JPH0596271U - 複合パネルの取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 石材やタイルなどからなる化粧板を接着して
いる接着剤強度が低下しても化粧板が脱落することのな
い複合パネルの取付け構造を提供する。 【構成】 複合パネル３の裏面側からハニカムパネル３
ｂを貫通して化粧板３ａにまで達し、互いに反対方向に
傾斜する傾斜溝８，９内に先端を挿入した取付け金具１
０，１１の他端側を補助部材６を介してカーテンウォー
ル枠にそれぞれ固定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特に、大理石，花崗岩などの天然石材、結晶化ガラスなどの人工石 材、あるいは大型タイルなどの化粧板と補強パネルとを貼り合わせた複合パネル 体を、例えば、カーテンウォール枠や躯体壁面などに取付けるのに利用される複 合パネル体の取付け構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

上記のような天然石材，人工石材，タイルなどは、その高級イメージから建物 の内外装材としてしばしば使用されるが、軽量化を図るために、薄板に仕上げた 前記石材やタイルの裏面側にハニカムパネルなどの補強パネルを接着した複合パ ネルとして利用されることが多い。

【０００３】 そして、この複合パネルを、例えばカーテンウォールの仕上げ面材として使用 する場合には、前記複合パネルの裏面、すなわち補強パネル側をリベット工法や スタッドボルト工法などによって前記カーテンウォールの枠材に取付けるように していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、リベット工法やスタッドボルト工法などによって複合パネルを取付 けた従来のカーテンウォールにおいては、前述のように、複合パネルは補強パネ ルに石材やタイルなどの化粧板を接着した構造となっており、前記補強パネルが リベットやスタッドボルトによってカーテンウォール枠にしっかりと固定されて いるので、耐震性能や耐風圧性能など通常の評価基準は十分にクリアするものの 、補強パネルに化粧板を取付けている接着剤の強度が長期間に亙る経年変化や隣 接する建物の火災による加熱などによって低下する懸念があり、最悪の場合には 、前記化粧板が補強パネルから剥離して落下する危険がないとは言えないため、 外装材や高所部分への使用を制限せざるを得ないという問題点があって、石材や タイルからなる複合パネルを仕上げ面材として使用したこのようなカーテンウォ ールの適用範囲を拡大するうえでの課題となっていた。

【０００５】

【考案の目的】

本考案は、石材やタイルなどからなる化粧板と補強パネルとを貼り合わせてな る複合パネルをカーテンウォールの仕上げ面材として使用したり、建造物の内外 装材として使用したりする場合の上記課題に着目してなされたものであって、接 着剤の接着強度が低下したとしても化粧板が補強パネルから剥離したり、脱落し たりすることのない複合パネルの取付け構造を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係わる複合パネルの取付け構造は、化粧板の裏面に補強パネルを貼り 合わせた複合パネルの支持体への取付け構造であって、前記複合パネルに、該複 合パネルの裏面側から補強パネルを貫通して前記化粧板の内部にまで達しかつ互 いに反対方向に傾斜する傾斜溝を設け、前記各傾斜溝内に挿入され、その先端が 前記化粧板に係止した取付け部材の他端側を前記支持体にそれぞれ固定してなる 構成としたことを特徴としており、このような複合パネルの取付け構造の構成を 前述した従来の課題を解決するための手段としている。

【０００７】

【考案の作用】

本考案に係わる複合パネルの取付け構造においては、複合パネルの裏面に設け た傾斜溝に挿入して化粧板にその先端を係止させた取付け部材を介して当該複合 パネルをカーテンウォール枠や躯体壁面などの支持体に取付けるようにしており 、前記傾斜溝は複合パネルの裏面側から補強パネルを貫通して化粧板にまで達す るとともに、互いに反対方向に傾斜している。したがって、前記取付け部材の先 端部が傾斜溝に係止して前記化粧板を補強パネルと共にカーテンウォール枠など の支持体の側に引き寄せるので、仮に、何らかの原因で化粧板を補強パネルに取 付けている接着剤の強度が低下するようなことがあったとしても、前記化粧板が 補強パネルから剥離して脱落するようなことはなく、建物の外装や高所部分の内 装にこのような複合パネルを使用しても何ら危険性はない。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案を図面に基づいて具体的に説明する。

【０００９】 図１ないし図３は、本考案に係わる複合パネルの取付け構造の一実施例を説明 するものであって、図１および図２は本考案に係わる複合パネルの取付け構造を 適用したカーテンウォールの形状を示す垂直断面図および水平断面図である。

【００１０】 図に示すカーテンウォール１は、アルミニウム合金の押出形材からなる上フレ ーム２ａ，下フレーム２ｂ，および左右の竪フレーム２ｃ，２ｄにより形成され たカーテンウォール枠２（支持体）に、仕上げ面材として人工大理石からなる化 粧板３ａの裏面に補強パネルであるハニカムパネル３ｂをエポキシ系接着剤によ って貼り付けた複合パネル３を取付けたものであって、前記複合パネル３のハニ カムパネル３ｂはリベット４，４によってカーテンウォール枠２の上下フレーム ２ａおよび２ｂにそれぞれ固定されており、前記化粧板３ａの周囲とカーテンウ ォール枠２の各フレーム２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄとの間には、コーキング材５を 充填することによって防水処理が施してある。

【００１１】 また、前記カーテンウォール枠２の上下フレーム２ａおよび２ｂの間には、同 じくアルミニウム合金の押出中空形材からなる補助部材６が取付けられ、２組の ボルト７ａ，ナット７ｂによって前記上下フレーム２ａおよび２ｂに固定されて いる。

【００１２】 一方、前記複合パネル３には、その裏面側、すなわちハニカムパネル３ｂの側 から当該ハニカムパネル３ｂを貫通して前記化粧板３ａの板厚の中央付近にまで 達する１対の傾斜溝８および９が互いに反対方向に傾斜させて設けてあって、当 該傾斜溝８および９には、後述する形状を有する１対の取付け金具（取付け部材 ）１０，１１の先端側がそれぞれ挿入されるようになっている。

【００１３】 前記取付け金具１０，１１は、図３に示すように、金属の薄板を曲げ加工した ものであって、当該取付け金具１０，１１を前記補助部材６に固定するためのビ ス挿通孔１０ａ，１１ａを設けた基端部１０ｂ，１１ｂと、該基端部１０ｂ，１ １ｂから直角方向に屈折して前記複合パネル３の裏面との当接面を形成するパネ ル当接部１０ｃ，１１ｃと、このパネル当接部１０ｃ，１１ｃから前記傾斜溝８ ，９の傾斜角に相当する角度をもって突出する先端部１０ｄ，１１ｄをそれぞれ 備えており、前記ビス挿通孔１０ａ，１１ａと補助部材６のビス孔６ａ，６ａに 挿通したビス１２ａにナット１２ｂを螺合し、締め付けることによって当該取付 け金具１０および１１の基端部１０ｂおよび１１ｂがカーテンウォール枠２の上 下フレーム２ａ，２ｂの間に架設された前記補助部材６（図３中では仮想線で示 される）にそれぞれ固定されており、その先端部１０ｄおよび１１ｄを前記複合 パネル３のに前述のように、先端部１０ｄおよび１１ｄを前記複合パネル３の傾 斜溝８および９内に挿入し、その先端が当該傾斜溝８および９内で化粧板３ａに 係止した状態に保持されている。

【００１４】 このような構造を有するカーテンウォール１においては、前記複合パネル３の ハニカムパネル３ｂがリベット４，４によってカーテンウォール枠２に固定され ると共に、複合パネル３の裏面側から化粧板３ａにまで達する傾斜溝８，９に先 端部１０ｄ，１１ｄを挿入した取付け金具１０，１１がカーテンウォール枠２に 取付けられた補助部材６に固定されており、前記取付け金具１０，１１の先端部 １０ｄ，１１ｄが互いに反対方向に傾斜した前記傾斜溝８，９に両方向から係止 して前記化粧板３ａとハニカムパネル３ｂとをカーテンウォール枠２の側に引き 寄せるので、化粧板３ａとハニカムパネル３ｂとを接着している接着剤の強度が 低下したとしても、化粧板３ａが脱落することはなく、化粧板３ａをハニカムパ ネル３ｂ上に保持することができる。

【００１５】 なお、上記実施例においては、取付け金具１０，１１（取付け部材）の他端側 を補助部材６を介して支持体であるカーテンウォール枠２に固定した構造を例示 したが、支持体の形状によっては補助部材を用いることなく、前記取付け部材を 直接支持体に固定するようにしてもよい。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係わる複合パネルの取付け構造は、上記構成と したものであるから、取付け部材の先端が、複合パネルの裏面に設けた互いに反 対方向に傾斜した傾斜溝内で化粧板に係止して複合パネルの化粧板を補強パネル と共にカ−テンウォ−ル枠や躯体壁面などの支持体側に引き寄せるので、当該化 粧板を補強パネルに接着している接着剤の強度が低下したとしても、前記化粧板 が補強パネルから脱落するようなことはなく、石材や大型タイルなどを化粧板と する複合パネルの高所部分への使用や外装材としての適用が可能になるという極 めて優れた効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係わる複合パネルの取付け構造の一実
施例として当該取付け構造を適用したカーテンウォール
の形状を示す垂直断面説明図である。

【図２】図１に示したカーテンウォールの水平断面説明
図である。

【図３】図１および図２に示した取付け金具の形状およ
びその組付け要領を説明する複合パネル裏面側部分の斜
視図である。

【符号の説明】

２ カーテンウォール枠（支持体） ３ 複合パネル ３ａ 化粧板 ３ｂ ハニカムパネル（補強パネル） ８，９ 傾斜溝 １０，１１ 取付け金具（取付け部材）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 化粧板の裏面に補強パネルを貼り合わせ
   た複合パネルの支持体への取付け構造であって、前記複
   合パネルに、該複合パネルの裏面側から補強パネルを貫
   通して前記化粧板の内部にまで達しかつ互いに反対方向
   に傾斜する傾斜溝を設け、前記各傾斜溝内に挿入され、
   その先端が前記化粧板に係止した取付け部材の他端側を
   前記支持体にそれぞれ固定してなることを特徴とする複
   合パネルの取付け構造。