JPH0610U - 乗用農作業機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗降用ステップ９を前後部ステップ９Ａ，９
Ｂに２分割して、製作や機体１側への組付性などを良好
としながら、分割された各ステップ９Ａ，９Ｂを少ない
締込具１０でもって機体１側に簡単に固定し、また、各
ステップ９Ａ，９Ｂの継ぎ部間隙間を均一化し、継ぎ部
を平滑状として各種作業を良好に行えるようにする。 【構成】 乗降用ステップ９を前部ステップ９Ａと後部
ステップ９Ｂとに２分割すると共に、各ステップ９Ａ，
９Ｂの継ぎ部における一方の遊端部を他方の遊端部に上
下重合させて、上部側に位置する各ステップ９Ａ，９Ｂ
の一方と、各ステップ９Ａ又は９Ｂを支持する機体１と
の間に、各ステップ９Ａ又は９Ｂを機体１に押し付ける
締込具１０を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、田植機やトラクタなどの乗用農作業機、詳しくは、運転席と、該運 転席への乗降用ステップとを備えた乗用農作業機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種乗用農作業機は、機体の前部にエンジンを搭載し、該エンジンの 外周囲をボンネットで被覆すると共に、前記機体の前後左右両側にそれぞれ前輪 と後輪とを支持して、これら前，後輪間で前記機体上に運転席を設ける一方、こ の運転席の下部側に、該運転席に乗り降りするための乗降用ステップを設けてい る。

【０００３】 また、前記乗降用ステップは、例えば田植機による苗植作業時に便利ならしめ るために、前記運転席に設ける操縦座席に乗り降りするための乗降口だけではな く、該乗降口から機体の前後外周囲を取り巻くように延長状に設けることが望ま しく、つまり、前記乗降口から前方側に延び、前記ボンネットの外周囲を取り巻 くように第１ステップ部を設けると共に、前記乗降口から前記操縦座席の取付下 部を経て前記機体の後部近くに至るフエンダ兼用の第２ステップ部を設けること が好ましいのである。斯くするときには、例えば田植機で苗植作業を行うような 場合で、苗載台に搭載された苗の残量が少なくなって、この苗載台への苗継ぎ作 業などを行うようなとき、前記第１及び第２ステップ部上に予備苗台を載置した り、また、前記各ステップ部に足を掛けながら予備苗台を取り上げて前記苗載台 の上部側から苗補給を行ったりすることにより、該苗載台への苗継ぎ作業などを 簡単に行うことができるのである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、以上のような乗降用ステップは、その製作や機体側への組付性など を考慮すると、前記ステップを複数に分割し、この分割された各ステップをボル トやナット及びブラケットなどの固定部品を介して前記機体側に固定することが 好ましいのであるが、斯くする場合には、前記各ステップを機体側に固定するた めに多くの固定部品を必要とするばかりか、これら各固定部品による前記各ステ ップの機体側への固定作業が複雑となり、しかも、前記各ステップの継ぎ部に形 成される隙間が不均一となり易く、この継ぎ部が凹凸状となって、前記各ステッ プ上に予備苗台を載置したり、又は、足を掛けながら各種作業を行うとき、前記 凹凸状の継ぎ部が邪魔になるなどの問題が発生する。

【０００５】 本考案の目的は、乗降用ステップを分割して、その製作や機体側への組付性な どを良好とするにも拘らず、分割された各ステップを少ない締込具でもって機体 側に簡単に固定することができ、しかも、前記各ステップの継ぎ部に凹凸などが 発生するのを確実に防止できて、各種作業を良好に行うことができる乗用農作業 機を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、運転席４と、この運転席４への乗降用 ステップ９とを備えた乗用農作業機において、前記ステップ９を前部ステップ９ Ａと後部ステップ９Ｂとに分割すると共に、前記前部ステップ９Ａと後部ステッ プ９Ｂとの継ぎ部における一方の遊端部を他方の遊端部に上下重合させて、上部 に位置する前記前部ステップ９Ａと後部ステップ９Ｂとの一方と、該ステップ９ Ａ又は９Ｂを支持する機体１との間に、前記ステップ９Ａ又は９Ｂを前記機体１ に押し付ける締込具１０を設けたのである。

【０００７】

【作用】

以上の乗用農作業機においては、前記乗降用ステップ９が前部ステップ９Ａと 後部ステップ９Ｂとに２分割されているため、前記ステップ９の製作や前記機体 １側への組付性を良好とすることができる。また、前記前後部ステップ９Ａ，９ Ｂを前記機体１側に固定するにあたっては、前記各ステップ９Ａ，９Ｂに設ける 継ぎ部の一方側遊端部を他方側遊端部に上下重合させた状態で、上部側に位置す る前記各ステップ９Ａ，９Ｂの一方側を前記締込具１０で機体１側に押し付け状 に固定することにより、前記締込具１０を介して前記各ステップ９Ａ，９Ｂ間が 互いに圧接された状態で機体１側に強固に固定されるのであり、従って、前記各 ステップ９Ａ，９Ｂを少ない締込具１０でもって前記機体１側に確実に固定する ことができ、しかも、前記各ステップ９Ａ，９Ｂにおける継ぎ部間の隙間を均一 化して、該継ぎ部を平滑状とすることができ、各種作業を良好に行うことができ るのである。

【０００８】

【実施例】

図４は乗用農作業機の一例として乗用型田植機を示しており、この乗用型田植 機は、機体１の前方上部にエンジン２を搭載して、該エンジン２の外周囲をボン ネット３で覆うと共に、前記機体１の後方上部に、操縦座席４１や操向ハンドル ４２などを備えた運転席４を設ける一方、前記機体１の前部両側に左右一対の前 輪５を支持し、かつ、前記機体１の後部両側には前記エンジン２で駆動される左 右一対の後輪６をそれぞれ支持している。また、前記機体１の後方部には、トッ プリンク７１と左右一対のロアリンク７２とを備えた平行リンク機構７を介して 苗植装置８を上下動自由に支持しており、この苗植装置８は、前記エンジン２か ら回転動力が伝達される複数の植付伝動ケース８１と、この伝動ケース８１に回 転自由に支持された複数の植付爪８２と、苗載台８３及び複数のフロート８４と を備え、前記エンジン２の駆動に伴い前記機体１を前進走行させながら、前記各 植付爪８２を回転させることにより、該各植付爪８２で前記苗載台８３上の苗を 順次取出して水田土壌面に植付けるようにしている。

【０００９】 また、前記運転席４の下部側には、乗降用ステップ９を設けるのであって、こ の乗降用ステップ９は、図３でも明らかにしたように、前記運転席４に設ける前 記操縦座席４１への乗降口９１と、該乗降口９１から前方側に延び、前記ボンネ ット３の外周囲を取り巻くように設けられた第１ステップ部９２と、前記乗降口 ９１から後方に延び前記操縦座席４１を取り巻き、フエンダを兼用する第２ステ ップ部９３とを備えている。従って、以上のようにこれら各ステップ９２，９３ 部を設けることにより、例えば、前記苗載台８３に搭載された苗の残量が少なく なって、該苗載台８３への苗継ぎ作業を行うようなとき、前記第１ステップ９２ 部上に予備苗台を載置して、この予備苗台を前記第１ステップ９２部に足を掛け て取り上げたり、また、取り上げた予備苗台を前記第２ステップ９３部に足を掛 けながら前記苗載台８３の上部側から簡単に苗継ぎ作業を行えることになる。

【００１０】 しかして以上の田植機において、図１，図３及び図４で示したように、前記乗 降用ステップ９のうち、前記第１ステップ部９１の前半部と、この第１ステップ 部９１の後半部及び第２ステップ部９２とを前部ステップ９Ａと後部ステップ９ Ｂとに２分割するのである。つまり、前記第１ステップ部９２における乗降口９ １の前方側部分から前後２つに分割して、この第１ステップ部９２の前方側で、 前記ボンネット３の前半部を取り巻く部分を前記前部ステップ９Ａとなし、また 、前記第１ステップ部９２の後部側で、前記ボンネット３の後半部を取り巻く部 分と前記乗降口９１及び第２ステップ部９３とを前記後部ステップ９Ｂとなし、 これら前後部ステップ９Ａ，９Ｂの継ぎ部を互いに重合させた状態で、該後部ス テップ９Ｂを後で詳述する締込具１０を介して前記機体１側に結合可能とするの である。

【００１１】 そして、図１で明らかなように、前記前部ステップ９Ａの後方遊端部に、前記 後部ステップ９Ｂの前部遊端側に向けて延びる延長部９４を一体に形成して、該 延長部９４上に前記後部ステップ９Ｂの前方遊端部を上下重合させるようになす と共に、上部側に位置される前記後部ステップ９Ｂの内面側と前記機体１との間 で、前記各ステップ９Ａ，９Ｂの継ぎ部近くにおける機体幅方向複数箇所に、こ の後部ステップ９Ｂを前記前部ステップ９Ａの延長部９４上に弾性的に圧接させ た状態で、前記後部ステップ９Ｂを前記機体１側に押付け固定する複数の締込具 １０を設ける。

【００１２】 さらに詳記すると、前記前部ステップ９Ａの下部側に、前記後部ステップ９Ｂ の前方下面側に向けて延びる支持板１１を配設し、この支持板１１の下面複数箇 所を前記機体１のメインフレーム側から延びる分岐フレーム１２に固定された複 数の支持杆１３を介して固定し、かつ、前記支持板１１の後端側を前記機体１側 に固定されたブラケット１４に固定すると共に、前記支持板１１の上部側で前記 前部ステップ９Ａの延長部９４との対向箇所にシール板１５を設けて、該シール 板１５上に前記延長部９４を対接させた状態で、前記支持板１１の上部側に前記 前部ステップ９Ａを複数の固定ビスＢで固定することにより、前記前部ステップ ９Ａを前記支持板１１を介して機体１側に固定支持させる。

【００１３】 また、前記締込具１０は、図１，図２で明らかなように、先端にフック１０ａ をもつ係止部材１０ｂと、前記フック１０ａに係止される引掛杆１０ｃをもつ揺 動操作体１０ｄとを備え、該揺動操作体１０ｄに枢支軸１０ｅを介して板部材１ ０ｆを揺動可能に支持して、この板部材１０ｆを前記ブラケット１４に連結部材 １６を介して支持された取付板１７に固定すると共に、前記係止部材１０ｂを前 記前部ステップ９Ａの延長部９４上に重合される前記後部ステップ９Ｂの内面側 で、該後部ステップ９Ｂの遊端側近くに固定ビスＢを介して固定する。そして、 前記引掛具１０ｃを前記フック１０ａに係止させた状態で、前記揺動操作体１０ ｄを前記枢支軸１０ｅを中心に揺動操作することにより、前記後部ステップ９Ｂ の前方遊端部を前記前部ステップ９Ａの後方遊端側に設けた延長部９４上に押し 付けた状態で機体１側にワンタッチ操作で固定可能とするのである。尚、図１に おいて、１８は前記機体１側から側外方に延びる予備苗載台（図示せず）の支持 ステーであって、このステー１８を介して前記ステップ９上に予備苗載台などを 支持するようにしており、また、前記ステー１８には前記ブラケット１４と前記 連結部材１６とを結合させている。また、図３中、９５は前記各ステップ９Ａ， ９Ｂに跨がって形成したボンネット３の切欠き部であり、９６は前記運転席４の 取付用切欠きである。

【００１４】 以上のように、前記乗降用ステップ９を前部ステップ９Ａと後部ステップ９Ｂ とに２分割することにより、前記ステップ９の製作や前記機体１側への組付性を 良好とすることができるのであり、しかも、前記後部ステップ９Ｂを前記機体１ 側に固定するにあたっては、該後部ステップ９Ｂの前方遊端部を前記前部ステッ プ９Ａの後方遊端側に設けた延長部９４上に上下重合させた状態で、前記締込具 １０をワンタッチ操作することにより、上部側に位置される前記後部ステップ９ Ｂを前部ステップ９Ａ側に押し付け状に固定して、これら各ステップ９Ａ，９Ｂ の継ぎ部間を互いに圧接させた状態で機体１側に簡単かつ強固に固定できるので あり、従って、前記各ステップ９Ａ，９Ｂを少ない締込具１０でもって前記機体 １側に確実に固定することができ、しかも、前記各ステップ９Ａ，９Ｂにおける 継ぎ部間の隙間を均一化して、該継ぎ部を平滑状とすることができ、各種作業を 良好に行うことができるのである。

【００１５】 さらに、図３の実施例では、前記各ステップ９Ａ，９Ｂの継ぎ部近くにおける 機体幅方向複数箇所で前記後部ステップ９Ｂの内面側と機体１との間に、前記締 込具１０をそれぞれ設けて、これら各締込具１０で前記各ステップ９Ａ，９Ｂの 継ぎ部を圧接状に結合させるだけではなく、前記締込具１０の複数個を前記機体 １と前記後部ステップ９Ｂにおける前後方向中間部の両側内面や後部両側内面と の間にそれぞれ介装させて、この後部ステップ９Ｂの全体を前記各締込具１０を 介して前記機体１側にワンタッチ操作で簡単に固定できるようにしている。また 、前記前部ステップ９Ａ側においては、その前方部両側内面と前記機体１との間 にそれぞれ前記締込具１０を介装させて、この各締込具１０で前記前部ステップ ９Ａの前部側を前記機体１側に固定するようにしている。

【００１６】 また、以上の実施例では、前記前部ステップ９Ａを機体１側に固定し、この前 部ステップ９Ａの後方遊端側に設けた延長部９４上に前記後部ステップ９Ｂの前 方遊端部を締込具１０を介して圧接状に固定するようにしたが、本考案では、前 述した場合とは逆に、前記後部ステップ９Ｂを機体１側に固定し、この後部ステ ップ９Ｂの前方遊端部上に前記前部ステップ９Ａの後方遊端側を重合状に載置し て、この前部ステップ９Ａを前記締込具１０を介して前記後部ステップ９Ｂに圧 接状に固定するようにしてもよいのである。さらに、前記実施例では、乗用農作 業機の一例として乗用型田植機を示したが、本考案は、田植機に限らず例えばト ラクタなどの乗用農作業機に適用することもできる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案では、運転席４と、該運転席４への乗降用ステッ プ９とを備えた乗用農作業機において、前記ステップ９を前部ステップ９Ａと後 部ステップ９Ｂとに分割すると共に、前記前部ステップ９Ａと後部ステップ９Ｂ との継ぎ部における一方の遊端部を他方の遊端部に上下重合させて、上部に位置 する前記前部ステップ９Ａと後部ステップ９Ｂとの一方と、該ステップ９Ａ又は ９Ｂを支持する機体１との間に、前記ステップ９Ａ又は９Ｂを前記機体１に押し 付ける締込具１０を設けたから、前記乗降用ステップ９を分割することにより、 その製作や機体１側への組付性などを良好とすることができながら、分割された 前記各ステップ９Ａ，９Ｂを少ない締込具１０でもって機体１側に簡単に固定す ることができ、しかも、前記各ステップ９Ａ，９Ｂにおける継ぎ部間の隙間を均 一化して、該継ぎ部を平滑状とすることができ、各種作業を良好に行うことがで きるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる乗用農作業機の要部を示す縦断
側面図。

【図２】締込具の側面図。

【図３】乗降用ステップの平面図。

【図４】乗用農作業機の一例として乗用型田植機の全体
構造を示す側面図。

【符号の説明】

１ 機体 ４ 運転席 ９ 乗降用ステップ ９Ａ 前部ステップ ９Ｂ 後部ステップ １０ 締込具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 運転席４と、この運転席４への乗降用ス
   テップ９とを備えた乗用農作業機において、前記ステッ
   プ９を前部ステップ９Ａと後部ステップ９Ｂとに分割す
   ると共に、前記前部ステップ９Ａと後部ステップ９Ｂと
   の継ぎ部における一方の遊端部を他方の遊端部に上下重
   合させて、上部に位置する前記前部ステップ９Ａと後部
   ステップ９Ｂとの一方と、該ステップ９Ａ又は９Ｂを支
   持する機体１との間に、前記ステップ９Ａ又は９Ｂを前
   記機体１に押し付ける締込具１０を設けていることを特
   徴とする乗用農作業機。