JP4121203B2 - 静電粉体塗装用ブース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブース内壁面の清掃が容易な、特に、側面パネルと天井パネルとのコーナー部分の清掃を確実に行うことができる静電粉体塗装用ブースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被塗物に粉体塗料をスプレーする静電粉体塗装は、ブース内において行われるので、ブースの内壁面にはオーバースプレー粉が付着する。
【0003】
したがって、粉体塗料の色替えを行う場合には、混色が生じないようにするために、ブースの内壁面に付着している粉体塗料を清掃によって取除く必要がある。
【0004】
従来、ブースの内壁面の清掃作業の方法には、作業者がブース内に入り、手動によってブースの内壁面をエアーブローによって行うという方法がある。
【0005】
しかしながら、このような清掃作業は、作業者に粉体塗料がかかったり、また、エアーブローにより粉体塗料がブース外に飛散したりして、人体への安全性や作業環境上問題があった。
【0006】
また、手動による清掃作業は、清掃度合いに差異が生じやすく、色替え時に混色が起こり、塗装不良が発生するということがあった。
【0007】
上記のような問題を解決するために、従来、ブースの壁面に沿ってエアーブローノズルを自動的に移動させたり、あるいはエアーブローノズルと吸引ヘッドを一体化したものを自動的に移動させて、ブースの内壁面の清掃を自動的に行うことによって、作業者のブース内での作業をなくすようにした清掃方法もある。
【0008】
しかしながら、ブースの内壁にエアーを吹き付けて自動的に清掃を行う従来の方法では、特に、ブースを構成する天井パネルと側面パネルのコーナー部分に付着する粉体塗料を除去することが困難であった。
【0009】
このため、ブースのコーナー部分自体をなくすために、天井パネルと側面パネルとを離して設置したものもあるが、このようにすると、塗装の際に、天井パネルと側面パネルとの間の隙間からオーバースプレー粉が洩れ出して、ブースの周囲の作業環境を汚すという問題が生じやすい。また、この洩れ出しをなくすために、ブースの底面等に設置されている粉体塗料の回収装置の吸引風量を大きくしたりすることも行われているが、このようにすると、天井パネルと側面パネルの隙間から、ブース上の梁に溜まった埃や、工場内に浮遊している埃が吸引され、埃が塗装物に付着して、塗装不良を起こしやすい。また、回収装置の吸引風量が大きいと、ブース内で生じる風速も速く、被塗物への粉体塗料の付着効率が低下するという問題が生じる。
【0010】
そこで、この発明は、塗装の際に、天井パネルと側面パネルのコーナー部分からの粉体塗料の洩れ出しや、埃の侵入を防止することが可能で、清掃の際に、天井パネルと側面パネルのコーナー部分に付着する粉体塗料を確実に除去することが可能な静電粉体塗装用ブースを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、側面パネルと天井パネルとを有し、側面パネルと天井パネルとのコーナー部分が閉塞された状態で塗装作業を行う静電粉体塗装用ブースにおいて、上記側面パネルと天井パネルのコーナー部分に、側面パネルと天井パネルの分離手段を設け、側面パネルと天井パネルを分離させた状態で、側面パネルと天井パネルの内面に沿って移動する壁面清掃装置を設けたものである。
【0012】
この発明に係る静電粉体塗装用ブースでは、側面パネルと天井パネルのコーナー部分を閉塞した状態で塗装作業を行うので、塗装の際に、上記コーナー部分からの粉体塗料の洩れ出しや、埃の侵入が防止される。
【0013】
一方、清掃の際に、側面パネルと天井パネルを分離させ、この状態で壁面清掃装置を側面パネルと天井パネルに沿って移動させることにより、側面パネルと天井パネルのコーナー部分に付着する粉体塗料の除去を確実に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る静電粉体塗装用ブースの実施形態について説明する。
【0015】
図1乃至図5は、この発明の第一の実施形態である。
【0016】
ブース1は、下面にブース排気装置(図示省略)が設置されたフィルターベルトによって形成された底面2と、この底面2の両側に沿って起立する対向一対の側面パネル3と、この一対の側面パネル3上端に設けられ、被塗物4が通過するスリット5を挟んで並ぶ一対の天井パネル6と、一対の側面パネル3の入口側と出口側にそれぞれ設けられた側面出入口パネル7と、上記天井パネル6の入口側と出口側にそれぞれ設けられ、上記側面出入口パネル7の外面に重ね合わされる天面出入口パネル8とからなる。
【0017】
上記側面パネル3、天井パネル6、側面出入口パネル7及び天面出入口パネル8は、それぞれ合成樹脂によって形成しているが、それ以外の材質であってもよい。
【0018】
上記側面パネル3の一方には、縦方向に、塗装ガン9の挿入用の窓孔10が平行に2列形成されている。上記塗装ガン9は、レシプロケータ11によって上下動自在に設置されている。また、レシプロケータ11は、塗装ガン9を、側面パネル3の窓孔10からブース1内に突き入れたり、ブース1から引き出したりできるように、側面パネル3に対して直角方向に移動可能に設置されている。上記側面パネル3の窓孔10には、塗装ガン9を引き出した後、窓孔10を閉塞する開閉自在の扉12が設置されている。
【0019】
上記一対の天井パネル6のスリット5の上方には、被塗物4を吊り下げて被塗物4をブース1内を通過させるための搬送コンベア13が設置されている。
【0020】
上記一対の側面パネル3の入口側と出口側に設けた側面出入口パネル7は、側面パネル3に対して、図1に示すように、直交する方向と、図4に示すように、一直線上に位置する方向に、エアシリンダ等を介して回転可能に側面パネル3に取付けられている。
【0021】
また、上記一対の天井パネル6の入口側と出口側に設けた天面出入口パネル8は、天井パネル6に対して、図1に示すように、直交する方向と、図2に示すように、一直線上に位置する方向に、エアシリンダ等を介して回転可能に天井パネル6に取付けられている。
【0022】
上記天井パネル6は、図1に示すように、側面パネル3側の側辺が、側面パネル3の上端に当接してブース1を閉塞する位置と、図3に示すように、スリット5側の側辺を中心にして側面パネル3側の側辺が上昇して、側面パネル3から分離してブース1のコーナー部分を開放する位置とを選択できるように回転可能に設けられている。この天井パネル6を上昇させて、側面パネル3から分離させる分離手段としては、例えば、エアシリンダー装置を使用することができる。
【0023】
上記側面パネル3と天井パネル6を分離させた状態で、側面パネル3と天井パネル6の内面に沿って移動する壁面清掃装置14が設置されている。
【0024】
上記壁面清掃装置14は、ブース1内において塗装作業が行われている場合には、図1に示すように、ブース1の外部に待機している。
【0025】
そして、ブース1の清掃作業を行う場合には、ブース1を開いて、側面パネル3と天井パネル6とを分離させて形成したコーナー部分の開口部からブース1内に壁面清掃装置14を挿入し、図5に示すように、壁面清掃装置14を、一直線の平坦面にした天井パネル6と天面出入口パネル8、同様に一直線の平坦面にした側面パネル3と側面出入口パネル7に沿って移動させて、天井パネル6、天面出入口パネル8、側面パネル3及び側面出入口パネル7をそれぞれ清掃する。
【0026】
上記清掃作業の際に、ブース1を開く手順は、次の通りである。まず、図1に示す状態で塗装作業を終了した後に、図2に示すように、レシプロケータ11を側面パネル3から離して、側面パネル3の窓孔10から塗装ガン9を引き出し、窓孔10の扉12を閉じる。この後、天井パネル6の入口側と出口側に設けた天面出入口パネル8を上げて、天井パネル6と天面出入口パネル8を一直線の平坦面にする。
【0027】
そして、この後、図3に示すように、天井パネル6の側面パネル3側の側辺を上昇させて、天井パネル6と側面パネル3とを分離し、天井パネル6と側面パネル3とのコーナー部分に開口部15を形成する。
【0028】
次いで、図4に示すように、側面パネル3の入口側と出口側に設けた側面出入口パネル7を開いて、側面パネル3と側面出入口パネル7とを一直線の平坦面にする。
【0029】
上記壁面清掃装置14は、ブース1の側面パネル3と閉口に設置されたレール16に支持されて、一直線上に並ぶ、天井パネル6と天面出入口パネル8、側面パネル3と側面出入口パネル7の内面に沿って移動するようになっている。
【0030】
上記壁面清掃装置14は、図5に示すように、ブース1が開かれた状態において、天井パネル6の内面と側面パネル3の内面に対向するように開口する吸引口を有する吸引フード17を備えている。上記吸引フード17には、天井パネル6の内面と側面パネル3の内面に向けてエアーを噴出するエアーブローノズル18が設置されている。
【0031】
上記吸引フード17は、吸引ダクト19を介して排気装置に接続されている。
【0032】
上記エアーブローノズル18は、吸引フード17内に設置してもよいが、図6に示すように、吸引フード17の外部の側方に、エアーブローノズル18を、天井パネル6や側面パネル3のパネル面に対して45度〜80度傾斜させて設置し、エアーブローノズル18のエアーによって除去した粉体塗料を吸引フード17内へ送り込みやすくした方が好ましい。
【0033】
また、上記エアーブローノズル18を、図7に示すように、吸引フード17の両側に設置するようにしてもよい。
【0034】
また、上記エアーブローノズル18の近くに、除電装置電極20を設置することが好ましい。除電装置電極20は、電極からプラスとマイナスの電荷を交互に発生し、粉体塗料及びパネル面の静電気を中和する働きを行い、パネル面から剥がした粉体塗料がパネル面に再付着することを防止する。この除電装置電極20は、図6に示すように、吸引フード17の内部に設置してもよいし、図7に示すように、吸引フード17の外部に設置してもよい。
【0035】
次に、図8の(a)、(b)は、この発明に係る静電粉体塗装用ブースの第二の形態を示している。この形態では、天井パネル6の側面パネル3側の側縁に沿って、側面パネル3側に向かって傾斜するコーナーパネル21を設けている。そして、塗装作業を、図8の(a)に示すように、コーナーパネル21を側面パネル3の上面に当接させて、ブース1を閉じた状態で行うようにし、清掃作業を行う際に、図8の(b)に示すように、コーナーパネル21を、天井パネル6側の側辺を中心にして側面パネル3側の側辺を上昇させて、天井パネル6とコーナーパネル21を一直線の平坦面にして、側面パネル3と天井パネル6のコーナー部分に開口部15を形成するようにしている。
【0036】
また、図9の(a)、(b)は、この発明に係る静電粉体塗装用ブースの第三の形態を示している。この形態では、側面パネル3の上縁に沿って、天井パネル6側に向かって傾斜するコーナーパネル22を設けている。そして、塗装作業を、図9の(a)に示すように、コーナーパネル22の上縁を、天井パネル6の側縁に当接させて、ブース1を閉じた状態で行うようにし、清掃作業を行う際に、図9の(b)に示すように、コーナーパネル22の下縁を中心にして外側に向かって回動させて、側面パネル3とコーナーパネル22を一直線の平坦面にして、側面パネル3と天井パネル6のコーナー部分に開口部15を形成するようにしている。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ブースの側面パネルと天井パネルのコーナー部分を閉塞した状態で塗装作業が行えるので、粉体塗料の洩れ出しや、ブース内への埃の侵入を防止することができ、清掃の際には、ブースの側面パネルと天井パネルのコーナー部分を分離して開口部を形成することができるので、天井パネルと側面パネルのコーナー部分に付着する粉体塗料を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る静電粉体塗装用ブースの第一の形態であり、塗装作業状態を示す概略斜視図
【図2】ブース内から塗装ガンを引き出して天面出入口パネルを上げた状態を示す上記第一の形態の概略斜視図
【図3】天面出入口パネルと天井パネルを上げた状態を示す上記第一の形態の概略斜視図
【図4】側面出入口パネルを開いた状態を示す上記第一の形態の概略斜視図
【図5】ブース内に壁面清掃装置を挿入した状態を示す上記第一の形態の概略斜視図
【図6】壁面清掃装置の一例を示す概略断面図
【図7】壁面清掃装置の他例を示す概略断面図
【図8】(a)はこの発明に係る静電粉体塗装用ブースの第二の形態であり、コーナーパネルを閉じた状態の概略図、(b)はコーナーパネルを開いた状態の概略図
【図9】(a)はこの発明に係る静電粉体塗装用ブースの第三の形態であり、コーナーパネルを閉じた状態の概略図、(b)はコーナーパネルを開いた状態の概略図
【符号の説明】
1 ブース
2 床面
3 側面パネル
4 被塗物
5 スリット
6 天井パネル
7 側面出入口パネル
8 天面出入口パネル
9 塗装ガン
10 窓孔
11 レシプロケータ
12 扉
13 コンベア
14 壁面清掃装置
15 開口部
16 レール
17 吸引フード
18 エアーブローノズル
19 吸引ダクト
20 除電装置電極
21 コーナーパネル
22 コーナーパネル
Claims (6)
- 側面パネルと天井パネルとを有し、側面パネルと天井パネルとのコーナー部分が閉塞された状態で塗装作業を行う静電粉体塗装用ブースにおいて、上記側面パネルと天井パネルのコーナー部分に、側面パネルと天井パネルの分離手段を設け、側面パネルと天井パネルを分離させた状態で、側面パネルと天井パネルの内面に沿って移動する壁面清掃装置を設けたことを特徴とする静電粉体塗装用ブース。
- 上記壁面清掃装置が、側面パネルと天井パネルの内面に対向する吸引口を有する吸引フードと、側面パネルと天井パネルの内面に向けてエアーを噴出するエアーブローノズルとからなる請求項1記載の静電粉体塗装用ブース。
- 上記吸引フードとエアーブローノズルを一連に設けた壁面清掃装置を、側面パネルと天井パネルを分離手段によって分離させて形成した側面パネルと天井パネルのコーナー部分の開口部から出し入れ自在に設けたことを特徴とする請求項2記載の静電粉体塗装用ブース。
- 上記天井パネルの両側辺のうち、側面パネル側の側辺と反対側の側辺を中心にして、側面パネル側の側辺を上昇させる分離手段により、側面パネルと天井パネルのコーナー部分に開口部を形成することを特徴とする請求項3記載の静電粉体塗装用ブース。
- 上記天井パネルの側面パネル側の側縁に沿って、側面パネル側に傾斜するコーナーパネルを形成し、このコーナーパネルを、天井パネル側の側辺を中心にして側面パネル側の側辺を上昇させて、側面パネルと天井パネルのコーナー部分に開口部を形成することを特徴とする請求項3記載の静電粉体塗装用ブース。
- 上記側面パネルの上縁に沿って、天井パネル側に傾斜するコーナーパネルを形成し、このコーナーパネルを、側面パネル側の側辺を中心にして天井パネル側の側辺を上昇させて側面パネルと天井パネルのコーナー部分に開口部を形成することを特徴とする請求項3記載の静電粉体塗装用ブース。
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