JPH0617795Y2 - フープ材の搬送位置決め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はフープ材の搬送位置決め装置に関し、詳しくは
半導体装置の製造におけるペレットマウント工程等に使
用されるフープ材の搬送位置決め装置に関するものであ
る。

従来の技術 通常、半導体装置の製造では、長尺なフレキシブルシー
ト状の金属製リードフレーム上に半導体ペレットを固着
するダイボンディング工程がある。この、ダイボンディ
ング工程では、リールに巻回された上記リードフレーム
を巻き出し、この巻き出されたリードフレームをヒータ
ブロックを兼ねた搬送レール上に、定ピッチ間欠的に搬
送しながら、定ポジションにて、一時停止したリードフ
レームのランド部上に半導体ペレットを溶融半田を介し
て固着する。

従来、上記リードフレーム（以下フープ材と称す）の搬
送位置決め装置には、例えばスプロケット、送りピンや
グリッパを使用した方式のものがある。

まず、スプロケットを使用した方式では、フープ材の長
手方向に沿って定ピッチで穿設された送り孔に、スプロ
ケットの爪を嵌入させ、上記スプロケットを間欠回転さ
せることにより搬送レール上にフープ材を定ピッチで間
欠送りしている。

次に送りピンを使用した方式では、前記フープ材の送り
孔と対応させた上方位置に送りピンを配置し、上記送り
ピンを下降させてフープ材の送り孔に挿入し、この状態
で送りピンをフープ材の長手方向に前進移動させた後、
送りピンを上昇させてフープ材の送り孔から抜き、更に
上記送りピンをフープ材の移動方向とは反対方向に後退
移動させて初期位置に復帰させる。このように送りピン
をスクウェアモーションさせて上記フープ材を搬送レー
ル上で定ピッチ間欠送りしている。

最後にグリッパを使用した方式では、フープ材の上下方
位置に夫々上下グリップ爪を配置し、上記フープ材をそ
の表裏両面側から上下グリップ爪で挾持し、この状態で
上記上下グリップ爪をフープ材の長手方向に移動させる
ことにより上記フープ材を搬送レール上で定ピッチ間欠
送りしている。

考案が解決しようとする課題 ところで、従来のフープ材の搬送位置決め装置では、前
述した各方式について次の問題点があった。

まずスプロケットを使用した方式では、スプロケットに
設けられた爪のピッチと、フープ材に穿設された送り孔
のピッチとを一致させることが加工精度上困難であっ
た。また、上記フープ材の送り孔にスプロケットの爪を
嵌入させるため、このスプロケットの爪の形状が制約さ
れ、爪の割り出しは勿論のこと、上記スプロケットの製
造が容易なことではなかった。

次に送りピンを使用した方式では、送りピンをフープ材
の送り孔に挿入して上記フープ材を搬送開始する際に、
フープ材の搬送方向に対する抵抗が大きいため、弱いフ
ープ材では破損することがあり、強いフープ材しか使用
できないという制約があった。

最後にグリッパを使用した方式では、上下グリップ爪で
フープ材を挾持した状態で搬送するため、上記上下グリ
ップ爪とフープ材間でスリップが発生し易く、上記フー
プ材を高精度に搬送することが非常に困難であった。

そこで、本考案の目的は、フープ材の適用範囲が広く、
上記フープ材の送りの高精度化を実現した搬送位置決め
装置を提供することにある。

課題を解決するための手段 本考案は前記問題点に鑑みて提案されたもので、搬送レ
ール上に載置された長尺なシート状のフープ材の送り孔
に挿入される送りピンと、上記フープ材の長手方向に沿
って送りピンと並置されてフープ材をその表裏面両側か
ら挾持するグリッパと、搬送レール上のフープ材をその
表面側から押圧する押え部材とを有し、上記送りピンの
挿入と同時にグリッパの挾持により送りピンとグリッパ
を連動させてフープ材を搬送開始し、その搬送途中でグ
リッパを送りピンから独立させて開放するように上記送
りピン及びグリッパをサイクル作動させると共に、フー
プ材の停止時、フープ材を押え部材で押圧して定ポジシ
ョンにて位置決めするように押え部材を作動させる搬送
位置決め機構と、上記搬送レール上でのフープ材の送り
方向は逆方向にフープ材に張力を作用させるブレーキ機
構とを具備したことによりフープ材の広い適用、送り精
度を改善したフープ材の搬送位置決め装置である。

作用 本考案によれば、フープ材を定ピッチで間欠的に搬送す
るに際しては、まず送りピン及びグリッパを併用して上
記フープ材を搬送開始し、その搬送途中で上記グリッパ
を開放して送りピンのみで搬送する。したがって、搬送
開始時でのフープ材の搬送方向に対する抵抗が大きくて
も、グリッパが送りピンを補助する作用を呈して上記フ
ープ材が抵抗に打ち勝ってスムーズに搬送される。ま
た、フープ材が搬送開始から定ピッチ搬送完了するまで
常に送りピンによって搬送されるのでフープ材の送りの
高精度化並びに高速化が可能であると共に、フープ材の
停止時には押え部材による位置決め精度の向上化も図れ
る。更にブレーキ機構によりフープ材をその搬送方向と
は逆方向に引張っているのでフープ材が弛むこともな
い。

実施例 本考案に係るフープ材の搬送位置決め装置の一実施例を
第１図乃至第４図を参照しながら説明する。

第１図及び第２図に示す搬送位置決め装置（１）におい
て、（２）は基台（３）上にその長手方向に沿って配設
された搬送レールで、二点鎖線で示した複数に分割され
たヒータブロック(2a)(2b)(2c)を兼ねる。この搬送レー
ル（２）上に、長尺なフレキシブルシート状の金属製リ
ードフレーム等のフープ材（４）を図示矢印方向に定ピ
ッチで間欠的に搬送する。

（５）は上記搬送レール（２）の側方に配置された搬送
位置決め機構で、後述するように送りピン（６）、グリ
ッパ（７）及び押え部材（８）を有する。（９）は上記
搬送レール（２）の後方に配設されたブレーキ機構で、
搬送レール（２）上でのフープ材（４）の送り方向とは
逆方向にフープ材（４）に張力を作用させる。

上記搬送位置決め機構（５）において、(10)は搬送レー
ル（２）に沿って並設されたカム軸で、基台（３）上に
支持フレーム(11)(12)(13)を介して橋架され、回転自在
に軸支される。上記カム軸(10)の一方の軸端のプーリ(1
4)と上記カム軸(10)の駆動源であるモータ(15)の出力軸
のプーリ(16)間にタイミングベルト(17)を纏掛け、上記
カム軸(10)とモータ(15)とを連結する。(18)はカム軸(1
9)に平行して基台（３）上に支持フレーム(11)(12)(13)
を介して橋架支持されたガイド軸、(19)は平面略コ字状
の可動フレームで、基台（３）上の受台(20)(20)に上下
動自在に装着され、図示しないが基台（３）との間に張
設されたバネにより常に下方へ付勢されている。この可
動フレーム(19)の両腕部(21)(21)の略中央に回転自在に
カムフォロワ(22)(22)が軸支されて前記カム軸(10)に固
着した板カム(23)(23)の端面に当接される。(24)は上記
可動フレーム(19)の両腕部(21)(21)の先端に搬送レール
（２）に沿う方向にスライド可能に橋架軸支された第１
の可動軸で、この第１の可動軸(24)の略中央に固着され
たブロック(25)のカムフォロワ(26)をカム軸(10)に固着
された円筒カム(27)に当接させて連結する。上記可動フ
レーム(19)の一方の腕部(21)（図示右側）先端にはピン
(28)が突設され、このピン(28)を第１の可動軸(24)に装
着された回転ローラ(29)(29)で挾持することで第１の可
動軸(24)の回り止めを行う。上記第１の可動軸(24)の一
方の軸端(24a)には支持ブロック(30)を介して送りピン
（６）が垂下保持される。(31)は基台（３）上に軸受ブ
ロック(32)(32)を介して搬送レール（２）に沿ってスラ
イド可能に橋架軸支された第２の可動軸で、その略中央
には上下アーム(33)(34)が装着され、この上下アーム(3
3)(34)の先端には上下グリップ爪(7a)(7b)からなるグリ
ッパ（７）が取付けられる。上記上下アーム(33)(34)は
支軸(35)を中心として回動自在に配設され、この上下ア
ーム(33)(34)の基端部のカムフォロワ(36)をカム軸(10)
に固着された板カム(37)に当接させて連結する。前記第
１の可動軸(24)の他方の軸端(24b)に装着された回転ロ
ーラ(38)(38)で、第２の可動軸(31)の一方の軸端(31a)
に立設されたピン(39)を挾持することで、第１、第２の
可動軸(24)(31)を水平方向では連動し、垂直方向では独
立するように連結する。また一方の軸受ブロック(32)
（図示右側）にはピン(40)が突設され、このピン(40)を
第２の可動軸(31)の他方の軸端(31b)に装着された回転
ローラ(41)(41)で挾持することで、第２の可動軸(31)の
回り止めを行う。(42)は前記第１の可動軸(24)と基台
（３）間に張設された引張りバネを、上記第１の可動軸
(24)をフープ材（４）の搬送方向に付勢することにより
ブロック(25)のカムフォロワ(26)を円筒カム(27)に常時
押圧する。(43)は基台（３）上の受台(44)に上下動自在
に装着され、先端部(43a)に押え部材（８）が装着され
たレバーで、図示しないが基台（３）との間に張設され
たバネにより常時下方へ付勢し、その略中央に装着され
たカムフォロワ(45)をカム軸(10)に固着された板カム(4
6)に当接させるように連結する。上記押え部材（８）
は、ペレットマウント作業が可能なように略中央部を切
欠いた形状をなし、搬送レール（２）上の定ポジション
（Ｐ）に配置される。

ブレーキ機構（９）において、(47)(48)は搬送レール
（２）上に送り出されるフープ材（４）をその表裏両面
側から挾持するように上下方に回転自在に配設された上
下ディスクブレーキローラである。下ディスクブレーキ
ローラ(48)の回転軸(49)を、第３図及び第４図に示すよ
うに上下ブレーキ板(50)(51)で挾持し、圧縮コイルバネ
(52)(53)により上下ブレーキ板(50)(51)の挾持力を調整
して制動力を付与する。また、上ディスクブレーキロー
ラ(47)は、バネ力により下ディスクブレーキローラ(48)
上のフープ材（４）を上方から弾性的に押圧する。

次に上記構成からなるフープ材（４）の搬送位置決め装
置（１）の動作を説明する。

まず、搬送レール（２）上に送り出されたフープ材
（４）の送り孔（図示せず）に送りピン（６）を挿入す
ると共に、上記送りピン（６）よりも先頭位置にあるグ
リッパ（７）の上下グリップ爪(7a)(7b)にてフープ材
（４）をその表裏両面側から挾持する。

上記送りピン（６）の挿入動作は、モータ(15)の駆動に
よるカム軸(10)の回転で、板カム(23)(23)に当接して追
従するカムフォロワ(22)(22)を介して可動フレーム(19)
に下降させ、この可動フレーム(19)の下降により第１の
可動軸(24)を介して送りピン（６）がフープ材（４）の
送り孔に挿入される。

また、上記グリッパ（７）の閉動作は、カム軸(10)の回
転により板カム(37)に当接してカムフォロワ(36)を追従
させ、上下アーム(33)(34)を閉方向へ回動させて上下グ
リップ爪(7a)(7b)を閉動作させる。

上記カム軸(10)を回転続行させると、円筒カム(27)に当
接してカムフォロワ(26)を追従させ、これにより可動フ
レーム(19)に対して第１の可動軸(24)を搬送レール
（２）に沿ってフープ材（４）の送り方向へスライドさ
せて送りピン（６）によりフープ材（４）を搬送開始す
る。この送りピン（６）によるフープ材（４）の搬送開
始と同時に、第１の可動軸(24)とピン(39)及び回転ロー
ラ(38)(38)で連結された第２の可動軸(31)を連動させて
軸受ブロック(32)(32)に対してスライドさせてグリッパ
（７）によってもフープ材（４）を搬送開始する。この
ように送りピン（６）とグリッパ（７）の両方でフープ
材（４）を搬送開始することにより、フープ材（４）の
搬送方向に対する抵抗が大きくても、グリッパ（７）が
送りピン（６）を補助して上記送りピン（６）がフープ
材（４）の送り孔を破損することはない。

次にこの搬送開始後、上記フープ材（４）がある程度搬
送されると、グリッパ（７）を開動作させて上下グリッ
プ爪(7a)(7b)をフープ材（４）から開放する。これによ
り上記フープ材（４）を送りピン（６）のみで搬送す
る。この時にはフープ材（４）の搬送方向に対する抵抗
が搬送開始時よりも大幅に小さくなっているので、送り
ピン（６）のみによるフープ材（４）の送りで充分であ
る。

そして上記フープ材（４）が定ピッチ搬送されると、カ
ム軸(10)の板カム(23)(23)に追従してカムフォロワ(22)
(22)を介して可動フレーム(19)が上昇し、第１の可動軸
(24)を介して送りピン（６）が上昇してフープ材（４）
の送り孔から抜脱される。この時、上記第１の可動軸(2
4)は、ピン(39)及び回転ローラ(38)(38)を介して第２の
可動軸(31)に対して独立して上昇動する。その後、カム
軸(10)の円筒カム(27)に追従してカムフォロワ(26)を介
して第１の可動軸(24)及びこれに連動する第２の可動軸
(31)をフープ材（４）を定ピッチ搬送したストローク分
後退させて初期位置に復帰する。以上の動作を繰り返す
ことによりフープ材（４）と搬送レール（２）上で定ピ
ッチ間欠的に搬送する。

このフープ材（４）の定ピッチ搬送毎の一時停止時に
は、カム軸(10)の板カム(46)に当接して追従するカムフ
ォロワ(45)を介してレバー(43)先端の押え部材（８）が
フープ材（４）をその表面側から押え付けてこのポジシ
ョン（Ｐ）にてフープ材（４）へのペレットマウント作
業が行われる。これによりフープ材（４）の位置決めが
確実となると共に、フープ材（４）が搬送レール（２）
上に密着して搬送レール（２）からの熱がフープ材
（４）に効率良く伝導される。

また上記フープ材（４）の搬送時には、ブレーキ機構
（９）によりフープ材（４）をその搬送方向とは逆方向
に引張っているので上記フープ材（４）が弛むこともな
い。

尚、上記実施例では、半導体装置の製造におけるダイボ
ンディング工程に使用した場合について説明したが、本
考案はこれに限定されることなく、他の製造設備に適用
することが可能であるのは勿論である。

考案の効果 本考案によれば、フープ材の搬送開始時には送りピン及
びグリッパを使用するので上記フープ材を破損すること
なく、上記搬送開始後にはグリッパを開放して送りピン
のみで搬送して定ピッチ送りを完了するので、安定した
高精度の送りが実現でき、而も、押え部材により位置決
めも確実で、ブレーキ機構によりフープ材の弛みも皆無
となって実用的価値大なるフープ材の搬送位置決め装置
を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るフープ材の搬送位置決め装置の一
実施例を示す平面図、第２図は第１図の正面図、第３図
はブレーキ機構を示す第２図のＡ−Ａ線断面図、第４図
は第３図のＢ−Ｂ線断面図である。 （１）…搬送位置決め装置、 （２）…搬送レール、（４）…フープ材、 （５）…搬送位置決め機構、 （６）…送りピン、（７）…グリッパ、 （８）…押え部材、（９）ブレーキ機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】搬送レール上に載置された長尺なシート状
   のフープ材の送り孔に挿入される送りピンと、上記フー
   プ材の長手方向に沿って送りピンと並置されてフープ材
   をその表裏面両側から挾持するグリッパと、搬送レール
   上のフープ材をその表面側から押圧する押え部材とを有
   する搬送位置決め機構と、 上記搬送レール上でのフープ材の送り方向とは逆方向に
   フープ材に張力を作用させるブレーキ機構と を具備したことを特徴とするフープ材の搬送位置決め装
   置。