JPH06175266A - ハロゲン化銀写真感光材料及びその処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料及びその処理方法

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JPH06175266A
JPH06175266A JP32959892A JP32959892A JPH06175266A JP H06175266 A JPH06175266 A JP H06175266A JP 32959892 A JP32959892 A JP 32959892A JP 32959892 A JP32959892 A JP 32959892A JP H06175266 A JPH06175266 A JP H06175266A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低補充現像液で連続自動現像処理しても安定
した写真性能が得られ、かつフィルムの擦り傷耐性を改
良したハロゲン化銀写真感光材料の提供。 【構成】 (1)支持体の少なくとも一方の側に、少なく
とも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写
真感光材料に於いて、該ハロゲン化銀乳剤の少なくとも
1種は、化学増感中に該ハロゲン化銀粒子より平均粒子
体積が小さく、かつ沃化銀含有量が多いハロゲン化銀微
粒子が添加された乳剤であり、かつ該ハロゲン化銀乳剤
層及び/又は他の構成層中にメルカプト基を有する特定
のアゾール化合物の少なくとも一つを含有するハロゲン
化銀写真感光材料。 (2)上記の(1)項記載のハロゲン化銀写真感光材料を処
理する際の現像液補充量が、感光材料1m2当たり300ml
以下であるハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低補充現像液で連続自
動現像処理しても安定した写真性能が得られ、かつフィ
ルムの擦り傷耐性を改良したハロゲン化銀写真感光材料
に関するものである。
【0002】
【発明の背景】近年、X-レイ写真感光材料の分野で
は、迅速処理化が急速に進んでいる。迅速処理化のため
の要素技術としては、例えばハロゲン化銀写真感光材料
の現像性、定着性及び乾燥性を向上することが挙げられ
る。写真感光材料においては、一定の光学濃度を得るた
めに必要な銀量を軽減でき、かつ感度、現像性を改良す
る目的から被覆力の向上は不可欠である。
【0003】X-レイ写真感光材料においても高被覆力
を得るために従来より多くの技術が提案されており、例
えば感光材料構成層のゼラチン量を減らした特開昭61-1
16347号、同57-182732号などが開示されている。しかし
ながら銀に対するバイダーであるゼラチン量を減らす
と、当然のことながらフィルムの取り扱いや自動現像機
での迅速処理その他で、擦り傷によるカブリを発生し易
くなることである。
【0004】擦り傷対策としては、例えば水溶性ポリエ
ステルを層中に用いた特開昭64-29834号や、ハイドロキ
ノンあるいは置換されたポリヒドロキシベンゼン類を用
いた同62ー21143号、或はハロゲン化銀への吸着基を有し
た特定の有機化合物を用いた特開平4-177336号など知ら
れている。
【0005】しかしながらこれらの技術も擦り傷耐性が
不十分であるばかりでなく、自動現像機での連続処理が
なされるとランニングの後期で感度の低下が起こり安定
した写真性能を得られない欠点を有していた。
【0006】一方、迅速処理化と並んで近年、環境汚染
に対する関心の深まりから処理廃液を低減するために処
理液の低補充化が進んでいる。
【0007】本発明者の検討によれば、上記した擦り傷
防止技術のいずれもが、現像補充液を低減した低補充化
処理を行うと、ランニングでの感度低下が益々助長され
ることが判り、新たな対応技術が望まれていた。
【0008】
【発明の目的】従って本発明の第1の目的は、自動現像
機により連続処理がなされても、感度低下がなく、安定
した写真性能を得られるハロゲン化銀写真感光材料を提
供することである。本発明の第2の目的は、フィルムの
取り扱いや現像処理時に発生する擦り傷カブリを防止し
たハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。
【0009】本発明の第3の目的は、低公害化のために
現像液補充量を低減した連続処理がなされても、上記の
性能を得られるハロゲン化銀写真感光材料を提供するこ
とである。
【0010】
【発明の構成】本発明の上記の目的は、以下の構成によ
り達成されることを見い出した。
【0011】(1).支持体上の少なくとも一方の側に、
少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン
化銀写真感光材料に於いて、該ハロゲン化銀乳剤の少な
くとも1種は、化学増感中に該ハロゲン化銀粒子より平
均粒子体積が小さく、かつ沃化銀含有量が多いハロゲン
化銀微粒子が添加された乳剤であり、かつ該ハロゲン化
銀乳剤層及び/又は他の構成層中に下記一般式〔I〕で
表される化合物の少なくとも一つを含有することを特徴
とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、Z1はイミダゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環を形成す
るに必要な原子群を表し、Lは2価の基でアルキレン基
又はフェニレン基を表す。Rはアミノ基、アシルアミノ
基、カルバモイル基、ウレイド基を表す。
【0014】Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモ
ニウム基又はプレカーサーを表し、nは1〜3を表
す。) (2).上記(1)項記載のハロゲン化銀写真感光材料を処理
する際の現像液補充量が、感光材料1m2当たり300ml以
下であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の
処理方法。以下、本発明を詳述する。
【0015】本発明に係るハロゲン化銀微粒子のハロゲ
ン化銀組成は、沃化銀、沃臭化銀又は沃塩臭化銀でよ
く、特に沃化銀が好ましい。沃化銀含量が母体粒子より
も多いハロゲン化銀微粒子であることが好ましい。
【0016】ハロゲン化銀微粒子は単分散性であること
が好ましく、該粒子はダブルジェット法により温度、p
H及びpAgを制御しながら調製される。ハロゲン化銀微
粒子の粒径サイズは、球換算の平均粒径が0.2μm以下が
好ましく、より好ましくは0.02μm〜0.1μmであって、
母体となる化学熟成中の乳剤粒子よりも平均粒子体積が
小さいことが好ましい。
【0017】本発明におけるハロゲン化銀微粒子の添加
時期は、母体乳剤の化学増感中に添加される。ここで言
う化学増感中とは、母体乳剤の物理熟成工程と脱塩工程
を終了後、化学増感剤(例えば硫黄増感、金硫黄増感、
還元増感などの熟成剤)による化学熟成が開始された時
点から停止するまでの間を言う。化学熟成の停止は温
度、pH、電位などを下げたり、抑制剤を添加するなど
の常法が用いられてよい。
【0018】本発明のハロゲン化銀微粒子を添加する際
の母体乳剤の温度は、30℃〜80℃の範囲が好ましく、40
℃〜65℃の範囲が特に好ましい。
【0019】本発明のハロゲン化銀微粒子の添加量は、
母体となるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀1モル当た
り1×10-2モル以下が好ましく、さらに好ましくは1×
10-6モル〜2×10-3モルである。ハロゲン化銀微粒子の
添加は、時間間隔をとって数回に分けて行ってもよい。
又、該ハロゲン化銀微粒子を添加後、別の化学熟成済み
の乳剤を加えてもよい。
【0020】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料の
構成層中には含有される一般式〔I〕の化合物は、メル
カプト基を有したイミダゾール環、ベンゾイミダゾール
環、トリアゾール環、テトラゾール環からなる化合物で
ある。式中のLは2価の基でアルキレン基又はフェニレ
ン基を表す。
【0021】式中のRはアミノ基(例えばアミノ、モノ
又はジアルキルアミノ、モノ又はジフェニルアミノ、ヒ
ドロキシ基置換アミノなど)、アシルアミノ基(例えば
アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基など)、カルバモ
イル基(例えばカルバモイル、アルキルカルバモイル、
フェニルカルバモイル基など)、ウレイド基(例えばウレ
イド、モノ又はジアルキルウレイド、モノ又はジフェニ
ルウレイド、ヒドロキシ基置換ウレイド基、複素環基
(例えばピリミジニル、イミダゾリル)置換のウレイド基
など)が挙げられる。Mは水素原子、アルカリ金属原子
(例えばナトリウム、カリウムなど)、アンモニウム基又
はプレカーサーを表し、nは1〜3を表す。)以下、本
発明の一般式〔I〕で表される化合物の具体例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】本発明に係る上記の化合物は、写真用カブ
リ防止剤として公知の化合物の連結基を工夫して結合す
るか、若しくは特開昭61-90153号に記載の方法に準じて
合成することができる。
【0025】一般式〔I〕で表される化合物は、本発明
に係るハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀1モル
当たり1×10-5モル〜1×10-1モル添加するのがよく、
好ましくは1×10-4モル〜1×10-2モル添加するのがよ
い。
【0026】添加に際しては水又は親水性溶媒(例えば
メタノール、アセトン、酢酸エチルなど)に溶解してハ
ロゲン化銀乳剤及び/又は親水性コロイド溶液に添加さ
れる。ハロゲン化銀乳剤に添加する場合は、本発明に係
る化学増感の開始から塗布までの任意の時期でよいが、
より好ましくは、化学増感(化学熟成)の終了時から塗布
までの工程が好ましい。
【0027】本発明において上記一般式〔I〕で表され
る化合物は、2種以上組み合わせて用いてもよく、又、
必要に応じて他の公知のカブリ抑制剤、安定剤と組み合
わせて用いてもよい。
【0028】本発明の現像液の補充量は、本発明のハロ
ゲン化銀写真感光材料1m2当たり300ml以下であり、好
ましくは100ml〜250mlである。補充量は低減するほど本
発明の効果を良好に奏する。
【0029】本発明に係るハロゲン化銀感光材料の現像
処理方法は、現像、定着、水洗(又は安定化)及び乾燥
の工程を含む自動現像機で処理されるとき、現像から乾
燥までの工程を90秒以内で完了させることが好ましい。
【0030】即ち、感光材料の先端が現像液に浸漬され
始める時点から、処理工程を経て、同先端が乾燥ゾーン
を出てくるまでの時間(いわゆる Dry to Dry の時間)
が90秒以内であること、より好ましくは、この Dry to
Dry の時間が60秒以内であることである。
【0031】定着温度及び時間は約20℃〜50℃で6秒〜
20秒が好ましく、30℃〜40℃で6秒〜15秒がより好まし
い。
【0032】本発明の現像液での現像時間は5秒〜45秒
で、好ましくは8秒〜30秒である。現像温度は25〜50℃
が好ましく、30〜40℃がより好ましい。
【0033】乾燥時間は、通常35〜100℃、好ましくは4
0〜80℃の熱風を吹きつけたり、遠赤外線による加熱手
段が設けられた乾燥ゾーンが、自動現像機に設置されて
いてもよい。
【0034】又、自動現像機には前記現像、定着、水洗
の各工程の間に、感光材料に水又は定着能を持たない酸
性溶液のリンス液を付与する機構を備えた自動現像機
(特開平3-264953号)を用いてもよい。さらに自動現像
機には、現像液や定着液を調液できる装置を内蔵してい
てもよい。
【0035】本発明の現像液には、現像剤として1,4-ジ
ヒドロキシベンゼン類或は必要に応じてp-アミノフェノ
ール系化合物及び又はピラゾリドン系化合物を含有する
ことがベースとなる。
【0036】1,4-ジヒドロキシベンゼン類としてはハイ
ドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロムハイドロキ
ノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキ
ノン、2,3-ジクロロハイドロキノン、2,5-ジクロロハイ
ドロキノン、2,3-ジブロムハイドロキノン、2,5-ジメチ
ルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩な
どがあるが特にハイドロキノンが好ましい。p-アミノフ
ェノール系現像主薬としてはN-メチル-p-アミノフェノ
ール、p-アミノフェノール、N-(β-ヒドロキシエチル)
-p-アミノフェノール、N-(4-ヒドロキシフェニル)グリ
シン、2-メチル-p-アミノフェノール、p-ベンジルアミ
ノフェノール等があるが、なかでもN-メチル-p-アミノ
フェノールが好ましい。
【0037】本発明に用いることができるピラゾリドン
系化合物としては、例えば1-フェニル-3-ピラゾリド
ン、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、1-フ
ェニル-4-エチル-3-ピラゾリドン、1-フェニル-5-メチ
ル-3-ピラゾリドン、1-フェニル-4-メチル-3-ピラゾリ
ドン、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピ
ラゾリドン、1-フェニル-4,4-ジヒドロキシメチル-3-ピ
ラゾリドン、1,5-ジフェニル-3-ピラゾリドン、1-p-ト
リル-3-ピラゾリドン、1-フェニル-2-アセチル-4,4-ジ
メチル-3-ピラゾリドン、1-p-ヒドロキシフェニル-4,4-
ジメチル-3-ピラゾリドン、1-(2-ベンゾチアゾリル)-3-
ピラゾリドン、3-アセトキシ-1-フェニル-3-ピラゾリド
ンなどのピラゾリドン系化合物を挙げることができる。
【0038】1,4-ジヒドロキシベンゼンの添加量は、現
像液1l当たり0.01モル〜0.7モルでよく、0.1〜0.5モ
ルが好ましい。
【0039】又、p-アミノフェノール系化合物及びピラ
ゾリドン系化合物の添加量は、現像液1l当たり0.0005
モル〜0.2モルで、0.001モル〜0.1モルが好ましい。
【0040】本発明の現像液に用いられる亜硫酸塩とし
ては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫
酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウ
ム、メタ亜硫酸カリウムなどが挙げられる。これら亜硫
酸塩の使用量は現像液1l当たり0.1モル〜2.0モルでよ
く、0.1モル〜1.0モルが好ましい。また現像液濃縮液の
場合の上限量は現像液1l当たり3.0モルまでとするの
が好ましい。
【0041】現像液には、鉄イオンに対するキレート安
定度定数が8以上であるキレート剤を含有していてもよ
い。ここで言う鉄イオンとは第2鉄(Fe3+)を意味す
る。
【0042】鉄に対するキレート安定度定数が8以上の
キレート剤としては、有機カルボン酸キレート剤、有機
リン酸キレート剤、無機リン酸キレート剤或いはポリヒ
ドロキシ化合物などが挙げられる。
【0043】本発明の現像液には、現像処理中に感光材
料中のゼラチンと硬化反応して膜物性を強化する硬膜剤
を含有させてもよい。
【0044】又、上記成分以外に用いられる添加剤とし
ては、臭化ナトリウム、沃化カリウムのごとき現像抑制
剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、メチルセ
ロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノール、メタノ
ールのごとき有機溶剤或は1-フェニル-5-メルカプトテ
トラゾール、2-メルカプトベンツイミダゾール-5-スル
ホン酸ナトリウム塩等のメルカプト系化合物、5-メチル
ベンツトリアゾール等のベンツトリアゾール系化合物等
のカブリ防止剤を含んでもよく、更に必要に応じて色調
剤、界面活性剤、消泡剤などを含んでもよい。
【0045】現像液のpHは、9.0〜12でよく、好ましく
は9.0〜11.5の範囲である。pHの設定のために用いるア
ルカリ剤又は緩衝剤としては水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸、第
三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウムのごときpH調
節剤を含む。
【0046】本発明のハロゲン化銀写真感光材料の母体
となるハロゲン化銀乳剤としては、臭化銀、沃臭化銀、
或は少量の塩化銀を含む沃塩臭化銀乳剤乳であってよい
が高感度を得られるという点では沃臭化銀が好ましい。
【0047】ハロゲン化粒子は本発明の構成であれば、
どのような結晶型のものであってもよく、例えば立方
体、8面体、14面体などの単結晶であってもよく、種々
の形状を有した多双晶粒子であってもよい。
【0048】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、公知の方法で製造できる。例えばリサー
チ・ディスクロージャー(RD)No.17643(1978年12月),22
〜23頁の“Emulsion Preparation and Types”に記載の
方法、或は同(RD)No.18716(1979年11月),648頁に記載
の方法で調製することができる。
【0049】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、例えばT.H.James著“The Theory of the
Photographic process”第4版、Macmillan社刊(1977
年)38〜104頁に記載の方法、G.F.Duffin著“Photograph
ic Emulsion Chemistry”、Focal Press社刊(1966年)、
P.Glafkides著“Chimie et Physique Photographique”
Paul Montel社刊(1967年)或はV.L.Zelikman他著“Makin
g And Coting Photographic Emulsion" Focal Press社
刊(1964)などに記載の方法により調製することができ
る。
【0050】即ち、酸性法、アンモニア法、中性法など
の溶液条件にて順混合法、逆混合法、ダブルジェット
法、コントロール・ダブルジェット法などの混合条件、
コンバージョン法、コア/シェル法などの粒子調製条件
およびこれらの組合わせ法を用いて製造することができ
る。
【0051】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤の好ましい実施態様としては、沃化銀を粒子
内部に局在させた単分散乳剤が挙げられる。ここで言う
単分散とは、常法により平均粒子直径を測定したとき、
粒子数又は重量で少なくとも95%の粒子が平均粒子径の
±40%以内、好ましくは±30%以内にあるハロゲン化銀
粒子である。
【0052】ハロゲン化銀の粒径分布は、狭い分布を有
した単分散乳剤或は広い分布を有した多分散乳剤のいず
れであってもよい。ハロゲン化銀の結晶構造は内部と外
部が異なったハロゲン化銀組成からなっていてもよく、
例えば高沃化銀のコア部分に低沃化銀のシェル層を被覆
して明確な2層構造を有したコア/シェル型単分散乳剤
であってもよい。
【0053】上記の単分散乳剤の製法は公知で、例えば
J.Phot.Sci,12.242〜251,(1963)、特開昭48-36890号、
同52-16364号、同55-142329号、同58-49938号、英国特
許1,413,748号、米国特許3,574,628号、同3,655,394号
などに詳しく記載されている。本発明のハロゲン化銀写
真感光材料に用いられる乳剤は、上記の単分散乳剤を得
るための方法として、例えば種晶を用い、この種晶を成
長核として銀イオン及びハライドイオンを供給し成長さ
せた乳剤を用いてもよい。上記のコア/シェル型乳剤の
製法は公知で、例えばJ.Phot.Sci,24.198.(1976)、米国
特許2、592、250号、同3,505,068号、同4,210,450号、同
4,444,877号或は特開昭60-143331号などに記載の方法を
参考にすることができる。
【0054】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、アスペクト比(粒子径/粒子厚みの比)が
3以上の平板状粒子であってもよい。このような平板状
粒子の利点としては、分光増感効率の向上や画像の粒状
性及び鮮鋭性の改良などが得られるとして例えば英国特
許2,112,157号、米国特許4,414,310号、同4,434,226号
などで開示されており、乳剤はこれら公報に記載の方法
により調製することができる。
【0055】上述した乳剤は、粒子表面に潜像を形成す
る表面潜像型或は粒子内部に潜像を形成する内部潜像
型、表面と内部の両方に潜像を形成する型のいずれの乳
剤であってもよい。
【0056】これらの乳剤は物理熟成或は粒子調製の段
階で、例えばカドミウム塩、鉛塩、亜鉛塩、タリウム
塩、イリジウム塩又はその錯塩、ロジウム塩又はその錯
塩、鉄塩又はその錯塩などを用いてもよい。
【0057】乳剤は可溶性塩類を除去するためにヌーデ
ル水洗法、フロキュレーション沈降法などを用いてよ
く、好ましい水洗法としては例えば、特公昭35-16086号
記載のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アルデヒド樹脂
を用いる方法、又は特開昭63-158644号記載の高分子凝
集剤である例示G-3、G-8などを用いる脱塩法を挙げる
ことができる。
【0058】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、物理熟成又は化学熟成前後の工程で、各
種の写真用添加剤を用いることができる。このような工
程で使用される化合物としては例えば、前述の(RD)No.1
7643、(RD)No.18716及び(RD)No.308119(1989年12月)に記
載されている各種の化合物を用いることができる。これ
ら3つの(RD)リサーチ・ディスクロージャーに記載され
ている化合物種類と記載箇所を下記に掲載した。
【0059】 添加剤 RD-17643 RD-18716 RD-308119 頁 分類 頁 頁 分類 化学増感剤 23 III 648 右上 996 III 増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV 減感色素 23 IV 998 B 染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII 現像促進剤 29 XXI 648右上 カブリ抑制剤・安定剤 24 IV 649右上 1006〜7 VI 増白剤 24 V 998 V 硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X 界面活性剤 26〜27 XI 650右 1005〜6 XI 可塑剤 27 XII 650右 1006 XII スベリ剤 27 XII マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI バインダー 26 XXII 1003〜4 IX 支持体 28 XVII 1009 XVII 本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体
としては、上記のRDに記載されているものが挙げられ、
適当な支持体としてはプラスチックフィルムなどで、支
持体表面は塗布層の接着性をよくするために下引き層を
設けたりコロナ放電や紫外線照射などが施されてもよ
い。
【0060】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】実施例1 (乳剤の調製1) 1)種乳剤の調製1 60℃、pAg=8、pH=2.0にコントロールしつつ、ダブル
ジェツト法で平均粒径0.3μmの沃化銀2モル%を含む沃
臭化銀の単分散立方晶粒子を調製した。
【0062】得られた乳剤を40℃にて花王アトラス
〔社〕製のデモールN(ナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム塩のホルムアルデヒド縮合物)と硫酸マグネシウムの
水溶液を用いて脱塩してから、ゼラチン水溶液中に再分
散し種乳剤を得た。
【0063】2)種乳剤からの粒子成長1 40℃に保たれたゼラチン水溶液中に上記の種乳剤を分散
し、アンモニア水と酢酸でpHを9.7に調整した。この液
にアンモニア性硝酸銀水溶液及び臭化カリウムと沃化カ
リウムの水溶液をダブルジェット法で添加した。
【0064】添加中のpAgを7.3、pHを9.7に制御し沃
化銀含有率が35モル%の層を形成させた。次いでアンモ
ニア性硝酸銀水溶液と臭化カリウム水溶液をダブルヂェ
ット法で添加し、目標粒径の95%まではpAgを9.0に保
ち、pHは8.0から9.0まで連続的に変化させた。その後p
Ag=11.0に調整し、pH=8.0に保ちながら目標粒径まで
成長させた。続いて酢酸でpHを6.0まで下げてから、分
光増感色素として5,5′-ジクロロ-9-エチル-3,3′-ジ-
(3-スルホプロピル)オキサカルボシアニンナトリウム塩
の無水物を400mg/モルAgX添加してから上記と同様の
方法で脱塩した後ゼラチン水溶液中に分散した。
【0065】この方法により、平均沃化銀含有率が2.0
モル%で、頂点が丸みを帯びた14面体である平均粒径が
それぞれ0.40μm、0.65μm、1.00μm、変動係数がそれ
ぞれ0.17、0.16、0.16の単分散沃臭化銀乳剤(A)、(B)
及び(C)を調製した。
【0066】(乳剤の調製2) 1)種乳剤の調製2 40℃で激しく撹拌した過酸化水素処理ゼラチンを含む0.
05Nの臭化カリウム水溶液中に、硝酸銀水溶液と過酸化
水素処理ゼラチンを含む等モルの臭化カリウム水溶液を
ダブルジェット法で添加し、1.5分後から30分間かけて2
5℃まで液温を下げてから硝酸銀1モル当たり80mlのア
ンモニア水(28%)を加え5分間撹拌を続けた。その後酢
酸でpHを6.0に合わせてから上記と同様の方法で脱塩し
たのちゼラチン水溶液を加えて再分散した。
【0067】得られた種乳剤は平均粒径0.23μm、変動
係数0.28の球形粒子であった。
【0068】2)種乳剤からの粒子成長2 75℃で激しく撹拌したオセインゼラチンとポリエチレン
オキシ・ポリプロピレンオキシ-ジ-サクシネート-ジ-ナ
トリウム塩を含む水溶液に、臭化カリウムと沃化カリウ
ムの水溶液及び硝酸銀水溶液をダブルジェット法で添加
した。
【0069】この間pH=5.8、pAg=は9.0に保った。添
加終了後、pHを6.0に合わせてから分光増感色素として
5,5′-ジクロロ-9-エチル-3,3′-ジ-(3-スルホプロピ
ル)オキサカルボシアニンナトリウム塩の無水物を400mg
/モルAgX添加してから上記と同様の方法で脱塩した
後ゼラチン水溶液中に分散した。
【0070】この方法により平均沃化銀含有率が1.5モ
ル%で、投影面積直径0.96μm、変動係数0.25、アスペ
クト比(投影面積直径/粒子の厚さの比)が4.0の平板状
沃臭化銀乳剤(D)を調製した。
【0071】(ハロゲン化銀微粒子の調製)40℃、pAg
=9.7にコントロールしつつ、ダブルジェット法で平均粒
径0.05μmでβ型及びγ型の混在した沃化銀微粒子を調
製した。
【0072】(試料の調製)得られた乳剤(A)、(B)、
(C)及び(D)のそれぞれに55℃にて5,5′-ジクロロ-9-
エチル-3,3′-ジ-(3-スルホプロピル)オキサカルボシア
ニンナトリウム塩の無水物と5,5′-ジ-(ブトキシカルボ
ニル)-1,1′-ジ-エチル-3,3′-ジ-(4-スルホブチル)ベ
ンゾイミダゾロカルボシアニンナトリウム塩の無水物を
200:1の重量比でハロゲン化銀1モル当たり(A)が975m
g、(B)が600mg、(C)が390mg、(D)が500mg添加した。
【0073】10分後、適当量の塩化金酸、チオ硫酸ナト
リウム、チオシアン酸アンモニウムを加えて化学熟成を
行った。熟成終了15分前に沃化カリウムを200mg、又は
前記のハロゲン化銀微粒子を5.0×10-2モル/ハロゲン
化銀1モル添加した。
【0074】次いで4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-
テトラザインデンをハロゲン化銀1モル当たり3×10-2
モル添加してからゼラチンを70g含む水溶液に分散し
た。
【0075】このような熟成済みの4種類の乳剤のう
ち、(A)、(B)、(C)は重量比で15:65:20の割合で混合
し乳剤-1とした。乳剤(D)は単独のままで乳剤-2とし
た。
【0076】得られた乳剤-1及び乳剤-2のそれぞれに
は下記の添加剤を加えた。添加量はハロゲン化銀1モル
当たりの量で示した。
【0077】乳剤-1、乳剤-2のそれぞれに対し次の添
加剤を加えた。添加量はハロゲン化銀1モル当たりの量
で示す。
【0078】 1,1-ジメチロール-1-ブロム-1-ニトロメタン 70mg t-ブチル-カテコール 400mg ポリビニルピロリドン(分子量 10,000) 1.0g スチレン-無水マレイン酸共重合体 2.5g トリメチロールプロパン 10g ニトロフェニル-トリフェニルホスホニウムクロリド 50mg 1,3-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸アンモニウム 4g 2-メルカプトベンツイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム 15mg 表1に記載した本発明の例示化合物 C4H9OCH2CH(OH)CH2N(CH2COOH)2 1g 染料乳化分散液(下記) 1.2g 染料乳化分散液の調製方法 下記の染料10Kgをトリクレジルホスヘート28lと酢酸エ
チル85lからなる溶媒に55℃で溶解した。これをオイル
系溶液と言う。
【0079】一方、アニオン界面活性剤(AS)を1.35
kg含む9.3%ゼラチン水溶液270lを調製した。これを水
系溶液と言う。次にこのオイル系溶液と水系溶液と分散
釜を入れ、液温を40℃に保ちながら分散した。得られた
分散液にフェノールと1,1-ジメチロール-ブロム-1-ニト
ロメタンの適量を加え、水で240kgに仕上げた。
【0080】
【化5】
【0081】
【化6】
【0082】また保護層に用いた添加剤は次の通りであ
る。添加量は塗布液1l当たりの量で示す。
【0083】 石灰処理イナートゼラチン 68g 酸処理ゼラチン 2g ナトリウム-i-アミル-n-デシルスルホサクシネート 0.3g ポリメチルメタクリレート 面積平均粒径3.5μmのマット剤 1.1g 二酸化ケイ素粒子 面積平均粒径1.2μmのマット剤 0.5g ルドックスAM(デュポン社製) コロイドシリカ 30g グリオキザール40%水溶液(硬膜剤) 1.5ml ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル(硬膜剤) 500mg
【0084】
【化7】
【0085】得られた塗布液を厚さ180μmの下引き済み
のブルーに着色したポリエチレンテレフタレートフィル
ムベース上に均一に塗布、乾燥した。
【0086】なお、塗布量は片面当たり乳剤層が銀換算
値で1.7g/m2で、保護層がゼラチン付量として0.99g/m2
になるように2台のスライドホッパー型コーターで毎分
90mのスピードで乳剤層、保護層を両面同時塗布して試
料を得た。
【0087】使用した処理液の組成 (現像液) 亜硫酸カリウム 70g ヒドロキシエチルエチレンジアミン 三酢酸三ナトリウム 8g 1,4-ジヒドロキシベンゼン 28g 硼酸 10g 5-メチルベンゾトリアゾール 0.04g 1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール 0.01g メタ重亜硫酸ナトリウム 5g 酢酸(90%) 13g トリエチレングリコール 15g 1-フェニル-3-ピラゾリドン 1.6g 5-ニトロインダゾール 0.2g グルタルアルデヒド 4g 臭化カリウム 4g 5-ニトロベンゾイミダゾール 1g 1lの水溶液にし、水酸化ナトリウムでpH10.5の液とし
た。
【0088】この現像液1.0l当たり、スターターとし
て臭化カリウム3g、氷酢酸4ml添加してランニング
スタート時に現像槽に満たして使用液とする。
【0089】(定着液) チオ硫酸ナトリウム-5水塩 45g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 0.5g チオ硫酸アンモニウム 130g 無水亜硫酸ナトリウム 7.3g 酢酸カリウム 16g 硫酸アルミニウム10〜18水塩 14.6g 硫酸(50wt%) 6.77g クエン酸 1g 硼酸 7g 次にこれらの現像液、定着液を使用して自動現像機SRX-
502(コニカ[株]製)で、現像温度35℃、定着温度33
℃、水洗水温度18℃で毎分3.5lを供給し、乾燥量変化
を行い、下記項目の評価を行った。
【0090】 処理温度(℃) 処理時間(秒) 補充量 挿 入 − 1.2 現像+渡り 35 14.6 定着+渡り 33 8.2 600ml/m2 水洗+渡り 25 7.2 3.5l/分 スクイズ 40 5.7 乾燥 45 8.1 合計 − 45.0 試料の評価 (ランニング処理の評価)得られた各試料の約150m2を黒
化濃度が1.0になるよう露光してから、前記の現像処理
液で連続処理した。このランニング現像初期と後期につ
いて下記の方法によりセンシトメトリーを行った。
【0091】フィルム試料を蛍光増感紙KO-250(コニカ
〔株〕製)で挟み、管電圧90kvp20mAで0.05秒のX線を照
射し、距離法によりセンシトメトリーカーブを作成し感
度を求めた。感度はカブリ+1.0の濃度を得るに必要な
X線量の逆数として求め、試料No.1のランニング初期
感度を100とした場合の相対感度で表した。
【0092】得られた結果を表1に示した。
【0093】
【表1】
【0094】表から明らかなように、本発明によればラ
ンニングの初期と後期で感度の劣化が少なく、安定した
写真性能を維持することが出来た。さらに現像液補充量
を感光材料1m2当たり300ml以下にしても感度的に惡化
することがなかった。
【0095】(擦り傷耐性の評価)表2に示した試料を温
度25℃、RH30%の条件下で1時間調湿した後、同様の
条件下で市販のナイロンタワシを用いて、フィルム2cm
2当たり100gの荷重をかけ毎秒2cmの速さで乳剤面をこ
すった。そのまま未露光状態で上記の自動現像処理を行
い、黒化したスリキズの本数を数えた。得られた結果を
下記の表2に示す。
【0096】価が少ないほうが耐擦り傷性が優れること
を表す。
【0097】
【表2】
【0098】表から明らかなように、本発明によれば擦
り傷を著しく減少できる。従来技術であるポリヒドロキ
シベンゼンの比較化合物a或は比較化合物bでは、擦り
傷耐性を改良することは出来ないことが分かる。
【0099】
【発明の効果】本発明により、低補充現像液で連続自動
現像処理してもランニングの初期と後期で安定した写真
性能が得られ、かつフィルムの擦り傷耐性を改良したハ
ロゲン化銀写真感光材料を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 5/31

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上の少なくとも一方の側に、少な
    くとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀
    写真感光材料に於いて、該ハロゲン化銀乳剤の少なくと
    も1種は、化学増感中に該ハロゲン化銀粒子より平均粒
    子体積が小さく、かつ沃化銀含有量が多いハロゲン化銀
    微粒子が添加された乳剤であり、かつ該ハロゲン化銀乳
    剤層及び/又は他の構成層中に下記一般式〔I〕で表さ
    れる化合物の少なくとも一つを含有することを特徴とす
    るハロゲン化銀写真感光材料。 【化1】 (式中、Z1はイミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、
    トリアゾール環、テトラゾール環を形成するに必要な原
    子群を表し、Lは2価の基でアルキレン基又はフェニレ
    ン基を表す。Rはアミノ基、アシルアミノ基、カルバモ
    イル基、ウレイド基を表す。Mは水素原子、アルカリ金
    属原子、アンモニウム基又はプレカーサーを表し、nは
    1〜3を表す。)
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載のハロゲン化銀写真感
    光材料を処理する際の現像液補充量が、感光材料1m2
    たり300ml以下であることを特徴とするハロゲン化銀写
    真感光材料の処理方法。
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US7741017B2 (en) 2001-02-26 2010-06-22 Fujifilm Corporation Silver halide color photographic light-sensitive material and image formation method using the same, silver halide emulsion, reducing compound having group adsorptive to silver halide and method for producing the same

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