JPH10296153A

JPH10296153A - 塗料ミストの飛散防止方法及び飛散防止具

Info

Publication number: JPH10296153A
Application number: JP9109034A
Authority: JP
Inventors: Kazuhiko Arai; 一彦新井
Original assignee: Kajima Corp
Current assignee: Kajima Corp
Priority date: 1997-04-25
Filing date: 1997-04-25
Publication date: 1998-11-10

Abstract

(57)【要約】【課題】被塗布域とフードとの間隙からの塗料ミストの
飛散を防止する飛散防止方法及び飛散防止具を提供す
る。【解決手段】筒状フード６の一端７で吹き付けノズル３
の周縁を封止し且つ該フード６の他端開口８を被塗布域
１に臨ませて塗料ミスト４の流路を覆う。筒状フード６
の他端開口８の周縁全面から被塗布域１へ向けて静電気
が帯電した材料又は静電気が発生し易い材料製の環状の
帯電繊維群11を立設する。環状の帯電繊維群11により前
記フード６と被塗布域１との間隙からの塗料ミスト４の
飛散を防止する。好ましくは筒状フード６を末広がり筒
状フードとし、該フード６の小径端７で前記ノズル３の
周縁を封止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は塗料ミストの飛散防止方
法及び飛散防止具に関し、とくに吹き付けノズルから噴
射する塗料ミストが被塗布域の外へ飛散するのを防止す
る飛散防止方法及び飛散防止具に関する。

【０００２】

【従来の技術】構造物のコンクリート壁面等の被塗布域
を塗装する際に、スプレーガンを用いた吹き付け塗装を
行うことがある。スプレーガンとは、例えば塗料出口と
圧縮空気出口とを相隣接して設けた吹き付けノズルによ
り塗料を霧化し、霧化した微小液滴（以下、塗料ミスト
という。）を噴出する装置である。塗装に際しスプレー
ガンの吹き付けノズル（以下、単に吹き付けノズルとい
う。）を被塗布域と対向させ且つ被塗布域と平行に移動
させながら、塗料ミストを被塗装域の全体に吹き付け
る。ただし吹き付け塗装ではノズルから噴出した塗料ミ
ストの一部が被塗布面に塗着せず、風などによって大気
中へ飛散して近隣に支障を及ぼす問題点がある。この塗
料ミストの飛散を防止するため、吹き付けノズルに風防
用フードを取り付けて塗料ミストの流路を覆う方法が従
来から行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし従来のフードに
よる塗料ミストの飛散防止方法では、フードと被塗布面
との間隙からの塗料ミストの飛散が避けられない。ノズ
ルを移動させながら塗装する吹き付け塗装では、必然的
にフードと被塗布面との間に間隙が生じるからである。

【０００４】そこで本発明の目的は、被塗布域とフード
との間隙からの塗料ミストの飛散を防止する飛散防止方
法及び飛散防止具を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】図１の実施例を参照する
に、本発明の塗料ミストの飛散防止方法は、被塗布域１
へ向けた吹き付けノズル３からの塗料ミスト４が該被塗
布域１の外へ飛散するのを防止する方法において、筒状
フード６の一端７で前記ノズル３の周縁を封止し且つ該
フード６の他端開口８を被塗布域１に臨ませて塗料ミス
ト４の流路を覆い、前記フード６の他端開口８の周縁全
面に被塗布域１へ向けて環状の帯電繊維群11を立設し、
環状の帯電繊維群11により前記フード６と被塗布域１と
の間隙からの塗料ミスト４の飛散を防止してなるもので
ある。

【０００６】帯電繊維群11は、静電気が帯電した材料又
は静電気が発生し易い材料製の繊維群とすることができ
る。好ましくは帯電繊維をポリプロピレン製とする。更
に好ましくは筒状フード６を末広がり筒状フードとし、
該フード６の小径端７で前記ノズル３の周縁を封止す
る。

【０００７】また図１の実施例を参照するに、本発明の
塗料ミストの飛散防止具は、塗料ミスト４の吹き付けノ
ズル３の周縁に該周縁を封止するように取り付ける小径
端７と他端開口８とを有する末広がり筒状フード６、前
記フード６の他端開口８の周縁全面に前記ノズル３と反
対向きに立設した環状の帯電繊維群11を備えてなり、環
状の帯電繊維群11により前記フード３の他端開口８の周
縁からの塗料ミスト４の飛散を防止してなるものであ
る。好ましくは前記帯電繊維をポリプロピレン製とす
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１(Ａ)を参照するに、本発明
は、塗料ミスト４の吹き付けノズル３の周縁に筒状フー
ド６の一端７を取り付け、該フード６により塗料ミスト
４の流路を覆う。フード６の一端７はノズル３の周縁に
より封止し、該一端７側からの塗料ミスト４の漏出を防
止する。また筒状フード６の他端開放８の周縁に、好ま
しくは外向きに張り出した所定幅の環状フランジ10を設
ける。図示例ではフランジ10の被塗布域１との対向面全
体に被塗布域１へ向けて環状の帯電繊維群11を立設し、
環状の帯電繊維群11により塗料ミスト４の流路を覆って
いる。塗布作業時に帯電繊維群11を被塗布域１へ十分近
付けることにより、実質的にフード６と被塗布域１との
間隙全体を環状の帯電繊維群11で覆うことができる。こ
の帯電繊維群11による被覆により、フード６と被塗布域
１との間隙から飛散する塗料ミスト４は帯電繊維群11の
中又は近傍を必ず通過する。但しフランジ10は本発明に
必須のものではない。

【０００９】他方、ノズルから噴出させた霧は条件に応
じて帯電（噴霧帯電）することが知られており（「新版
電気工学ハンドブック」昭63年２月28日初版、社団法人
電気学会、p.1851）、吹き付けノズル３から噴出された
塗料ミスト４の多くも正又は負に帯電していると考えら
れる。帯電した塗料ミスト４は、帯電繊維群11の中又は
近傍を通過するときにクーロン力で反対符号に帯電した
繊維群11に引き寄せられ、該繊維群11に付着する。すな
わち本発明は、帯電繊維群11でフード６と被塗布域１と
の間隙を覆うことにより帯電した塗料ミスト４を帯電繊
維群11に付着させ、該塗料ミスト４が帯電繊維群11を通
過して飛散するを有効に防止する。

【００１０】また帯電繊維群11として、予め静電気が帯
電した繊維群11に代え、例えばポリプロピレン等のよう
に静電気が発生し易い材料製の繊維群11を用いることが
できる。

【００１１】こうして本発明の目的である「被塗布域と
フードとの間隙からの塗料ミストの飛散を防止する飛散
防止方法及び飛散防止具」の提供が達成できる。

【００１２】

【実施例】図１(Ａ)は円錐筒状フード６を用いた本発明
の飛散防止具の一例の断面図を示す。同図では、円錐筒
状フード６の小径端を吹き付けノズル３の周縁への封止
端７とし、大径端を開放端８とする。開放端８の径の大
きさを塗料ミスト４の流路と被塗布域１との交差面（塗
料ミスト４の広がり）の径ｄ以上とし、フード６及び帯
電繊維群11が塗料ミスト４の流路の障害とならないよう
にする。開放端８の周縁から所定幅の環状フランジ10を
外向きに張り出し、その環状フランジ10の被塗布域１側
面に帯電繊維群11を取り付ける。帯電繊維群11のフラン
ジ10への取り付けには従来の植毛技術等が利用できる。
図示例では、静電気を付加した又は発生し易い材料製の
パイルを環状フランジ10の表面にブラシ状に束ねて取り
付けることにより帯電繊維群11を形成している。図１
(Ｂ)は、図１(Ａ)の矢印Ｂ−Ｂ方向から見た飛散防止具
の正面図を示す。

【００１３】図２は、構造物表面21の塗装を行うロボッ
ト22に本発明の飛散防止具を適用した実施例を示す。同
図の塗装ロボット22は吹き付けノズル３、該ノズル３を
支持する枠体22a、22b、該枠体22a、22bを覆う養生ネッ
ト26、及び吊り治具24を有する。吊り治具24は、構造物
の屋上に設けた吊り支持具23からワイヤ25により塗装ロ
ボット22を構造物表面21上の所定被塗装区域に対向させ
て吊り下げる。所定被塗装区域に吊り下げた塗装ロボッ
ト22は、該被塗装区域を養生ネット26で覆いつつ、枠体
22a、22b上でノズル３を移動させて該被塗装区域に塗料
ミストを吹き付ける。養生ネット26と被塗装区域との間
に空隙が生じる場合は、養生ネット26から被塗装区域へ
向けて伸縮ネット27を伸ばして空隙を覆う。図中の符号
28は伸縮ネット27を収納する伸縮ネットシリンダーを示
す。

【００１４】図示例の塗装ロボット22は塗装状況を監視
する監視カメラ33を有し、監視カメラ33の画像を地上の
ＣＲＴ35の画面で監視できる。ＣＲＴ35の画面を監視す
る地上の作業員は、必要に応じて操作盤34及び制御盤36
を介して吹き付けノズル３の移動、伸縮ネット27の展
設、吊り治具24の位置等を調節することができる。所定
被塗装区域の塗装終了後、塗装ロボット22を構造物表面
21上の他の被塗装区域へ順次移動させることにより、構
造物表面21全体の塗装が行える。吹き付けノズル３には
地上の塗料供給装置30から塗料及び圧縮空気が供給され
る。

【００１５】図２の塗装ロボット22によれば、作業員自
身が高所で塗装作業を行う必要がなく、地上から高所の
塗装作業を行えるので、作業の安全が図れる。しかし従
来の塗装ロボット22は、吹き付けノズル３から噴出した
塗料ミスト４が風等で近隣に飛散して問題を生じること
があった。ノズル３の先端に例えば図１に示す飛散防止
具を取り付けることにより、塗料ミスト４の飛散を防
ぎ、塗装ロボット22の利用を促進することができる。但
し本発明による塗料ミストの飛散防止方法及び飛散防止
具は塗装ロボット22での使用に限定されず、吹き付け塗
装一般で使用できるものである。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗料ミス
トの飛散防止方法及び飛散防止具は、吹き付けノズルの
周縁を封止する筒状フードと被塗布域との間の空隙を環
状の帯電繊維群で覆うので、以下の顕著な効果を奏す
る。

【００１７】（イ）吹き付け塗装における塗料ミストの
被塗布域外への飛散が防止できるので、吹き付け塗装に
よる公害の問題の解決に寄与できる。（ロ）構造が簡単であり、比較的簡単に製造できる。（ハ）従来の吹き付けノズルに取り付けて利用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本発明の一実施例の説明図である。

【図２】は、本発明の他の実施例の説明図である。

【符号の説明】

１…被塗装域３…吹き付けノズル４…塗料ミスト６…筒状フード７…封止端８…開口端 10…フランジ 11…帯電繊維群 21…構造物壁面 22…塗装ロボット 23…吊り支持具 24…吊り治具 25…ワイヤ 26…養生ネット 27…伸縮ネット 28…伸縮ネットシリンダ 30…塗料供給装置 33…監視カメラ 34…操作盤 35…ＣＲＴ 36…制御盤

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】被塗布域へ向けた吹き付けノズルからの塗
料ミストが該被塗布域の外へ飛散するのを防止する方法
において、筒状フードの一端で前記ノズル周縁を封止し
且つ該フードの他端開口を前記被塗布域に臨ませて前記
塗料ミストの流路を覆い、前記フードの他端開口の周縁
全面に前記被塗布域へ向けて環状の帯電繊維群を立設
し、前記環状の帯電繊維群により前記フードと前記被塗
布域との間隙からの塗料ミストの飛散を防止してなる塗
料ミストの飛散防止方法。
【請求項２】請求項１の飛散防止方法において、前記筒
状フードを末広がり筒状フードとし、該フードの小径端
で前記ノズル周縁を封止してなる塗料ミストの飛散防止
方法。
【請求項３】請求項１又は２の飛散防止方法において、
前記帯電繊維群を、静電気が帯電した材料又は静電気が
発生し易い材料製の繊維群としてなる塗料ミストの飛散
防止方法。
【請求項４】請求項１から３の何れかの飛散防止方法に
おいて、前記帯電繊維をポリプロピレン製としてなる塗
料ミストの飛散防止方法。
【請求項５】塗料ミストの吹き付けノズルの周縁に該周
縁を封止するように取り付ける小径端と他端開口とを有
する末広がり筒状フード、及び前記フードの他端開口の
周縁全面に前記ノズルと反対向きに立設した環状の帯電
繊維群を備えてなり、前記環状の帯電繊維群により前記
フードの他端開口の周縁からの塗料ミストの飛散を防止
してなる塗料ミストの飛散防止具。
【請求項６】請求項５の飛散防止具において、前記筒状
フードを円錐状フードとし、前記環状の帯電繊維群を前
記円錐状フードの開口の周縁全面にブラシ状に設けたパ
イルとしてなる塗料ミストの飛散防止具。
【請求項７】請求項５又は６の飛散防止具において、前
記帯電繊維をポリプロピレン製としてなる塗料ミストの
飛散防止具。