JPH0578744U - 平板隅棟瓦 - Google Patents

平板隅棟瓦

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JPH0578744U
JPH0578744U JP2698192U JP2698192U JPH0578744U JP H0578744 U JPH0578744 U JP H0578744U JP 2698192 U JP2698192 U JP 2698192U JP 2698192 U JP2698192 U JP 2698192U JP H0578744 U JPH0578744 U JP H0578744U
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隆 木村
喬 山口
茂市 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 葺き納まりが良く、雨仕舞の良好な隅棟の棟
葺きに用いられる隅棟瓦の提供。 【構成】 隅棟瓦を、隅棟Hの棟線y−yに平行な斜辺
1を有する略直角三角形の形状をしている第1の瓦A
と、隅棟Hの棟線y−yに沿った稜線5を有し、この稜
線5を境界線として断面が略へ字状の中央凸に曲げられ
た一方の側に本体部B−1を、他方の側に張出し部B−
2を有する第2の瓦Bとで構成し、この第2の瓦Bの本
体部B−1が前記稜線5を斜辺dとした略直角三角形の
輪郭を有する形状としてあり、第1の瓦Aの斜辺1の側
と、第2の瓦Bの稜線5に沿った張出し部B−2の側で
互に葺き重なる構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は寄せ棟屋根、入母屋々根等の出隅をもつ屋根の瓦葺き、特に棟葺き に用いられる平板隅棟瓦の提供に関する。
【0002】
【従来の技術】
寄せ棟あるいは入母屋等の屋根構造をもつ屋根面に対する瓦葺きは、この寄せ 棟あるいは入母屋が有する相隣り合った異なる流れ面の接合する部分に生ずる隅 棟の棟葺きを必要としていた。 かゝる隅棟の棟葺きは家屋の屋根勾配によって変化する隅棟際の流れの変化等 を勘案して、通例瓦職人が屋根面の瓦葺きに用いられる平板瓦を瓦カナヅチ、ダ イヤモンドソー等を用いて葺き納まりの良いように斜に切断した三角形状部を有 する割込瓦を用いて棟線に沿って葺き昇ると共に、この棟線に沿って揃えられた 瓦の葺き合せ上に、のし瓦、棟瓦を葺き土等を用いながら葺き重ねることで棟葺 きをなしていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、かゝる棟葺きでは、昇り寸法の関係上、葺き昇る棟線に沿った 瓦の形状が必ずしも同一でなく、棟線に合せて個々の平板瓦を逐一切断しながら 葺き納める必要があると共に、この瓦の切断が三角切りと称されるように斜(は す)切りであることから熟練した瓦職人を必要とし、しかも多くの葺き手間を必 要としていた。
【0004】 又、棟線に沿って葺かれる三角形状部を有する瓦は、葺き収まりが他の屋根面 の瓦の葺き収まりに比して不安定であり、特に、この棟線に沿って葺かれる瓦が 大きくカットされ、その残りの小片部分を用いて葺く必要のある場合、この小片 状の瓦が釘穴を有していないことが多く、通例モルタル、漆喰等で葺き処理をす る必要があり、葺き処理が難しく、しかも小片状の瓦では接着代が少ないことか ら不安定な瓦葺きの状態とされていた。 かゝる点から、小片状の瓦にドリルで穴を穿って釘打ち、銅線結束することが 試みられていたが、穴あけが難しく、多くの仕損品を生ずる不都合を有していた 。
【0005】 更に、かゝる従来の棟葺きでは、野地板と棟線に沿って葺かれる三角形状部を 有する瓦との納まりの関係上、葺土又は漆喰仕上げが必要であり、当然のことな がら棟瓦を必要とし、しかも、入れ込まれた葺土、漆喰が毛細管現象により浸潤 状態におかれる不都合を有しおり、葺かれる棟瓦によって屋根重量を増す不都合 をも有していた。
【0006】 又、棟瓦の立上り部分が漆喰又はモルタル仕上げとされていることから、この 仕上げ面から雨水が浸潤し易く、耐候性に難があった。 更に、隅棟を構成する棟瓦が、隣り合っている屋根の流れ面に接する稜よりも 高く、この稜から突き出している棟瓦が受ける風圧に耐え得る屋根構造を考慮す る必要があった。 又、この立上り面から雨水が強い風圧を受けて吹き込まれることが多く、漆喰 、モルタル等の仕上げ面から容易に多量の雨水が漏れ入る不都合を有していた。
【0007】 本考案は、かゝる従来の棟葺きの不都合に鑑み、予め隅棟の棟線に沿った斜辺 を有する一対の隅棟瓦を用意し、この対をなす隅棟瓦を単に葺き重ねることのみ によって棟葺きをなし得るようにして、瓦の割込み処理、煩雑な割込み瓦の葺き 処理、のし瓦、棟瓦等を用いた棟葺き処理を不要とし、雨仕舞が良好で、極力風 圧を増すことのない、すっきりとした稜を有する棟葺きを可能とする隅棟瓦の提 供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案は、かゝる目的を達成するものとして、隅棟Hに沿って平板瓦に続いて 葺かれ、又は平板瓦が続いて葺かれる平板隅棟瓦を以下の第1の瓦Aと第2の瓦 Bとで構成した。 即ち、隅棟Hの棟線y−yに沿って平板瓦に続いて葺かれ、又は平板瓦が続い て葺かれる一対の瓦であって、 隅棟Hの棟線y−yに平行な斜面aと、屋根の流れに沿う縦辺bと、この縦辺 bに直交する横辺cとの三辺の輪郭線で構成される略直角三角形の形状、又は該 略直角三角形の一部が欠けている形状の第1の瓦Aと、 隅棟Hの棟線y−yに沿った稜線5を有し、稜線5を境界線として断面が略へ 字状の中央凸に曲げられた一方の側が、一方の屋根面K’に葺かれる本体部B− 1とされ、且つ他方の側が他の屋根面Kの側に張り出した張出し部B−2として あり、該本体部B−1が該稜線5に沿った斜辺dと、屋根の流れに沿う縦辺eと 、この縦辺eに直交する横辺fとの三辺の輪郭線をもつ略直角三角形状をなす本 体部B−1とされており、該稜線5の他方の側が該稜線5から略等幅に張出し該 稜線に平行な辺6を有する張出し部B−2とされ、且つ前記本体部B−1の横辺 8の辺部8’に連続している該張出し部B−2の辺部9’が該横辺8に直交する 向きとされている第2の瓦Bとからなり 前記第1の瓦Aの斜辺1に沿った辺部1’、又は前記第2の瓦Bの張出し部B −2にある稜線5と平行な辺6に沿った辺部6’のいずれか一方の辺部から段差 状に落し込まれた水受け耳部11が張出し状に設けてあり、且つ該水受け耳部11を 有しない他方の辺部に該水受け耳部11を覆う覆部12が設けられていると共に該覆 部12の設けられている瓦の縦辺に沿った辺部から段差状に落し込まれた水受け耳 部が張出し状に設けられた構成としてある。
【0009】
【作用】
本考案に係る隅棟瓦は、隅棟Hの棟線y−yに沿った接合縁、又は棟線y−y に平行な接合縁を有する第1の瓦Aと第2の瓦Bとを用意すると共に、この第1 、第2の瓦を略直角三角形の形状としたことによって、棟線y−yを挾むように して第1の瓦Aと第2の瓦Bとを屋根面に葺かれる平板瓦Cの葺き納め、又は他 の屋根面の平板瓦Cの葺き始めとして用いることにより隅棟Hを葺き昇ることが できる。
【0010】 又、第2の瓦Bの本体部B−1と、張出し部B−2とが稜線5を境界線として 断面が略へ字状の中央凸に曲げられていることから、この稜線5を隅棟Hに沿っ て該第2の瓦Bを葺くことによって、第2の瓦Bの本体部B−1が流れ面を異に している一方の屋根面の平板瓦と面一に葺き納まり、又張り出し部B−2が流れ 面を異にしている他の屋根面の平板瓦と面一に葺き納まる。
【0011】
【実施例】
以下本考案に係る平板隅棟瓦の典型的な一実施例を添付の図面について詳細に 説明する。 図1は本実施例に係る瓦の有する機能をより良く理解するための概略構成図で あり、図2は本実施例のより具体的な瓦を示しており、図3、図4は該瓦を用い た屋根面の葺き納まりを、図5は隅棟の葺き納まりを、棟線と直交する向きの切 断端面として示しており、図6は隅棟の葺き納まりを、棟線、特に第2の瓦の稜 線に沿って切断した端面で示してある。図7は、覆部と水受け耳部部分での同様 な切断端面を示している。又、図8、図9は、図2の瓦を更に良く理解するため 一部を破断した斜視の状態で示している。
【0012】 本実施例に用いられる瓦は対をなす第1の瓦Aと、第2の瓦Bとで構成されて おり、平板瓦で葺かれている異なる流れ面の互に接合する隅棟の棟葺きに用いら れる。 先ず第1の瓦Aは、隅棟Hの棟線y−yに平行な斜辺aを有する直角三角形、 より具体的には斜辺aと、屋根の流れに沿う縦辺bと、この縦辺bに直交する横 辺cとの三辺の輪郭線で構成される略直角三角形の瓦であって、この第1の瓦A は、前記縦辺2と斜辺1とのなす角隅部が欠けた形状としてあり、斜辺1と縦辺 2との間に前記横辺3と平行な辺4を有する形状としてある。
【0013】 次いで第2の瓦Bは、隅棟Hの棟線y−yに沿った稜線5を有し、この稜線5 を境界線として断面が略へ字状の中央凸に曲げられた一方の側が本体部B−1と してあり、他方の側が張出し部B−2としてあり、該本体部B−1、張出し部B −2とは稜線5部分を頂部として夫々下方に傾斜する構成、即ち夫々に異った流 れ面に適応できる構成としてある。 即ち、この第2の瓦Bは、棟線y−yに、その稜線5を位置づけて葺かれる際 に、二つの異った流れ面を有する屋根面に跨って葺かれる構成を有し、本体部B −1が一方の屋根面を覆って葺かれた際に、張出し部B−2が他方の屋根面に向 けて張り出すように傾斜する構成としてある。
【0014】 先ず本体部B−1は、前記稜線5に沿った斜辺dと、屋根の流れに沿う縦辺e と、この縦辺eに直交する横辺fとの三辺の輪郭線をもつ略直角三角形状をなす 構成としてある。 次いで張出し部B−2は、前記稜線5から略等幅に張出した構成としてあり、 前記本体部B−1の該稜線に平行な辺6の辺部6’を有し、又横辺8の辺部8’ に連続している該張出し部B−2の辺部9’の辺9が該横辺8に直交する向きと されていると共に前記本体部B−1の縦辺7と接する側が割欠状とされて該辺9 に略平行な辺を含む屈曲された辺10としてある。
【0015】 かゝる第1の瓦Aと第2の瓦Bとを棟葺きする際に葺き重ねられる部分に水受 け耳部11と、この水受け耳部11を覆う覆部12を設ける。 図示例では第1の瓦Aの斜辺1に沿った辺部1’から水受け耳部11を段差状に 落し込むように張出し設けてあると共に、第2の瓦Bの張出し部B−2の斜辺6 に沿った辺部6’を覆部12として構成してある。 又、この図示例の瓦では、第1の瓦Aの縦辺2に沿った辺部2’が覆部13とさ れ、この第1の瓦Aの側方に葺かれる平板瓦Cに設けられている水受け耳部上を 覆う構成としてある。 更に、第2の瓦Bの縦辺7に沿った辺部7’に水受け耳部14が、該辺部7’か ら張出すように段差状に落し込み形成してあり、この第2の瓦Bの側方に葺かれ る平板瓦Cの葺き重ね面を構成している。
【0016】 尚、図1の図示例では水受け耳部11を第1の瓦Aに設け、覆部12を第2の瓦B の張出し部B−2に設けた構成を示しているが、水受け耳部を第2の瓦Bの張出 し部B−2の辺部6’に、覆部を第1の瓦Aの辺部1’に設けても良い。 又、隅棟Hの棟線y−yに対し第1の瓦Aを図1の左側に、第2の瓦Bを右側 に位置づけられる形状に第1の瓦Aと第2の瓦Bとを構成しても良い。
【0017】 図2〜図8は、本実施例の具体的に用いられている瓦を示すものである。 図2と図3とを参考にして、この具体的な瓦について説明する。 図3で明らかなように、第1の瓦Aと第2の瓦Bとは対をなして屋根の異なる 流れ面K、K’の接合部分に生ずる稜線部分の隅棟H(通例出隅と称す。)の棟 線y−yに沿った棟葺きに用いられるものであり、先ず屋根の最下段の平板瓦C を順次矢印M−1の方向に葺き、隅棟Hで、第1の瓦Aを葺いた後、第2の瓦B の稜線5を棟線y−yに一致させて葺き、更に矢印M−1’の方向に平板瓦Cを 葺き、この第1段の瓦葺きを終了した後、第2段の瓦を矢印M−2の方向に葺き 重ねて瓦葺きをなす。
【0018】 かゝる瓦葺きの棟葺きに用いられる第1の瓦Aと、第2の瓦Bとを、図2を参 照して説明する。 この第1の瓦Aと、第2の瓦Bとは、隅棟Hの棟線y−yに沿って屋根面に葺 かれる平板瓦Cに続いて、又は平板瓦Cを続けて葺くことで隅棟Hを形成する棟 葺き瓦であり、第1の瓦Aは、隅棟Hの棟線y−yにに平行な斜辺aと、屋根の 流れに沿う縦辺bと、この縦bに直交する横辺cとのなす略直角三角形の該縦辺 bと斜辺aとの交わる角部が欠けた形状としてあり、結果的に辺1、辺2、辺3 、辺4で囲まれた形状とされている。 この第1の瓦Aは、斜辺1に沿った辺部1’に水受け耳部11が張出し状に設け てあり、この水受け耳部11は、第2の瓦Bの覆部12が、この水受け耳部11上に葺 き重ねられた際に、第1の瓦Aと第2の瓦Bとの表面が略面一となるように辺部 1’から段差状に落し込まれて設けある。 この水受け耳部11は、その下面が野地板、瓦棧等の瓦下地材に組付け得るよう に落し込まれていると共に、溝11a が、葺かれる瓦の下方、即ち横辺3の辺部3 ’の側を向いて開口するように立上り壁11b が設けてある。 次いで、縦辺2に沿った辺部2’には、この第1の瓦の側方に葺かれている平 板瓦Cの水受け耳部19の上を覆う覆部13が、この辺部2’の側方を開口した状態 で形成してある。 又、縦辺2の辺部2’と前記斜辺1の辺部1’との交わる側が欠けた状態とし てあり、この欠落部分に沿った辺4の辺部4’に立上り壁4aを設けて水切りとし 、この立上り壁4aに沿って葺き重ねられる上方の瓦の下端の収まる浅い溝15が設 けられている。 又、立上り壁4aに沿って、この第1の瓦Aを野地板、瓦棧等に釘打ちするため の孔16を有するボス部16a が設けてある。 更に、この第1の瓦Aの辺部3’は、瓦Aの背面側に湾曲した突壁縁3aとして ある。
【0019】 次いで第2の瓦Bは、隅棟Hの棟線y−yに沿った稜線5を有し、この稜線5 を境界線として一方の側に本体部B−1を、他方の側に張出し部B−2を設けた ものであり、この本体部B−1と張出し部B−2とは稜線5を境界線として略へ 字状の中央凸に曲げられている。 この本体部B−1は、稜線5を斜辺dとし、屋根の流れに沿った縦辺eと、こ の縦辺eに直交する横辺fとが構成する略直角三角形をなし、張出し部B−2は 、前記稜線5から概ね帯状をなすように略等幅に張り出された形状をなし、前記 稜線5に平行な辺6を有すると共に、前記の横辺8の辺部8’に連続している該 張出し部B−2の辺部9’の辺9が前記横辺8に直交する向きとされている。 尚、この張出し部B−2は、この張出し部B−2の前記稜線5と平行な辺6に 沿った辺部6’の側面が開口状とされており、前記第1の瓦Aの水受け耳部11の 覆部12とされていると共に、前記の縦辺7の辺部7’の側で欠設状の屈曲した辺 10をもつ辺部10' としてあり、この辺部10' に沿って水切り用の立上り壁10a が 設けられている。 又、この立上り壁10a に沿って葺き重ねられる上方の瓦の下端の納まる浅い溝 17が設けてあると共に、釘打ち用の孔18有するボス部18a が設けてある。 更に、縦辺7に沿った辺部7’には、この瓦Bの側方に葺き重ねられる平板瓦 Cの覆部内に収まる水受け耳部14が設けてある。 この水受け耳部14は、前記の第1の瓦における水受け耳部11と概ね同一の構成 をなしており、溝14a が立上り壁14b によって構成され前記立上り壁10a に連続 する高い立上り壁14b'を有していると共に、その底面が野地板、瓦棧等に組付け 得るように辺部7’から側方に充分に落し込まれた段差状に張出し設けてあり、 次いで説明する突壁縁8a、9a と略同面となる構成としてある。 更に、辺8、辺9に沿った辺部8’、辺部9’は、瓦Bの背面側に湾曲した突 壁縁8a、9a としてあり、この突壁縁8a、9a との交わる部分で突き出し幅が最大と されており、水受け耳部14の側で、前述のように、この水受け耳部14の底面と略 面一となる構成としてある。
【0020】 かゝる構成とすることによって、第2の瓦Bでは、本体部B−1と張出し部B −2との間に中高状の稜線5が形成されると共に、この稜線5を境界線として異 なった流れ面を本体部B−1と張出し部B−2とにもたらすことができる。 即ち、第2の瓦Bでは、その一個の瓦内に異なった流れ面に適応する面を有し 、これと第1の瓦Aとを葺き重ねることによって確実且つ容易に棟葺きをなすこ とができる。 尚、図中21は化粧溝であって、第1の瓦Aと第2の瓦Bとの葺き合せ目に対応 する位置に設けることで棟葺きの化粧性を高めることができる。
【0021】 かゝる構成からなる第1の瓦Aと第2の瓦Bとは隅棟Hの棟線y−yに沿って 葺き昇るのに用いられる。図3では、その全体の葺き状態を、図4では平板瓦C との葺き納まりを示した。 図5は、棟線y−yに直交する向きでのx−x線切断端面の葺き納まりを示し ており、第1の流れ面を有する屋根面の瓦棧20に取付けられた第1の瓦Aの水受 け耳部11が、同一の流れ面を有する第2の瓦Bの張出し部B−2にある覆部12に 納まり、しかも稜線5で流れ面を異にした本体部B−1が第2の流れ面を有する 屋根面を葺く構成を示している。 図6は、棟線y−yに沿った向きでのt’−t’線切断端面の葺き納まり、特 に第2の瓦B−Bの葺き納まりを示すものであって、上部側に位置する瓦Bの辺 部8’側にある突壁縁8aが溝17に納まった雨仕舞の状態を示しており、図7はt −t線での切断端面で葺き納まりを示しており、覆部12に水受け耳部11が覆われ た状態を示している。
【0022】 叙上構成からなる第1の瓦Aも、第2の瓦Bも、共に通常の平板瓦Cの瓦葺き と同一の手法、例えば釘打ち、針金結束、棧がけ等の常法で葺くことが可能であ り、その葺き手法については説明を省略する。 尚、順次に葺かれる瓦が棟線y−yに都合良く納まらない場合、あるいは千鳥 葺きをする必要のある場合、前記の隅棟瓦A、Bの葺かれる側方に位置する平板 瓦Cの任意の瓦C’を、その上下方向に亘って直線状にカットし、幅調整した上 で葺き納めるようにする。 又、叙上の隅棟瓦A、Bは、いずれも平板瓦Cに続いて葺き、又は平板瓦Cを 続けて葺く瓦であり、夫々の縦辺2、7の寸法、即ち葺かれる際の瓦の縦幅が平 板瓦Cの縦幅と略同一に構成されている。
【0023】 尚、叙上構成の第1の瓦Aも、第2の瓦Bも屋根面あるいは隅棟等の葺き面の 状態、葺き手法等によって設計変更をして用いる場合があり、前記実施例で示さ れている瓦の形状の一部を割欠きの状態で用い、あるいは前記の瓦に引っかけ部 等の他の構造を付け加えて用いる場合があり、これらのいずれも叙上第1の瓦、 第2の瓦に含まれる。
【0024】
【考案の効果】
本考案に係る隅棟瓦は、叙上の特長ある構成から瓦葺きに際して、逐一ダイヤ モンドソー等を用いての平板瓦の斜めカット処理が不要となり、しかも棟葺きが 容易とされたことから、作業手間が大幅に前減され、又熟練した瓦職人を必ずし も必要としない特長を有している。
【0025】 又、用いられる隅棟瓦が一定の大きさで揃えられていることから、棟葺き部分 の瓦が確実に固定され、暴風等による隅棟の破損を避けることができると共に、 すっきりとした外観の隅棟を構成することができる。
【0026】 更に、棟瓦が無く、すっきりとした隅棟とされ、屋根重量が軽減されると共に 、屋根面の受ける風圧を軽減できる。この結果、屋根の構造設計上有利とされ、 しかも風、雨による被害も少なくなる。特に棟瓦の立上側面から風圧をもって浸 潤する雨水を効果的に遮断することができる。
【0027】 又、第1の瓦Aと、第2の瓦Bを覆部と水受け耳部で余裕をもって組付ける構 成としてあり、屋根勾配に若干の変化がある場合にも、すっきりとした葺き納ま りとすることができる。 又、第2の瓦Bに化粧溝を設け、第1の瓦Aとの合せ目と目地が揃う外観とし てあり、違和感の無い隅棟が構成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の瓦の構成図
【図2】同平面図
【図3】同瓦が葺かれた屋根の平面図
【図4】同瓦の葺き重ね状態を示す平面図
【図5】図3のx−x線切断端面図
【図6】図3のt’−t’線切断端面図
【図7】図3のt−t線切断端面図
【図8】同瓦の表面の斜視図
【図9】同瓦の裏面の斜視図
【符号の説明】
a 斜辺 b 縦辺 c 横辺 d 斜辺 e 縦辺 f 横辺 1 斜辺 2 縦辺 3 横辺 4 辺 5 稜線 6 辺 7 縦辺 8 横辺 9 辺 10 辺 11 水受け耳部 12 覆部 13 覆部 14 水受け耳部 15 溝 16 孔 17 溝 18 孔 19 水受け耳 20 瓦棧 21 化粧溝 A 第1の瓦 B 第2の瓦 B−1 本体部 B−2 張出し部 C 平板地平瓦 H 隅棟 y−y 棟線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 岡本 茂市 兵庫県三原郡南淡町阿万下町511番地大和 窯業株式会社内

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隅棟の棟線に沿って屋根面に葺かれる一
    対の瓦であって、 隅棟の棟線に平行な斜面と、屋根の流れに沿う縦辺と、
    この縦辺に直交する横辺との三辺の輪郭線で構成される
    略直角三角形の形状、又は該略直角三角形の一部が欠け
    ている形状の第1の瓦と、 隅棟の棟線に沿った稜線を有し、この稜線を境界線とし
    て断面が略へ字状の中央凸に曲げられた一方の側が、一
    方の屋根面に葺かれる本体部とされ、且つ他方の側が他
    の屋根面側に張出した張出し部としてあり、該本体部が
    前記稜線に沿った斜辺と、屋根の流れに沿う縦辺と、こ
    の縦辺に直交する横辺との三辺の輪郭線をもつ略直角三
    角形状をなし、前記張出し部が前記稜線から略等幅に張
    出されて該稜線に平行な辺を有し、且つ前記本体部の横
    辺の辺部に連続している該張出し部の辺部が該横辺に直
    交する向きとされている第2の瓦とからなり前記第1の
    瓦の斜辺に沿った辺部、又は前記第2の瓦の張出し部に
    ある稜線と平行な辺に沿った辺部のいずれか一方の辺部
    から段差状に落し込まれた水受け耳部が張出し状に設け
    てあり、且つ該水受け耳部を有しない他方の辺部に該水
    受け耳部を覆う覆部が設けられていると共に該覆部の設
    けられている瓦の縦辺に沿った辺部から段差状に落し込
    まれた水受け耳部が張出し状に設けてあることを特徴と
    する平板隅棟瓦。
  2. 【請求項2】 前記第2の瓦の本体部の表面に稜線と平
    行な化粧溝が設けられていることを特徴とする請求項1
    記載の平板隅棟瓦。
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JP2572955Y2 (ja) 1998-05-25

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