JPH06126218A - 塗装ブース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 換気手段６，７，１２，１３を備える作業域
５において被塗物２を塗装する塗装ガン３を機体本体４
ａ，４ｃから連設の腕部４ｂ，４ｄに付設した塗装機４
を備える塗装ブースにおいて、作業域５の側壁１４を塗
装機４の機体本体４ａ，４ｃと作業域内における被塗物
位置との間に配置して、その側壁１４に対し塗装機４の
腕部４ｂ，４ｄを貫通状態に配置し、作業域５における
浮遊塗料ミストにクーロン力を及ぼすことにより側壁１
４への塗料ミスト付着を防止する電極手段１５，１６を
設けてある。 【効果】 塗装機や側壁への塗料ミスト付着を回避で
き、合わせ、必要設備スペース及び必要コストの節減が
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、換気手段を備える作業
域において被塗物を塗装する静電噴霧塗装用の塗装ガン
を機体本体から連設の腕部に付設した塗装機を備える塗
装ブースに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記の塗装ブースでは、図８に示
すように、塗装機４の機体本体４ａを作業域５内の床部
７に設置して、塗装機４の全体を両側壁１４間の作業域
５内に配備していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、作業域内で発
生する帯電した塗料ミストを、換気手段による域内換気
（一般に天井部からの換気用空気の吹き出しと床部から
の域内空気の排気）をもって作業域から極力迅速に排除
するものの、接地電位にある域内塗装機や作業域側壁に
多量の塗料ミストが付着し、このため、付着塗料除去の
清掃作業に多く労力・経費・時間を要し、更に、付着塗
料が乾燥後に剥離・飛散して被塗物に再付着することに
よる塗装品質の低下を招く原因ともなっていた。

【０００４】又、作業域に塗装機全体の配備スペースを
確保するため作業域容積が大きくなって必要換気風量が
大きくなり、このため、換気手段の装置構成が大型化し
て必要設備スペースや必要設備コストが大きくなるとと
もに、換気における給気・排気の必要送風動力も大きく
なってランニングコストも嵩む問題があった。

【０００５】しかも、一般に塗装ブースでは、作業域に
供給する換気用空気を温湿度調整して作業域を温湿度調
整し、又、塗料ミストを含む域内からの排気に対し浄化
処理を施すが、上記の必要換気風量の増大に伴い、域内
温湿度調整のための装置設備、及び、排気浄化処理のた
めの装置設備についてまでも、同様に必要設備スペース
の増大や必要コストの増大が及ぶ問題があった。

【０００６】本発明の目的は、合理的なブース構成とす
ることで、塗装機及び作業域側壁への塗料ミスト付着を
防止するとともに、必要設備スペース及び必要コストの
低減を合わせ図る点にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明による塗装ブース
の特徴構成は、換気手段を備える作業域において被塗物
を塗装する静電噴霧塗装用の塗装ガンを機体本体から連
設の腕部に付設した塗装機を備える構成において、前記
作業域の側壁を前記塗装機の機体本体と作業域内におけ
る被塗物位置との間に配置して、その側壁に対し前記塗
装機の腕部を貫通状態に配置し、前記作業域における浮
遊塗料ミストにクーロン力を及ぼすことにより前記側壁
への塗料ミスト付着を防止する電極手段を設けたことに
ある。

【０００８】

【作用】つまり、上記の特徴構成においては、作業域の
側壁を塗装機の機体本体と作業域内における被塗物位置
との間に配置することで、塗装機の機体本体を作業域の
外部に位置させ、これにより、塗装機の機体本体に対す
る塗料ミスト付着を確実に阻止する。

【０００９】そして、作業域内で塗装を実施する塗装ガ
ンについては、塗装機の機体本体から連設の腕部を作業
域の側壁に対し貫通させることで、その腕部に付設の塗
装ガンを作業域内の塗装作業位置に位置させて、被塗物
に対する塗装を実施する。

【００１０】又、域内の浮遊塗料ミストに対し電極手段
をもってクーロン力を及ぼす（すなわち、帯電塗料ミス
トと同極性の電位をもって帯電塗料ミストとの間に斥力
を生じさせる）ことで浮遊塗料ミストの側壁への接近を
阻止し、これにより、作業域の側壁に対する塗料ミスト
付着を防止するとともに、このように浮遊塗料ミストの
側壁への接近を阻止して側壁への塗料ミスト付着を防止
することで、換気による作業域内からの塗料ミスト排除
を効果的なものとする。

【００１１】

【発明の効果】すなわち、本発明の特徴構成によれば、
塗装機の機体本体に対する塗料ミスト付着を回避でき、
又、作業域に塗装機の機体本体に対する配備スペースを
見込む必要がなくなることで、従来に比べ作業域容積を
小さくできて必要換気風量を少なくできる。

【００１２】又、側壁を塗装機の機体本体と被塗物位置
との間に配置することにおいて、側壁が先述の従来ブー
スに比べ被塗物位置に近くなり、これに伴い、側壁に対
する塗料ミスト付着の可能性が高くなるにしても、その
側壁への塗料ミスト付着をも前述の如く電極手段をもっ
て効果的に防止でき、これらのことから全体として、付
着塗料除去の清掃作業に要する労力・経費・時間を縮小
できるとともに、付着塗料の剥離・飛散による塗装品質
の低下をより確実に防止でき、又、必要換気風量の減少
により、換気のための装置設備を初め域内温湿度調整の
ための装置設備や排気浄化処理のための装置設備につい
て必要エネルギ・必要設備スペース・必要コストを節減
し得るに至った。

【００１３】

【実施例】次に実施例を説明する。

【００１４】図１及び図２は、搬送装置１により搬送さ
れる被塗物２を、塗装ガン３を備える塗装機４により内
部の作業域５において静電噴霧塗装する塗装ブースを示
し、作業域５の天井部は、その全面にわたって換気用空
気Ａｓを作業域５へ均一に吹き出す天井吹出口６とし、
又、作業域５の床部は域内空気の下方への排気を許す格
子床７とし、この換気構成により、域内に浮遊する余剰
の塗料ミストを速やかに域外へ排除する。

【００１５】作業域５へは、外気Ａｏを空調機８により
温湿度調整したものを換気用空気Ａｓとして供給し、こ
の温湿度調整により作業域５を塗装に適した温湿度状態
に保つ。

【００１６】格子床７の下方には、洗浄水パン９におけ
る流下洗浄水ｗとの合流状態で域内からの排気空気Ａｅ
を絞り流路に対し高速通過させることにより、その通過
過程で排気空気Ａｅ中の含有塗料ミストを洗浄水ｗに捕
捉させ、これにより、排気空気Ａｅから塗料ミストを分
離除去する洗浄装置１０を設けてある。

【００１７】又、洗浄装置１０において塗料ミストを除
去した排気空気Ａｅは、排気処理装置１１により塗料溶
剤（蒸気）等の残存汚染物を除去した上で系外に排出す
る。

【００１８】１２は作業域５へ換気用空気Ａｓを送給す
る給気ファン、１３は作業域５から格子床７・洗浄装置
１０を介して域内空気Ａｅを吸引排気する排気ファンで
ある。

【００１９】塗装機４としては、図１に示すように、被
塗物位置の両側方に立設した機体本体４ａどうしにわた
らせて、腕部としての昇降フレーム４ｂを昇降操作自在
に架設し、そして、その昇降フレーム４ｂに塗装ガン３
を付設した被塗物上面及び前後面塗装用の塗装機４Ｘ
や、図３に示すように、被塗物位置の両側方に立設した
機体本体４ｃの夫々から腕部としての横向きフレーム４
ｄを片持ち状態で昇降操作自在に連設して、それら横向
きフレーム４ｄに塗装ガン３を付設した被塗物側面塗装
用の塗装機４Ｙ等を、被塗物搬送方向に並べて配備して
ある。

【００２０】作業域５の両側壁１４は夫々、塗装機４
（４Ｘ，４Ｙ）の機体本体４ａ，４ｃと作業域５内にお
ける被塗物位置との間に配置して、各塗装機４の機体本
体４ａ，４ｃは作業域５の外部に位置させてあり、各塗
装機４の腕部としての昇降フレーム４ｂや横向きフレー
ム４ｄは側壁１４に対し貫通させてある。

【００２１】尚、側壁１４において昇降フレーム４ｂや
横向きフレーム４ｄを貫通させる貫通孔には、昇降フレ
ーム４ｂや横向きフレーム４ｄの動作を許しながら隙間
部分を閉塞するゴム片利用等の適当構成のシール手段を
施してある。

【００２２】つまり、塗装機４の機体本体４ａ，４ｃを
作業域５の外部に配置することで、塗装機４の機体本体
４ａ，４ｃに対する塗料ミスト付着を回避し、又、作業
域５において塗装機４の機体本体４ａ，４ｃに対する配
備スペースの確保を不要にして必要作業域容積を縮小す
ることで、必要換気風量の節減、ひいては、換気のため
の装置設備を初め域内温湿度調整のための装置設備や排
気浄化処理のための装置設備についての必要設備スペー
ス・必要コストの節減を図ってある。

【００２３】側壁１４は硝子板で形成し、その硝子板に
は図４に示すように硝子板のほぼ全面（すなわち側壁４
のほぼ全面）にわたらせて金網１５を埋め込んであり、
そして、この塗装ブースには、側壁１４としての硝子板
中の金網１５に対し塗装ガン３による噴霧塗料と同極性
の電圧を印加（図では負電圧の印加を示す）する電源装
置１６を付帯装備してある。

【００２４】つまり、金網１５に対し噴霧塗料と同極性
の電圧を印加することにより、図５に模式的に示すよう
に、誘電現象をもって硝子板製側壁１４の作業域側表面
部を噴霧塗料と同極性の帯電状態とし、これにより、浮
遊帯電塗料ミストｍの側壁１４への接近を、側壁１４の
帯電表面部と帯電塗料ミストｍの間で斥力として生じる
クローン力により阻止して、側壁１４への塗料ミスト付
着を防止するようにしてある。

【００２５】図中１７は、金網埋め込み硝子板の製作
上、金網１５を形成する金属線の切断端が側壁としての
硝子板１４の周縁で露出することに対し、ブース他部と
側壁周縁部（具体的には金属線露出部）との間の電気絶
縁を図る絶縁体である。

【００２６】側壁１４の外側は、硝子板製側壁１４を通
して作業域５内の塗装作業を監視したり、又、塗装機４
に対するメンテナンス作業を行うための在人域１８とす
るのに対し、側壁としての硝子板１４における作業域５
とは反対側の表面、すなわち、上記の外側在人域１８に
臨む表面には、その全面に分布させてアース電極線１９
を貼設してあり、これにより、硝子板製側壁１４の内側
表面部は前述の如く塗料ミストの付着防止のために帯電
状態としながらも、外側在人域１８に臨む外側表面部は
アースされた無帯電状態（ないし、それに近い状態）に
保って、外側在人域１８の作業者が側壁帯電の影響を受
けることがないようにしてある。

【００２７】〔別実施例〕次に別実施例を列記する。

【００２８】作業域５における浮遊塗料ミストｍにクー
ロン力を及ぼすことにより側壁１４への塗料ミスト付着
を防止する電極手段の構成は、図６に示すように、導電
性材からなる側壁１４そのものに対し帯電塗料ミストｍ
と同極性の電圧を電源装置１６により印加する形式、あ
るいは、図７に示すように、帯電塗料ミストｍと同極性
の電圧を印加する電極部材２０を作業域５において側壁
１４の面方向に分布させた状態で側壁近傍に配備する形
式、さらにまた、塗装ガン３からの塗料噴霧において塗
料を帯電させない形式等、種々の形式を採用できる。

【００２９】本発明の実施において、塗装機４は機体本
体から腕部を連設して、その腕部に塗装ガン３を付設す
る形式であれば、どのような形式のものであってもよ
い。

【００３０】被塗物２は前述の実施例で示した自動車ボ
ディーに限定されるものではない。

【００３１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】塗装ブースの断面図

【図２】塗装ブースの平面視断面図

【図３】他の塗装機を示す別箇所の断面図

【図４】側壁の斜視図

【図５】塗料ミストの付着防止形態を示す模式図

【図６】第１の別実施例を示す模式図

【図７】第２の別実施例を示す模式図

【図８】従来のブース構成を示す断面図

【符号の説明】

２ 被塗物 ３ 塗装ガン ４ 塗装機 ４ａ 機体本体 ４ｃ 機体本体 ４ｂ 腕部 ４ｄ 腕部 ５ 作業域 ６ 換気手段 ７ 換気手段 １２ 換気手段 １３ 換気手段 １４ 側壁 １５ 電極手段 １６ 電極手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 換気手段（６，７，１２，１３）を備え
   る作業域（５）において被塗物（２）を塗装する静電噴
   霧塗装用の塗装ガン（３）を機体本体（４ａ），（４
   ｃ）から連設の腕部（４ｂ），（４ｄ）に付設した塗装
   機（４）を備える塗装ブースであって、 前記作業域（５）の側壁（１４）を前記塗装機（４）の
   機体本体（４ａ），（４ｃ）と作業域内における被塗物
   位置との間に配置して、その側壁（１４）に対し前記塗
   装機（４）の腕部（４ｂ），（４ｄ）を貫通状態に配置
   し、前記作業域（５）における浮遊塗料ミストにクーロ
   ン力を及ぼすことにより前記側壁（１４）への塗料ミス
   ト付着を防止する電極手段（１５，１６）を設けた塗装
   ブース。