JPH0588389B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はデイーゼルエンジンに用いられる燃料
噴射ポンプのプランジヤにかかるもので、とくに
プランジヤの焼付きを防止するようにした燃料噴
射ポンプのプランジヤに関するものである。

［従来の技術］ 一般に、デイーゼルエンジンに装備する燃料噴
射ポンプのプランジヤでは、このプランジヤがプ
ランジヤバレルに形成した燃料圧室内を往復摺動
することにより高圧の燃料を吐出するようにして
いる。

この燃料の噴射開始および噴射終了を制御する
ために、上記プランジヤの頭部に縦溝およびこの
縦溝に連通するリードを形成しているものがあ
る。なお、公知技術として実公昭40−22564号が
ある。

こうしたプランジヤ部分の従来からの構成につ
いて、第９図ないし第１４図にもとづき以下概説
する。

第９図は燃料噴射ポンプ１の要部断面図で、プ
ランジヤ２を組み込んだ燃料噴射ポンプ１の概略
断面図、第１０図はプランジヤ２の斜視図であ
る。このプランジヤ２は摺動本体部３と、頭部４
と、ドライビングフエース部５と、脚部６とを有
している。

このプランジヤ２は、第９図に示すように、燃
料噴射ポンプ１のプランジヤバレル７内に摺動可
能に組み込むもので、上記脚部６をロアスプリン
グシート８に固定し、このロアスプリングシート
８とアツパスプリングシート９との間にプランジ
ヤスプリング１０を介装することによつてプラン
ジヤ２を常時図中下方に付勢する。

上記ドライビングフエース部５は噴射量コント
ロールスリーブ１１の下方端部に形成した係合溝
１２にこれを係合し、噴射量コントロールラツク
１３を駆動し噴射量コントロールスリーブ１１を
回動操作することによりプランジヤバレル７に対
してプランジヤ２の回動方向相対位置（より具体
的には、後述する吸排孔１６とリード１８との相
対位置関係）を変化させることによつて燃料の吐
出終了時、つまり燃料噴射量を制御するものであ
る。

すなわち、プランジヤバレル７とデリバリバル
ブ１４との間に形成した燃料圧室１５に臨んでプ
ランジヤバレル７の側面に形成した燃料の吸排孔
１６を開閉するように、プランジヤ２はプランジ
ヤバレル７内で上下に往復摺動運動を行なう。な
お、プランジヤ７の上動駆動力は駆動カム（図示
略）から受けるものである。第１１図の状態が燃
料の噴射開始状態を示し、第１２図は噴射終了状
態を示す。

つまり、プランジヤ２の頭部４にはその直径方
向に一対の縦溝１７を形成し、この縦溝１７それ
ぞれに連通するようにたとえば一対の三角形状の
リード１８を形成してある（第１３図に示した頭
部４の周面の展開図参照）。そしてプランジヤ２
の頂部が吸排孔１６を閉鎖したときに燃料出口１
９から燃料の送出が開始され、プランジヤ２がさ
らに上昇して吸排孔１６とリード１８とが連通し
たとき燃料圧室１５内の高圧燃料は縦溝１７、リ
ード１８を通つて吸排孔１６から排出されること
となる。

しかしながら第１４図に示すように、最近の高
圧タイプでは、標準のプランジヤ２の縦溝１７お
よびリード１８は、燃料の圧縮・送出時に高圧燃
料からの反作用としてプランジヤバレル７にかか
る側圧のアンバランスに起因するプランジヤバレ
ル７の変形よるプランジヤ２の焼付き防止のため
に、プランジヤ２の中心に対して対象となるよう
にそれぞれその一対を設けているが、こうした機
構では単にプランジヤ２の表裏の圧力バランスを
保つのみしか考慮していない。

つまり、リード１８を形成したプランジヤ２の
頭部４の周面部分と吸排孔１６との相対位置関係
により燃料の噴射終了時期が決定され、リード１
８の終端部から縦溝１７に至る第１３図に斜線で
示した不使用域Ｎは、燃料の圧送作用にはプラン
ジヤ２が寄与していない周面部分である。したが
つて、縦溝１７およびリード１８に充満する高圧
燃料が内側からプランジヤバレル７を拡大するよ
うに作用する方向（Ｘ方向）に対して直角方向
（Ｙ方向）にはほとんど側圧が作用せずプラジヤ
バレル７を収縮させるような力が作用し、燃料の
圧送時には、プランジヤバレル７は第１４図に示
す仮想線のように楕円状に変形する圧力を受ける
こととなる。

さらに、プランジヤ２の外径仕上げ研削時にプ
ランジヤ２の部位によつては切削抵抗が変化する
ため、上記不使用域Ｎはふくらみ、縦溝１７から
リード１８切始め部はへこむ傾向がある。

上述のような各種事情から燃料噴射ポンプ１の
運転中にこれらの悪条件が重なると、第１４図中
Ｙ軸方向でプランジヤ２がプランジヤバレル７の
内壁に焼付く現象が発生してしまうという問題が
ある。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明は以上のような諸問題にかんがみなされ
たもので、燃料噴射ポンプのプランジヤバレル内
に設けるプランジヤの燃料圧室内で往復摺動する
頭部に形成した縦溝およびリードによる燃料圧力
の不均一ないし切削抵抗の変化を解消することに
より、プランジヤの焼付きを防止できるようにし
た燃料噴射ポンプのプランジヤを提供することを
課題とする。

［課題を解決するための手段］ すなわち、本発明は、プランジヤの頭部におい
て縦溝およびリード部分に充満する高圧燃料から
の圧力をプランジヤの周方向において均一化する
ことができるように、リードの終端部から縦溝に
至る頭部の不使用域部分に、縦溝に連通するよう
に圧力バランス用の切込みを形成することとした
燃料噴射ポンプのプランジヤである。

［作用］ 本発明による燃料噴射ポンプのプランジヤによ
れば、縦溝およびリードによる燃料の噴射タイミ
ングに影響を及ぼすことなく、上記圧力バランス
用の切込みの部分においても燃料による圧力がプ
ランジヤバレルの内壁に均一におよぶこととな
る。したがつて、燃料圧送時においても、プラン
ジヤの頭部の全周方向に高圧燃料の圧力が外方に
向つてかかることとなり、プランジヤバレルの変
形を防止することが可能となる。さらには、プラ
ンジヤの仕上げ切削時にも切削抵抗の変化が減少
するためプランジヤを真円に加工することが可能
となり、この面からもプランジヤの焼付きを防止
することが可能となる。

［実施例］ つぎに、本発明の第一の実施例を第１図ないし
第３図にもとづき説明する。ただし、第９図ない
し第１４図と同等の部分には同一符号を付し、そ
の詳述は省略する。

第１図は本発明の上記第一の実施例によるプラ
ンジヤ２１の頭部２２の斜視図で、第２図は頭部
２２の平面図、第３図は頭部２２の周方向の展開
図で、縦溝１７およびリード１８を平面的に示し
ている。

この実施例においては、実際に燃料の送油開始
および終了にかかわる上記縦溝１７およびリード
１８という周面部分ではない前記不使用域Ｎにお
いて、圧力バランス用の切込みとして三角形状の
切込み２３を形成してある。

この切込み２３の形成位置は、リード１８終端
部から縦溝１７に至る上記不使用域Ｎ内ではある
が、この切込み２３が前記吸排孔１６に臨まない
位置とするものである。

したがつて第２図に示すように、プランジヤ２
１とプランジヤバレル７との間において高圧燃料
は縦溝１７、リード１８および上記切込み２３に
充満することとなり、この高圧燃料によるプラン
ジヤバレル７の内壁への圧力はプランジヤ２１の
周方向においてほぼ均一化することとなるので
（仮想線参照）、圧力バランスがプランジヤ２の全
周でほぼ均等化されるため、プランジヤバレル７
の楕円状ないしは不均一な変形は防止されること
となる。さらに、プランジヤ２１の仕上げ研削時
においても切削抵抗の変化が少なくなるため、真
円に加工することができる。

つぎに、第４図は本発明の第二の実施例による
プランジヤ３１の頭部３２の斜視図で、第５図は
同、頭部３２の平面図、第６図は同、頭部３２の
周方向の展開図である。

このプランジヤ３１においては、側圧を均一化
する圧力バランス用の切込みとして矩形状の切込
み３３を形成したものであつて、その作用等につ
いては上述の実施例のものと同等であるので、詳
述は省略する。

なお、本発明においては、高圧燃料による側圧
均一化用の切込みとしてはプランジヤの頂部表面
に露出している必要はなく、第７図および第８図
に示すように、縦溝１７に少なくとも連通してい
るものであれがよいものである。すなわち、第７
図は矩形状の切込み４０を示し、第８図は三角形
状の切込み５０を示すものである。なお、これら
の作用等については上述の実施例のものと同等で
あるので、詳述は省略する。

さらに、本発明においては、縦溝およびリード
を対象位置にそれぞれ一対設けた例により説明し
たが、単一の縦溝およびリードをプランジヤの頭
部に設け、不使用域に縦溝に連通するように圧力
バランス用の切込みを形成するようにすることも
可能である。

また、上述のように圧力バランス用の切込みの
形状や大きさとともに、縦溝およびリードの形状
ないしは大きさも任意に設計することができるこ
となもちろんである。

［発明の効果］ 以上説明したごとく本発明によれば、プランジ
ヤの縦溝に連通する側圧均一化用の切込みをプラ
ンジヤの頭部に形成したので、プランジヤが往復
摺動するプランジヤバレルの内壁の全周にわたり
高圧燃料から均一な側圧がかかることとなり、か
つまたプランジヤの表面加工も真円に近く加工す
ることが可能となるため、とくに高圧、高負荷運
転時のプランジヤの焼付きを的確に防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第一の実施例による燃料噴射
ポンプのプランジヤ２１の頭部２２の斜視図、第
２図は同プランジヤ２１の頭部２２の平面図、第
３図は同、頭部２２の展開図、第４図は本発明の
第二の実施例によるプランジヤ３１の頭部３２の
斜視図、第５図は同、頭部３２の平面図、第６図
は同、頭部３２の展開図、第７図及び第８図は本
発明の他の実施例によるプランジヤの頭部の展開
図、第９図は従来のプランジヤ２を組み込んだ燃
料噴射ポンプ１の概略断面図、第１０図は同プラ
ンジヤ２の斜視図、第１１図は同プランジヤバレ
ル７およびプランジヤ２部分の噴射開始状態の一
部切欠き斜視図、第１２図は同、噴射終了状態の
一部切欠き斜視図、第１３図は同プランジヤ２の
頭部４の展開図、第１４図は同プランジヤ２の平
面図である。 １……燃料噴射ポンプ、２……プランジヤ、３
……摺動本体部、４……頭部、５……ドライビン
グフエース部、６……脚部、７……プランジヤバ
レル、８……ロアスプリングシート、９……アツ
パスプリングシート、１０……プランジヤスプリ
ング、１１……噴射量コントロールスリーブ、１
２……係合溝、１３……噴射量コントロールラツ
ク、１４……デリバリバルブ、１５……燃料圧
室、１６……吸排孔、１７……縦溝、１８……リ
ード、１９……燃料出口、２１……プランジヤ、
２２……プランジヤ２１の頭部、２３……三角形
状の切込み（圧力バランス用の切込み）、３１…
…プランジヤ、３２……プランジヤ３１の頭部、
３３……矩形状の切込み（圧力バランス用の切込
み）、４０……矩形状の切込み（圧力バランス用
の切込み）、５０……三角形状の切込み（圧力バ
ランス用の切込み）、Ｎ……不使用域（リード１
８の終端部から縦溝１７に至る周面部分）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ その頭部に、縦溝およびこの縦溝に連通する
   リードを有するとともに、燃料噴射ポンプのプラ
   ンジヤバレルに形成した燃料圧室内を往復動する
   ことにより、このプランジヤバレルの吸排孔から
   燃料を吸い込み燃料出口から送出する燃料噴射ポ
   ンプのプランジヤであつて、 前記吸排孔との相対位置関係によつて燃料の吐
   出終了時を規定する前記リードの終端部から前記
   縦溝に至る周面部分に、該縦溝に連通するよう
   に、圧力バランス用の切込みを形成したことを特
   徴とする燃料噴射ポンプのプランジヤ。