JPH0243134Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は被覆パネルの裏側に補強材を固着し
た建築用パネルに関する。

従来建物の外壁に用いられる複合耐火パネル
は、軽量気泡コンクリート板、石綿セメント珪酸
カルシウム板、石綿セメント板、石膏板、発泡石
膏板などの耐火パネルに、該耐火パネルの表面に
対向する主板部の四周に折曲片部を連設した箱状
のホーローパネルなどから成る被覆パネルを被
せ、主板部を接着剤により、折曲片部を釘などに
より、それぞれ上記耐火パネルに連結固着したも
のであつた。この構造の複合耐火パネルにおいて
は、主板部は建物の外壁面として目につきやすく
釘打ちはできないので接着剤のみにより耐火パネ
ルに固着してあるのであるが、接着剤は強度が充
分ではないうえ特に経年劣化するので、主板部が
耐火パネルから剥離しやすく、剥離した主板部が
反り、平坦性を失つた見苦しい外観を呈してくる
という問題があつた。また高層建築の外壁に用い
る場合は、風下の部分において発生する負圧が作
用して被覆パネルが一層剥離しやすい傾向にあつ
た。

この考案は上記従来の欠点を解消するもので、
ホーローパネルから成る被覆パネルの平坦性が長
期にわたつて維持される建築用パネルを提供しよ
うとするものである。 しかしてこの考案の要旨
とするところは、主板部の四周に折曲片部を連設
した箱状のホーローパネルの上記主板部に、該主
板部の裏側に突出した凹陥部を複数箇所設け、上
記主板部補強用の板状もしくは枠組状の補強材を
複数個の上記凹陥部にまたがつて固着したことを
特徴とする建築用パネルにある。

以下第１図および第２図に示す第１実施例によ
つてこの考案を説明する。

ホーローパネル１はホーロー鋼板から成り、主
板部２の四周に折曲片部３を連設した箱状を呈
し、この主板部２には該主板部の一部を裏側に突
出させた底付穴状の凹陥部４が、プレス加工によ
り複数個設けてあり、この凹陥部４の頂面５には
ボルト６挿通用の孔７が穿設してある。８は折曲
片部３に点溶接により固着した取付金具で、建物
躯体への取付のためのものであり、この取付金具
８を固着したホーローパネル１にはホーロー加工
を施してある。ホーローパネル１の凹陥部４の頂
面５には、積層板から成る補強材９がボルト６お
よびナツト１０により締付固着してある。補強材
９はたとえば厚さ１〜５mm程度の軟鋼板、ステン
レス鋼板、アルミニウム板などの金属板１１と、
石綿セメント珪酸カルシウム板、石綿セメント
板、石膏板、軽量気泡コンクリート板などの耐火
パネル１２とを重ね合せたもので、その重ね合せ
面には接着剤を介在させてもよい。ボルト６を挿
入した凹陥部４内には、ボルト６の頭が隠れるよ
うにシーリング材１３をたとえば８分目ほど充填
してある。

上記構成の建築用パネル１４においては、ホー
ローパネル１の主板部２は接着剤によらずボルト
６により補強材９に強固に連結固着されているの
で、経年劣化により反るようなことがなく、平坦
性が長期にわたつて維持される。また補強材９が
ホーローパネル１の主板部２から凹陥部４の深さ
だけ離間した位置に固着されているので、補強材
９を主板部２の裏面に直接固着した場合に比べて
建築用パネル１４の剛性が大巾に向上し、補強材
９を薄くして軽量化をはかることができる。また
ホーローパネル１の主板部２には凹陥部４が設け
てあるので、従来の単調な平板状の主板部よりも
外観上の変化が得られ美観が向上する。なおシー
リング材１３はボルト６の頭を隠すとともに孔７
からの雨水の侵入も防止する。

上記実施例においては補強材９として金属板１
１と耐火パネル１２の積層板を用いたので、強度
が大きくかつ耐火性、断熱性に富む優れた建築用
パネル１４が得られるが、用途等によつては金属
板１１または耐火パネル１２の一方のみを補強材
９として用いてもよい。

第３図はこの考案の第２実施例を示し、凹陥部
２１をホーローパネル１の長手方向に延びる凹溝
状のものとした点のみが第１実施例と異なり、第
１図と同一または相当部分には第１図と同一符号
を付してある（以下他の実施例においても同じ）。

この実施例は第１実施例と同様な作用効果が得
られるほか、主板部２に設けた溝状の凹陥部２１
により主板部２自身の曲げ剛性が向上し一層反り
にくくなり、建築用パネル２２全体としても曲げ
強度が向上するという長所を有する。なお凹溝状
の凹陥部２１内には第１実施例と同様にシーリン
グ材を充填してもよい。

次に第４図に示すこの考案の第３実施例におい
ては、補強材３１として山形鋼を縦横に格子状に
組んで溶接した枠組を用い、これを第１実施例と
同様なホーローパネル１の底付穴状の凹陥部４の
頂面５に点溶接してある。

この実施例においては補強材３１として枠組を
用いているので、主板部２および建築用パネル３
２は長手方向、巾方向とも大きな曲げ剛性が得ら
れる。凹陥部４の点溶接の溶接痕は凹陥部４内に
隠され、また主板部２に溶接ひずみやホーロー層
の色むらを発生することはほとんどないので、パ
ネルの外観が損われることがない。なお第２実施
例と同様な凹溝状の凹陥部２１を有するホーロー
パネルに、この枠組状の補強材３１を組合せて建
築用パネルを構成することもできる。

上記各実施例においては補強材は凹陥部の頂面
あるいは側面に直接固着するものであつたが、第
５図示の第４実施例のように凹陥部４または２１
の頂面５に、Ｚ形に折曲げた鋼板の小片状あるい
は連続した細長い形鋼状の連結部材４１を点溶接
し、この連結部材４１上に第１実施例と同様な積
層板状の補強材９を載せてボルト６により締付固
着してもよく、この場合は凹陥部が深くなくても
補強材９を主板部２から離間させることができ、
主板部２および建築用パネル４２の大きな曲げ剛
性が得られる。また凹陥部には点溶接の痕がつく
だけで、主板部２の表面側の外観もすぐれてい
る。なお連結部材４１は平板状あるいは他の折曲
形状としてもよい。

この考案は上記各実施例に限定されるものでは
なく、たとえば底付穴状の凹陥部４は円錐穴状と
したり丸穴以外の正面形状を有するものとしても
よく、同様に凹溝状の凹陥部２１はＶ溝状とした
り、複数本の凹溝を交差させて主板部２に設けた
りしてもよい。さらに補強材と凹陥部の結合具と
してはボルトの他にビスやリベツトなど他の形式
の結合具を用いてもよい。

さらには、第１図乃至第５図に示すものにおい
て、ホーローパネル裏面の空間部に、発泡石綿の
板を充填したりバーミキユライトまたは岩綿また
はセラミツクフアイバーの各々とセメントとの混
合物を充填したり発泡樹脂を充填したりすること
によつて、断熱材を充填したものとすることがで
きる。このものは断熱性あるいは耐火性が一層向
上するので、用途が一層拡大する。

以上説明したようにこの考案によれば、ホーロ
ーパネルの主板部に設けた強固な凹陥部に主板部
補強用の補強材を固着する構成としたので、主板
部はボルトなどの結合具や溶接により補強材に強
固に連結固着され、経年劣化により反ることがな
く、主板部の平坦性が長期にわたつて維持される
とともに、補強材が主板部より離間した位置に固
着されているので建築用パネル全体として大きな
剛性が得られ、補強材を減らして軽量化をはかる
ことができる。さらに主板部に凹陥部を設けるこ
とにより、従来の単調な平板状の主板部よりも外
観の変化が得られ美観が向上し、また補強材を溶
接により固着する場合でも溶接ひずみや色むらが
ほとんど発生せず、すぐれた外観の建築用パネル
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例を示す建築用パ
ネルの一部切欠斜視図、第２図は同じく横断面
図、第３図および第４図はこの考案の第２および
第３実施例を示す第１図相当図、第５図はこの考
案の第４実施例を示す第２図相当図である。 １……ホーローパネル、２……主板部、４……
凹陥部、５……頂面、６……ボルト、８……補強
材、１０……ナツト、１１……金属板、１２……
耐火パネル、１３……シーリング材、１４……建
築用パネル、２１……凹陥部、２２……建築用パ
ネル、３１……補強材、３２……建築用パネル、
４１……連結部材、４２……建築用パネル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 主板部の四周に折曲片部を連設した箱状のホ
   ーローパネルの上記主板部に、該主板部の裏側
   に突出した凹陥部を複数箇所設け、上記主板部
   補強用の板状もしくは枠組状の補強材を複数個
   の上記凹陥部にまたがつて固着したことを特徴
   とする建築用パネル。 ２ 補強材を凹陥部の頂面に取付けた実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の建築用パネル。 ３ 補強材が金属板と耐火パネルの積層板である
   実用新案登録請求の範囲第１項または第２項記
   載の建築用パネル。 ４ 凹陥部内にシーリング材を充填してある実用
   新案登録請求の範囲第１項または第２項または
   第３項記載の建築用パネル。 ５ ホーローパネルの裏面の空間部に断熱材を充
   填してある実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の建築用パネル。