JPH0581059U - 多層プラスチックキャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】複数の構成要素からなるプラスチック製キャッ
プを、一つの部品として成形されたキャップとして提供
すること。 【構成】ポリオレフィン系樹脂からなるキャップ最内層
及び最外層が連続しており、そのすぐ内側にポリオレフ
ィンをグラフト変性した共重合体を主成分とした熱可塑
性樹脂よりなる接着層があり、該接着層の内側に酸素ガ
スバリア性樹脂または水蒸気バリア性樹脂からなるガス
バリア層を含む３種５層のキャップであって、キャップ
裾部は最外層を構成するポリオレフィン系の樹脂からな
り、該ポリオレフィン系樹脂からなるインナーリングを
有する多層プラスチックキャップである。また、キャッ
プ裾部に、ブリッジ付きリングバンドを有する上記の多
層プラスチックキャップである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プラスチックの多層成形物に関するもので、詳しくは食料品、飲料 、調味料、化粧品等のガスバリア性を要求される内容物を入れる容器のキャップ に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

プラスチック製のキャップは、錆びず、耐薬品性に優れ、形状が自由で、美麗 で、商品価値の高いものが出来るなどの利点から使用されている。しかしながら 、プラスチックのガスバリア性は一般に悪く、キャップを厚肉にする必要がある 。また、より高いガスバリア性を必要とする場合には、アルミニウム箔を積層さ せたフィルムで容器口部をシールするなど、二つ以上の構成部材を用いている。 また、内容物が液体、粉体などの場合は、中栓等を用いて内容物が漏れないよ うにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記のような複数の構成部材からなるプラスチック製キャップを、 一つの部品として成形されたキャップとして提供することを課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の課題を解決するために、ポリオレフィン系樹脂からなるキャ ップ最内層及び最外層が連続しており、そのすぐ内側にポリオレフィンをグラフ ト変性した共重合体を主成分とした熱可塑性樹脂よりなる接着層があり、該接着 層の内側に酸素ガスバリア性樹脂からなるガスバリア層を含む３種５層のキャッ プであって、キャップ裾部は最外層を構成するポリオレフィン系の樹脂からなり 、該ポリオレフィン系樹脂からなるインナーリングを有する多層プラスチックキ ャップである。

【０００５】 また、キャップ裾部に、ブリッジ付きリングバンドを有する上記の多層プラス チックキャップである。さらに、前記ガスバリア層が水蒸気バリア性樹脂からな 上記の多層プラスチックキャップである。

【０００６】

【作用】

プラスチック製キャップを用いて、ガスバリア性を要求される場合、キャップ 天面の肉厚を厚くするが、デザインや成形性、コストの点から厚さには限界があ る。そのため、ガスバリア性の高いアルミニウム箔を積層させたフィルムやアル ミニウムを蒸着したフィルムで容器口部を密閉する方法がとられている。

【０００７】 しかしながら、本考案のキャップでは、キャップ天面がガスバリア性樹脂から なるガスバリア層を含む５層構成となっているため、天面の肉厚を厚くすること なく、必要なガスバリア性を満たすことができる。そのためキャップ形状が、ガ スバリア性によって制限されず、自由な形状を有するキャップを提供できる。

【０００８】 また、内容物が、液体、粉体等の場合、容器が輸送中の振動や落下等により、 内容物が容器口部より漏れないようにするため、一般に中栓を使用するが、イン ナーリングをキャップ本体に設けることにより液漏れ等を防止できる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の多層プラスチックキャップを図面に従って詳細に説明する。 図１は、本考案の多層プラスチックキャップの断面説明図である。このキャッ プは、スクリュキャップに分類され、スクリュキャップは食品、飲料、調味料等 の容器に使用されている。キャップ内側にネジ１が設けられ、容器口部の対応す る位置に、該ネジに適応するネジが設けられ、キャップまたは容器を回転するこ とにより、キャッピングすることができる。

【００１０】 キャップ最外層２および最内層３は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリ オレフィン系樹脂からなり、そのすぐ内側には該ポリオレフィン系樹脂と接着性 のあるポリオレフィンを、グラフト変性した共重合体を主成分とした熱可塑性樹 脂からなる接着層４があり、接着層４の内側には酸素ガスバリア性樹脂からなる ガスバリア層５があり、３種５層を形成している。

【００１１】 酸素ガスバリア層５は、キャップ天部およびキャップ側部にあり、連続した層 になっている。酸素ガスバリア層の先端６は、図１ではキャップ側部のほぼ中間 点にあるが、内容物の要求するガスバリア性によって、酸素ガスバリア層５の厚 さと共に、任意に設定できる。接着層４は、酸素ガスバリア層の先端６では該バ リア層を包括するように配置され、該バリア層とキャップ外層を形成するポリオ レフィン系樹脂と接することがない。

【００１２】 キャップ天面内側には、インナーリング７が設けられている。インナーリング ７の外周面は、容器口部の内面と接し、容器を密閉し、内容物が漏れないように なっている。容器を密閉するために、インナーリングの外径Ｒは容器口部内径ｒ より大きくなっており、キャップと容器の嵌合時には、インナーリングは中心方 向に力を受け、歪みを生じることになる。インナーリング７を多層構成にすると 、この歪みのためにインナーリング内で、酸素ガスバリア層と接着層の界面また は接着層とキャップ外層との界面で、剥離が生じる可能性がある。そのため、イ ンナーリングは単一層とし、キャップ外層と同一の樹脂とする。

【００１３】 酸素ガスバリア性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ） 、ポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤＣ）等を使用することが出来る。また、酸素ガス バリア性樹脂の代わりに、乾燥剤を添加したプラスチック材料を用いることによ り、水蒸気バリア性をキャップに付与することができる。

【００１４】 水蒸気バリア性樹脂は、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の水蒸気 バリア性のある樹脂に、燐酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、シリカゲル等の乾 燥剤を添加した材料を用いる。水蒸気バリア性樹脂がキャップ外層を構成する材 料と接着性がある場合には、接着層を省略することができる。この場合、キャッ プの構成は、２種３層となる。水蒸気バリア性樹脂を使用することにより、単一 材料を用いたキャップより、より高い水蒸気バリア性を得ることができ、医薬品 、化学薬品、調味料等の容器に使用できる。

【００１５】 図２は、別の実施例で、本考案の多層プラスチックキャップの断面説明図であ る。キャップ裾部にリングバンド１１を設け、ブリッジ１２を介在してキャップ と連接している。リングバンド１１の内面には、変形可能な突起１３をもち、キ ャッピング時には、容器口部のあご部にかみ合う。

【００１６】 突起１３は、ノコギリ歯状の形状を有し、閉栓時には、容器と抵抗が少なくキ ャッピングできるが、開栓時には突起１３と容器口部のあご部の突起とかみ合い 、リングバンド１１は回転することなく、ブリッジ１２が切断することにより、 キャップ本体より分離する。キャップ本体は、容器より離れ、容器口部にはリン グバンドが残る。この構造によって、タンパーエビデント性をキャップに付与で きる。

【００１７】

【発明の効果】

本考案は、上記のように構成したもので、キャップの中間層である酸素ガスバ リア層の厚さおよび該バリア層の先端の位置を任意に決めることによって、内容 物の酸化を抑えられる。そのため、キャップの形状、肉厚を従来より多様に設計 でき、軽量化並びにコンパクト化が可能となる。このことにより、他の機能を付 与したキャップも最小限の大きさで可能となる。

【００１８】 また、本考案のキャップは酸素ガスバリア性に優れているため、ガスバリアフ ィルムによる、容器口部のシールも不必要となり、中栓等も不要となる。また、 酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性に優れるため、高いバリア性を要求される内 容物についての用途にも使用可能となる。 さらに、本考案のキャップは多層射出成形機を用いることにより、一工程で製 造することが可能である。そのため、製造費用も安価で速く生産することができ る。

【００１９】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面説明図である。

【図２】本発明の別の実施例を示す断面説明図である。

【符号の説明】

１…ネジ ２…最外層 ３…最内層 ４…接着層 ５…
酸素ガスバリア層 ６…酸素ガスバリア層先端 ７…イ
ンナーリング １１…リングバンド １２…ブリッジ
１３…突起

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ポリオレフィン系樹脂からなるキャップ最
   内層及び最外層が連続しており、そのすぐ内側にポリオ
   レフィンをグラフト変性した共重合体を主成分とした熱
   可塑性樹脂よりなる接着層があり、該接着層の内側に酸
   素ガスバリア性樹脂からなるガスバリア層を含む３種５
   層のキャップであって、キャップ裾部は最外層を構成す
   るポリオレフィン系の樹脂からなり、該ポリオレフィン
   系樹脂からなるインナーリングを有することを特徴とす
   る多層プラスチックキャップ。
2. 【請求項２】キャップ裾部に、ブリッジ付きリングバン
   ドを有することを特徴とする請求項１記載の多層プラス
   チックキャップ。
3. 【請求項３】前記ガスバリア層が水蒸気バリア性樹脂か
   らなる請求項１または請求項２記載の多層プラスチック
   キャップ。