JPH0582301B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 感熱記録方式は保守が容易であることから、フ
アクシミリをはじめ多くの端末用プリンターとし
て利用されている。更に、近年感熱転写方式の開
発がなされ、多色記録あるいはフルカラー記録も
可能となり、新しい記録機器としての展開もなさ
れている。本発明は、このような感熱記録方式に
用いるサーマルヘツドに関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来、サーマルヘツドを用いた感熱記録方式に
よる記録機器においては、例えばフアクシミリの
様に白黒の２値記録を行うものが主流であつた。
しかし近年、多階調記録の行える装置や多色記録
ならびにフルカラー画像記録の行える機器への要
望が頓に高まつてきている。

このような状勢のもとで、最近多階調記録及び
フルカラー画像記録も行える記録方式として、第
１図に示すような感熱転写記録方式が提案されて
いる。この方式は第１図に示すように、回転ドラ
ム１に巻回された受像紙２に、例えば熱溶融性の
顔料や熱昇華性染料等を塗布した転写シート３を
重ね、サーマルヘツド４で熱記録を行うことによ
り、前記転写シート３上の顔料もしくは染料を受
像紙２上に転写して記録を行うものである。

このため、前述した転写シート３を、第２図に
示すようにイエローＹ、マゼンタＭ、シアンＣの
各転写層を塗り別けたものと交換し、サーマルヘ
ツド４で順次熱記録を行いながら、各色を同一受
像紙２に転写させることにより、いわゆる減色法
によつてカラー画像記録を行うことができるもの
である。

前述した様な記録装置において熱記録を行うサ
ーマルヘツド４は、第３図に示すように発熱体基
板５の主平面上に発熱体列６を形成した平面型の
サーマルヘツドが用いられていた。これは、一般
的にサーマルヘツド４が薄膜形成技術を用いて作
られるため、平面型の方が作りやすい上、価格を
高くする要因が少ないことなどによると考えられ
る。

しかし、このような平面型サーマルヘツドを使
用して装置を構成したり、カラー画像記録を行う
には、以下に示す様な欠点を有していた。

すなわち、平面型サーマルヘツド４は第３図に
示すように発熱体列６形成面側に、発熱体列６の
加熱を容易にするための各発熱体に接続された半
導体素子７、あるいは発熱体列６の共通電極部８
に接続されたリード線９等を機械的に保護するた
めの半導体保護カバー１０、電極保護カバー１１
がそれぞれ設けられていた。従つて、これらの保
護カバーと転写シート３、受像紙２及び回転ドラ
ム１が接触しないようにする必要があり、このた
め発熱体基板５が大型となり、サーマルヘツドの
コストが高くなるばかりでなく装置を大型化させ
る原因となつていた。

また、発熱体基板５は板状であるため、発熱体
列６を形成した発熱体形成面１２は、基板の反り
やうねりの影響を受けると共に、発熱体基板５を
基台１３に接着する構成のため、発熱体基板５の
厚みむらや、接着剤厚みむら等によつて、発熱体
列６近傍の平坦度が悪かつた。このためカラー記
録を行う場合に必要なサーマルヘツド４と転写シ
ート３及び受像紙２との良好なヘツドタツチ状態
が確保できず、結果として良好なカラー記録画像
が得られないという欠点を有していた。

ちなみにカラー画像は、多色多階調の組合せに
よる画像であるため、このようなカラー画像の記
録を行う際、サーマルヘツドに要求される最も重
要なことは、各発熱体１個々の発熱状態のバラツ
キをなくし、記録濃度ムラをなくすことである。
このため前述したように発熱体列６近傍の平坦度
が悪く、転写シート３や受像紙２との接触状態に
バラツキが生じることは、即転写シート３上の顔
料または染料の発色濃度むらとなり、良好なカラ
ー画像を記録することができなくなるのである。

最近、これらの欠点を解決し、熱転写方式によ
るカラー画像記録に適したサーマルヘツドとして
第４図に示すような、円筒状の発熱体基板を用い
て発熱体列を基板の頂上部分に設けた構成のサー
マルヘツドが提案されている。（以下この様なサ
ーマルヘツドを平面型サーマルヘツドと区別する
ため端面型サーマルヘツドと呼び、以下本文中の
説明に用いる。） しかしながら、このような端面型サーマルヘツ
ドにおいては、前述した様な平面型サーマルヘツ
ドの問題をある程度解決するものであるが、なお
以下に示すような欠点を有していた。

すなわち、円筒状の発熱体基板１４の頂上部に
発熱体列１５を形成されているため、発熱体列１
５近傍しか転写シート３、受像紙２及び回転ドラ
ム１と接しないため、装置を大幅に小型化できる
反面、発熱体列１５近傍と転写シート３との接触
状態が点接触に近い状態となり、良好なヘツドタ
ツチを安定して保つことが困難であつた。

また、円筒状の基板面（曲面上）に高密度の発
熱体１５及び電極１６を精度よく形成することは
むずかしいうえ、電極１６が曲面に形成されてい
るため、電極１６の取り出し及び接続が困難であ
つた。

さらに平面型サーマルヘツドが板状の発熱体基
板の主平面に発熱体を形成しているため、発熱体
から基台表面までの距離が板厚分しかなく、きわ
めて近いのに対して、端面型サーマルヘツドは発
熱体が円筒状であるため、発熱体列１５から基台
１７表面までの距離が長く、基台１７までの熱抵
抗が平面型サーマルヘツドに比べて非常に大きく
なり、結果として放熱不良による蓄熱現象が発生
し、カラー画像記録を行つた場合、ゴーストや尾
びきの原因となつていた。

発明の目的 本発明は、上記従来の問題点を解決するもの
で、放熱特性に優れた小型で使い勝手の良い端面
型サーマルヘツドを提供することを目的とする。

発明の構成 この目的を達成するために本発明は、板状の基
板端面に発熱体列を形成すると共に、端面に続く
２つの主平面の各々に画信号電極及び共通電極を
形成した発熱体基板と、この発熱体基板の共通電
極面に臨んで設けた放熱性を有する絶縁性弾性部
材と、この絶縁性弾性部材を介して発熱体基板取
付ける基台と、前記発熱体基板の画信号電極形成
面の少なくとも一部を基台に押圧する取付部材と
を設け、前記取付部材により板状の発熱体基板の
共通電極面を放熱性を有する絶縁性の弾性部材を
介して基台に沿わせて密着固定したものである。
この構成とすることにより、放熱性にすぐれた小
型で使い勝手の良い端面型サーマルヘツドを提供
するものである。

実施例の説明 以下本発明の一実施例における端面型サーマル
ヘツド構成について図面を用いて詳細に説明す
る。

第５図は本発明の一実施例における端面型サー
マルヘツド斜視図を示し、第６図は発熱体基板斜
視図を示し、第７図は断面図をそれぞれ示してい
る。

第６図において、発熱体基板２０はセラミツク
等の板状の基板２１上にガラスグレーズ層２２を
設けたもので、その端面２５には発熱体２６が図
に示すように列状に形成されている。また端面２
５に続く主平面２３には画信号電極２８を延在さ
せて設けると共に、主平面２４には共通電極２７
を延在させて設けている。なおガラスグレーズ層
２２は発熱体２６を発熱させ熱記録を行う際の熱
効率を向上させるために設けている。しかしこの
ガラスグレーズ層２２は、放熱の際には、熱抵抗
が大きく、放熱のさまたげとなるため、基台３１
と接する共通電極面２４には設けていない。

また、発熱体２６を形成した端面２５及び端面
２５と画信号電極２８及び共通電極２７を形成し
た２つの主平面の交わる稜部２９，３０には若干
の曲面を設けているが、その面形状は略々平面で
ある。従つて端面２５及び２つの主平面にそれぞ
れ画信号電極２８、共通電極２７を形成する場
合、従来の円筒状基板上にパターンを形成するこ
とに比較して、簡単かつ精度の良いパターン形成
が行えるものである。

ちなみに、発熱体２６及び画信号電極２８の配
線密度は８本／mm〜16本／mmであり、パターン形
成の容易さがヘツド製作の歩止まりを向上させ、
ひいてはコストを低下させることにつながるので
ある。第５図及び第７図において基台３１は発熱
体基板２０を放熱性を有する絶縁性弾性部材３２
を介して取付けるものであり、アルミ等の金属材
料で作られている。

配線基板３９は、基台３１に取付けられてお
り、同じく基台３１に取付けられた発熱体基板２
０の画信号電極２８部との間に、発熱体２６駆動
用のIC３３を実装すると共に、共通電極２７を
フイルム状の配線基板３４によつて配線結合する
ものである。取付け部材３５は、発熱体基板２０
及び前記配線基板３９を基台３１に押圧・挾持つ
するものであり、スペーサ３６，３７を介してビ
ス３８で基台に固定される。また配線基板３９に
は、第８図に示すように配線コネクタ４０が設け
られている。

第８図は、本発明の一実施例における端面型サ
ーマルヘツドを用いた感熱転写記録装置の一例を
示すものである。第８図において、端面型サーマ
ルヘツド４１は、イエローＹ、マゼンタＭ、シア
ンＣの熱溶融性または熱昇華性の顔料あるいは染
料から成る転写層４２が塗布された転写シート４
３及び受像紙４４を介して回転ドラム４５に圧接
されている。

この状態で回転ドラム４５を矢印Ａ方向に回転
させながら、例えばイエローＹの転写層を介して
発熱体２６を画信号に従つて発熱させると、受像
紙４４上に転写シート４３上の顔料又は染料が転
写され、イエローＹの画像を形成する。

なお、カラー画像を形成する場合は、同一受像
紙４４上にイエローＹ、マゼンタＭ、シアンＣの
各転写層４２を順次転写せしめて、重ね合せによ
る減色法によつてカラー画像を形成する。

このとき、発熱体基板２０上の発熱体２６は画
信号に従つて発熱・冷却のサイクルをくり返すこ
とになるが、特に冷却の際の放熱がうまく行われ
ないと、発熱体部近傍に蓄熱がおこり、本来画信
号の印加されていない所でも発熱と同じ状態とな
り、階調記録ができなくなつたり、画像上でゴー
ストや、尾びきといつた現像を生じたり、発熱体
の寿命を大幅に低下させる原因となつていたので
ある。しかしながら、本発明による端面型サーマ
ルヘツドにおいては、記録に伴う発熱体の発熱後
の冷却すなわち放熱がきわめてスムーズにかつ効
率よく行なわれるため、このような欠点を解消で
きるものである。

すなわち、多色多階調を要求されるカラー画像
記録においては、発熱体基板からの放熱が最も重
要な原因の一つであり、以下に本発明における端
面型サーマルヘツドにおける放熱構成及び放熱状
態を説明する。

本発明においては発熱体基板２０を板状の基板
で構成すると共に発熱体２６を基板端面２５に形
成したため、面積の広い主平面で発熱体基板２０
と基台３１を取付けることが可能となり、基台３
１との接触放熱面積を大きくとることができる。

また、発熱体基板２０の共通電極面２４には熱
抵抗の高いガラスグレーズ層２２を設けない構成
としているため、発熱体近傍で発生した熱はセラ
ミツク等の基板２１を介して直接基台３１に伝達
され放熱される。

ちなみに共通電極２７は画信号電極のように高
密度パターン電極である必要がなく、単なる面状
電極で良いため、ガラスグレーズ層も必要でない
うえ例えば電極のメツキ層を厚くすることにより
さらに放熱効率の向上を期待できるものである。

さらに上述した発熱体基板２０の共通電極面２
７は取付部材３５によつて、放熱性を有する絶縁
性弾性部材３２を介して基台面に強固に密着固定
されるためさらに放熱時の熱抵抗を下げることが
できるのである。

前記放熱性を有する絶縁性弾性部材３２は、例
えば、一般のゴム、プラスチツクの３〜６倍も熱
を通しかつ、すぐれた絶縁性を有する厚み0.1〜
0.5程度の放熱性シリコンゴム（信越化学工業
Ｋ・Ｋ社製；TC−Ａタイプシリコンゴム）や、
あるいは、電気絶縁性にすぐれたポリオレフイン
系エラストマーと、特殊なAl₂O₃系フイラーで構
成された熱伝導性ゴム（例えば三菱電機Ｋ・Ｋ社
製；TFラバー）等で構成されている。

この放熱性を有する絶縁性弾性部材３２を介し
て発熱体基板２０と基台３１を固定すると、基台
３１と共通電極面２４とは電気的には絶縁される
が熱的には、抵抗を極めて少なくおさえることが
できるのである。すなわち、基台３１及び発熱体
基板２０の共通電極面２４に凹凸があつても絶縁
性弾性部材３２の弾性によつて間〓なく密着させ
ることができる上、取付部材３５によつて発熱体
基板２０と基台３１を押圧挾持ししつかり固定し
ているためである。さらに、発熱体基板２０の発
熱により、発熱体基板２０は熱応力を受けるが、
発熱体基板２０に密着接触する絶縁性弾性部材３
２の弾性によつて、熱応力が吸収される。また、
絶縁性弾性部材３２が密着接触している発熱体基
板２０は取付部材３５によつて基台３１に押圧挾
持されているので、絶縁性弾性部材３２と基台３
１との接触面においても熱応力が吸収される。な
お、第９図に放熱性を有する絶縁性弾性部材３５
の締付トルクと熱抵抗の関係をグラフで示すが、
図からもわかる様に取付部材３２を用いて、基台
３１と発熱基板２０とをしつかり固定することに
より、放熱時の熱抵抗を極めて少なくすることが
できるものである。

以上述べたように本発明の実施例によれば、発
熱体２６を発熱させた後の放熱時における熱抵抗
を極めて小さくおさえることができ、記録に伴う
蓄熱の少ないスムーズな放熱の行える、多色多階
調記録に適した端面型サーマルヘツドを提供でき
るものである。

また、発熱体基板２０を板状の基板で構成し、
略々平面な端面２５に発熱体を形成しているた
め、従来の円筒状発熱体基板に比較して製作しや
すい上、発熱体が円筒の頂上部ではなく平面上に
あるため転写シート等との接触面積も大きく取る
ことができ、ヘツドタツチも極めて良好にするこ
とができる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、板状の発熱体基
板の端面に発熱体列を形成すると共に、端面に続
く２つの主平面の各々に画信号電極及び共通電極
を形成した発熱体基板と、前記発熱体基板に臨ん
で設けた放熱性を有する絶縁性弾性部材と、前記
放熱性を有する絶縁性弾性部材を介して前記発熱
体基板を基台に押圧挾持する取付部材とを設けた
端面型サーマルヘツドを構成することにより、発
熱体基板と基台の接触放熱面積を大きくすると共
に発熱体と基台間の距離を短くすることができ、
発熱体基板と基台間の熱抵抗の小さい放熱性のす
ぐれた端面型サーマルヘツドを提供できるもので
ある。

さらに、前記取付部材により板状の発熱体基板
のガラスグレーズ層を設けていない共通電極を放
熱性を有する絶縁性弾性部材を介して基台面に強
固に密着固定するため、放熱の効率を一層高める
ことができる。

また、発熱体基板を板状の基板で構成すると共
に発熱体及び画信号電極、共通電極を略々平面な
端面及び主平面上に形成しているため、発熱体基
板の製作や電極の取出し結線が容易であるばかり
でなく、転写シートや感熱記録紙と接する発熱体
が平面上の基板端面に形成されているため、良好
なヘツドタツチを安定して得ることができる。さ
らに、発熱体基板の発熱により、発熱体基板は熱
応力を受けるが、発熱体基板に密着接触する絶縁
性弾性部材の弾性によつて、熱応力が吸収され
る。また、絶縁性弾性部材が密着接触している発
熱体基板は取付部材によつて基台に押圧挟持され
ているので、絶縁性弾性部材と基台との接触面に
おいても熱応力が吸収される。これにより、発熱
体基板に熱応力によるそりが生じず、ヘツドの破
損防止をすることができる。

このように本発明によれば、多色多階調記録に
適した良好なヘツドタツチを得ることができ、ゴ
ーストや尾びきのない高画質の記録画像を得るこ
とができる放熱性のすぐれた小型で使い勝手の良
い端面型サーマルヘツドを提供できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のサーマルヘツドを用いた感熱転
写記録装置の構成図、第２図はカラー記録に用い
る転写シートの斜視図、第３図及び第４図はそれ
ぞれ従来の平面型サーマルヘツド及び端面型サー
マルヘツドの斜視図、第５図は本発明の一実施例
による端面型サーマルヘツドの全体の斜視図、第
６図は本発明における発熱体基板の斜視図、第７
図は同断面図、第８図は本発明による端面型サー
マルヘツドを用いた感熱転写記録装置の斜視図、
第９図は同装置の取付部材締付トルクの熱抵抗の
関係を示す図である。 ２０……発熱体基板、２１……基板、２２……
ガラスグレーズ層、２６……発熱体、２７……共
通電極、２８……画信号電極、３１……基台、３
２……絶縁性弾性部材、３５……取付部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 板状の基板端面に複数の発熱体を列状に形成
   するとともに、端面に続く２つの主平面の各々に
   画信号電極及び共通電極をそれぞれ形成した板状
   の発熱体基板と、この発熱体基板の共通電極形成
   面に臨んで設けた放熱性を有する絶縁性弾性部材
   と、この絶縁性弾性部材を介して発熱体基板を取
   付ける基台と、前記発熱体基板の画信号電極形成
   面の少なくとも一部を基台に向かつて押圧する取
   付部材とを設け、前記取付部材により、前記発熱
   体基板の共通電極面に密着させた放熱性を有する
   絶縁性弾性部材を基台に押圧挟持したことを特徴
   とする端面型サーマルヘツド。