JPH06154665A - 塗装装置及び塗料の供給方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗料切替バルブ１から供給経路４を介して中
間貯溜槽３に供給される塗料を該貯溜槽から送出経路５
を介して塗装ガン２に送出する。該貯溜槽を駆動源８に
より進退されるピストン３１を内蔵するシリンダ３２で
構成し、塗料を供給するシリンダ内の塗料室３３とは反
対側の室を洗浄液の供給経路９に接続される洗浄液室３
４に構成する。経路９にリザーブタンク９１を介設し、
塗料室３３に対する塗料の供給と送出とを同一の塗料で
繰返す場合にはリザーブタンク９１と洗浄液室３４との
間に洗浄液を往復流動させる。 【構成】 洗浄液室に注入する洗浄液によりシリンダ内
壁面への塗料の固着が防止され、塗料切替時の洗浄が容
易になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として導電性塗料の
静電塗装に適用される塗装装置及びこの塗装装置を用い
た塗料の供給方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】導電性塗料を静電塗装する場合には、塗
料供給系の絶縁抵抗が低下して塗装ガンを高電圧に印加
しにくくなる。かかる問題点を解決するための装置とし
て、特開昭６３−３１０６７１号公報により、塗料供給
源と塗装ガンとの間に中間貯溜槽を設け、接地された塗
料供給源から供給経路を介して中間貯溜槽に塗料を供給
した後に供給経路の少なくとも一部を空にして中間貯溜
槽を接地電位から絶縁し、この状態で中間貯溜槽から送
出経路を介して塗装ガンに塗料を供給するようにしたも
のが知られている。そして、このものでは中間貯溜槽を
駆動源により進退されるピストンを内蔵するシリンダで
構成し、ピストンで仕切られたシリンダ内の２室のうち
の一方を供給経路と送出経路とに接続される塗料室、他
方をエア室として、塗料室に供給された塗料をピストン
の塗料室側への往動で塗装ガンに供給し、また塗料の切
替時には供給経路から洗浄液を塗料室に注入して塗料室
の洗浄を行うようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のものでは、シリ
ンダ内の塗料室とは反対側の室がエア室になっているた
め、シリンダ内壁面に付着残留した塗料がエアに晒され
て固化し、洗浄に際しピストンを繰返し往復動させざる
を得なくなって、洗浄時間や洗浄液の使用量が増大し、
また、洗浄時間を短くすると、色替え時の混色や、塗料
カスによるブツ発生等の塗装不良を生じ易くなる。本発
明は、以上の点に鑑み、シリンダ内壁面への塗料の固着
を防止し、洗浄を容易にして生産性を向上させることを
その目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、塗料供給源と塗装ガンとの間に中間貯溜槽を
備え、塗料供給源から供給経路を介して中間貯溜槽に供
給された塗料を中間貯溜槽から送出経路を介して塗装ガ
ンに供給するようにした塗装装置において、中間貯溜槽
を駆動源により進退されるピストンを内蔵するシリンダ
で構成し、ピストンで仕切られたシリンダ内の２室のう
ち一方を前記供給経路と前記送出経路とに接続される塗
料室に構成すると共に、他方を洗浄液の供給経路に接続
される洗浄液室に構成したことを特徴とする。

【０００５】

【作用】シリンダ内の塗料室とは反対側の室を洗浄液室
とするため、塗料室からの塗料送出時に洗浄液室に洗浄
液を注入して、シリンダ内壁面に付着残留した塗料を直
ちに洗浄液で洗い落すことができるようになり、シリン
ダ内壁面に塗料が固着せず、塗料切替時の洗浄が容易に
なる。ところで、洗浄液の供給経路にリザーブタンクを
介設しておけば、塗料室への供給と送出とを同一の塗料
で繰返す場合、塗料室への塗料の供給によって洗浄液室
から押出される洗浄液を廃棄せずにリザーブタンクに一
旦戻し、塗料室からの再度の塗料送出時にリザーブタン
クから洗浄液室に洗浄液を再注入できるようになり、洗
浄液の使用量を低減できる。また、ピストンに塗料室と
洗浄液室とを連通する連通路を形成して、該連通路に塗
料室と洗浄液室とを連通遮断するバルブを介設しておけ
ば、塗料を異種のものに切替える場合、異種塗料の塗料
室への供給に先立って洗浄液室内の洗浄液をバルブを介
して塗料室に注入して塗料室を洗浄できるようになり、
洗浄液の使用量の一層の削減を図れる。この場合、バル
ブを塗料室から洗浄液室への流れを阻止するチェック弁
で構成しておけば、塗料室に塗料を供給せずにピストン
を洗浄液室側に復動させる際、洗浄液室の内圧上昇によ
ってチェック弁が自動的に開かれて塗料室に洗浄液が注
入されるようになり、バルブを電磁弁等の外部から開閉
制御される弁で構成する場合に比し構造を簡素化してコ
ストダウンを図れる。

【０００６】

【実施例】図１を参照して、１は塗料切替バルブ、２は
塗装ガンを示し、塗料切替バルブ１と塗装ガン２との間
に中間貯溜槽３を設け、塗料切替バルブ１に連なる供給
経路４を介して中間貯溜槽３に塗料を供給し、該貯溜槽
３から送出経路５を介して塗装ガン２に塗料を供給する
ようにした。

【０００７】塗料切替バルブ１は、図示しない各種塗料
タンクからの塗料を供給する複数の塗料弁１ａと、洗浄
弁１ｂと、エア弁１ｃとを備えており、供給経路４に各
塗料弁１ａを介して各種塗料を供給し、更に、塗料切替
時には洗浄弁１ｂを介して洗浄液とエア弁１ｃを介して
エアとを供給して供給経路４の洗浄を行うように構成さ
れている。

【０００８】供給経路４はこれに介設した第１乃至第３
の３つの切替バルブ４１、４２、４３により４つの通路
部４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄに区分されており、これら通
路部を全て連通させて中間貯溜槽３に塗料を供給し、供
給後に下流端の通路部４ｄを第３切替バルブ４３により
送出経路５に切替接続して、塗装ガン２への塗料の送出
に備えるようにし、また、塗料が導電性のものである場
合には、中間貯溜槽３への塗料供給後に通路部４ｂの上
流端を第１切替バルブ４１により洗浄用ユニットバルブ
６に接続すると共にその下流端を第２切替バルブ４２に
より第１の排液経路７₁に切替接続し、該通路部４ｂに
ユニットバルブ６の洗浄弁６ａから洗浄液を流した後該
ユニットバルブ６のエア弁６ｂからエアを流し、接地電
位となる塗料タンクと高電圧に印加される塗装ガン２と
の間の電気的な絶縁を該通路部４ｂで確保する。

【０００９】中間貯溜槽３は、エアシリンダから成る駆
動源８によりロッド３１ａを介して上下動されるピスト
ン３１を内蔵する上下方向に長手のシリンダ３２で構成
されており、シリンダ３２の下端に供給経路４と送出経
路５との共用通路となる通路部４ｄを接続して、シリン
ダ３２内のピストン３１の下側の室を塗料室３３に構成
し、塗料供給時は駆動源８をフリー状態とし、ピストン
３１が塗料室３３への塗料の流入に伴って押上げられる
ようにし、塗料送出時に駆動源８によりピストン３１を
押下げるようにした。

【００１０】また、シリンダ３２の上端に洗浄液の供給
経路９を接続して、シリンダ３２内のピストン３１の上
側の室を洗浄液室３４に構成し、シリンダ３２の内壁面
に付着残留する塗料がエアに晒されて固化することを防
止し得るようにした。洗浄液の供給経路９にはリザーブ
タンク９１が介設されており、該タンク９１と洗浄液室
３４との間に切替バルブ９２を介設して、該切替バルブ
９２によりリザーブタンク９１と洗浄液室３４とを連通
させる状態と、両者の連通を断って洗浄液室３４を第２
の排液経路７₂に接続する状態とに切替自在とした。リ
ザーブタンク９１の上流側には洗浄液を供給停止する給
液バルブ９３が設けられている。

【００１１】前記ピストン３１には、図２に示す如く、
複数のＶパッキンを積層して成るシール部材３１ｂが装
着されており、更に、ピストン３１に下側の塗料室３３
と上側の洗浄液室３４とを連通する連通路３１ｃを形成
して、該連通路３１ｃに塗料室３３から洗浄液室３４へ
の流れを阻止するチェック弁３５を介設した。連通路３
１ｃは、シール部材３１ｂを装着するシール溝の下端の
ランド部３１ｄの外周面に形成した環状溝３１ｅにおい
て塗料室３３に連通しており、チェック弁３５が開いた
とき洗浄液室３４からの洗浄液が環状溝３１ｅからシリ
ンダ内壁面に向けて吐出され、シリンダ内壁面を洗浄し
つつ塗料室３３に洗浄液が注入されるようにした。尚、
ピストン３１には、環状溝３１ｅに周方向に間隔を存し
て連通する複数の連通路３１ｃを形成し、全周に亘って
均等に洗浄液が吐出されるようにする。

【００１２】また、シリンダ３２の下端には、洗浄液の
第２の供給経路１０から給液バルブ１１を介して洗浄液
を供給する洗浄用吐出口１２が設けられており、該吐出
口１２からピストン３１の下端面に向けて洗浄液を吐出
させることによりピストン３１の下端面を効率良く洗浄
し得るようにした。

【００１３】次に上記実施例の作用について説明する。
駆動源８によりピストン３１を押下げて塗料室３３から
塗装ガン２に塗料を送出する際には、リザーブタンク９
１から洗浄液室３４に洗浄液が注入され、シリンダ３２
の内壁面に付着残留した塗料がエアに晒されることなく
洗浄液によって直ちに洗い落される。

【００１４】塗料送出後同一の塗料を塗料室３３に供給
する場合には、切替バルブ９２をリザーブタンク９１と
洗浄液室３４とを連通する状態に保ち、塗料室３３への
塗料の注入に伴うピストン３１の上動で洗浄液室３４内
の洗浄液がリザーブタンク９１に戻され、塗料送出時に
リザーブタンク９１から洗浄液室３４に洗浄液が注入さ
れるようにする。このようにして、塗料室３３への供給
と送出とを同一の塗料で繰返す場合には、洗浄液がリザ
ーブタンク９１と洗浄液室３４との間に往復流動され
る。

【００１５】塗料切替時には、前の塗料の送出後に切替
バルブ９２により洗浄液室３４を排液経路７₂に接続し
た状態で駆動源８によりピストン３１を引上げる。これ
によれば、洗浄液室３４内の洗浄液の一部が排液経路７
₂に排出されると共に、ピストン３１に組込んだチェッ
ク弁３５が開かれて洗浄液室３４内の残りの洗浄液が塗
料室３３に注入される。この際洗浄用吐出口１２からも
洗浄液を吐出させピストン３１の下端面を洗浄する。次
に、駆動源８によりピストン３１を押下げ、塗料室３３
を洗浄しつつ洗浄液を通路部４ｄを介して排出する。こ
の場合、上記した洗浄液室３４への洗浄液への注入によ
りシリンダ３２の内壁面への塗料の固着が防止されるた
め、ピストン３１を１回上下動すればシリンダ内壁面は
きれいに洗浄される。

【００１６】洗浄後、塗料室３３に次の塗料を供給する
と共にリザーブタンク９１に給液バルブ９３を介して洗
浄液を供給し、次いで切替バルブ９２によりリザーブタ
ンク９１と洗浄液室３４とを連通させ、この状態で駆動
源８によりピストン３１を押下げて塗料の送出を開始す
る。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、中間貯溜槽たるシリンダの内壁面への塗料の
残留固着を防止でき、塗料切替時の洗浄が容易になり、
洗浄時間を短縮できると共に洗浄液の使用量を削減で
き、生産性の向上を図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明装置の一例の截断側面図

【図２】 シリンダに内蔵するピストンの半部截断側面
図

【符号の説明】

２ 塗装ガン ３ 中間貯溜槽 ３１ ピストン
３１ｃ 連通路 ３２ シリンダ ３３ 塗料室 ３４ 洗浄液室
３５ チェック弁 ４ 塗料供給経路 ５ 塗料吐出経路 ８ 駆動源
９ 洗浄液供給経路 ９１ リザーブタンク

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗料供給源と塗装ガンとの間に中間貯溜
   槽を備え、塗料供給源から供給経路を介して中間貯溜槽
   に供給された塗料を中間貯溜槽から送出経路を介して塗
   装ガンに供給するようにした塗装装置において、中間貯
   溜槽を駆動源により進退されるピストンを内蔵するシリ
   ンダで構成し、ピストンで仕切られたシリンダ内の２室
   のうち一方を前記供給経路と前記送出経路とに接続され
   る塗料室に構成すると共に、他方を洗浄液の供給経路に
   接続される洗浄液室に構成したことを特徴とする塗装装
   置。
2. 【請求項２】 前記洗浄液の供給経路にリザーブタンク
   を介設したことを特徴とする請求項１に記載の塗装装
   置。
3. 【請求項３】 前記ピストンに前記塗料室と前記洗浄液
   室とを連通する連通路を形成し、該連通路に塗料室と洗
   浄液室とを連通遮断するバルブを介設したことを特徴と
   する請求項１又は２に記載の塗装装置。
4. 【請求項４】 前記バルブは、前記塗料室から前記洗浄
   液室への流れを阻止するチェック弁で構成されることを
   特徴とする請求項３に記載の塗装装置。
5. 【請求項５】 請求項１に記載の塗装装置を用いて塗料
   を供給する方法であって、前記塗料室からの塗料の送出
   時に前記洗浄液室に洗浄液を注入することを特徴とする
   塗料の供給方法。
6. 【請求項６】 請求項２に記載の塗装装置を用いて塗料
   を供給する方法であって、前記塗料室からの塗料の送出
   時に前記洗浄液室に洗浄液を注入し、塗料送出後に同一
   の塗料を塗料室に供給する際には、洗浄液室内の洗浄液
   を前記リザーブタンクに一旦戻し、塗料室からの再度の
   塗料送出時にリザーブタンクから洗浄液室に再度洗浄液
   を注入することを特徴とする塗料の供給方法。
7. 【請求項７】 請求項３又は４に記載の塗装装置を用い
   て塗料を供給する方法であって、前記塗料室からの塗料
   の送出時に前記洗浄液室に洗浄液を注入し、塗料送出後
   に異種の塗料を塗料室に供給する際には、塗料室への異
   種塗料の供給に先立って洗浄液室内の洗浄液を前記バル
   ブを介して塗料室に注入し、塗料室の洗浄を行うことを
   特徴とする塗料の供給方法。