JPH0594614A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH0594614A
JPH0594614A JP27619391A JP27619391A JPH0594614A JP H0594614 A JPH0594614 A JP H0594614A JP 27619391 A JP27619391 A JP 27619391A JP 27619391 A JP27619391 A JP 27619391A JP H0594614 A JPH0594614 A JP H0594614A
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acid
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ion
magnetic
film
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Fumio Goto
文男 後藤
Takehiko Yamamoto
武彦 山本
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高保磁力、高垂直磁気異方性でかつ耐食性が
向上した無電解めっき垂直記録媒体と、これを安定に作
製できる無電解めっき浴を提供する。 【構成】 Coイオン、Niイオン、Moイオン、Zn
イオンおよび還元剤を含み、前記金属イオンの錯化剤と
して少なくともマロン酸基およびリンゴ酸基およびコハ
ク酸基を含む無電解めっき浴を用いて、金属イオンとし
てCo、Ni、Mo、ZnおよびPを含有し、その結晶
構造が六方晶をなし、かつ六方晶のc軸が主として膜面
に垂直な方向に配向している磁気記録媒体を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体(磁性
膜)の膜厚方向の磁化によって記録を行う、いわゆる垂
直記録に用いる磁気記録媒体およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般の磁気ディスク装置、磁気テ
―プ装置などの磁気記録装置においては、磁気記録媒体
の長手方向に磁化することにより記録を行ってきたが、
記録密度の増加に従って媒体内の反磁界が増大して残留
磁化の減衰と回転を生じ、再生出力が著しく減少すると
いう欠点が存在する。このため記録密度が増加するほど
反磁界が小さくなる性質をもつ垂直記録方式が提案さ
れ、この垂直記録に適した磁気記録媒体として膜厚に垂
直な方向に磁化容易なCoCrスパッタ膜が提案されて
いる(特開昭52−134706号公報)。その後この
ような垂直記録媒体として、CoCrスパッタ膜のほか
に、スパッタ、蒸着などの乾式成膜法によるCoM、C
oCrM(Mは第3元素)などのCo合金膜、Fe合金
膜、Os添加フェライト膜、Baフェライト膜などが開
発されてきたが、これらの膜を乾式成膜法によって作製
する場合、真空系内で行うため量産性に問題がある。
【0003】このため、このような製造上の問題点を改
善して、量産性に優れた無電解めっき法により垂直記録
媒体を作製する方法が開発されている。この方法に用い
るめっき浴には、無電解CoMnPめっき浴(特開昭5
7−140869号公報)、無電解CoNiMnPめっ
き浴(特開昭58−058267号公報)、無電解Co
NiMnRePめっき浴(特開昭60−103181号
公報)、無電解CoNiRePめっき浴(特開昭61−
003316号公報)が見い出されている。Co合金磁
性膜において垂直異方性を有するためには、hcpCo
(六方晶)のc軸を主として基板に垂直配向させること
が必要条件であるが、これらの浴ではCoPあるいはC
oNiPのめっき浴にMnあるいはReなどの可溶性塩
を添加し、CoMnP,CoNiMnP,CoNiMn
ReP,CoNiRePなどの合金膜とすることによっ
て良好な垂直配向性が得られている。
【0004】一般に膜面に垂直な方向に磁化容易となる
条件は、媒体の異方性エネルギ―をKu、膜固有の垂直
異方性エネルギ―をK⊥、形状異方性エネルギ―を2π
Ms2(Msは飽和磁化)としたとき、K⊥>2πM
2、あるいはKu=K⊥−2πMs2>0の関係がある
ことである(これは、媒体の垂直異方性磁界Hkと反磁
界の最大値4πMsとの間にHk>4πMsの関係があ
るということと同様である。)。垂直記録媒体において
は必ずしもこの条件を満たす必要はないが、Kuあるい
はHkが大きな値をもつほど媒体特性として好ましいと
いえる。高密度記録を得るためには、通常少なくとも
2.0kOe程度以上のHk値であることが好ましい。
一方、大きな再生出力を得るためにはMs値を大きくす
ることが望ましい。すなわちアイ・イ―・イ―・イ―・
トランザクション・オン・マグネチックス(IEEE T
ransaction on Magnetics)第Mag−18巻,第2
号,第769〜771頁によれば、Ms<(3/4π)
Hc(⊥)(Hc(⊥)は媒体の垂直方向の保磁力)の
条件下において再生出力値はMsに比例するとされてい
る。また前記文献においてMs≧(3/4π)Hc
(⊥)の場合、再生出力はHc(⊥)に比例するとされ
ている。従って、再生出力を大きくするには、Hc
(⊥)を大きくし、十分な垂直磁気異方性を有する範囲
内でMsを大きくする必要がある。実際上は、使用する
磁気ヘッドの種類または記録条件によってHc(⊥)の
値が制限を受けるため、要求される記録密度および出力
に応じて適するHc(⊥)値を選択することが望まし
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の無電解CoMn
Pめっき浴や無電解CoNiMnPめっき浴を用いるこ
とにより、hcpCo六方晶のc軸が基板に垂直配向し
たCoMnPやCoNiMnPの磁性膜が得られるが、
このように得られた磁性膜はMs値に対して垂直磁気異
方性が十分でなく、垂直記録媒体として好ましくなかっ
た。このためCoMnPやCoNiMnPにReを共析
することにより垂直磁気異方性を向上させて垂直磁化膜
が得られるようになったが、Msが150〜350em
u/cc程度に低下した。すなわち大きなMs値を保持
したまま十分な垂直磁気異方性(大きなHk値)を有す
る無電解めっき垂直記録媒体が要望されていたが、これ
までの垂直記録媒体ではいずれも不十分であった。本発
明の目的は、このような従来の問題を改善して、垂直記
録媒体として優れた特性を有し、耐食性も向上させた磁
気記録媒体とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、構成成分とし
て少なくともCo、Ni、Mo、ZnおよびPを含有
し、その結晶構造が六方晶をなし、かつ六方晶のc軸が
主として膜面に垂直な方向に配向していることを特徴と
する磁気記録媒体である。またその製造方法は、金属イ
オンとして少なくともCoイオン、Niイオン、Moイ
オンおよびZnイオンを含み、前記金属イオンの還元剤
として次亜リン酸または次亜リン酸塩を含み、前記金属
イオンの錯化剤として少なくともマロン酸基およびリン
ゴ酸基およびコハク酸基を含む水溶液を用いて無電解め
っき法により磁性膜を形成することを特徴とする。
【0007】本発明による磁気記録媒体は、少なくとも
Co、Ni、Mo、ZnおよびPを含有した磁性膜であ
る。この磁性膜は、各成分が、Co 100−W−X−
Y−Z原子%、Ni W原子%、Mo X原子%、Zn
Y原子%、P Z原子%からなるとすると、25≦W≦
60、0.01≦X≦5、0.3≦Y≦10、1≦Z≦
7、W+X+Y+Z≦65で表される。本発明において
用いられる磁性膜のその他の成分としては、Be,B,
Mg,Al,Mn,W,Ru,Si,Fe,Sr,Y,
Zr,Nb,Cd,In,Sb,Ta,Ir,Hg,T
l,Nb,Gd,Tb,Ti,V,Cr,Cu,Ga,
Ge,Re,Rh,Pd,Ag,Au,Pt,Sn,T
e,Ba,Ce,Sm,Os,Pb,Bi等が本発明の
効果に影響を与えない範囲で含まれていてもよい。膜中
にはこれらの元素のほか、添加剤の種類によってはC,
N,O,S,As,Na,K,F,Cl,Ca等の非金
属が含有されることがある。磁性膜厚は0.005〜5
μmの範囲が用いられるが、高密度記録用には0.5μ
m以下が好ましい。
【0008】磁性膜を形成する基体としては、通常アル
ミ合金,銅,黄銅,リン青銅,鉄,チタン等の金属基板
が用いられるが、適当な活性化処理によりガラス,樹脂
等の非金属基板ないしは金属と非金属の複合材料からな
る基板にも適用できる。本発明の主要な目的は、優れた
特性の垂直磁気記録媒体を提供することにある。従っ
て、種々の用途に用いるために磁性膜の上下の層につい
て種々の材質の付加的層を加えた構成の磁気記録体に対
しても本発明を適用し得ることは明らかである。このよ
うな構成の磁気記録体としては、例えば、良好な研磨性
と極小欠陥面を得るため、基体を無電解めっき法、電気
めっき法、蒸着法、スパッタ法等によって作製されたニ
ッケル−リン,ニッケル−銅−リン,銅,スズ,銅−ス
ズ等の層や、陽極酸化法によって作製されたアルマイト
層等の中間層で被覆したもの、欠陥減少の目的で中間層
を多層化したもの、磁性膜の磁気特性を制御する目的で
磁性膜の下にクロム,モリブデン,チタン,金,銀,白
金,パラジウム等の下地層やパラジウム,スズ−パラジ
ウム,金等の前処理層を形成したもの、垂直磁気記録に
おいて記録再生感度や記録密度を高めるため、磁性膜の
下にパ−マロイ,ニッケル−鉄−リン等の軟磁性層やニ
ッケル−タングステン−リン,ニッケル−モリブデン−
リン等の薄膜を形成したもの、耐候性、耐久性を与える
ために磁性膜の上に保護層、潤滑層を形成したものなど
が挙げられる。
【0009】本発明において用いられる無電解めっき浴
の主要成分としては、Coイオン、Niイオン、Moイ
オンおよびZnイオン、次亜リン酸(塩)、マロン酸
基、リンゴ酸基およびコハク酸基を含むが、本発明の目
的、効果を損なわない範囲において、pH緩衝剤,光沢
剤,平滑剤,励起剤,ピンホ―ル防止剤,界面活性剤等
の添加剤が用いられることがある。Coイオン、Niイ
オン、Znイオンは、Co、NiまたはZnの硫酸塩,
塩化塩,酢酸塩,有機酸塩等の可溶性塩を無電解めっき
浴中に溶解することによって供給される。Coイオンの
濃度は0.005〜0.25mol/l、好ましくは
0.01〜0.15mol/lの範囲が用いられる。N
iイオンの濃度は0.01〜0.5mol/l、好まし
くは0.01〜0.3mol/lの範囲が用いられる。
Znイオンの濃度は、0.005〜0.2mol/lの
範囲が用いられるが、好ましくは0.01〜0.08m
ol/lの範囲である。Moイオンは、モリブデン酸,
モリブデン酸ナトリウム,モリブデン酸アンモニウム,
モリブデン酸カリウム等の可溶性塩によって供給され
る。Moイオンの濃度は、0.00005〜0.015
mol/l、好ましくは0.0001〜0.0035m
ol/lの範囲が用いられる。本発明において用いられ
る金属イオンとしては、Co、Ni、Mo、Znを主成
分とするが、少量の、Be,Mg,Al,Ru,Si,
Fe,Sr,Y,Zr,Nb,Cd,In,Sb,T
a,Ir,Hg,Tl,Nb,Gd,Tb,Ti,V,
Cr,Cu,Ga,Ge,Mn,W,Mo,Rh,P
d,Ag,Au,Pt,Sn,Te,Ba,Ce,S
m,Os,Pb,Mo,Bi等のイオンが本発明の効果
に影響を与えない範囲で含まれていてもよく、これらの
イオンはそれぞれの可溶性塩によって供給される。ま
た、Ni濃度とCo濃度のモル比(Ni/Co)は1≦
Ni/Co≦4の範囲とする。還元剤としては、次亜リ
ン酸またはその塩が0.01〜0.8mol/l、好ま
しくは0.1〜0.3mol/lの範囲で用いられる。
還元剤に次亜リン酸塩を使用するため、得られるめっき
膜中にはPが共析される。電気めっき法によるCoNi
ZnP膜ではPが共析しやすく、P含有量が4〜8重量
%となっている(特開昭59−48904号公報)が、
無電解めっき法ではPを多く共析することが難しく、P
含有量は低い。本無電解めっき浴によって良好な垂直磁
気異方性が得られるめっき膜は、P含有量が0.1〜
3.8重量%、好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲
である。
【0010】錯化剤としては、マロン酸やマロン酸ナト
リウム等のマロン酸基、リンゴ酸やリンゴ酸ナトリウ
ム,リンゴ酸カリウム,リンゴ酸ジエチル等のリンゴ酸
基およびコハク酸やコハク酸ナトリウム等のコハク酸基
が使用される。マロン酸基は、マロン酸またはマロン酸
の可溶性塩が0.01〜1.5mol/lの範囲で用い
られるが。リンゴ酸基は、リンゴ酸またはリンゴ酸の可
溶性塩が用いられるが、0.15〜0.9mol/lの
範囲が好ましい。コハク酸基は、コハク酸またはコハク
酸の可溶性塩が0.01〜1.5mol/lの範囲で用
いられるが、0.1〜1.0mol/lの範囲が好まし
い。
【0011】また錯化剤としてほかに、ギ酸,酢酸,プ
ロピオン酸,酪酸,イソ酪酸,吉草酸,イソ吉草酸,シ
ュウ酸,グルタル酸,グリコ―ル酸,マレイン酸,フマ
ル酸,シトラコン酸,イタコン酸,トリカルバリル酸,
酒石酸,チオグリコ―ル酸,乳酸,β−ヒドロキシプロ
ピオン酸,クエン酸,イソクエン酸,アロイソクエン
酸,ピルビン酸,オキサル酢酸,ジグリコ―ル酸,チオ
ジグリコ―ル酸,メルカプトコハク酸,ジメルカプトコ
ハク酸,安息香酸,マンデル酸,フタル酸,サリチル
酸,アスコルビン酸,スルホサリチル酸,トロポロン,
3−メチルトロポロン,タイロン等のカルボン酸、エチ
レンジアミン,ジエチレントリアミン,トリエチレンテ
トラアミン,ピリジン等のアミンおよびその誘導体、イ
ミノジ酢酸,イミノジプロピオン酸,ニトリロトリ酢
酸,ニトリロトリプロピオン酸,エチレンジアミンジ酢
酸,エチレンジアミンテトラ酢酸,エチレンジアミンテ
トラプロピオン酸,ジエチレントリアミンペンタ酢酸等
のアミノポリカルボン酸、アラニン,ザルコシン,バリ
ン,ノルロイシン,チロシン,システイン,グルタミン
酸,グリシン,アスパラギン酸,アスパラギン,ヒスチ
ジン等のアミノ酸、グルコン酸,アロン酸,イドン酸,
ガラクトン酸,グロン酸,タロン酸,マンノン酸等のヘ
キソン酸、ピロリン酸等の弱酸またはそれらの可溶性塩
の1種または2種以上の組み合わせが本発明の効果に影
響を与えない範囲で含まれていてもよい。
【0012】pH緩衝剤としてはアンモニウム塩,炭酸
塩,有機酸塩等が使用され、硫酸アンモニウム,塩化ア
ンモニウム,ホウ酸等を用いることが好ましい。濃度範
囲は0.01〜3.0mol/l、好ましくは0.05
〜0.7mol/lが用いられる。pH調節剤として
は、アンモニアまたは苛性アルカリとしてNaOH,K
OH等の金属の水酸化物が、1種または2種以上を組み
合わせて用いられる。またアンモニアと苛性アルカリを
併用することも行われる。通常、pH調節剤を加えない
建浴前のめっき液は、ほぼ中性ないし酸性域にあり、前
記水酸化物を加えてアルカリ性にpH調節される。所要
のpHを上回った場合、pH降下には塩酸,硫酸,硝
酸,酢酸等の酸が用いられる。pH範囲は7.0〜1
4.5、好ましくは8.0〜11.0の間で用いられ
る。
【0013】
【作用】無電解めっき法によるCo合金垂直記録媒体に
おいては、hcpCo(六方晶)のc軸を基板に垂直配
向させる作用をもつ共析元素が必要であり、Niは共析
元素による析出速度の低下を防ぐ役割をもち、Pは次亜
リン酸還元の無電解めっきにおいては同時に共析され
る。従来、垂直記録媒体として、CoNiPやCoNi
MnPにReを共析することにより垂直磁気異方性を向
上させていたが、耐食性が低下する傾向があった。この
ため、垂直磁気異方性を向上させかつ耐食性の向上にも
効果のある各種共析元素を実験的に広範囲に検討した結
果、CoNiZnP膜にMoを添加することによって、
従来に比べて高Hk、高Hcの垂直記録媒体が得られ、
耐食性も向上することが明らかとなった。また、これを
安定に得るため各種錯化剤を広範囲に検討した結果、マ
ロン酸基とリンゴ酸基とコハク酸基を用いることによっ
て、良好な特性の垂直記録媒体が安定に得られることが
明らかとなった。本発明は、このような知見を得たこと
によりもたらされたものである。
【0014】
【実施例】次に具体的に実施例により本発明を説明す
る。 実施例1 アルミ合金基板上に非磁性NiP層をめっきし、表面を
鏡面研磨した後、その上に下記のめっき浴を用いて膜厚
0.2μmのCoNiMoZnP合金磁性膜を形成し
た。 めっき浴(1) 浴組成 硫酸コバルト 0.08 mol/l 硫酸ニッケル 0.18 mol/l モリブデン酸ナトリウム 0〜0.005mol/l 硫酸亜鉛 0.03 mol/l 次亜リン酸ナトリウム 0.3 mol/l 硫酸アンモニウム 0.25 mol/l マロン酸ナトリウム 0.2 mol/l リンゴ酸ナトリウム 0.4 mol/l コハク酸ナトリウム 0.35 mol/lめっき条件 浴温 80℃ めっき浴のpH 9.0(室温にてアンモニア水でpH
調節)
【0015】こうして得られた磁性膜の磁気特性を振動
試料型磁力計を用いて測定した結果を図1に示す。異方
性磁界Hkは、モリブデン酸ナトリウムを加えない場
合、4.9kOeであったが、モリブデン酸ナトリウム
濃度の増加とともに増加する。モリブデン酸ナトリウム
0.002mol/lで最大値Hk=8.6kOeとな
った後に徐々に減少する。保磁力Hc(⊥)は、モリブ
デン酸ナトリウムを加えない場合1.8kOeである
が、モリブデン酸ナトリウム濃度の増加とともに増加
し、モリブデン酸ナトリウム0.002mol/lで最
大値2.25kOeとなった後に減少する。モリブデン
酸ナトリウムを加えることにより、Hk、Hc(⊥)と
もに増加させることができた。飽和磁化Msは、モリブ
デン酸ナトリウム濃度が増加するほど減少する傾向があ
ったが、Hkが5kOe以上の垂直異方性の良好な膜に
おいて600emu/cc以上の大きな値を有してい
た。
【0016】次に、このような特性を示す原因と考えら
れる磁性膜の構造について、X線回折および電子線回折
により検討した。Hkが5kOe以上の膜について、X
線回折では、hcpCo(六方晶)のc軸が基板面に垂
直配向していることを示す(002)面からの回折によ
る鋭いピ―クのみが認められ、他の格子面からの回折に
相当するピ―クは認められなかった。また、膜厚0.0
5〜1μmの各種膜厚について電子線回折で調べた結果
からも、c軸が基板面に垂直配向したhcpCo構造か
ら構成されており、薄膜時より高い配向性を示している
ことが明らかとなった。すなわち本実施例で得られた磁
性膜は垂直磁気異方性を示し、垂直記録媒体として好ま
しい特性を有することが明らかとなった。次に、磁性膜
の耐食性を磁気特性から評価した。磁性めっき後の試料
を純水中に20時間浸漬し、浸漬後の飽和磁化量の浸漬
前に対する割合を比較した(ここで、耐食性=(浸漬後
の飽和磁化量)/(浸漬前の飽和磁化量)とする。)。
図2に評価結果を示すように、モリブデン酸ナトリウム
濃度が増加するほど耐食性は向上した。すなわち本実施
例で得られた磁性膜は垂直磁気異方性と耐食性が向上
し、垂直記録媒体として好ましいことが明らかとなっ
た。
【0017】実施例2 実施例1と同様の手順で磁性膜の作製を行ったが、本実
施例ではめっき浴(2)を用いて膜厚0.25μmのC
oNiMoZnP合金磁性膜を形成した。 めっき浴(2) 浴組成 硫酸コバルト 0.06 mol/l 硫酸ニッケル 0.14 mol/l モリブデン酸アンモニウム 0〜0.004mol/l 硫酸亜鉛 0.04 mol/l 次亜リン酸ナトリウム 0.25 mol/l 硫酸アンモニウム 0.3 mol/l マロン酸 0.1 mol/l リンゴ酸 0.5 mol/l コハク酸 0.5 mol/lめっき条件 浴温 85℃ めっき浴のpH 9.2(室温にてアンモニア水でpH
調節)
【0018】こうして得られた磁性膜の磁気特性を振動
試料型磁力計を用いて測定した結果を図3に示す。異方
性磁界Hkは、モリブデン酸アンモニウムを加えない場
合、5.1kOeであったが、モリブデン酸アンモニウ
ム濃度の増加とともに増加する。モリブデン酸アンモニ
ウム0.002mol/lで最大値Hk=7.5kOe
となった後に徐々に減少する。保磁力Hc(⊥)は、モ
リブデン酸アンモニウムを加えない場合、1.55kO
eであるが、モリブデン酸アンモニウム濃度の増加とと
もに増加し、モリブデン酸アンモニウム0.0025m
ol/lで最大値2.12kOeとなった後に減少す
る。モリブデン酸アンモニウムを加えることにより、H
k、Hc(⊥)ともに増加させることができた。飽和磁
化Msは、モリブデン酸アンモニウム濃度が増加するほ
ど減少する傾向があったが、Hkが5kOe以上の垂直
異方性の良好な膜において650emu/cc以上の大
きな値を有していた。
【0019】次に、このような特性を示す原因と考えら
れる磁性膜の構造について、X線回折および電子線回折
により検討した。Hkが5kOe以上の膜について、X
線回折では、hcpCo(六方晶)のc軸が基板面に垂
直配向していることを示す(002)面からの回折によ
る鋭いピ―クのみが認められ、他の格子面からの回折に
相当するピ―クは認められなかった。また、膜厚0.0
5〜1μmの各種膜厚について電子線回折で調べた結果
からもc軸が基板面に垂直配向したhcpCo構造から
構成されており、薄膜時より高い配向性を示しているこ
とが明らかとなった。すなわち本実施例で得られた磁性
膜は垂直記録媒体として好ましい特性を有することが明
らかとなった。次に、磁性膜の耐食性を実施例1と同様
にして評価した。図4に結果を示すように、モリブデン
酸アンモニウム濃度が増加するほど耐食性は向上した。
すなわち本実施例で得られた磁性膜は垂直磁気異方性と
耐食性が向上し、垂直記録媒体として好ましいことが明
らかとなった。また、以上の実施例で用いた無電解めっ
き浴は、従来の4元あるいは5元の多元合金無電解めっ
き浴に比較して浴管理が容易で著しく安定性に優れ、垂
直記録媒体として優れた特性を有する磁性膜を再現性良
く作製することができた。
【0020】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、高保磁力、高垂直磁気異方性で、かつ耐食性が向上
した無電解めっき垂直記録媒体が提供される。また、本
発明の製造方法によれば、維持管理が容易で安定性に優
れためっき浴を用いて上記の垂直記録媒体を安定に作製
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で得られるCoNiMnZnP膜
の一例の異方性磁界(Hk)および保磁力(Hc)と、
めっき浴中のモリブデン酸ナトリウム濃度との関係を示
す図である。
【図2】本発明の方法で得られるCoNiMnZnP膜
の一例の耐食性と、めっき浴中のモリブデン酸ナトリウ
ム濃度との関係を示す図である。
【図3】本発明の方法で得られるCoNiMnZnP膜
の一例の異方性磁界(Hk)および保磁力(Hc)と、
めっき浴中のモリブデン酸アンモニウム濃度との関係を
示す図である。
【図4】本発明の方法で得られるCoNiMnZnP膜
の一例の耐食性と、めっき浴中のモリブデン酸アンモニ
ウム濃度との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成成分として少なくともCo、Ni、
    Mo、ZnおよびPを含有し、その結晶構造が六方晶を
    なし、かつ六方晶のc軸が主として膜面に垂直な方向に
    配向していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 金属イオンとして少なくともCoイオ
    ン、Niイオン、MoイオンおよびZnイオンを含み、
    前記金属イオンの還元剤として次亜リン酸または次亜リ
    ン酸塩を含み、前記金属イオンの錯化剤として少なくと
    もマロン酸基およびリンゴ酸基およびコハク酸基を含む
    水溶液を用いて無電解めっき法により磁性膜を形成する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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US7289298B2 (en) 2003-03-31 2007-10-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Perpendicular magnetic recording medium, method for manufacturing the same, and magnetic recording/reproducing apparatus
CN101837272A (zh) * 2010-05-18 2010-09-22 严永农 水溶性熔融金属抗氧化还原剂

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