JPH0599932A - 血液試料の分注方法 - Google Patents
血液試料の分注方法Info
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Abstract
上下分離された血液試料中から血漿成分の分注及び赤血
球成分の分注を行うに際して、高粘性の液体である赤血
球成分をできるだけ迅速に吸引する。 【構成】 ノズル部32はノズルベース35とディスポ
ーザブルチップ36とで構成され、XYZロボット34
によって上下左右に搬送される。ノズル部32によって
試験管62に入れられた血液試料中の血漿成分の分注が
まず行われ、次にディスポーザブルチップ36の内壁が
血漿コーティングされた後、赤血球成分の分注が行われ
る。
Description
ために血漿成分及び赤血球成分などの分注を行う自動分
注装置において採用される分注方法に関する。
各種検査が行われる。例えば、血液型判定検査等におい
ては、図10に示すように、採取された血液試料10は
試験管12に入れられ、まず、遠心分離処理がなされ、
これによって血液試料10は、およそ血漿成分14と赤
血球成分16とに分離される。なお、実際には血漿成分
14と赤血球成分16との間に、少量の白血球成分18
が表出するが、以下の説明に直接関与しないので他の図
面においては図示省略されている。
方法は、大別して2つの工程から成り、血漿分注工程と
赤血球分注工程とから成る。血漿分注工程においては、
ノズルチップ20によって血漿成分14が吸引され、他
の複数の容器22に血漿成分が所定量ずつ分注される。
また、赤血球分注工程では、ノズルチップ20によって
赤血球成分16が吸引され、その後、図示されていない
希釈用容器に一旦移されて希釈液と混合された後、再び
希釈された赤血球成分がノズルチップによって吸引さ
れ、他の複数の容器24に所定量ずつ分注される。そし
て、血液型判定用の試薬(血漿成分用試薬、赤血球成分
用試薬)が、それぞれ容器22,24に加えられる。
装置に送られ、光学的に容器内試料の凝集測定が行わ
れ、その結果からA型,B型,O型,AB型あるいはR
H型等の判定が行われる。
成分は、周知のように高粘性の液体(場合により、ゲル
状の物質)であり、従来の分注方法では、赤血球成分の
分注を迅速に行えないという問題あった。すなわち、赤
血球成分の粘性が極めて高いため、ノズルチップにより
吸引を行っても、ノズルチップ先端の小孔からスムーズ
に吸引されずに、所定量の吸引まで長時間を要し、この
ため、分注装置において迅速な分注を行うことができな
かった。
チップを取り替えることなく、ノズルチップの洗浄によ
って血液試料間の汚染を防止していたが、洗浄は煩雑で
あるため、ノズルチップのディスポーザブル化が要望さ
れていた。
ものであり、その目的は、高粘性の赤血球成分をできる
だけ迅速に吸引して分注装置の処理能力を向上させるこ
とのできる血液試料の分注方法を提供することにある。
成分とをディスポーザブルなノズルチップで円滑に吸引
できる分注方法を提供することにある。
め、請求項1記載の発明は、血漿成分と赤血球成分とが
上下分離している血液試料を入れた試験管からノズルチ
ップによって別の容器へ前記血漿成分と前記赤血球成分
とを順次分注する血液試料の分注方法において、前記試
験管内で上方に存在している前記血漿成分を前記ノズル
チップによって吸引し別の容器へ移す血漿分注工程と、
前記試験管内で下方に存在している前記赤血球成分を前
記ノズルチップによって吸引し別の容器へ移す赤血球分
注工程と、を含み、前記赤血球分注工程は、前記赤血球
成分を吸引する前に、少なくとも後に吸引される赤血球
成分が到達する範囲まで前記ノズルチップ内面を血漿成
分によってコーティングするコーティング工程を含むこ
とを特徴とする。
注工程が、前記ノズルチップ内に少量の血漿成分をコー
ティング用として残留させるコーティング準備工程を含
むことを特徴とする。
ーティング工程が、前記コーティング用血漿成分を含む
ノズルチップをその血漿成分の採取を行った試験管の上
方に位置させる位置決め工程と、前記試験管の上方にノ
ズルチップが位置している状態で、ノズルチップ内のコ
ーティング用血漿成分をチップ内で上昇及び下降させて
ノズルチップ内面に血漿成分をコーティングする血漿上
下工程と、前記ノズルチップを下降させ、残余のコーテ
ィング用血漿成分を再び前記試験管内に戻す血漿返還工
程と、を含むことを特徴とする。
ルチップは使い捨て型であり、1つの血液試料に対して
は前記血漿分注工程及び前記赤血球分注工程で同一のノ
ズルチップが連続して用いられ、次の血液試料の分注前
に前記ノズルチップが新しいものに交換されることを特
徴とする。
グ工程にてノズルチップ内面が血漿成分によってコーテ
ィングされるので、赤血球成分を吸引する際に、ノズル
チップ内面の摩擦抵抗を緩和して、円滑に赤血球成分の
吸引を行える。従って、赤血球成分の吸引に要する時間
を短縮して、分注装置の単位時間当たりの分注処理能力
を向上させることができる。また、このように血漿コー
ティングを行えば、赤血球成分がノズルチップの内面に
付着(又は吸着)することが効果的に回避され、希釈時
における撹拌の円滑化(高速化)及び希釈精度の向上を
図ることができる。ここで、血漿コーティングは、少な
くとも赤血球成分が到達する範囲まで行われる。
分注工程で吸引された血漿成分の一部がそのままコーテ
ィングに用いられるので、血漿コーティングに当たっ
て、再度血漿成分の吸引を行うことなく、血漿分注工程
から引き続きコーティング工程を円滑に実行させること
ができる。
が吸引されたのと同一の試験管の上方にノズルチップを
位置させて血漿コーティングの処理を行えるので、他の
試験管内に入れられた血液試料が汚染されること、すな
わちコンタミネーションを確実に防止することができ
る。そして、血漿コーティングで用いられた残余の血漿
成分は、再び試験管内に返還されるので、貴重な血液試
料を無駄にすることなく血漿コーティングを行うことが
できる。
ズルチップの洗浄を行うことなく、確実にコンタミネー
ションを防止できる。
て説明する。
法を適用した分注装置30の外観が示されており、図1
はその斜視図である。
遠心分離後の血漿成分と赤血球成分とを分注するもので
あり、換言すれば、血液型判定のための前処理分注を行
うものである。
を行うノズル部32は、XYZロボット34によって保
持されており、ノズル部32は、3次元的に自在に移動
可能とされている。
されており、ノズル部32は、ノズルベース35とノズ
ルチップを成すディスポーザブルチップ(以下、チップ
という)36とで構成されている。すなわち、本実施例
の分注装置においては、ノズルチップとしてディスポー
ザブルなものが用いられている。なお、このチップ36
の上部開口には、ノズルベース35の先端部が加圧挿入
され、このようにチップ36の上部開口にノズルベース
35の先端部が嵌合することによって、チップ36がノ
ズルベース35に確実に固定される。チップ36の下方
先端には、小孔36aが形成され、この小孔36aから
血液試料が吸引され、あるいは吐出されることになる。
なお、チップ36は例えば硬質プラスチック等で構成さ
れ、ノズルベース35は金属等で構成される。
は、X駆動部34xと、Y駆動部34yと、Z駆動部3
4zとで構成され、Z駆動部34zにはノズル部32を
備えたエレベータ部38が昇降自在に連結されている。
このエレベータ部38はジャミングセンサ等の機能をな
すリミットスイッチ40を有し、このリミットスイッチ
40は、ノズル部32に加えられる上方への一定以上の
外的作用力を検出する。Z駆動部34zには希釈液の吐
出を行う希釈液ピペット42が固定配置されている。ノ
ズル部32には、エアホース44の一端が接続され、エ
アホース44の他端は吸引・吐出ポンプの作用を成すシ
リンジ46に接続されている。また、希釈液ピペット4
2には、希釈液ホース48の一端が接続され、その他端
は電磁バルブ50を介してシリンジ52に接続されてい
る。
エアホース44内の内圧を測定するための圧力センサ5
4が接続されている。なお、リミットスイッチ40から
の信号は信号ケーブル56を介して装置本体に送られて
いる。
には、遠心分離処理が行われた後の血液試料を入れた複
数の試験管62が起立保持されている。すなわち、この
試験管62には、図10で示したように、血漿成分と赤
血球成分とが上下分離している血液試料が入れられてい
る。また、分注台58上に設けられた水平台64には、
希釈容器66を複数備えた希釈トレイ68と、マイクロ
プレート70とが載置されている。ここで、マイクロプ
レート70には、分注される血漿成分又は希釈された赤
血球成分等を入れる容器であるウェルが複数形成されて
いる。すべての血液試料の分注後には、このマイクロプ
レート70が血液型判定のための装置へ移され、そこで
光学的に凝集判定等が行われる。なお、凝集判定は、目
視判定により行われる場合もある。
ィスポーザブル、すなわち使い捨て型であるため、チッ
プ立て72には複数の新品のチップが用意され、順次新
しいチップに交換される。またチップ廃棄トレイ74が
設けられている。
部32のチップ36によって血漿成分あるいは赤血球成
分を吸引してそれらを他の容器に移すことが自在に行え
る。もちろん、この分注装置を血液試料の分注以外に用
いることも可能であり、種々の応用が可能である。
構成がブロック図で示されている。ピストン76を進退
させることによりシリンジ46の内容積が可変し、これ
による吸引圧力あるいは吐出圧力は、エアホース44を
介してノズル部32のチップ36へ伝達され、血液試料
の吸引や吐出が行われる。エアホース44の内圧は圧力
センサ54によって検出され、そのセンサ信号はDCア
ンプ78にて増幅された後、リミッタ回路80を介して
A/D変換器82へ送られている。ここで、リミッタ回
路80は過大入力を抑制する保護回路である。A/D変
換器82は、センサ信号をデジタル信号に変換して、そ
れを制御部84に送出している。
されるものであって、シリンジ46の内容積制御やXY
Zロボット34の制御等を行うものである。そして、本
実施例において制御部84は粘性測定部86及びテーブ
ル88を含んでいる。これらの粘性測定部86及びテー
ブル88については後に述べる。
本発明に係る分注方法の具体的な実施例について説明す
る。
おり、図4には血漿吸引工程が示され、図5には血漿吐
出工程が示されている。
36が試験管62の上方から下降し、チップ36の先端
が血漿成分90の上面から所定距離L1入った位置で停
止する。ここで、L1としては例えば2〜3mmが好適で
ある。すなわち、あまり深くチップ36の先端を血漿成
分90内に挿入すると、せっかく遠心分離された2つの
成分が再び混り合う可能性が大きくなるからである。
ゆる液面検出が行われている。この液面検出は、圧力セ
ンサ54によってホース44の内圧を監視することによ
り行われており、制御部84はホース44の内圧が急変
したときにチップ36の先端が液面に達したことを確認
している。
の吸引が行われている。すなわち、ピストン76を引き
出し、シリンダ46の内容積を増大させ、これによって
チップ36内に血漿成分90を取り込む。なお、例えば
30μl〜300μl程度が吸引される。ここで後に詳
述するように、その吸引量の中には血漿コーティングで
用いられる血漿成分も含まれている。ちなみに、最終的
にチップ36の内面に付着して吐出されない血漿成分の
量を見込んで吸引量を決定することが望ましい。
られ、その先端が血漿成分90の上面を出る寸前でチッ
プ36の上昇が一時的に停止される。そして、例えば
0.25秒程度の時間の経過後、ステップ104にてチ
ップ36が再度上昇することになる。ここでステップ1
03の工程がある理由は、チップ36の外壁に付着した
血漿成分をできるだけ試験管62内に返すためであり、
これによって分注精度を向上させることができる。そし
て、ステップ104の次に、図5のステップ105が実
行される。
プ105ではマイクロプレート70の所定のウェル92
内へチップ36が降ろされ、その先端が底面からL2の
距離にある位置でチップ36が停止する。ここで、L2
としては例えば2mm程度が好適である。すなわち、あま
り上方で血漿成分の吐出を行うと、いわゆる玉になって
速やかにウェル92内へ血漿成分を移すことが困難とな
るからであり、また、チップ36の先端をウェル92の
底面に当ててしまうと血漿成分の吐出が極めて困難にな
るからである。すなわち液体の性質からいって、例えば
L2として上記2mm程度が好適といえる。
する血漿成分の一部(所定量)が吐出されている。
下降され、その先端がウェル92の底面に“コツン”と
軽く当たるようにする。その当たる状態は上述したリミ
ットスイッチ40によって監視することができる。ステ
ップ108では、チップ36が上方に引き上げられてい
る。すなわち、このステップ107及びステップ108
にていわゆるタッチオフの垂直方式が実行されており、
チップ36の内面に付着した血漿成分を速やかに吐出さ
せることができる。
上方に引き上げられ、他のウェルについて吐出工程(S
105〜S109)が繰り返され、最終的に図において
ステップ109で示されるように、チップ36内に所定
量の血漿成分が残留することになる。ここで、その所定
量は例えば15〜20μlであり、その血漿成分は後に
述べる血漿コーティングに用いられる。すなわち、この
図5に示した血漿吐出工程における最終段階(S10
9)は、コーティング準備工程に相当し、コーティング
用として少量の血漿成分が残されている。
され、この赤血球分注工程は大別して4つの工程に分け
られる。すなわち、図6に示す血漿コーティング工程
と、図7に示す赤血球吸引工程と、図8に示す希釈工程
と、図9に示す赤血球希釈液吐出工程である。
について説明する。
示すステップ200が実行される。すなわち、XYZロ
ボット34によって、ステップ102で血漿成分が採取
された試験管62の上方にチップ36が位置決めされ
る。具体的には、チップ36の先端が試験管62の上部
開口内部にやや入った状態で位置決めされる。すなわ
ち、コーティングを行っている際に他の血液試料へコー
ティング用の血漿が飛散したりしてコンタミネーション
が生ずるのを防ぐためである。これによって、分注装置
の信頼性を向上できる。なお、ステップ200における
L3としては、例えば5mmである。
漿分注工程と赤血球分注工程では、同一のチップ36で
連続して分注作業が行われているが、もちろんその2つ
の工程の間でチップ36を新しいものへ交換してもよ
い。その場合にはステップ200の前工程としてコーテ
ィング用の血漿成分の吸引を行う工程を設ける必要があ
る。
るコーティング用血漿成分の再度の吸引(上昇)が行わ
れ、少なくとも後に吸引される赤血球成分が到達する位
置までそのコーティング用の血漿成分が吸引されること
になる。厳密には、後に希釈された赤血球成分、すなわ
ち赤血球希釈液が到達する範囲までコーティングが実行
される。
血漿成分の吐出(下降)が行われ、ステップ203で示
されるように、その血漿成分がチップ36の先端に到達
したときに吐出の停止を行う。
テップ201及びステップ202で示されるように1回
の血漿成分の上下動により行われているが、必要があれ
ば数回上下させることも可能である。しかしながら、1
回上下動させれば十分コーティングが成し得ることが確
認されている。
その先端が血漿成分90内に挿入した状態でチップ36
の下降が停止する。ここで、図においてL4としては2
〜3mmが好適である。そして、ステップ205ではコー
ティングで用いられた残余の血漿成分が試験管内に返還
されている。すなわち、本実施例では貴重な血液試料を
無駄なく利用するため、再び試験管内にコーティング用
血漿成分が戻されている。なお、本実施例では血漿コー
ティングを少量の血漿成分によって行ったが、もちろん
多量の血漿成分を用いてコーティングを実行させること
も可能である。しかしながら、多量の血漿成分を用いれ
ば、上述したステップ102において不必要に多量の血
漿成分の吸引が必要とされ、また、ステップ205にお
いて多量の血漿成分を返還する際に、血漿成分及び赤血
球成分の混濁等が危惧されることから、血漿コーティン
グを少量で行うことが望ましい。
206が実行される。ステップ206ではチップ36を
更に下降させて先端を赤血球成分94内部に侵入させ
る。ちなみに、血液試料全体を100%として、血漿成
分90上面から75%程度のところにチップ36の先端
が位置することが望ましい。つまり、あまり深くチップ
36を侵入させると、チップ36の外壁に赤血球成分9
4が多く付着し、一方、浅すぎると確実に赤血球成分の
吸引を行うことが困難となるからである。
引が行われる。本実施例においては、例えば80μl吸
引される。
4は高い粘性を有する液体、あるいはゲル状の物質であ
り、チップ36先端の小孔を介して吸引を行うのはかな
りの圧力と時間を要する。しかしながら、本実施例にお
いては以下の2つの手法を適用して、できるだけ迅速な
吸引を実現している。その第1の手法としては、図6に
示した血漿コーティングであり、チップ36の内壁をコ
ーティングすることによって、チップ内壁の摩擦抵抗を
極力低減させて、円滑な赤血球吸引を確保する。また、
他の1つは一時的過大吸引による手法である。すなわ
ち、シリンジのピストンを最大限引き、その後圧力セン
サ54によってエアチューブ44の内圧を監視し、その
内圧が所定圧力になった時点でピストンを戻し、最終的
にチップ36内に所望の量だけ赤血球成分を吸引するよ
うにしたものである。つまり、赤血球成分のように高粘
性の液体はシリンジの動作量に迅速に追従して吸引され
ないので、吸引初期に最大限の吸引力を発揮させて、そ
の後、所望の量が吸引される直前にシリンジの動作量を
本来の適正な動作量に戻し、これによって最終的にシリ
ンジの動作量で定まる所定の吸引量を得るものである。
従って、ステップ208において圧力センサの検出値が
大気圧とほぼ等しくなったときに、吸引終了が確認され
る。厳密には、チップ36内に赤血球成分が吸引されて
いることに起因して、チューブ44内の圧力はやや大気
圧よりも低くなる傾向にある。最終的にステップ208
において、チップ36内に例えば80μlの赤血球成分
が吸引される。
り上方に引き上げられる。ここで、ゆっくり引き上げる
のは2つの成分の分離安定状態を維持するためであり、
不必要に乱流を巻き起こさないためである。そして、ス
テップ209で示されるように、血漿成分90の上面付
近で一時的にノズル36の上昇が停止され、その後ステ
ップ210において再度上方に引き上げられる。
空気が吸引され、チップ36の先端にエアキャップ99
が施される。これは、ノズル36の先端の縁に付着した
赤血球成分を完全に内部に取り入れるとともに、チップ
36から赤血球成分が滴下することを防ぐためである。
プ212が実行される。このステップ212では、チッ
プ36は希釈容器66の上方に搬送され、希釈液ピペッ
ト42から希釈液が希釈容器66内に所定量注入され
る。そして、ステップ213ではノズル36が上方から
下降して、その先端が希釈液96内に入れられる。な
お、図においてL5としては、例えば2mm程度が好適で
ある。希釈液としては例えば生理食塩水が用いられる。
6内に吸引される。従来においては、まず赤血球成分を
吐出することによって、赤血球成分と希釈液との混合・
希釈が行われていたが、本実施例においては、赤血球成
分が高粘性の液体であり、吐出が困難であることに鑑
み、まず初めに吸引しやすい希釈液を吸引して、その後
赤血球成分との段階的な混合を行っている。
釈容器66内へ吐出されている。この場合に、赤血球成
分はある程度希釈液によって希釈されているため、純粋
の赤血球成分のみを吐出する場合に比べ、ステップ21
5は極めて容易に混合液の吐出を行うことができる。そ
して、ステップ216では混合液である赤血球希釈液の
吸引が行われ、このステップ215及びステップ216
が本実施例においてはおよそ5回程度繰り返されてい
る。ただし、ステップ214からの一連の工程において
は、吸引あるいは吐出する対象物の粘性に合わせて最初
はゆっくり行われ、その後徐々に早く行われている。な
お、血漿コーティングが行われているため、ステップ2
14で希釈液の吸引を行うに際しては、コーティングを
行っていない場合に比べ、より円滑な吸引を行うことが
できる。
の先端が液面付近に達したときに、チップ36の引き上
げが一旦中断されて、更に上方に引き上げられている。
218が実行される。すなわち、チップ36はXYZロ
ボットによってマイクロプレートの特定ウェル98まで
搬送され、ステップ218に示されるようにチップ36
の先端がウェル98内部空間に入った状態でチップ36
の下降が停止されている。なお、図においてL6として
は例えば3mm程度が好適である。なお、図示されてはい
ないが、ウェル98内には予め試薬が分注によって所定
量入れられている。
球希釈液を所定量吐出させ、ノズル36の先端で玉状に
なった赤血球希釈液をステップ220においてウェル9
8の内壁に付着させる。すなわち、ステップ220にお
いては水平方式のタッチオフが行われており、このよう
にノズル36の先端をウェル下部の試薬に直接触れさせ
ることなく赤血球希釈液の吐出を行うことによってコン
タミネーションを防止している。
上方に引き上げられて、次のウェルへ移動し、再びステ
ップ218からステップ221までの工程が繰り返され
る。ある特定の血液試料に対して上記血漿分注工程及び
赤血球分注工程が実行された後、本実施例においては、
チップ36が新しいものに交換され、そして他の血液試
料に対して上記同様の血漿分注工程及び赤血球分注工程
が実行される。
て説明する。赤血球成分の粘性は、疾病の診断等におい
て有益な情報であり、また、血液試料の分注を行うに際
して、吸引圧力を設定する場合の判断材料として有益な
情報である。従来の分注装置においては、粘性測定装置
が設けられておらず、血液試料等の粘性を測定しようと
する場合には、他の測定器で血液試料の粘性を測定して
いた。従って、粘性測定後の血液試料は廃棄が余儀なく
され、また、粘性測定に時間がかかり、煩雑であるとい
う面もあった。
御部84に粘性測定部86が設けられており、分注と同
時進行で分注をしている液体の粘性を測定可能である。
に対して、初期吸引圧として一定圧力を発生させ、その
状態からある圧力になるまでの時間は密接な関係があ
り、シミュレーション等においてはほぼ比例関係にある
ことが確認されている。
し始めてその圧力が徐々に大気圧まで復帰するのに際し
て、特定の設定圧力まで復帰するのに要する時間と、そ
の液体の粘性との関係を記述したものがテーブル88で
ある。
血液試料の吸引を行うに際して、上述したように圧力セ
ンサ54によってエアチューブ44の内圧が監視されて
おり、粘性測定部86はピストン76を引いて初期吸引
圧を与えてからエアチューブ44の内圧がある設定圧力
になるまでの時間を計測し、更に粘性測定部86は、そ
の計測時間をテーブル88に対応させて血液試料の粘性
を求める。そして、求められた粘性は図示されていない
表示部に表示されるとともに、その結果が制御部84に
おいてシリンジのコントロール等に供されている。
ば、血液試料の吸引と同時進行で粘性測定が行えるた
め、粘性測定のための特別な時間を必要とせずに、極め
て簡便に粘性の測定が実現でき、また粘性測定のために
特別に血液試料を用意する必要がないという利点があ
る。
明によれば、血漿分注工程にコーティング工程が含まれ
ているので、赤血球成分を吸引する前にノズルチップ内
面を血漿コーティングして極めて粘性の高い赤血球成分
をできるだけ円滑に吸引することが可能となる。従っ
て、分注装置の単位時間当たりの分注処理能力を向上さ
せることができる。
程の終了時にコーティング用の血漿成分が残されるの
で、血漿コーティング工程の最初においてコーティング
用の血漿成分を吸引する特別な工程を必要とせずに、一
連の流れの中で血漿コーティングを行うことができる。
成分を採取した試験管の上方にノズルチップを位置させ
て血漿コーティングが行われるので、他の血液試料に対
するコンタミネーションを防止して、分注の信頼性を向
上できる。また、コーティングで用いられた血漿成分は
再び試験管内に返還されるので、貴重な血液試料を無駄
なく有効に利用して、血漿コーティングのために不必要
に人体から血液試料等を採取するといったことが回避さ
れる。
ポーザブルなノズルチップが用いられるので、ノズルチ
ップ洗浄に係る煩雑さを回避できる。
施例を示す外観図である。
ック図である。
図である。
図である。
を示す説明図である。
説明図である。
である。
を示す説明図である。
・赤血球の分注を示す説明図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 血漿成分と赤血球成分とが上下分離して
いる血液試料を入れた試験管からノズルチップによって
別の容器へ前記血漿成分と前記赤血球成分とを順次分注
する血液試料の分注方法において、 前記試験管内で上方に存在している前記血漿成分を前記
ノズルチップによって吸引し別の容器へ移す血漿分注工
程と、 前記試験管内で下方に存在している前記赤血球成分を前
記ノズルチップによって吸引し別の容器へ移す赤血球分
注工程と、 を含み、 前記赤血球分注工程は、 前記赤血球成分を吸引する前に、少なくとも後に吸引さ
れる赤血球成分が到達する範囲まで前記ノズルチップ内
面を血漿成分によってコーティングするコーティング工
程を含むことを特徴とする血液試料の分注方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の血液試料の分注方法にお
いて、 前記血漿分注工程の終了時に、前記ノズルチップ内に少
量の血漿成分をコーティング用として残留させるコーテ
ィング準備工程を含むことを特徴とする血液試料の分注
方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の血液の分注方法におい
て、 前記血漿コーティング工程は、 前記コーティング用血漿成分を含んだノズルチップをそ
の血漿成分の採取を行った試験管の上方に位置させる位
置決め工程と、 前記試験管の上方にノズルチップが位置している状態
で、ノズルチップ内のコーティング用血漿成分をチップ
内で上昇及び下降させてノズルチップ内面に血漿成分を
コーティングする血漿上下工程と、 前記ノズルチップを下降させ、残余のコーティング用血
漿成分を再び前記試験管内に戻す血漿返還工程と、 を含むことを特徴とする血液の分注方法。 - 【請求項4】 請求項1記載の血液試料の分注方法にお
いて、 前記ノズルチップは使い捨て型であり、1つの血液試料
に対しては前記血漿分注工程及び前記赤血球分注工程で
同一のノズルチップが連続して用いられ、次の血液試料
の分注前に前記ノズルチップが新しいものに交換される
ことを特徴とする血液試料の分注方法。
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