JPH0594516U - 止め具 - Google Patents

止め具

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Abstract

(57)【要約】 [目的]鍔部の下面に装着するシールパッドの脱落を防
止した止め具を提供すること。 [構成]パネルAの係止孔aに脚部2を挿通し掛け止め
る一方、脚部上端部に設ける鍔部3をパネルの表面に当
接して止め付けるようにした止め具にあって、脚部2の
外周面に係止片8を突設して脚端から挿通し前記鍔部の
下面に添わせるシールパッド9を係止し保持するように
した止め具の構造。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、パネルに穿つ係止孔に脚部を挿通し掛け止めることによって他のパ ネル、或いは部品類を止め付ける合成樹脂を材料に成形される止め具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に合成樹脂製の止め具は脚部の上端部にパネルの一面に当接する鍔部を備 え、脚端にはパネルの他面若しくは係止孔の縁に掛け止める膨径部若しくは係止 爪部を備えてパネルに穿つ係止孔に無理に挿し通すことによってバネル同志を接 面状に止め付けたり、或いはパネルに部品類を止め付けたりするのに使用されて いる。この合成樹脂製の止め具は、素材の弾性を利用して無理にパネルの係止孔 に装着し、或いはその鍔部をバネル面に押当てる等して密着した状態で取付ける ことができるが、装着作業を円滑にするためには係止孔との間に多少の空間が必 要であり完全に密着させることは困難である。このため水密性或いは気密性を要 する部所に使用する場合、例えば自動車のボディに内装パネル(トリムボード) を取付けたりする場合には鍔部の下面にシールパッドを介挿してパネルとの空隙 を塞ぎ係止孔を密封する方法が講じられている。 通常このシールパッドはゴム或いは軟質合成樹脂でリング状に形成されており 、中央の孔部に脚部をやゝ無理に挿し通すことによって鍔部の下面に添え弾性力 で抜け落ちないようにしている。
【0003】
【考案が解決しようとする問題点】
この様に水密性乃至気密性が求められる部所に使用される止め具の場合、シー ルパッドを装着したものが使用されているが、上述した様にシールパッドは素材 の弾性力で脚部に止め付けているに過ぎないため通常の取扱では脱落することは ないが、例えば自動車の組立ラインにおいて自動装着機を使用して止め付け作業 を行う場合、真空吸引力でチャックに止め具を吸着して、パネルの係止孔に自動 装着する場合にシールパッドだけが吸着されて止め具本体が脱落し、止め付け不 良を起こす問題があった。 この問題はシールパッドを止め具に対して堅固に且つ安定的に装着できれば簡 単に解決できるもので、例えば接着剤によって脚部或いは鍔部の下面に止着せし めれば直ちにこの問題を解決できるが、接着剤を利用する場合には当然のことな がらその塗布の問題、接着剤が固化し安定するまでの固定の問題等別の問題を解 決しなければならなくなる。また仮にこの種問題が解決されたにしても別の工程 が加わることから従来の単にリング状のシールパッドを脚部に差し通して完成さ れるパッド付き止め具とは製造性の上で比較にならない負担を増すことになる。 本考案はこの様な問題点に鑑み考案されたもので、前述の止め具と同様に脚部 に差し通し嵌め付けることでシールパッドの止め付けが行え、自動装着機のチャ ックに真空吸引力を使って保持するような場合にもパッドだけが吸着されて止め 具本体が脱落するようなことがなく確実な取付けが得られる一方、鍔部下面の定 位置に安定した状態でシールパッドを装着しておける止め具を提案せんとするも のである。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
本考案は上述目的に基づきなされたもので、その特徴とするところは脚部の下 端に係止手段たる係止爪部乃至膨径係止部を備え、脚上端部に鍔部を備えてパネ ルに開設する透孔状の係止孔に対して脚部を挿し通すことで止着できるようにし た止め具において、脚部の外周面から鍔部の下面に対向させて係止片を突設し、 脚端から差し通されるリング状シールパッドを掛け止め前記鍔部の下面に保持す るようにしたことにある。
【0005】 本考案止め具はポリアセタールの如き所要弾性を有した熱可塑性合成樹脂を材 料に成形するもので、脚部の外周面から鍔部下面に向けて延設される係止片は鍔 部下面にシールパッドを挟み込める間隔を設けて突設されることになる。
【0006】 この係止片はリング状のシールパッドを脚端から通して鍔部下面に添わせる際 、変形してその通過を容易にする一方、通過後原形に復元して支持機能をもつよ うにするため細片状に形成することが適当である。更に好ましくは脚部の外周面 から斜め上方に向け突き出す逆止爪形に形成し、パッドの通過性をよくする一方 、通過後爪の先端をパッドの下面に当接して抜け止めとすると一層作業性に優れ 、且つ安定性に優れた止め具を得ることができる。ことに、この係止片は止め具 をパネルの係止孔に装着したとき係止孔の内部に留まり変形したまゝおかれるこ とから細片にしてパッドを保持するに充分な強度をもった弾性変形に優れたもの にすることが望ましい。 尚、シールパッドを保持する係止片は単一であってもよいが、鍔部下面の定位 置に安定した状態で保持させるため2個以上備えることが適当である。
【0007】
【作 用】
上記構成の様に本考案止め具は脚部下端から差し通したリング状のシールパッ ドを脚部外周面から延設する係止片で鍔部の下面に添わせた状態に保持すること から、この係止片をすぼめるか、若しくは破損しない限り脚部から抜け落ちるこ とがなく、また係止片によって保持されることから鍔部下面の一定位置に止め付 けられることになる。 次に、この考案を図示する実施例につき説明し、その特徴とするところを明ら かにする。
【0008】
【実施例】
図示する実施例は本考案に係る止め具、つまりシールパッド付き止め具の一例 を示したものである。ここに示す止め具は自動車のボディの内面若しくはドアの 内面に内装材たるトリムボードを装着する場合に使用する所謂トリムクリップに つき実施した一例で、図1は使用状態を示す縦断正面図、図2はシールパッドを 外した姿のクリップの正面図、図3は同じく右側面図、図4は同じく平面図、図 5は同じく底面図であり、図6は図2のA−A線に沿って断面とした底面図、図 7は図5のB−B線に沿って断面とした側面図、図8はシールパッドを装着した 状態におけるクリップの右半を断面とした正面図で、図9は同じく底面である。
【0009】 クリップ1は前述した様に合成樹脂を材料に成形されるもので、内部を中空に した脚部2と、脚部の上端部周面から張り出すように設けられる傘形をなす鍔部 3と、鍔部の上面中央部から延出する円柱状の頸部4を介して鍔部に対向するよ うに設けられる円盤形の係合部5から構成してある。
【0010】 ここに示す脚部2は長さの途中においてくの字形に屈曲する3本の脚片2a, 2bを略等間隔に配置して内部を中空にすると共に、外周面の中央部に膨径部6 を設けてあり、脚端部7は倒円錐形に形成して上記脚片2aの下端を接続し脚部 全体の形状が先細りの砲弾形をなすよう形成してある。そして、この脚部には上 記3本の脚片の中の後方の2本の脚片2bから前記傘形の鍔部3の下面に向けて 2本の係止片8,8を突き出させてある。
【0011】 係止片8は各脚片2bの外に膨む屈曲部の側縁部から斜め上方に向けて突き出 し、脚部の両側において対称をなすようにしてある。この係止片8は細い突片状 に形成して弾性を付与してあり、その先端を前記鍔部の下面の張り出し長さの略 中央部に臨ませると共に下面との間に後述するシールパッドの肉厚に略等しい間 隔が設けてある。
【0012】 鍔部3はパネルに対する密着性と係止状態の安定性を得るため傘形に形成して 弾性を付与してあり、前記脚部の膨径部6との間にパネルの板厚を吸収できる間 隔が設けてある。
【0013】 一方、上記鍔部3の上部に設けられる頸部4並びに係合部5はトリムボードB に穿つ鍵穴形の透孔bに係合させるための係合手段となるもので、頸部4は透孔 bの縮径部に差し通せる軸径に、また係合部5は縮径部より大径で、透孔bの大 径部より小径な大きさに形成すると共に前記鍔部3との間にボードBの板厚を受 け入れられる間隔が設けてある。
【0014】 本考案の止め具は上述の様に構成されるもので、射出成形によって一体的に成 形したのちゴム、軟質合成樹脂等の弾性素材でリング状に形成するシールパッド 9を脚端から嵌め付け、装着する。 シールパッド9は中心穴部を脚部の膨径部6より小径に形成して上記嵌め付け に際してこの膨径部を縮径指せながら嵌め付け、更には、この膨径部6から延設 される係止片8を内方に嵌めて鍔形3の下面に添わせ、中心穴部を通過して原形 に戻る係止片8の先端をパッドの下面に衝き当てることで保持される。
【0015】 クリップはトリムボードBの取付に当たって先ずその透孔bの図示しない大径 部に係合部5を差し通し、次に小径部側にスライドさせて頸部4をこの小径部に 嵌め入れボードに対する止め付けを行う。このボードに対しては複数穿つ透孔に 同様の方法によって複数個のクリップを取付け脚部2が突き立った状態に設ける ことになる。その後このボードと共に自動車ボディのパネルのAに穿つ係止孔a に臨ませ脚端を突き入れたのちボードの表面を押圧、若しくは叩打して突入させ 脚部の膨径部6を係止孔の縁に掛け止めボードの止め付けを完了する。
【0016】 図1は上記クリップによる止め付け状態を示すもので、脚部2の挿入時係止片 8は内方に撓み、係止孔aを通過するが、この係止片8は図示するように先端を 孔の縁に掛け止めて撓んだまゝにあってもよい。勿論このときシールパッド9は 鍔部3とパネルAとの間に挟まれ定位置に固定されることになり係止片8による 保持は不要となる。
【0017】 以上本考案を図示する実施例につき説明したが、本考案の実施はトリムクリッ プに限られるものではなく、同種シールパッドを鍔部の下面に添えて脚部の挿入 によってパネルに止め付ける構造の合成樹脂製止め具において広く応用すること ができるものであり、同一の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0018】 また、実施例では中空の脚部にして膨径部6の縮径によって係止孔に装着する 構造のものにつき説明したが、脚部の周面に係止爪部を突設し、この爪によって 掛け止めるようにした場合、或いは脚端から錨形の係止爪を延設して掛け止める ようにした場合でも本考案の実施を妨げるものではない。
【0019】 また前記実施例では係止片8を細片状の突片にして先端をシールパッドの下面 に衝き当るようにしたが、先端を折り返してループ状に形成しループの周縁でシ ールパッド9を鍔部3の下面に押し当るようにしてもよい。 要するに、この係止片8はシールパッド9が止め具を使用する前に鍔部下面か ら移動し、或いは脚部から抜け落ちるのを防止すると共に、脚部を係止孔に挿入 したときその妨げとならないものであればよく、従ってシールパッドを保持する に充分な剛性と、係止孔に挿入されたとき容易に撓んで脚部の係止状態を妨げな い柔軟性があればよい。 尚、実施例では係止片を脚部の左右に一対設けたが、3方向、4方向に3個、 4個と設けてもよいことは言うまでもない。
【0020】
【考案の効果】
本考案止め具は以上の様に構成され、使用されるもので、脚部に差し通され鍔 部の下面に添わせられたシールパッドは係止片によって保持されることから、仮 にシールパッドが脚部に緩く差し通され、自己の弾性力で締め付けることができ なくとも確実に鍔部の下面に沿って保持され、脱落することがないと同時に、一 定位置に強制的に支持されることから安定した状態でシール効果を発揮すること ができ止め付け時におけるシール不良を有効に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案をトリムクリップにつき実施した使用状
態を示す中央縦断正面図。
【図2】トリムクリップの正面図。
【図3】トリムクリップの右側面図。
【図4】トリムクリップの平面図。
【図5】トリムクリップの底面図。
【図6】図2のA−A線に沿って断面とした底面図。
【図7】図5のB−B線に沿って断面とした側面図。
【図8】シールパッドを装着した状態のトリムクリップ
の右半を断面とした正面図。
【図9】シールパッドを装着した状態のトリムクリップ
の底面図である。
【符号の説明】
1 止め具たるトリムクリップ 2 脚部 2a,2b 脚片 3 鍔部 4 頸部 5 係合部 6 膨径部 7 脚端 8 係止片 9 シールパッド

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パネルに穿つ係止孔に脚部を挿通し掛け
    止め、脚上端部に設ける鍔部をパネルの表面に接面させ
    て止め付けるようにした止め具において、前記脚部の外
    周面から鍔部の下面に対向させて係止片を突設し、鍔部
    下面に添わせるシールパッドを保持するようにしてなる
    ことを特徴とした止め具。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、係止片は弾性
    を付与し、変形可能にしてなることを特徴とした止め
    具。
  3. 【請求項3】 請求項1の記載において、係止片は脚部
    外周面から鍔部下面に向けて外広がりに延設される弾性
    細片であることを特徴とした止め具。
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