00×1010Ωであった。
【0102】
応用例3(ICトレイ)
HIPS(A成分)100部、合成例a(B成分)3部、共重合体2(C成分)0.5部、γーアミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されたマイカ粉末(平均粒径90μm、アスペクト比50)5部を、2軸押出し機(KRCニーダーS−II型)を用いて混練し、組成物ペレット(B)を得た。
【0103】
得られた組成物ペレット(B)を、新潟鉄工所製(NN−MI4000型)を用い、150mm×150mm×10mmのICトレイに射出成形した。
【0104】
ICトレイの評価方法は以下のとおりであり、その結果は[表10]のとおりである。
【0105】
▲1▼成形品の表面抵抗率
ハイレスタ(三菱油化社製)を用い、ICトレイの任意の3カ所で測定した平均値(Ω)で判定した。
【0106】
▲2▼成形品のウエルド強度
ICトレイのウエルド部を両手で折曲げ、破損の有無及び状態で観察した。
【0107】
▲3▼成形品の反り・歪み
ICトレイを定盤上に置き、隙間ゲージおよびハイトゲージを用い、中央部の反り(mm)と、歪みの有無で判定した。
【0108】
▲4▼強度試験
ICトレイを10枚重ね、幅9mmのポリプロピレン(PP)バンドで加締機を用いて10kgfの張力で加締めた時のトレイの割れの有無で判定した。
【0109】
▲5▼成形加工性
ICトレイを成形したときの成形不良品の割合で判定した。
【0110】
【表10】
。
【0111】
実施例31〜44
[表11]に示すスチレン系熱可塑性樹脂(成分A)と、合成例で得たカチオン性共重合体(成分B)、共重合体(成分C)とを定量供給装置の付いた2軸押出機(栗本鉄工所製、KRCニーダーS−II型)を用いて混練りして押出し、コールドカットして組成物ペレットを得た。
【0112】
得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工所製、ハイパーショット3000)にて成形した試験片を用い、上記実施例と同様、各種物性試験を行なった。
【0113】
物性測定結果を[表12]に示す。
【0114】
【表11】
【表12】
[表12]から明らかなように、(A)成分としてスチレン系熱可塑性樹脂を使用した場合、他の成分、すなわち(B)成分及び(C)成分の配合量を少なくすることができる(配合量を少なくしても、同定度の良好な結果が得られる)。
【0115】
【発明の効果】
本発明により、熱的特性に優れ(すなわち、例えば熱変形を起こしにくく)、帯電防止性に優れているとともに大きな面積を有する成形体であってもその帯電防止性の程度が各箇所によって大きく変わるようなことはなく(すなわち、帯電防止性が均一(均質)であり)、また、充分な帯電防止性を得るのに帯電防止剤の配合量を少なくし得た熱可塑性樹脂組成物を提供することができた。
【0116】
カチオン性共重合体(B)がマトリックス樹脂の表面近傍に連続層を成しているために、樹脂表面の摩擦、水洗などによる帯電防止効果の消失が起こらず、耐摩擦性、耐水性に優れた樹脂組成物となる。また、帯電防止剤成分(B)が樹脂表面にブリードアウトすることがないため、樹脂表面に粘着性が生じたり、印刷特性が悪化することがない。
【0117】
特定構造の共重合体(成分C)の添加により、カチオン性共重合体(B)がマトリックス樹脂中に均一に微分散するため、帯電防止性が均質となる。さらに、成分(C)の作用により、成分(C)が添加されない場合に比べて、同一の帯電防止性(同一の表面固有抵抗)を示すのに必要な帯電防止剤成分(B)の添加量が少なくてすむという効果も示す。
【0118】
また、成分(C)の添加により、カチオン性共重合体(B)が均一に微分散するため、樹脂組成物の機械的物性の低下がほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気的特性の試験に用いた試験片の平面図である。
Claims (4)
- (A)スチレン系熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記式(1)、(2)および(3)で表わされる構造単位が不規則にまたは規則的に線状に配列してなる重量平均分子量が1,000〜50,000のカチオン性共重合体よりなる帯電防止剤1〜15重量部、
(C)下記式(4)で表わされる構造単位と下記式(5)で表わされる無水コハク酸構造単位を主鎖中もしくは側鎖に1分子あたり少なくとも1個ずつ有する重量平均分子量800〜200,000の共重合体0.05〜5重量部
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