JPH0579922U - スイッチング電源用トランスのコイルボビン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マージンスペーサ付の中間ボビンを下巻線お
よび絶縁テープが巻回されたピン端子付ボビンに嵌装し
易くし、組立作業性を良くしたスイッチング電源用トラ
ンスのコイルボビンを提供すること。 【構成】 ピン端子付ボビン１と、このボビン１に巻回
された下巻線、その上に巻回された絶縁テープ上に嵌着
される中間ボビン７とを備え、この中間ボビン７は巻線
が巻回される連結部８と、この連結部８の両端に一体形
成された中空枠状のスペーサ９とからなり、かつこのス
ペーサ９の一部に内径を拡開可能な切欠き９ａを形成し
た構成とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、民生用のスイッチング電源用トランスに用いられるコイルボビン に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のトランスにおいて、各巻線間の沿面空間距離を確保するために、巻線 の両端にマージン用スペーサを設ける構造のものがある。このマージン用スペー サとして絶縁テープを帯状に重ね合わせて巻回して構成するものや、この絶縁テ ープ巻回方法より作業性を良くするために樹脂製のリング状成形品を巻線の両端 にそれぞれ取付けるタイプのもの等種々のものが存在する。

【０００３】 これらに対し図５は本願出願人の関連企業によって既に提案されたマージンス ペーサ付コイルボビンであり、中間ボビン７′は骨格状の連結部８′の両端にマ ージンスペーサ９′が一体形成された構造となっており、ピン端子付ボビン１′ の胴部２′に巻回された下巻線ａ′、その上部に巻回された絶縁テープＴ₁ ′上 に、矢印で示すように中間ボビン７′を嵌装するようになっている。

【０００４】 このマージンスペーサ付中間ボビン７′では既に２つのマージンスペーサ９′ が一体形成されているため、ピン端子付ボビン１′上に単に嵌装するだけで巻線 の両端に設けられる２つのマージンスペーサ９′を一挙に取付けることができ、 作業性が上記した従来例に比べ格段に良くなっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、中間ボビン７′をピン端子付ボビン１′にかぶせる際に絶縁テ ープＴ₁ ′が引っ掛かり、かぶせにくかったり、あるいは絶縁テープＴ₁ ′がめ くれてしまうなどの課題があった。

【０００６】 この考案は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、中 間ボビンを下巻線，絶縁テープが巻回されたピン端子付ボビンに装着し易くし、 作業性を良くしたスイッチング電源用トランスのコイルボビンを提供することに ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、第１に、ピン端子付ボビン１と、このボビン１に巻回された下巻線 、その上に巻回された絶縁テープ上に嵌着される中間ボビン７とを備え、この中 間ボビン７は巻線が巻回される連結部８と、この連結部８の両端に一体形成され た中空枠状のスペーサ９とからなり、かつこのスペーサ９の一部に内径を拡開可 能な切欠き９ａを形成した構成とし、上記目的を達成している。 また、第２に、ピン端子付ボビン１と、このボビン１に巻回された下巻線、そ の上に巻回された絶縁テープ上に嵌着される中間ボビン７とを備え、この中間ボ ビン７は巻線が巻回される連結部８と、この連結部８の両端に一体形成された中 空枠状のスペーサ９とからなり、かつこのスペーサ９の一辺の一部に内径を拡開 可能な切欠き９ａを形成するとともに、対向する他辺にほぼくの字状に折曲可能 なヒンジ９ｂを形成した構成とし、上記目的を達成している。 さらに、第３に、両端にフランジ５，５Ａを有し、かつ一方のフランジ５にピ ン端子６が植設されたピン端子付ボビン１と、このボビン１に巻回された下巻線 、その上に巻回された絶縁テープ上に嵌着される少なくとも一以上の中間ボビン ７とを備え、これらの中間ボビン７は巻線が巻回される連結部８と、この連結部 ８の両端に一体形成された中空枠状のスペーサ９とからなり、かつこのスペーサ ９の一辺の一部に内径を拡開可能な切欠き９ａを形成するとともに、対向する他 辺にほぼくの字状に折曲可能なヒンジ９ｂを形成した構成とし、上記目的を達成 している。

【０００８】

【作用】

上記のように請求項１記載の本考案では、スペーサ９に、その内径を押し広げ て拡開するための切欠き９ａを形成し、これによって下巻線，絶縁テープが巻回 されたピン端子付ボビン１に中間ボビン７を嵌装しやすくし、作業性を良好とし ている。 また、請求項２記載のものでは、ヒンジ９ｂを形成し、その部分を折曲して、 より押し広げ易くし、横方向からでも取付けることができるようにしている。 さらに、請求項３記載のものでは、ピン端子付ボビン１は両端にフランジ５， ５Ａを有するタイプとし、絶縁テープＴ₁ 〜Ｔ₃ のテーピング作業も気をつかわ なくて良いようにし、作業性を良くしている。

【０００９】

【実施例】

図１は本考案の第１実施例を示す。図中１はピン端子付ボビンで、このピン端 子付ボビン１は、中空状の胴部２と、この胴部２の両端にそれぞれ形成された肉 厚部からなる段付３，４と、一方の段付４側に形成されたフランジ５と、このフ ランジ５の肉厚部５ａに植設された複数本のピン端子６とを備え、胴部２上であ ってマージンスペーサとして機能する一対の段付３，４間に下巻線（図示せず） が巻回され、かつその段付３，４の外周面ないし下巻線の外周面上に絶縁テープ （図示せず）が巻回される。

【００１０】 また、７はその上に嵌装されるマージンスペーサ付中間ボビンで、この中間ボ ビン７は樹脂製の成形品からなり、骨格状の少なくとも一以上の連結部８と、こ の連結部８の両端にそれぞれ形成された中空枠状のスペーサ９とを有している。 そして、このスペーサ９は、この例ではほぼ矩形をなし、かつ４つのコーナー部 分を有しており、そのうちの一ケ所に切欠き９ａが形成され、矢印で示すように 、材質に起因する弾性によって多少内径を押し広げることができるようになって いる。

【００１１】 組立てにあたっては、巻線や絶縁テープが巻回されたピン端子付ボビン１に中 間ボビン７を取付ける際、スペーサ９を押し広げて内径を拡開してピン端子付ボ ビン１に対し軸方向から中間ボビン７を嵌装できるため、絶縁テープへの引っ掛 かりを防止することができる。 嵌装後、フランジとしても機能する両側のスペーサ９の間に上側の巻線を巻回 すれば良い。また、その上に絶縁テープを巻回し、かつ周知のように鉄心を組込 むなどすればトランスを完成させることができる。なお、更にスペーサ部分の形 状の大きい別の中間ボビンを嵌装し、巻線を下巻線，中央巻線，上巻線等の如く 多層とすることも可能である。

【００１２】 図２は本考案の第２実施例を示す。この例では中間ボビン７のスペーサ９の連 結部８と連結されていない側の一辺のほぼ中央部に切欠き９ａを形成し、かつ対 向する他辺のほぼ中央部にくの字状に折曲可能なヒンジ９ｂを形成し、より内径 を押し広げ易くしたことに特徴を有している。 このため、この例ではピン端子付ボビン１に対し軸方向と直交する方向、つま り矢印で示すように横方向から容易に取付けることができる。 なお、その他の構成は第１実施例と同様である。

【００１３】 図３は本考案の第３実施例を示す。前述の各実施例のピン端子付ボビン１では 、ピン端子６側のみにフランジ５があったが、この例ではその反対側にもフラン ジ５Ａを形成したタイプのものとしたことに特徴を有している。 また、中間ボビン７は中央巻線用の第１の中間ボビン７と、それよりスペーサ ９部分の形状が大きくなっている上巻線用の第２の中間ボビン７からなっている 。 なお、各中間ボビン７はスペーサ部分の大きさが異なるだけで、基本的に第２ 実施例と同様に形成されている。 そして図４に示すように、ピン端子付ボビン１上に下巻線ａ、絶縁テープＴ₁ を巻回後、第１の中間ボビン７を第２実施例と同様に取付け、スペーサ９間に中 央巻線ｂを巻回し、絶縁テープＴ₂ を介し、更に第２の中間ボビン７を取付け、 そのスペーサ９間に上巻線ｃを巻回し、また絶縁テープＴ₃ を巻回するようにし ている。

【００１４】 すなわち、図１，図２等に示したピン端子６側のみにフランジ５を形成したボ ビンでは各巻線上に絶縁テープを巻回する場合、一つのフランジ５内側を基準と してテーピングを行っているため、作業のバラツキにより絶縁テープＴ₁ 〜Ｔ₃ の幅方向がフランジ５と反対側の段付３側にズレを生じることがあり、作業にあ たり、ズレを生じないようにテーピングをする必要があり作業に注意を要する。 しかし、この実施例のように、胴部２の両側にフランジ５，５Ａを形成してお けば、フランジ５，５Ａによって絶縁テープＴ₁ 〜Ｔ₃ の幅方向のズレを防止で き、作業性が良好となるものである。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように請求項１，２に示した本考案のコイルボビンでは、マージンスペ ーサ付中間ボビン７に切欠き９ａが形成されているため、内径を押し広げること ができ、容易にピン端子付ボビン１に中間ボビン７を取付けることができ、作業 性が良いといった効果がある。 また、請求項３のコイルボビンでは、このことに加え、両端にフランジ５，５ Ａがあるため、絶縁テープＴ₁ 〜Ｔ₃ のテーピング作業も位置ズレ防止を特に配 慮することがなく、作業性が良い、といった効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例の分解斜視図。

【図２】本考案の第２実施例の分解斜視図。

【図３】本考案の第３実施例の分解斜視図。

【図４】同上の実施例の組立状態を示す概略半側断面
図。

【図５】既に提案されている先行例の分解斜視図。

【符号の説明】

１ ピン端子付ボビン ２ 胴部 ３，４ 段付 ５，５Ａ フランジ ６ ピン端子 ７ 中間ボビン ８ 連結部 ９ スペーサ ９ａ 切欠き ９ｂ ヒンジ ａ 下巻線 ｂ 中央巻線 ｃ 上巻線 Ｔ₁ 〜Ｔ₃ 絶縁テープ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピン端子付ボビン（１）と、このボビン
   （１）に巻回された下巻線、その上に巻回された絶縁テ
   ープ上に嵌着される中間ボビン（７）とを備え、この中
   間ボビン（７）は巻線が巻回される連結部（８）と、こ
   の連結部（８）の両端に一体形成された中空枠状のスペ
   ーサ（９）とからなり、かつこのスペーサ（９）の一部
   に内径を拡開可能な切欠き（９ａ）を形成したことを特
   徴とするスイッチング電源用トランスのコイルボビン。
2. 【請求項２】 ピン端子付ボビン（１）と、このボビン
   （１）に巻回された下巻線、その上に巻回された絶縁テ
   ープ上に嵌着される中間ボビン（７）とを備え、この中
   間ボビン（７）は巻線が巻回される連結部（８）と、こ
   の連結部（８）の両端に一体形成された中空枠状のスペ
   ーサ（９）とからなり、かつこのスペーサ（９）の一辺
   の一部に内径を拡開可能な切欠き（９ａ）を形成すると
   ともに、対向する他辺にほぼくの字状に折曲可能なヒン
   ジ（９ｂ）を形成したことを特徴とするスイッチング電
   源用トランスのコイルボビン。
3. 【請求項３】 両端にフランジ（５），（５Ａ）を有
   し、かつ一方のフランジ（５）にピン端子（６）が植設
   されたピン端子付ボビン（１）と、このボビン（１）に
   巻回された下巻線、その上に巻回された絶縁テープ上に
   嵌着される少なくとも一以上の中間ボビン（７）とを備
   え、これらの中間ボビン（７）は巻線が巻回される連結
   部（８）と、この連結部（８）の両端に一体形成された
   中空枠状のスペーサ（９）とからなり、かつこのスペー
   サ（９）の一辺の一部に内径を拡開可能な切欠き（９
   ａ）を形成するとともに、対向する他辺にほぼくの字状
   に折曲可能なヒンジ（９ｂ）を形成したことを特徴とす
   るスイッチング電源用トランスのコイルボビン。