JPH0615347A - 半中空材押出用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 成形用金型３の後部に補強用金型４が組み合
わされた状態で、両者間に隙間２２、２２ａが形成され
るものとなされている。そして、成形用金型３のトング
成形部８が、ボルト５にて、隙間２２、２２ａを通じて
補強用金型４に締結されている。 【効果】 金型２の寿命増大を図ることができ、しかも
開口部付近の美しい半中空材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばロッドレスシ
リンダー材等の、アルミニウム等の金属製半中空材の押
出用金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】内部に湾状の空所であるトングを有する
半中空材の成形は、トング比が低いような場合には、一
般に、トング成形部を内方に突出せしめた成形孔部を有
する平ダイスによっても押出成形し得るが、例えば、第
３図に示されるような、トング比の高いロッドレスシリ
ンダー材等の反中空材（１）の場合は、第４図に示され
るように、平ダイス（51）のトング成形部（52）の片持
ち支持力が弱くなり、押出中、トング成形部（52）が、
押出材料の圧力を受けて、その基端くびれ部（52a ）に
おいて容易に破損を起こし、実用に耐え得るものではな
かった。

【０００３】そこで、従来、第５図に示されるような金
型（61）が提案された。この金型（61）は、成形用金型
（62）と、補強用金型（63）とを具備する。成形用金型
（62）は、トング成形部（64）を内方に突出せしめた成
形孔部（65）を有する金型である。また、補強用金型
（63）は、トング成形部（64）を支持する支持用締結部
（66）を有すると共に、該支持用締結部（66）の周囲部
に押出材料流通孔（67）…が設けられたものとなされて
いる。そして、成形用金型（62）の後部に補強用金型
（63）が組み合わされた状態で、トング成形部（64）の
後端面が支持用締結部（66）の前端面に当接されるもの
となされ、その当接状態において、トング成形部（64）
と支持用締結部（66）とが、ボルト（68）にて締結され
たものとなされている（特開昭３−２３０８１２号公報
参照）。

【０００４】このような構成によれば、トング成形部
（64）が補強用金型（63）に強固に保持されていること
により、該トング成形部（64）が、押出中に押出材料の
圧力を受けても、基端くびれ部（64a ）において破損さ
れることが少なくなり、上記のような平ダイス（51）単
独の場合に比べると大幅に実用性が高められたものとな
る。

【０００５】しかも、トング成形部（64）が基端くびれ
部（64a ）を介して成形用金型（62）と一体に形成され
ていることにより、押出成形された半中空型材（１）の
トング開口部付近がバリ等のない美しいものに成形さ
れ、後工程としての仕上げ加工等を排除しうるという利
点もある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の組み合わせ式の金型（61）では、平ダイス
（51）の単独構成による場合に比べれば強度的な改善効
果が認められるものの、依然として、トング成形部（6
4）の基端くびれ部（64a ）に押出材料の圧力による剪
断力が作用して破損を起こしやすく、押出作業中のダイ
ス交換回数は必ずしも少ないものではなかった。

【０００７】この発明は、上記のような従来の問題点に
鑑み、トング開口部付近をバリ等のない美しいものに半
中空材を成形することができ、しかも、押出中における
押出材料の圧力による金型破損を抑制することができて
金型寿命の増大を図ることができる半中空材押出用金型
を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的において、この
発明は、トング成形部を内方に突出せしめた成形孔部を
有する成形用金型と、トング成形部と締結される締結部
を有すると共に、該締結部の周囲部に、前後方向に貫通
する押出材料流通孔が設けられた補強用金型と、が具備
され、かつ、成形用金型の後部に補強用金型が組み合わ
された状態において、トング成形部と締結部との間に隙
間が形成されるものとなされ、該トング成形部と締結部
とが、該隙間を通じて、締結部材にて締結されてなるこ
とを特徴とする半中空材押出用金型を要旨とする。

【０００９】

【作用】上記金型では、成形用金型と補強用金型との組
み合わせ状態において、トング成形部と締結部との間に
隙間が形成されるものとなされ、かつ、該トング成形部
と締結部とが、該隙間を通じて、締結部材にて締結され
たものとなされていることにより、締結部材の締め具合
を調整して、隙間を利用して、トング成形部の基端部
に、押出中の押出圧力によってかかる剪断力の方向と反
対の方向に予めある程度の剪断力を与えておくことがで
きる。従って、押出中にトング成形部の基端部に押出材
料の圧力が作用しても、それに耐え、トング成形部の基
端部における破損が減少される。

【００１０】

【実施例】次に、本発明を、第３図に示されるような高
トング比の半中空材（１）の押出に用いられる金型に適
用した実施例について説明する。

【００１１】第１図に示される金型（２）において、
（３）は成形用金型、（４）は補強用金型、（５）は締
結部材としてのボルトである。

【００１２】成形用金型（３）は、第１図及び第２図
（イ）に示されるように、成形孔部（７）を有し、該成
形孔部（７）は、その内方にトング成形部（８）を内方
に突出せしめた状態にされて、半中空材（１）の横断面
形状に対応する形状に形成されている。

【００１３】このトング成形部（８）は、第１図（ロ）
及び第２図（ロ）に示されるように、押出方向基端側に
おいて、複数本、好ましくは３〜７本、例えば４本のブ
リッジ部（９）…にて支持されたものとなされている。
なお、各ブリッジ部（９）の幅は、５〜１０ｍｍに設定
されるのが好ましい。そして、該ブリッジ部（９）…と
成形孔部（７）との間に環状の溶着室（10）が形成さ
れ、押出材料が、ブリッジ部（９）…間の複数個の押出
材料流通孔（11）…を通じて溶着室（10）に流入され、
そこで合流されて成形孔部（７）へと向かうものとなさ
れている。

【００１４】そして、トング成形部（８）の基端面に
は、所定の深さを有するねじ穴（12）が設けられてい
る。

【００１５】一方、補強用金型（４）は、第１図及び第
２図（ハ）に示されるように、上記トング成形部（８）
と同心状態に配置される締結部（14）を有する。該締結
部（14）の周囲には複数個の押出材料流通孔（15）…が
設けられ、該締結部（14）は、該流通孔（15）…間に形
成される複数本のブリッジ部（16）…にて支持されたも
のとなされている。そして、締結部（14）には、貫通状
のボルト通孔（17）が設けられている。該ボルト通孔
（17）は、その基端側が段部（17a ）を境に先端側より
も径大に形成され、該段部（17a ）に、ボルト（５）の
頭部（5a）が当接されるものとなされている。

【００１６】上記両金型（３）（４）は、第１図（ロ）
に示されるように、その周縁部に設けられた嵌合用の凹
縁部（19）と凸縁部（20）との嵌合により、対向端面の
周縁部同士が当接されて、互いに芯合わせ状態に組み合
わされるものとなされている。そして、この嵌合状態に
おいて、両金型（３）（４）間内部に、隙間（22）が形
成されるものとなされている。この隙間（22）は、成形
用金型（３）側のブリッジ部（９）…部の半径線方向外
方端部、ないしはその近傍部にまで及ぶ円形の隙間に形
成されている。そして、この隙間（22）において、その
軸芯部には、成形用金型（３）側のトング成形部（８）
の基端凸部（23）が、補強用金型（４）の締結部（14）
の先端凹部（24）内に嵌合されるものとなされ、その嵌
合状態において凹凸部（23）（24）間に形成される隙間
（22a ）を含むものとなされている。なお、隙間（22）
（22a ）の高さは、０．５〜３．０ｍｍの範囲に設定さ
れるのが一般的である。

【００１７】両金型（３）（４）は、上記嵌合組み合わ
せ状態において、補強用金型（４）側のボルト通孔（1
7）を通じてボルト（５）を通し、その先端雄ねじ部（5
b）をトング成形部（８）のねじ穴（12）内に螺合し、
ボルト（５）の頭部（5a）を段部（17a ）に当接せしめ
て締結することにより、一体化される。

【００１８】その際、締結は、トング成形部（８）の基
端くびれ部（8a）に所定量の剪断力が付与されるように
行う。このような剪断力付与のためには、トング成形部
（８）が押出方向後方に若干変位しなければならない
が、この変位は、上記のように両型（３）（４）間に形
成された隙間（22）（22a ）により、可能となる。な
お、（25）は蓋体である。

【００１９】このようにして、組み合わせ構成された金
型（２）を用いて、アルミニウム押出を行うと、押出材
料は、補強用金型（４）の複数の材料流通孔（15）…、
成形用金型（３）の材料流通孔（11）…を分断されて流
通し、そして、溶着室（10）内に流入し、そこで互いに
合流され、成形孔部（７）を通過して、所定形状の半中
空材（１）に押出成形される。

【００２０】トング成形部（８）は、ボルト（５）にて
補強用金型（４）に保持されているから、トング成形部
（８）自体が押出材料から受ける圧力によってその基端
くびれ部（8a）が破損することが防がれる。

【００２１】しかも、トング成形部（８）の基端くびれ
部（8a）には、ボルト（５）の締結によって、隙間（2
2）（22a ）を利用して、予め、押出圧力による剪断力
とは反対方向の剪断力が付与されていることにより、押
出中に押出材料から受ける剪断力によるくびれ部（8a）
の破損は低減される。

【００２２】また、トング成形部（８）は、複数個のブ
リッジ部（９）…にて支持されたものとなされているこ
とにより、ボルト（５）の締結による支持力と合わせ
て、トング成形部（８）を安定良く支持、保持すること
ができる。しかも、ボルト（５）の締結にてトング成形
部（８）の基端くびれ部（8a）に剪断力を付与する際
に、これら複数個のブリッジ（９）…がトング成形部
（８）を安定良く支え、そのため、ボルト（８）締結時
に不本意に基端くびれ部（8a）に破損を起こしてしまう
危険性も低減される。

【００２３】

【発明の効果】上述の次第で、この発明の半中空材押出
用金型は、成形用金型と補強用金型との組み合わせにか
かる金型において、その組み合わせ状態においてトング
成形部と締結部との間に隙間が形成されるものとなさ
れ、かつ、該トング成形部と締結部とが、該隙間を通じ
て、締結部材にて締結されたものであるから、締結部材
の締め具合を調整して、隙間を利用して、トング成形部
の基端部に、押出中の押出圧力の作用する方向と反対方
向に予めある程度の剪断力を与えておくことができる。
従って、押出中にトング成形部の基端部に押出材料の圧
力が作用しても、それに耐え、トング成形部の基端部に
おける破損が減少されて、金型寿命の大幅な長期化を実
現することができる。

【００２４】もとより、トング成形部が基端部を介して
成形用金型と一体に形成されているから、半中空材のト
ング開口部付近をバリ等のない美しいものに成形するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】押出用金型を示すもので、図（イ）は後端面
図、図（ロ）は図（イ）のＩ−Ｉ線断面図である。

【図２】図（イ）は第１図（ロ）のＩＩ−ＩＩ線断面
図、図（ロ）は第１図（ロ）のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面
図、図（ハ）は第１図（ロ）のＩＶ−ＩＶ線断面図であ
る。

【図３】半中空押出材の断面斜視図である。

【図４】従来の金型の横断面図である。

【図５】従来の他の金型を示すもので、図（イ）は縦断
面図、図（ロ）は図（イ）のＶ−Ｖ線断面図である。

【符号の説明】

１…半中空材 ２…半中空材押出用金型 ３…成形用金型 ４…補強用金型 ５…ボルト（締結部材） ７…成形孔部 ８…トング成形部 １５…押出材料流通孔 ２２、２２ａ…隙間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トング成形部を内方に突出せしめた成形
   孔部を有する成形用金型と、 トング成形部と締結される締結部を有すると共に、該締
   結部の周囲部に、前後方向に貫通する押出材料流通孔が
   設けられた補強用金型と、 が具備され、かつ、 成形用金型の後部に補強用金型が組み合わされた状態に
   おいて、トング成形部と締結部との間に隙間が形成され
   るものとなされ、該トング成形部と締結部とが、該隙間
   を通じて、締結部材にて締結されてなることを特徴とす
   る半中空材押出用金型。