JPH0610236Y2 - 密閉型車両用ドラムブレーキのブリーザパイプ接続構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内部を密閉した車両用ドラムブレーキであっ
て、特にブレーキ室と大気とを連通するブリーザパイプ
の接続構造に関する。

〔従来の技術〕

不整地を走行するバギー車等に用いられる密閉型ドラム
ブレーキでは、密閉されたブレーキ室内部に制動熱が滞
留して内圧が上昇することがないように、ブレーキ室に
大気と連通するブリーザパイプを連結して、吸・排気を
行なうようにしたものがあり、この種の従来例として
は、例えば特開昭６１−１１６１２９号公報に開示され
るものがある。

この技術は、バックプレートとブレーキカバーとで密閉
されるブレーキ室に、ブレーキドラムが回転可能に配置
され、バックプレートとブレーキカバーとに、吸気及び
排気用のブリーザパイプを接続するための２つのブリー
ザパイプ接続管が取付けられている。

〔考案が解決しようとする課題〕 しかしながら上述のものでは、ブリーザパイプ接続管
が、プレス成形に適した薄板のバックプレートやブレー
キカバーに、溶接やボルト止め等の固定手段で取付けさ
れることから取付けしにくく、また取付け時間がかかっ
てコスト高になるといった難点があった。

また、ブレーキ室に気密性を要するため、実施にはブレ
ーキパイプ接続管の固定部にシール材を用いる必要があ
つた。

本考案は、かかる実情を背景にしてなされたもので、ブ
レーキ室のシール性が高く、且つブリーザパイプ接続管
を短時間で容易に取付けできて、生産性の向上とコスト
の低減が図れる密閉型車両用ドラムブレーキのブリーザ
パイプ接続構造を提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上述の目的を達成するため、密閉したブレー
キ室に、吸・排気用のブリーザパイプを接続した密閉型
車両用ドラムブレーキにおいて、車体に固設されるバッ
クプレートの周縁部に環状の弾性シール部材を固着し
て、ブレーキドラムの開口端部との間の間隙をシール
し、該シール部材に、バックプレート軸方向の貫通孔を
形成すると共に、該貫通孔にブリーザパイプ接続管を嵌
着して、ブリーザパイプを接続する接続口部をバックプ
レート外部に突出配置したことを特徴としている。

〔作用〕

上記の構成によれば、ブリーザパイプ接続管は、バック
プレート及びブレーキドラム間のシール部材を利用して
取付けられるので、溶接やボルト止め等の固定手段を不
要にして簡便に取付けできると共に、固定部にもシール
材を要しない。

〔実施例〕

以下、本考案の第１実施例を第１図乃至第５図に基づい
て説明する。

ドラムブレーキ１は、車体に固設されるバックプレート
２に、車輪と一体に回転するブレーキドラム３を対向し
て配置し、バックプレート２の外側の周縁部２ａとその
外方を覆うブレーキドラム３の開口端部３ａとの間隙
を、環状の弾性シール部材４でシールして、内部に気密
なブレーキ室５を画成した密閉型で、ブレーキ室５に
は、一対のブレーキシュー６，６が配設されている。

各ブレーキシュー６は、ウェブ６ａの両端部６ｂ，６ｃ
を、バックプレート２の内部に対向して固設されるカム
部材７とアンカー８とに当接支持されており、ウェブ６
ａ，６ａ間には、両ブレーキシュー６，６を縮径方向に
付勢するリターンスプリング９，９が張設されている。

カム部材７は、バックプレート２に貫通配置されるカム
ホルダ１０と、該ホルダ１０の軸孔１０ａに内挿される
カム軸１１とからなり、カムホルダ１０の内端からブレ
ーキ室５に突出するカム軸１１の一端には、両ブレーキ
シュー６，６の拡開側の端部６ｂ，６ｂを支承する二面
取りのカム１１ａが設けられ、またカムホルダ１０の外
端からバックプレート２の外部に突出するカム軸１１の
他端には、該軸１１を回動操作するブレーキレバー１２
が固着されている。

そして、図示しないブレーキケーブルの牽引により、ブ
レーキレバー１２と共にカム軸１１が回動すると、両ブ
レーキシュー６，６が、アンカー８側の端部６ｃ，６ｃ
を支点に拡開し、外周のライニング６ｄ，６ｄをブレー
キドラム３の内周面３ｂに摺接して制動作用を行なう。

前記シール部材４は、バックプレート２の周縁部２ａに
締め代を以て外嵌されるリング部４ａと、該リング部４
ａに連続するフランジ部４ｂと、該フランジ部４ｂから
突出して、ブレーキドラム３の開口端部３ａ内周に弾性
的に圧接される３条のシールリップ４ｃとを備えてお
り、リング部４ａ及びフランジ部４ｂ内には、断面Ｌ字
形の芯金１３がモールドされている。

リング部４ａの内周側には、周方向のねじれを防止する
ために、バックプレート２の周縁部２ａの嵌合凹部２ｂ
に嵌合するガイド突部４ｄが突設され、この突部４ｄと
対向するリング部４ａの外周側にはボス部４ｅが突設さ
れており、該ボス部４ｅには、芯金１３を貫通してバッ
クプレート軸方向に穿設した貫通孔４ｆに、ブリーザパ
イプ１４を接続するためのブリーザパイプ接続管１５が
取付けられている。

バックプレート２には、上記貫通孔４ｆと同軸上に通孔
２ｃが穿設され、ブリーザパイプ接続管１５は、通孔２
ｃに嵌着したグロメット１６を通して貫通孔４ｆに圧入
嵌合されており、バックプレート２の外部に突出する接
続口部１５ａに、ブリーザパイプ１４がクランプ１７に
て接続される。

ブリーザパイプ１４は、制動の繰返しによってブレーキ
室５に生じる制動熱と、室外の大気とを吸・排気して交
換し、ブレーキ室５内の高温化と圧力上昇を防止して、
円滑な制動作用を図るもので、ブリーザパイプ１４の開
放側の端部は、走行時に塵埃や泥水等が侵入しないよ
う、車体上部位置に車体後部側へ向けて配設される。

本実施例は、以上のように、ブリーザパイプ接続管１５
を、バックプレート２の周縁部２ａに外嵌されるシール
部材４を利用して、その貫通孔４ｆに容易に圧入嵌合で
きるので、溶接やボルト止めによる固定部材が不要とな
って、取付け工程の簡素化とコストダウンが図れ、また
弾性体のシール部材４によって液密にシールされるの
で、別途にシール材を要しない。

更に、ブリーザパイプ接続管１５は、グロメット１６を
介してバックプレート２にても保持されるので、より強
固で確実に取付けされる。

第６図及び第７図は第２実施例を示し、シール部材４に
は、嵌合凹部２ｂに嵌合されるガイド突部４ｄと対向す
るバックプレート２側に、該プレート２の通孔２ｃに嵌
合されるボス部４ｇが設けられ、ブリーザパイプ接続管
１５は、ガイド突部４ｄからボス部４ｇに亙って、バッ
クプレート軸方向に貫通形成される貫通孔４ｈに、接続
口部１５ａをバックプレート２の外部に突出させて圧入
嵌合されるもので、上記第１実施例と同様の効果を図り
つつ、グロメット１６を省略して、より簡略な取付けを
行なえるようにしている。

〔考案の効果〕

本考案は以上説明したように、車体に固設されるバック
プレートの周縁部に環状の弾性シール部材を固着して、
ブレーキドラムの開口端部間の間隙をシールし、該シー
ル部材に、バックプレート軸方向の貫通孔を形成すると
共に、該貫通孔にブリーザパイプ接続管を嵌着して、接
続口部をバックプレート外部に突出配置したから、短時
間で容易に取付けできると共に、溶接やボルト止め等の
固定手段が不要となって、生産性の向上とコストダウン
が図れる。

またブリーザパイプ接続管は、シール部材に直接取付け
られるのでシール性が高く、別途にシール材を要しな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案の第１実施例を示し、第１図
は第４図のＩ−Ｉ断面図、第２図は第１図のII−II断面
図、第３図はドラムブレーキの正面図、第４図は同じく
背面図、第５図は第３図のＶ−Ｖ断面図、第６図及び第
７図は第２実施例を示し、第６図は要部断面正面図、第
７図は６図のVII−VII断面図である。 １……ドラムブレーキ、２……バックプレート、２ａ…
…周縁部、３……ブレーキドラム、３ａ……開口端部、
４……環状のシール部材、４ａ……リング部、４ｂ……
フランジ部、４ｃ……シールリップ、４ｄ……ガイド突
部、４ｅ……ボス部、４ｆ……貫通孔、５……ブレーキ
室、６……ブレーキシュー、１４……ブリーザパイプ、
１５……ブリーザパイプ接続管、１５ａ……接続口部、
１６……グロメット、１７……クランプ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】密閉したブレーキ室に、吸・排気用のブリ
   ーザパイプを接続した密閉型車両用ドラムブレーキにお
   いて、車体に固設されるバックプレートの周縁部に環状
   の弾性シール部材を固着して、ブレーキドラムの開口端
   部との間の間隙をシールし、該シール部材に、バックプ
   レート軸方向の貫通孔を形成すると共に、該貫通孔にブ
   リーザパイプ接続管を嵌着して、ブリーザパイプを接続
   する接続口部をバックプレート外部に突出配置したこと
   を特徴とする密閉型車両用ドラムブレーキのブリーザパ
   イプ接続構造。