JPH0614085Y2 - パネル状部品の固定用クリップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、パネル状部品の固定用クリップに関し、特に
パネル状部品の表面に対してクリップの取付基部が偏平
状態となるように固定されるクリイプに関する。

［従来の技術］ 一般に、内・外装材などの自動車部品をクリップを介し
て固定するにあっては、実開昭５４−１６１８６５号公
報などに例示される如くクリップを予め自動車部品側に
仮止め固定した状態で、組立ライン上を流れる車体パネ
ルに対してそれぞれ部品を位置決めし、押付けることで
ワンタッチで固定できる構造が採用される。

第５図および第６図は前記公報記載のクリップ構造を示
し、パンパー１に取付板３（プロテクタ２が装着され
る）を固定する例である。

同クリップ４の基本構造は、頭部７の略中央に突設され
て取付板３（第一パネル状部品）の透孔５を貫通して仮
止めされた状態で取付板３より突出する弾性クリップ片
８を有し、このクリップ片８をパンパー１（第二パネル
状部品）の取付孔６に係合することにより、取付板３を
パンパー１に固定するものである。

また、取付板３への仮止め固定構造は、透孔５が長方形
に形成される一方、頭部７に突設されて透孔５の短辺に
並行な頸部９ａと、頸部９ａの先端にあって頭部７との
間に取付板３の厚み分に相当する高さ位置に形成された
鍔部９ｂと、頭部７側から突設されて頸部９ａの長辺側
に位置するストッパー片９ｃとからなる。そして、第５
図の如くクリップ片８を取付板３の透孔５に貫通させた
後、頭部７を取付板３に押付けながら９０度回転させる
ことにより、頭部７と鍔部９ｂとの隙間に透孔５の長辺
部分を挟み込み、同時にストッパー片９ｃが透孔５の短
辺側に位置して孔内に入り込んで回転を阻止する構成で
ある。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、以上の固定用クリップ４にあっては次の
ような問題があった。取付板３への仮止め構造におい
て、ストッパー片９ｃがクリップ４の回転によって透孔
５の短辺内に落ち込む構造であるため、寸法誤差によっ
て落込み不能になったり、逆にガタ付き易い。また、取
付板３の透孔５が長方形に限定され、しかも長方形であ
ることから回転時には頸部９ａなどに受ける抵抗が大き
くなり易いという問題などがあった。

本考案は、以上の仮止め構造を改良して、仮止め操作性
を向上し、取付孔の定位置に仮止めできるようにしたパ
ネル状部品の固定用クリップを提供することを目的とし
ている。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するため、本考案は、第一パネル状部品
に形成された長円形の取付孔を貫通して仮止めされた状
態で該第一パネル状部品より突出する弾性クリップ片を
第二パネル状部品の取付孔に係合することにより、前記
第一パネル状部品を第二パネル状部品に固定するパネル
状部品の固定用クリップであって、前記クリップは、第
一パネルの取付孔を覆う非真円形状をなす第一フランジ
部と、該第一フランジ部の中央より第一パネル状部品の
厚み分に相当する高さ位置に第一フランジ部と略平行、
かつ略直交状態に形成されて第一パネル状部品の取付孔
に挿通可能な第二フランジ部と、該第二フランジ部の頂
面より突出する弾性クリップ片と、前記第二フランジ部
から第一フランジ部に向けて突設されて、第二フランジ
部を第一パネルの取付孔に挿通した状態でクリップの回
転を圧接変形しながら許容する弾性片と、前記第一フラ
ンジ部側から第二フランジ部に向けて突設されて、第一
パネルの取付孔内壁に圧接可能な位置決め用の係止壁部
とからなり、前記第一パネル状部品の取付孔に第二フラ
ンジ部を挿通し、前記取付孔内にある弾性片と係止壁部
との内、弾性片が取付孔内壁に圧接変形する方向へ所定
角度回転することによって、第二フランジ部と第一フラ
ンジ部との間に前記第一パネル状部品を挟着するととも
に、弾性片の圧接が解放されたとき係止壁部が取付孔内
壁の定位置に圧接して前記回転を阻止することを要旨と
している。

［作用］ 以上の構成によれば、第一パネル状部品に形成された長
円形の取付孔に第二のフランジ部を挿通し、弾性片が取
付孔内壁に圧接変形する方向へ所定角度回転させること
で、第一パネル状部品が第一フランジ部と第二フランジ
部の間に挟着されるとともに、弾性片が圧接変形を解放
されたときクリック音を発し、かつ係止壁部が取付孔内
壁の定位置に圧接して回転を阻止しクリップの仮止め固
定を完了する。

仮止め完了状態では、クリップの第一フランジ部が第一
パネル状部品の取付孔の周縁を覆うこと、係止壁部の圧
接力によりガタ付かないこと、係止壁部の位置決め作用
によって複数のクリップを仮止めする場合にも各第一フ
ランジ部が同じ方向ないしは向きに位置出しされてい
る。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面を用いて詳細に説明す
る。

第１図は本考案に係る固定用クリップ１０とともに、ク
リップ１０が仮止め固定される第一パネル状部品である
マットガード１２および第二パネル状部品であるフェン
ダーパネル３０の一部を示している。

図において、固定用クリップ１０は、プラスチック射出
成形体からなるものであって、大径の小判形をなす第一
フランジ部１４と、第一フランジ部１４の中央にあっ
て、マットガード１２の厚みに相当する高さ位置に第一
フランジ部１４と略平行、かつ第一フランジ部１４と直
交した状態で小判形に形成された小径の第二フランジ部
１６と、第二フランジ部１６の頂面に突出したやじり形
の弾性クリップ片１８とから概略構成されている。

前記第二フランジ部１６の長手方向の両側およびその下
部にはそれぞれ切欠き２０、２０が形成されており、切
欠き２０の側方には前記第一フランジ部１６の一部を構
成する弾性片２４が第二フランジ部１６の長手方向の両
側に沿ってそれぞれ一ヶ所ずつ形成されている。

また、弾性片２４の形成位置の他方側には前記第一フラ
ンジ部１４から一体に立ち上げた係止壁部２６が突設さ
れている。

前記マッドガード１２のクリップ装着位置には第二フラ
ンジ部１６より若干大きめで第一フランジ部１４より小
さい長円形の取付孔２８が開口形成されている。

また、前記弾性片２４および係止壁部２６の突出量は取
付孔２８の深さないしは第一フランジ部１４の厚さとほ
ぼ同一である。

以上の構成に於て、クリップ１０をマットガード１２に
仮止め固定するには、先ず、第２図に想像線で示すよう
に第二フランジ部１６を取付孔２８に挿通し、第二フラ
ンジ部１６がマットガード１２の裏面側に突出した状態
でクリップ１０をそれぞれの弾性片２４側に向けて反時
計方向に９０度回転すると、第二フランジ部１６は取付
孔２８と直交し（同図では第二フランジ部１６が実線で
示す取付孔２８との位置関係になる）、マッドガード１
２が第一フランジ部１４と第二フランジ部１６の間に挟
着されるとともに、取付孔２８の内壁には係止壁部２６
が圧接する。

そして、前記クリップ１０を回転する過程において、各
弾性片２４は取付孔２６の内壁に弾性接触ないしは圧接
変形し、所定の抵抗をもたらすとともに、完全に回転し
た状態で圧接が解放されて弾性復元し、クリック音を発
するとともに、安定的な状態となる。同時に、弾性片２
４が圧接変形を解放されたときは、各係止壁部２６が取
付孔２６の内壁定位置に圧接して回転を阻止し、クリッ
プ１０の逆方向の回転を阻止する。

したがって、クリック音を確認することで仮止め固定の
終了を確認することができる。

この状態で、第一フランジ部１４は取付孔２８の周縁に
完全に重合した状態となり、マッドガード１２の表面側
を完全に覆い、第３図に示すようにクリップ１０は、第
一フランジ部１４と第二フランジ部１６間にマッドガー
ド１２を完全に挟み込んだ状態に仮止め固定されるので
ある。

以上の操作を終了した後、第３図に示すようにマッドガ
ード１２の裏面側に突出する弾性クリップ片１８をフェ
ンダーパネル３０に形成されたクリップ用取付孔３２に
位置決めし、マッドガード１２ごと押し付ければ弾性ク
リップ片１８は弾性縮小しつつ取付孔３２内に挿通さ
れ、かつ挿通完了状態で弾性クリップ片１８の左右の羽
１８ａが弾性拡開してクリック音を発生し、フェンダー
パネル３０から抜き止めされるのである。

取付状態においては、第４図に示すようにマッドガード
１２の固定位置の表面側に第一フランジ部１４の偏平な
面が同じ向きに配列されており、凹凸が最小限に抑えら
れる。また、アッセンブリ作業を終了した状態で塗装な
どを行うことによって更に取付部分は目立たなくなり、
見栄え上も好ましいものとなる。

なお、実施例では本考案のクリップ１０をマッドガード
１２に対する固定用として用いたが、その他のパネル上
の部品であって、表面にクリップの基部が突出したので
は見栄え上、またはその他の理由で不都合点のある部品
一般の取付に適用できることは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案によるパネル状部品の固定
用クリップにあっては、実開昭５４−１６１８６５号の
クリップ構造に対し、クリップの回転操作は第一パネル
状部品の取付孔が長円形であり、弾性片が長円形の取付
孔内壁に沿って圧接変形しつつ回転されることから回転
抵抗が少なく、弾性片のクリック音による仮止め終了を
確認することも可能なので仮止め操作性を向上できる。

また、前記クリップの回転は係止壁部の圧接力により阻
止されるので取付孔などに多少の寸法誤差があってもガ
タ付かず、加えて係止壁部の位置決め作用により複数の
クリップを仮止めする場合にも各第一フランジ部が同じ
方向ないしは向きに位置出しされる。したがって、第一
フランジ部が露出するような場合に外観的にも優れてい
る。

なお、第一フランジ部は第一パネル状部品の取付孔の周
縁を完全に覆うので隙間が発生せず、泥、水の侵入も防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る固定用クリップとともにマッドガ
ードおよびフェンダーパネルの一部を示す斜視図、第２
図は同クリップをマッドガードに仮止めした状態を示す
横断面図、第３図は同クリップをマッドガードに固定し
た後、フェンダーパネルに固定した状態を示す断面図、
第４図はクリップをマッドーガードの表面側からみた斜
視図、第５図は従来の固定用クリップとともに取付板お
よびパンパーを示す斜視図、第６図（Ａ），（Ｂ）は前
記従来クリップの仮止め構造および操作を説明するため
の断面図である。 １０……クリップ １２……マッドガード（第一パネル状部品） １４……第一フランジ部 １６……第二フランジ部 １８……弾性クリップ片 ２４……弾性片 ２６……係止壁部 ２８……マッドカードの取付孔 ３０……フェンダーパネル（第二パネル状部品） ３２……フェンダーパネルの取付孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】第一パネル状部品に形成された長円形の取
   付孔を貫通して仮止めされた状態で該第一パネル状部品
   より突出する弾性クリップ片を第二パネル状部品の取付
   孔に係合することにより、前記第一パネル状部品を第二
   パネル状部品に固定するパネル状部品の固定用クリップ
   であって、 前記クリップは、第一パネルの取付孔を覆う非真円形状
   をなす第一フランジ部と、該第一フランジ部の中央より
   第一パネル状部品の厚み分に相当する高さ位置に第一フ
   ランジ部と略平行、かつ略直交状態に形成されて第一パ
   ネル状部品の取付孔に挿通可能な第二フランジ部と、該
   第二フランジ部の頂面より突出する弾性クリップ片と、
   前記第二フランジ部から第一フランジ部に向けて突設さ
   れて、第二フランジ部を第一パネルの取付孔に挿通した
   状態でクリップの回転を圧接変形しながら許容する弾性
   片と、前記第一フランジ部側から第二フランジ部に向け
   て突設されて、第一パネルの取付孔内壁に圧接可能な位
   置決め用の係止壁部とからなり、 前記第一パネル状部品の取付孔に第二フランジ部を挿通
   し、前記取付孔内にある弾性片と係止壁部との内、弾性
   片が取付孔内壁に圧接変形する方向へ所定角度回転する
   ことによって、第二フランジ部と第一フランジ部との間
   に前記第一パネル状部品を挟着するとともに、弾性片の
   圧接が解放されたとき係止壁部が取付孔内壁の定位置に
   圧接して前記回転を阻止することを特徴とするパネル状
   部品の固定用クリップ。