JPS6315620Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はピンタイプデイスクブレーキにおける
ピン滑動面封止用防塵ブーツの破損防止構造に関
するものである。

一般にピンタイプデイスクブレーキは、ロータ
ーの縁部に固設された固定支持体（サポート又は
ナツクル、フオーク）と、ローター縁部を跨ぐよ
うに配設されて、ローターを挾んで対向する一対
の摩擦パツドを該ローターに挾圧させるキヤリパ
とのいずれか一方にスライドピンを固定し、これ
ら固定支持体又はキヤリパのいずれか他方に、該
スライドピンと滑合する開口を形成し、これらの
滑動関係によつて前記キヤリパのローター軸方向
移動を保障して支持する形式のものであり、スラ
イドピンの外周と、固定支持体又はキヤリパの開
口外縁に渡つて略筒状・蛇腹状等の弾性（ゴム）
ブーツを架設することにより、滑動面を外気から
封止するようにできるという良好な防塵構造のと
り易いものとして知られている。

ところで、このような形式の滑動面封止構造を
なす防塵ブーツについては、ブレーキ装置が外部
に露出した形で車両に装着されるのが普通である
から、車両走行時に飛石などが防塵ブーツに当
り、これがために該ブーツが破損され、滑動面の
外気からの封止が損なわれることがあるという虞
れが指適されていた。

このようなことから、ピンタイプデイスクブレ
ーキの防塵ブーツ破損防止のために、従来、防塵
ブーツの外周を被覆するような筒状スリーブをか
ぶせるような工夫がなされているが、本考案にお
いては、このような筒状スリーブの組付け作業手
間、組付けのための係止部位の加工等を生ずるこ
となく、防塵ブーツの破損防止が図れるようにし
た構造のものを提供するものである。

而して上述目的を実現する本考案よりなるピン
タイプデイスクブレーキの特徴は、ローター縁部
付近に固設される固定支持体、又はローター縁部
を跨座するように配設されたキヤリパのいずれか
一方に形成された開口と、これら固定支持体又は
キヤリパのいずれか他方に組付け固定されたスラ
イドピンとの滑合により、キヤリパをローター軸
方向移動可能に支持するピンタイプデイスクブレ
ーキにおいて、前記スライドピンの外周から開口
外縁のスライドピン径方向外側位置との間に弾性
防塵ブーツを架設し、この弾性防塵ブーツは、前
記開口外縁に組付け部される一端部と、該一端部
から軸方向に直筒状に延出された筒状部分と、該
筒状部分の延出先端から径方向内側に屈曲延出さ
れてスライドピン軸方向の伸縮性を付与する屈曲
部分と、この屈曲部分の先端において前記スライ
ドピンの外周に組付けられる他端部分とを有し、
前記弾性防塵ブーツの開口外縁への組付けは、開
口外縁に形成した嵌合周部に対し弾性防塵ブーツ
の前記一端部外周に固定した剛性筒状スリーブを
嵌合して組付けるよう設けると共に、この剛性筒
状スリーブは前記弾性防塵ブーツの筒状部分の外
周を覆う位置まで延出されているという構成をな
すところにある。

以下本考案を図面に示す実施例に基づいて説明
するが、図面はピンタイプデイスクブレーキのピ
ン滑動支持部を示して他の構成部分の図示は省略
している。

第１図は従来例の構造を示しており、１は車体
側の固定支持体としてのサポートであり、スライ
ドピン４が滑合される開口２が形成されていると
共に、開口２の外縁部には、ブーツ一端部組付け
のための周溝３が形成されている。

４のスライドピンは、ローター（図示せず）の
縁部に跨座するよう配置されたキヤリパ（図示せ
ず）に固定されており、その軸部は前記開口２に
滑合されている。また軸の一部にはブーツ他端部
の組付けのための周溝５が形成されている。

６は防塵ブーツであり、略筒状をなしてその両
端部は前記周溝３又は５に組付けられるための膨
大部７，８が形成されており、これらが一定の締
代をもつて該周溝３又は５に緊締組付けされる。

このような構成の従来例のものでは、飛石等に
てブーツ６の胴部が破損する虞れがあることは前
述の通りである。

第２図は、本考案の一実施例を示す防塵ブーツ
の破損防止構造を示しており、サポート１の開口
外縁には周溝ではなく、剛性筒状スリーブ９が軸
方向に組付けられるための嵌合周部である段付切
欠部１０が形成されている。

そしてこの剛性筒状スリーブ９は、一端部にお
いて内側に断面コの字状に折曲された組付け部１
１が形成されていると共に、その内周面には防塵
ブーツ６′が一体モールドによつて固着されてい
る。

防塵ブーツは、一端部７′からスライドピンの
軸方向に延出した筒状部分６a′と、その筒状部分
６a′の先端から径方向内側に屈曲延出されてスラ
イドピン軸方向の伸縮性を付与する屈曲部分６
b′と、この屈曲部分６b′の先端のスライドピン外
周への組付け部分である他端部８′とを有してい
る。

このような構成の剛性筒状スリーブ９が一体化
された防塵ブーツ６′の一部を第３図に拡大して
示している。この拡大図において明らかなよう
に、本例の剛性筒状スリーブ９と一体化された防
塵ブーツ６′は、その一端部７′が、剛性筒状スリ
ーブ９の組付け部１１に抱持される形成となつて
いるため、この組付け部１１からはみ出る部分
に、図示の如くサポート１の段付部１０外周面に
弾着するリツプ７″を設けることにより、同組付
け部分付近のシール性を確保するようになしてい
る。また他端部８′側については前述従来例と同
様である。

このような構成によれば、ピンタイプデイスク
ブレーキのピン滑動部を保護するための防塵ブー
ツは、外気からの封止を有効に果すと共に、剛性
筒状スリーブ９の存在によつて飛石等による破損
の虞れも殆どなくなり、しかもその組付け作業性
も防塵ブーツと剛性筒状スリーブが一体的である
ために従来例と比べても簡易であり、その実用上
の利益は大なるものである。

【図面の簡単な説明】

図面第１図は従来例のピンタイプデイスクブレ
ーキにおける防塵ブーツの構造を示す一部断面
図、第２図は本考案の一実施例を示す同様一部断
面図、第３図は同一実施例の防塵ブーツの一部拡
大断面図である。 １……サポート、２……開口、３……周溝、４
……スライドピン、５……周溝、６，６′……防
塵ブーツ、７，７′……一端部、８，８′……他端
部、７″……リツプ、９……剛性筒状スリーブ、
１０……段付部、１１……組付け部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ローター縁部付近に固設される固定支持体、又
   はローター縁部を跨座するように配設されたキヤ
   リパのいずれか一方に形成された開口と、これら
   固定支持体又はキヤリパのいずれか他方に組付け
   固定されたスライドピンとの滑合により、キヤリ
   パをローター軸方向移動可能に支持するピンタイ
   プデイスクブレーキにおいて、前記スライドピン
   の外周から開口外縁のスライドピン径方向外側位
   置との間に弾性防塵ブーツを架設し、この弾性防
   塵ブーツは、前記開口外縁に組付け部される一端
   部と、該一端部から軸方向に直筒状に延出された
   筒状部分と、該筒状部分の延出先端から径方向内
   側に屈曲延出されてスライドピン軸方向の伸縮性
   を付与する屈曲部分と、この屈曲部分の先端にお
   いて前記スライドピンの外周に組付けられる他端
   部分とを有し、前記弾性防塵ブーツの開口外縁へ
   の組付けは、開口外縁に形成した嵌合周部に対し
   弾性防塵ブーツの前記一端部外周に固定した剛性
   筒状スリーブを嵌合して組付けるよう設けると共
   に、この剛性筒状スリーブは前記弾性防塵ブーツ
   の筒状部分の外周を覆う位置まで延出されている
   ことを特徴とするピンタイプデイスクブレーキ。