JPH0613810Y2 - 工作物搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、揺動台を加工位置と載置位置との間で揺動さ
せ、この揺動台に２組の把持爪を上下方向に移動可能に
案内した工作物搬送装置に関するものである。

＜従来の技術＞ 研削盤の主軸に取付けられたチャックと、研削盤の正面
に設置された工作物載置台との間で工作物を搬送する工
作物搬送装置として従来は、主軸台上に移動台を主軸軸
線と平行な方向に移動可能に設け、この移動台に旋回台
を主軸軸線と平行な軸線回りに旋回可能に軸支し、同じ
く移動台に前記旋回台を旋回させる旋回用シリンダ装置
を軸支し、前記旋回台に一対のシリンダ装置を上下方向
にかつ互いに傾斜させて固定し、各シリンダ装置のピス
ロンロッドの先端に工作物を把持する開閉可能な把持爪
を設けていた。さらに各把持爪の落下防止機構として第
４図に示すような各把持爪１の上昇端に対応する位置で
旋回台２に菱形形状の係合部材３を固定し、把持爪１側
にはスプリング４によってボール５を係合部材２に押し
つけるストッパ部材６を設けていた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 上述したものは、把持爪を上下方向に移動させるストロ
ークの長いシリンダ装置を２つ必要とするため、コスト
高になるとともに全体の重量が大きくなる問題があっ
た。さらに工作物と把持爪の重量が大きくなると前記ス
プリング４の力では工作物と把持爪を支えることができ
ない問題があった。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は上述した問題点を解決するためになされたもの
で、加工位置と載置位置との間で揺動する揺動台にこの
揺動台の揺動軸線と平行に旋回台を旋回可能に軸支し、
この旋回台にローラ移動用シリンダ装置を固定してこの
ローラ移動用シリンダ装置のピストンロッドの先端に旋
回台の旋回軸線と平行な軸線回りにローラを軸支し、揺
動台と旋回台間に旋回台を旋回させる旋回台駆動シリン
ダ装置を設け、同じく揺動台と旋回部材間に旋回台を旋
回台の旋回軸線と加工位置若しくは載置位置を結ぶ線分
上に復帰させるスプリングを設け、旋回台の旋回軸線と
加工位置若しくは載置位置を結ぶ線分に対して加工位置
若しくは載置位置を中心として両側へ等角度傾斜した各
線分上を可動台を案内する案内部材を揺動台に固定し、
前記各可動台に工作物を把持する一対の把持爪を設け、
また各可動台に前記ピスロンロッドが上昇端にある状態
で旋回台の旋回によって前記ローラが係合する凹みを形
成した係合部材をそれぞれ固定し、各可動台にストッパ
をそれぞれ固定し、各ストッパの下面に当接して各可動
台の落下を防止する当接部材を、スプリングによりロー
ラが両係合部材に係合しない位置にあるときは両ストッ
パに当接し、旋回台が一方に旋回したときはローラが係
合する一方の係合部材側の可動台のストッパとの当接を
回避するとともにローラが係合しない他方の係合部材側
の可動台のストッパと当接するように旋回台に旋回台の
旋回方向両側にそれぞれ固定したものである。

＜作用＞ 揺動台は加工位置と載置位置との間で揺動する。各位置
で旋回台駆動用シリンダ装置を作動させると旋回台が旋
回し、ローラが一方の係合部材の凹みに係合するととも
にローラが係合しない側のストッパと当接部材の当接を
残し、ローラが係合する側のストッパと当接部材との当
接が回避される。かかる状態でローラ移動用シリンダ装
置を作動させるとローラが係合する側の把持爪が上下
し、下降端で把持爪によって工作物の把持若しくは解放
がなされる。停電等によりシリンダ装置への油の圧力が
低下するとスプリングによって旋回台を中間位置に保持
する力が働き、当接部材にストッパを上から当接させる
ことによって把持爪の落下が防止される。

＜実施例＞ 以下本考案の実施例を第１図から第３図に基づいて説明
する。１０は研削盤における主軸台であり、この主軸台
１０に主軸１１が回転可能に軸承され、主軸１１の先端
に軸物の工作物Ｗを把持するチャック１２が固定されて
いる。研削盤の図略のベッドには支柱１３が立設され、
支柱１３の上端には主軸台１０の上方で横桁１４が固定
されている。横桁１４上には支持板２０が固定され、こ
の支持板２０上には主軸１１の回転軸線と平行に一対の
第１の案内レール２１が固定されている。前記第１の案
内レール２１に第１の移動台２２が主軸１１の回転軸線
と平行に案内され、この第１の移動台２２の後端には支
持台２０上に設置された移動台用シリンダ装置２３のピ
ストンロッド２４が連結され、前端には第１の案内レー
ル２１と直交する方向に第２の案内レール２５が固定さ
れている。第２の案内レール２５には第２の移動台２６
が案内され、この第２の移動台２６の上部には第１のロ
ーラ２７が軸支されている。第１の移動台２２上には支
持軸２８が立設され、この支持軸２８に旋回アーム２９
の一端が第１，第２の案内レール２１，２５と直交する
軸線回りに旋回可能に軸支されている。旋回アーム２９
の他端には前記第１のローラ２７が係合する長溝３０が
形成されている。また第１の移動台２２には揺動用シリ
ンダ装置３１が旋回アーム２９の旋回軸線と平行な軸線
回りに旋回可能に軸支され、揺動用シリンダ装置３１の
ピストンロッド３２の一端が旋回アーム２９の中間に枢
支されている。２９ａは旋回アーム２９の旋回端を規制
するストッパである。

第２の移動台２６には支持軸３３が固定され、この支持
軸３３に揺動台３４が回転可能に軸支されている。揺動
台３４の上端には係合部材３５が固定され、この係合部
材３５に係合する第２のローラ３６が第１の移動台２２
に立設されたブラケット３７に軸支されている。揺動台
３４の上部には支持軸４０が主軸１１の回転軸線と平行
に固定され、この支持軸４０に旋回台４１が旋回可能に
軸支されている。

揺動台３４の前面にはブラケット４２を介して第２の案
内レール２５と略平行に旋回台駆動用シリンダ装置４３
が固定されている。旋回台４１の後面には左右両側へ突
出するように板４４が固定され、この板４４の左右両側
にブラケット４５が固定され、２つのブラケット４５に
旋回台駆動用シリンダ装置４３のピストンロッド４６の
両端が連結されている。又２つのブラケット４５には前
記ピストンロッド４６と平行に棒４７が連結され、揺動
台３４には２つのブラケット４５間でスプリング受け４
８が固定されている。棒４７にはスプリング受け４８と
２つのブラケット４５間で旋回台４１を中間の位置に戻
すスプリング４９，５０が介挿されている。旋回台４１
の前面にはローラ移動用シリンダ装置５１が固定され、
このローラ移動用シリンダ装置５１のピストンロッド５
２の下端には第３のローラ５３が旋回台４１の旋回軸線
と平行に軸支されている。

揺動台３４の前面には中間位置、すなわち旋回台４１の
旋回軸線とチャック１２の中心とを結ぶ線分上にあるロ
ーラ移動用シリンダ装置５１に対してチャック１２を中
心として左右両側に等角度に傾斜した第１の案内部材６
０と第２の案内部材６１が固定され、各第１，第２の案
内部材６０，６１には第３の案内レール（可動台）６２
と第４の案内レール（可動台）６３が案内されている。
各第３，第４の案内レール６２，６３の下端にはコの字
形の把持本体６４，６５が固定され、この把持本体６
４，６５に一対の把持爪６６，６７が開閉可能に枢支さ
れている。把持本体６４，６５の上方で各第３，第４の
案内レール６２，６３には把持爪６６，６７を開閉させ
る爪開閉用シリンダ装置６８，６９が固定されている。
各把持本体６４，６５の前面には第１の係合部材７０と
第２の係合部材７１が固定され、各第１，第２の係合部
材７０，７１には第３のローラ５３が係合する凹み７
２，７３が第３のローラ５３の旋回方向に形成されてい
る。

各第３，第４の案内レール６２，６３の前面にはストッ
パ部材７４，７５が固定され、板４４の左右両側にはス
トッパ部材７４，７５と当接して第３，第４の案内レー
ル６２，６３の落下を防止する第１の当接部材７６と第
２の当接部材７７が固定されている。旋回台４１が中間
位置にあるときは各ストッパ部材７４，７５は第１，第
２の当接部材７６，７７の上面に当接し、旋回部材４１
が第３の案内レール６２側へ旋回して第３のローラ５３
が第１の係合部材７０に係合したときはストッパ部材７
５と第２の当接部材７７との当接を残した状態でストッ
パ部材７４と第１の当接部材７６との当接が外れ、逆に
旋回部材４１が第４の案内レール６３側へ旋回して第３
のローラ５３が第１の係合部材７０に係合したときはス
トッパ部材７４と第１の当接部材７６との当接を残した
状態でストッパ部材７５と第２の当接部材７７との当接
が外れるような当接関係になっている。

横桁１４の第２の案内レール２５側にはブラケット７８
が固定され、このブラケット７８の下端には工作物Ｗを
チャック１２と同高さで支持する工作物載置台７９が固
定されている。

次に上述した構成に基づいて工作物搬送動作について説
明する。揺動台３４が右側へ揺動し、右側の把持爪６７
に未加工の工作物Ｗが把持された状態でチャック１２に
把持された工作物Ｗの加工が完了すると、旋回台駆動用
シリンダ装置４３によって旋回台４１が左側へ旋回し、
第３のローラ５３が第１の係合部材７０の凹み７２に係
合すると同時に第１の当接部材７６とストッパ７４の当
接が外れる。続いて把持爪６６を開いた状態でローラ移
動用シリンダ装置５１によって第３のローラ５３を下降
させると把持爪６６がともに下降し、下降位置で加工済
の工作物Ｗを把持する。次にチャック１２により工作物
Ｗの把持を解除し、移動台用シリンダ装置２３によって
移動台２２を前進させる。これによりチャック１２から
工作物Ｗが抜き出され、続いて第３のローラ５３を上昇
させると把持爪６６が共に上昇する。次に旋回台駆動用
シリンダ装置４３によって旋回台４１が右側へ旋回し、
第３のローラ５３が第１の係合部材７０の凹み７２から
第２の係合部材７１の凹み７３に係合すると同時に第２
の当接部材７７とストッパ７５との当接が外れる。続い
て未加工の工作物Ｗを把持した把持爪６７をローラ移動
用シリンダ装置５１によって第３のローラ５３とともに
下降させる。下降位置で移動台用シリンダ装置２３によ
って移動台２２を後退させるとチャック１２に工作物Ｗ
の一部が挿入される。次にチャック１２によって工作物
Ｗを把持し、把持爪６７による工作物Ｗの把持を解除す
る。移動台用シリンダ装置２３によって移動台２２を前
進させ、続いてローラ移動用シリンダ装置５１によって
第３のローラ５３とともに把持爪６７を上昇させ、さら
に揺動用シリンダ装置３１によって旋回アーム２９を旋
回させると第２の移動台２６が左側へ移動する。これよ
り揺動台３４は第２のローラ３６を支点にして左側へ揺
動し、揺動台３４が左側へ移動した時点でチャック１２
に把持された工作物Ｗの加工が行われる。加工中に旋回
台４１が左側へ旋回して第３のローラ５３が第１の係合
部材７０の凹み７２に係合し、加工済の工作物Ｗを把持
した把持爪６６が第３のローラ５３とともに下降する。
次に把持爪６６を開くと工作物載置台７９に工作物Ｗが
載せられ、把持爪６６が上昇する。作業者の手によって
加工済の工作物Ｗが取り出され、工作物載置台７９に未
加工の工作物Ｗが載せられると図略のスイッチが感知し
て旋回台４１が左側へ旋回し、第３のローラ５３は第２
の係合部材７１の凹み７３に係合する。続いて把持爪６
７を開いた状態でこの把持爪６７は第３のローラ５３と
ともに下降し、下降位置で工作物載置台７９に載せられ
た未加工の工作物Ｗが把持爪６７に把持される。次に把
持爪６７が上昇し、旋回台４１は中間の位置に戻され、
第２の移動台２６が右側へ移動する。これにより揺動台
３４は第２のローラ３６を支点にして右側へ移動し、こ
の状態でチャック１２に把持された工作物Ｗの加工が完
了するのを待機する。加工完了信号が出されると上述し
た動作を繰り返す。

把持爪６６，６７が上昇した状態で電源が落ちてシリン
ダ装置へ供給する油の圧力が低下すると、スプリング４
９，５０によって旋回台４１が中間位置に保持され、ス
トッパ部材７４，７５に第１，第２の当接部材７６，７
７が下から当接して把持爪６６，６７の落下が防止され
る。一方の把持爪６６，６７が下降した状態で電源が落
ちると、下降していない側のストッパ部材７５，７４に
第２，第１の当接部材７７，７６が当接する状態を維持
する方向にスプリング４９，５０によって旋回台４１が
押し付けられ他方の把持爪の落下を防止する。

２組の把持爪を上下させる動作を１つのシリンダ装置で
行っているため、ストロークの長い高価なシリンダ装置
を複数用いなくても良い。さらにストッパを当接部材に
よって下から支えるため、重量の大きい把持爪、工作物
の落下を防止できる。

＜考案の効果＞ 以上述べたように本考案は、加工位置と載置位置との間
で揺動する揺動台にこの揺動台の揺動軸線と平行に旋回
台を旋回可能に軸支し、この旋回台にローラ移動用シリ
ンダ装置を固定してこのローラ移動用シリンダ装置のピ
ストンロッドの先端に旋回台の旋回軸線と平行な軸線回
りにローラを軸支し、揺動台と旋回台間に旋回台を旋回
させる旋回台駆動用シリンダ装置を設け、旋回台の旋回
軸線と加工位置若しくは載置位置を結ぶ線分に対して加
工位置若しくは載置位置を中心として両側へ等角度傾斜
した各線分上を可動台を案内する案内部材を揺動台に固
定し、前記各可動台に工作物を把持する一対の把持爪を
設け、また各可動台に前記ピストンロッドが上昇端にあ
る状態で旋回台の旋回によって前記ローラが係合する凹
みを形成した係合部材を固定した構造であるので、長い
ストロークを持つシリンダ装置１つで２組の把持爪の上
下動を行うことができ、コストダウンが図れるとともに
全体の重量が軽減する効果が得られる。また、揺動台と
旋回部材間に旋回台を旋回台の旋回軸線と加工位置若し
くは載置位置を結ぶ線分上、即ちローラが両係合部材に
係合しない位置に旋回台を復帰させるスプリングを設
け、各可動台にストッパをそれぞれ固定し、各ストッパ
の下面に当接して各可動台の落下を防止する当接部材
を、スプリングによりローラが両係合部材に係合しない
位置にあるときは両ストッパに当接し、旋回台が一方に
旋回したときはローラが係合する一方の係合部材側の可
動台のストッパとの当接を回避するとともにローラが係
合しない他方の係合部材側の可動台のストッパと当接す
るように旋回台に旋回方向両側にそれぞれ固定した構造
であるので、重量の大きい把持爪並びに工作物の落下を
防止できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を示す工作物搬送装置の
正面図、第２図は第１図におけるII矢視図、第３図は第
１図におけるIII−III線断面図、第４図は従来の落下防
止機構を示す図。 ３１……揺動用シリンダ装置、３４……揺動台、４１…
…旋回台、４３……旋回台駆動用シリンダ装置、５１…
…ローラ移動用シリンダ装置、５３……第３のローラ、
６０……第１の案内部材、６１……第２の案内部材、６
２……第３の案内レール、６３……第４の案内レール、
６６，６７……把持爪、７０……第１の係合部材、７１
……第２の係合部材、７２，７３……凹み、７４，７５
……ストッパ、７６……第１の当接部材、７７……第２
の当接部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】加工位置と載置位置との間で揺動する揺動
   台にこの揺動台の揺動軸線と平行に旋回台を旋回可能に
   軸支し、この旋回台にローラ移動用シリンダ装置を固定
   してこのローラ移動用シリンダ装置のピストンロッドの
   先端に旋回台の旋回軸線と平行な軸線回りにローラを軸
   支し、揺動台と旋回台間に旋回台を旋回させる旋回台駆
   動用シリンダ装置を設け、同じく揺動台と旋回部材間に
   旋回台を旋回台の旋回軸線と加工位置若しくは載置位置
   を結ぶ線分上に復帰させるスプリングを設け、旋回台の
   旋回軸線と加工位置若しくは載置位置を結ぶ線分に対し
   て加工位置若しくは載置位置を中心として両側へ等角度
   傾斜した各線分上を可動台を案内する案内部材を揺動台
   に固定し、前記各可動台に工作物を把持する一対の把持
   爪を設け、また各可動台に前記ピストンロッドが上昇端
   にある状態で旋回台の旋回によって前記ローラが係合す
   る凹みを形成した係合部材をそれぞれ固定し、前記各可
   動台にストッパをそれぞれ固定し、各ストッパの下面に
   当接して各可動台の落下を防止する当接部材を、前記ス
   プリングにより前記ローラが前記両係合部材に係合しな
   い位置にあるときは前記両ストッパに当接し、前記旋回
   台が一方に旋回したときは前記ローラが係合する一方の
   係合部材側の可動台のストッパとの当接を回避するとと
   もに前記ローラが係合しない他方の係合部材側の可動台
   のストッパと当接するように前記旋回台に旋回台の旋回
   方向両側にそれぞれ固定したことを特徴とする工作物搬
   送装置。