JPH0583532U - 自在継手用割りブーツ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装着状態における密封性を良好にする。 【構成】 熱可塑性合成樹脂からなるブーツであって、
軸平面６に対し交差する軸線方向の分割面３ａ，３ｂを
１箇所以上有し、かつ該分割面３ａ，３ｂが自在継手を
覆った状態で径方向に重ね合わされて溶着により接合さ
れてなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自在継手のグリース保持および防塵などのために使用される樹脂製 ブーツに関する。更に詳述すると、本考案は、組立てられた自在継手と駆動軸な どの軸部に後から装着する自在継手用割りブーツに関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用等速ジョイント（ＣＶＪ）などの自在継手のグリース保持および防塵 などのために装着されるブーツは、蛇腹状の胴部の両端に相手部材への固定を容 易にするクランプ部を設けた筒体に形成されている。このブーツは、一般に、連 結前の一方の軸を通しておく。そして、この軸を自在継手に連結してから自在継 手部分を覆うようにブーツを配置し直し、その両端のクランプ部を利用して軸部 にそれぞれ固定するようにしている。したがって、自動車製造ラインなどにおい て、エンジンを車体にマウントする前にブーツを装着する場合にはそれほどの不 便も制約も受けることがない。

【０００３】 しかし、車体などにマウントした後にブーツ交換を必要とするときがある。こ の場合には、狭いエンジンルームなどで他の装備品などに損傷を与えることなく 、この交換を実施することは困難である。したがって、従来は、エンジンなどを 一旦車体から下し、駆動軸を自在継手から取り外した後に新しいブーツを通して 再び駆動軸と自在継手を連結し、ブーツをクランプするようにしている。このた め、ブーツの交換には大変な手間と時間がかかる問題がある。

【０００４】 そこで、このような問題を解消するため、ブーツをあらかじめ縦割り可能な構 造としておき、ブーツを取付けようとする軸側を分解せずにそのままの状態でブ ーツを割って自在継手に被せ、その後に分離部を接着テープやファスナーなどで 接合することが提案されている。例えば、特開昭６２−１３８２３号公報には、 分離面にファスナーを設けたものが開示されている。また、特開昭６２−１３８ ２４号公報には、ブーツの分離面に剥離紙付き両面テープを貼付しておき、ブー ツの分離部を接着テープで接合するようにしたものが開示されている。また、実 開昭６２−１９１９５５号公報および実開昭６２−１９１９５６号公報には、分 離部をクリップで複数箇所止めるもの、着脱自在テープにより接合するもの、ネ ジで接合するものが開示されている。更に、実開昭６４−２０５３９号公報には 、一方の分離部に突条を、他方の分離部に溝を設け、これら凸条と溝との嵌合に よって接合するようにしたものが開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来の割りブーツは、密封性の点で劣り次のような種々 の実用上の重大な問題を含んでいる。即ち、自在継手用ブーツは、高速回転と共 に捩り、曲げなどの種々の荷重が繰返し長時間かかる苛酷な条件の下で使用され るものである。したがって、ファスナーや接着テープで接合したり、クリップや ネジで止めるものでは、信頼性が低く使用中に接合部が開いてしまう虞がある。 このため、グリースの漏洩や塵埃の侵入を許す問題がある。

【０００６】 また、ファスナーによる接合は、機械的構造上、屈曲している面での開閉が難 しく、蛇腹状の胴部に適用する場合簡単にファスナーで接合できないことが考え られる。

【０００７】 本考案は、高速回転中に接合した部分が開くことがなく、さらに密封性が良好 である自在継手用割りブーツを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するため、本考案は、熱可塑性合成樹脂からなるブーツであ って、軸平面に対し交差する軸線方向の分割面を１箇所以上有し、かつ該分割面 が自在継手を覆った状態で径方向に重ね合わされて溶着により接合されている。

【０００９】

【作用】 したがって、ブーツを装着するときには分割面からブーツを割って拡げ自在継 手に被せる。そして、装着後は、分割面を径方向に重ね合わせてから溶着するこ とによって一体化し接合する。これによって、ブーツは当初から一体成形した場 合と同様の密封性を得る。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の構成を図に示す実施例に基づいて詳細に説明する。

【００１１】 図１及び図２に装着前の本考案の自在継手用割りブーツの一実施例を示す。こ のブーツ１は、熱可塑性合成樹脂からなるブーツであって、軸平面６に対し交差 する軸線方向の分割面３ａ，３ｂを１箇所以上有し、かつ該分割面３ａ，３ｂが 自在継手を覆った状態で径方向に重ね合わされて溶着により接合される。ブーツ １の分割面３ａ，３ｂは、図示しない自在継手部分に被せてから径方向に重ね合 わされ、その重ね合せた部分に超音波、振動、電磁波、あるいは熱などを適宜方 法により加えることによって溶着される。これによって熱可塑性合成樹脂からな るブーツ１の重ね合わせ箇所部分のみが加熱されて溶着し一体化される。このブ ーツ１は、通常、蛇腹状の胴部２ａの両端に大径のクランプ部２ｂと小径のクラ ンプ部２ｃとを備え、両端のクランプ部２ｂおよび２ｃ部分で図示していない自 在継手および駆動軸にクランプバンドなどを用いてそれぞれ固定される。このブ ーツはその外観形状そのものには特徴を有するものではないので詳細な説明は省 く。

【００１２】 図３の（Ａ）〜（Ｃ）に分割面３ａ、３ｂの構造が例示されている。この分割 面３ａ，３ｂは、軸平面６に対し交差するように軸線方向に設けられておれば十 分であり、特殊な形状であることは必ずしも要求されない。

【００１３】 例えば、図３（Ａ）の例では、分割面３ａ，３ｂが軸平面６に対して傾斜する ように設けられ、かつ一方の分割面３ａに突条４が、他方の分割面３ｂに溝５が 形成され、これらを嵌合させることによって重ね合せた状態で仮固定できるよう に設けられている。これによると、ブーツ１を割って自在継手に装着した後に突 条４を溝５に嵌合して分割面３ａ、３ｂを重ね合わせた状態を保持するので、次 の溶着作業が簡単になる利点がある。

【００１４】 また、図３の（Ｂ）の例の分割面３ａ，３ｂは、軸平面６に対して直交する方 向即ち円周方向の面と軸平面と平行な面との組合せから成る。この場合ブーツ１ の成形が容易となる。

【００１５】 更に、図３の（Ｃ）の例の分割面３ａ，３ｂは、軸平面６に対して直交する方 向即ち円周方向の面とこの面の両端において軸平面６に対し傾斜する面との組合 せから成る。いずれの分割面３ａ，３ｂも、重ね合わせた状態でブーツ１の他の 部分の肉厚と同一になるようにしている。

【００１６】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案の自在継手用ブーツは、熱可塑性合成 樹脂からなるブーツであって、軸平面に対し交差する軸線方向の分割面を１箇所 以上有し、かつ該分割面が自在継手を覆った状態で径方向に重ね合わされて溶着 により接合されているので、当初から一体成形したブーツと同様の密封体となり 、使用中に接合部分が開く事故がなく、またグリースの漏洩や塵埃の侵入の虞が ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のブーツの一実施例を概略的に示す斜視
図である。

【図２】図１のブーツの溶着前の状態を示す側面図であ
る。

【図３】ブーツの分割面の形態の例を（Ａ）〜（Ｃ）に
示す要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ ブーツ ３ａ 分割面 ３ｂ 分割面 ６ 軸平面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱可塑性合成樹脂からなるブーツであっ
   て、軸平面に対し交差する軸線方向の分割面を１箇所以
   上有し、かつ該分割面が自在継手を覆った状態で径方向
   に重ね合わされて溶着により接合されてなることを特徴
   とする自在継手用ブーツ。