JP3993037B2 - 平板瓦 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、平板瓦に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、上下反転しても同一形状であり、上下方向の中央において二等分可能な廃材の出にくい平板瓦についての葺き上がりの違和感の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅の屋根材として用いられている瓦は、屋根の外観意匠の大きな担い手であり、また、雨音を軽減し、屋根の防水性を高めるなどの機能性を備えている。その一つとして図4に示したような平板瓦(21)が最近提案されている。
【0003】
この平板瓦(21)は一品種であっても軒先の納めが可能で、たとえば屋根の軒先に配設される通称スターターと呼ばれる瓦は、平板瓦(21)をその上下方向の中央を通る仮想線(22)に沿って二等分することにより同一形状の二枚を得ることができ、このようにして得られるスターターの上に平板瓦(21)を一段目の瓦として配設することができる。二段目以降はそのままの平板瓦(21)を棟側まで葺き上げ、瓦葺きすることができる。このため、平板瓦(21)は、瓦葺きの積算を容易とし、また、建築廃材の削減に有効ともなっている。
【0004】
このような平板瓦(21)は、上下反転しても同一形状であるように、平面視で横長の長方形形状を有し、表面部(23)において、両横辺(24)(24)から葺き足長さ(a)と最小重ね代(b)(通常50mm程度であり、この最小重ね代(b)は、図5に示した施工状態から理解されるように、次々段の平板瓦(21)の葺き足が重なる部位の長さである。)の合計分以上離れ、前述の仮想線(22)に対して対称となる位置に未貫通の釘穴(25)が複数一定ピッチ(d)で設けられている。釘穴(25)が未貫通であるのは、図5に示したように、瓦葺きにおいて前段の平板瓦(21)の棟側に次段の平板瓦(21)が重ね合わされ、その葺き足の下部に位置するなどにより釘打ちされない釘穴(25)もあるため、貫通であると防水性を確保することができないとの理由による。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の上下反転しても同一形状で、上下方向の中央において二等分可能な廃材の出にくい平板瓦(21)については釘穴(25)において改善が期待されるのである。
【0006】
それというのも図5に示したように、瓦葺きに際して平板瓦(21)は釘穴(25)において釘打ち固定されるが、この釘打ちを可能とするためには、前述のとおり、釘穴(25)は、平板瓦(21)の表面部(23)において両横辺(24)(24)から葺き足長さ(a)と最小重ね代(b)の合計分以上離れて位置しなければならない。しかしながら、その結果、釘穴(25)に釘打ちされた釘頭は露出することがある。また、すべての釘穴(25)において釘打ちされる訳ではないため、釘打ちされない釘穴(25)はそのまま露出することもある。そのように露出する釘頭はもちろんのこと、釘穴(25)は平板瓦(21)の製造上円錐形状に形成されるため、露出する釘穴(25)もまた外観上目立ちやすく、平板瓦(21)の葺き上がりに違和感を与える。
【0007】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、上下反転しても同一形状であり、上下方向の中央において二等分可能な廃材の出にくい平板瓦についての葺き上がりの違和感を改善することのできる平板瓦を提供することを解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、以上の課題を解決するものとして、平面視で横長の長方形形状を有し、両縦辺中央を結ぶ仮想線に沿って二等分可能であり、表面部において、両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分以上離れ、前記仮想線に対して対称となる位置に未貫通の釘穴が複数横方向に一定ピッチで設けられ、この釘穴は前記縦辺方向に長い長穴状であり、その底面幅が釘頭の外径に等しくされ、仮想線より下側に位置する釘穴はその下側が上側より、また、仮想線より上側に位置する釘穴はその上側が下側より、それぞれ緩やかに傾斜していることを特徴とする平板瓦(請求項1)を提供する。
【0009】
またこの出願の発明は、釘穴から両横辺までの表面部に釘穴と同形状の凹部が複数格子状に配列されて設けられていること(請求項を一態様として提供する。
【0010】
以下、図面に沿ってこの出願の発明の平板瓦についてさらに詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1<a><b>は、それぞれ、この出願の発明の平板瓦の一実施形態を示した平面図、A−A断面図である。
【0012】
たとえば図1<a>に示したように、この出願の発明の平板瓦(1)は、平面視で横長の長方形形状を有し、両縦辺(2)(2)の中央を結ぶ仮想線(3)に沿って二等分可能とされている。また、この出願の発明の平板瓦(1)には、表面部(4)において、両横辺(5)(5)から葺き足長さ(a)と最小重ね代(b)(通常50mm程度)の合計分以上離れ、仮想線(3)に対して対称となる位置に、図1<b>に示したような未貫通の釘穴(6)が複数横方向に一定ピッチ(d)で設けられている。以上から理解されるように、この出願の発明の平板瓦(1)もまた図4に示した平板瓦(21)と同様に、上下反転しても同一形状であり、上下方向の中央において二等分可能な廃材の出にくい平板瓦となっている。
【0013】
さらにこの出願の発明の平板瓦(1)では、図1<a>に示したように、釘穴(6)は、縦辺(2)の方向に長い長穴状であり、また、図2<a><b>に示したように、底面幅(w)が釘頭(7)の外径(R)に等しくされている。
【0014】
したがって、この出願の発明の平板瓦(1)では、瓦葺きに際して屋根面に釘打ちされる図2<a>に示される釘(8)は、その釘頭(7)が長穴状の釘穴(6)に収まり、一応露出はするものの目立ちにくくなる。また、釘打ちされない釘穴(6)はその長穴状の形状により、露出しても円錐状の図4に示した釘穴(25)に比べ、影が形成されにくく、目立ちにくくなる。このように、この出願の発明の平板瓦(1)は葺き上がりの違和感を改善することができる。
【0015】
また、この出願の発明の平板瓦(1)では、以上の釘穴(6)は、たとえば図1<b>に示したように、図1<a>に示した仮想線(3)より下側に位置する釘穴(6)(図1<b>に相当)はその下側が上側より、また、仮想線(3)より上側に位置する釘穴(6)はその上側が下側より、それぞれ緩やかに傾斜した(すなわち、図1<b>においてθ1<θ2)ものとしている。このようにすると、葺き上げ後の平板瓦(1)において、大きな傾斜角度(θ2)側が棟側に配置されるため、強風時に平板瓦(1)の重合部に呼び込みやすい雨水を釘穴(6)の上側において断ち切ることができる。また、小さな傾斜角度(θ1)側が軒側に配置されるため、平板瓦(1)の表面部(4)を流れる雨水が釘穴(6)に溜まらずに排出されやすくなる。
【0016】
なお、この出願の発明の平板瓦(1)では、図3<a><b>に示したように、釘穴(6)から両横辺(5)(5)までの表面部(4)に釘穴(6)と同形状の凹部(9)を複数格子状に配列して設けることができる。こうすることにより、釘穴(6)及び凹部(9)は平板瓦(1)の表面模様を形成することができ、より釘穴(6)が目立ちにくくなり、また、強風時の雨水の呼び込み阻止及び雨水の排出により効果的となる。しかも、平板瓦(1)は、仮想線(3)において二等分されるばかりでなく、隅棟部などではその稜線に沿って切断されて施工されることがある。その場合、切断の仕方によっては釘穴(6)のないものや、たとえ釘穴(6)はあるにせよ切断端部に近く位置し、釘穴(6)において釘打ちしても十分な固定力が得られず、若しくは割れが生じてしまうなどが懸念されることがある。しかしながら、図3<a><b>に示した平板瓦(1)では、凹部(9)は釘穴(6)と同形状であることから、この凹部(9)も釘打ち可能であり、任意の形状への切断に対して釘打ち固定を確実かつ容易とする。ドリルなどを用いて釘穴(6)を形成するといった手間がかからない。
【0017】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。平板瓦の大きさ、寸法や釘穴の大きさ、寸法、ピッチなどの細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0018】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、上下反転しても同一形状であり、上下方向の中央において二等分可能な廃材の出にくい平板瓦についての葺き上がりの違和感が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】<a><b>は、それぞれ、この出願の発明の平板瓦の一実施形態を示した平面図、A−A断面図である。
【図2】<a><b>は、それぞれ、この出願の発明の平板瓦における釘穴とここに釘打ちされる釘との関係を示した要部断面図、要部平面図である。
【図3】<a><b>は、それぞれ、この出願の発明の平板瓦の一実施形態を示した平面図、B−B断面図である。
【図4】上下反転しても同一形状であり、上下方向の中央において二等分可能な平板瓦を示した平面図である。
【図5】図4に示した平板瓦の施工状態を示した要部平面図である。
【符号の説明】
1 平板瓦
2 縦辺
3 仮想線
4 表面部
5 横辺
6 釘穴
7 釘頭
8 釘
9 凹部
21 平板瓦
22 仮想線
23 表面部
24 横辺
25 釘穴

Claims (2)

  1. 平面視で横長の長方形形状を有し、両縦辺中央を結ぶ仮想線に沿って二等分可能であり、表面部において、両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分以上離れ、前記仮想線に対して対称となる位置に未貫通の釘穴が複数横方向に一定ピッチで設けられ、この釘穴は前記縦辺方向に長い長穴状であり、その底面幅が釘頭の外径に等しくされ、仮想線より下側に位置する釘穴はその下側が上側より、また、仮想線より上側に位置する釘穴はその上側が下側より、それぞれ緩やかに傾斜していることを特徴とする平板瓦。
  2. 釘穴から両横辺までの表面部に釘穴と同形状の凹部が複数格子状に配列されて設けられている請求項1記載の平板瓦。
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