JP2004052429A - 平板瓦とその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平面視で横長の長方形形状を有し、表面部(2)に切断マーク(3)、スターター合わせマーク(4)及び瓦合わせマーク(5)が設けられ、切断マークは両縦辺(6)(6)の中央を結ぶ仮想線(7)上の所定部位に位置し、スターター合わせマークは、長方形形状の中心部及び両横辺(8)(8)から葺き足長さと最小重ね代の合計分離れた左右両側端部に位置し、瓦合わせマークは、両横辺中央を結ぶ仮想線(9)上に、両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分離れて位置する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、平板瓦とその施工方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、一品種であっても軒先の納めが可能で、瓦葺きの積算を容易とし、また、建築廃材の削減に有効となる平板瓦とその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅の屋根材として用いられている瓦は、屋根の外観意匠の大きな担い手であり、また、雨音を軽減し、屋根の防水性を高めるなどの機能性を備えている。その一つとして図4に示したような平板瓦(21)が知られており、屋根面上を軒側から棟側に向かって葺かれ、施工される。
【0003】
その際、軒先には通称スターター(22)と呼ばれる別の瓦が配設される。瓦葺きでは、周知のとおり、防水性、耐風性などを確保するために、上段の瓦はその一部を下段の瓦に重ね合わせて施工される。このため、瓦は屋根面に対してある角度をもつ。上記スターター(22)は、その角度を一段目の平板瓦(21)に付与し、他の平板瓦(21)と同様の施工状態を実現するのに用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでの平板瓦(21)による瓦葺きには、図4に示したように、平板瓦(21)以外にスターター(22)が必要であり、都合2種類の瓦が必要であった。
【0005】
その理由は、以下のとおりである。
▲1▼平板瓦(21)の縦寸法は、防水性を考慮し、葺き足の長さ(a)×2+最小重ね代(b)(通常50mm以上であり、この最小重ね代(b)は、図4の記載から理解されるように、次々段の平板瓦(21)の葺き足が重なる部位の長さである。)としておく必要がある。
▲2▼スターター(22)の縦寸法は、平板瓦(21)と同じく防水性を考慮し、平板瓦(21)の葺き足の長さ(a)+最小重ね代(b)(通常50mm以上)としておく必要がある。
▲3▼前記▲1▼▲2▼に示される寸法上の制約により、平板瓦(21)を縦に二等分することはできず、平板瓦(21)をスターター(22)に利用するとしても1枚しか得られない。また、スターター(22)を切り出した後の平板瓦(21)は廃材にしかならず、平板瓦(21)をスターター(22)に利用することの有効性は見出されない。
【0006】
このため、一品種の平板瓦(1)のみによる瓦葺きは不可能であり、スターター(22)を必要とし、その結果、瓦葺きの積算に手間がかかり、スターター(22)は瓦葺きのコストに少なからず影響を及ぼしていた。
【0007】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一品種であっても軒先の納めが可能で、瓦葺きの積算を容易とし、また、建築廃材の削減に有効となる平板瓦とその施工方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、以上の課題を解決するものとして、平面視で横長の長方形形状を有し、表面部に切断マーク、スターター合わせマーク及び瓦合わせマークが設けられた平板瓦であり、切断マークは両縦辺中央を結ぶ仮想線上の所定部位に位置し、スターター合わせマークは、長方形形状の中心部及び両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分離れた左右両側端部に位置し、瓦合わせマークは、両横辺中央を結ぶ仮想線上に、両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分離れて位置することを特徴とする平板瓦(請求項1)を提供する。
【0009】
またこの出願の発明は、以上の平板瓦に関し、切断マークにおいて平板瓦を二等分したものをスターターに用い、これを軒先に揃えて固定し、このスターターの上辺中央に位置するスターター合わせマークに、左右いずれかの側端部において上側に位置するスターター合わせマークを合わせて平板瓦を固定し、これを一段目の瓦とし、この一段目の瓦である平板瓦における下側の瓦合わせマークに左下隅若しくは右下隅を合わせて平板瓦を固定し、これを二段目の瓦とし、三段目の瓦以降をこの二段目の瓦と同様にして固定することを特徴とする平板瓦の施工方法(請求項2)を提供する。
【0010】
以下、図面に沿ってこの出願の発明の平板瓦とその施工方法についてさらに詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、この出願の発明の平板瓦の一実施形態を示した平面図である。
【0012】
図1に示したように、この出願の発明の平板瓦(1)は、平面視で横長の長方形形状を有し、表面部(2)に切断マーク(3)、スターター合わせマーク(4)及び瓦合わせマーク(5)が設けられている。
【0013】
切断マーク(3)は、両縦辺(6)(6)の中央を結ぶ仮想線(7)上の所定部位、たとえば左右両側端部など、に位置する。スターター合わせマーク(4)は、長方形形状の中心部及び両横辺(8)(8)から前述の葺き足長さ(a)と最小重ね代(b)(たとえば50mm程度)の合計分離れた左右両側端部に位置する。瓦合わせマーク(5)は、両横辺(8)(8)の中央を結ぶ仮想線(9)上に位置し、かつスターター合わせマーク(4)と同様に、両横辺(8)(8)から葺き足長さ(a)と最小重ね代(b)の合計分離れて位置する。
【0014】
切断マーク(3)、スターター合わせマーク(4)及び瓦合わせマーク(5)の大きさ及び形状については特に制限はなく、人手による作業において容易に認識可能であり、表面意匠に影響を及ぼさないなどを考慮して適宜なものとすることができる。
【0015】
また、平板瓦(1)は、当然、屋根面に釘打ちにより固定されるものであることから、その表面部(2)には、図1に示したような釘穴(10)を設けておくことができる。この釘穴(10)は、貫通又は未貫通のいずれであってもよい。だが、前述のとおり、この出願の発明の平板瓦(1)は長方形形状を有し、切断マーク(3)、スターター合わせマーク(4)及び瓦合わせマーク(5)が所定部位若しくは所定位置に設けられているため、図1からも理解されるように、上下反転しても同一形状である。したがって、釘穴(10)についても上下反転しても同一位置に配置されることが必要であり、その位置は、仮想線(7)に対して対称な位置に設定することができる。好ましくは、釘打ち後の釘頭が露出しないような若しくは露出しても余り目立たないような位置とする。
【0016】
図2は、この出願の発明の平板瓦の施工方法の要部について概略的に示した要部平面図である。なお、図2に示した平板瓦(1)は図1に示した実施形態であるが、図示を簡略化し、施工方法が容易に理解されるように、仮想線(7)(9)及び釘穴(10)は省略している。しかしながら、釘穴(10)は実際の平板瓦(1)には存在する。
【0017】
この出願の発明の平板瓦の施工方法では、平板瓦(1)が前述したとおりの構成を備えていることから、これを切断マーク(3)において二等分し、スターター(1a)として使用する。平板瓦(1)は上下反転しても同一形状であるため、二等分することによりスターター(1a)が2枚得られる。図4に示した従来の平板瓦(21)ではスターター(22)の切り出しにより残りは廃材となってしまうが、この出願の発明の平板瓦(1)では、このように、切断マーク(3)における二等分により2枚のスターター(1a)として使用することができ、廃材は出ない。
【0018】
そして、この出願の発明の平板瓦の施工方法では、以上のようにして得られたスターター(1a)を図3の要部断面図に示したように、軒先(11)に揃えて固定した後、図2に示したように、スターター(1a)の上辺中央に位置するスターター合わせマーク(4)に、左右いずれかの側端部において上側に位置するスターター合わせマーク(4)を合わせて平板瓦(1)を固定し、これを一段目の瓦とする。このとき、一段目の瓦先端部は、図3にも示したように、スターター(1a)の前端よりも軒先(11)の前方に突出することになるが、その出代(c)は、平板瓦(1)に設けられたスターター合わせマーク(4)が所定位置に位置し、スターター(1a)のスターター合わせマーク(4)と上記のとおり合わせられるため、ばらつかず、一定となる。
【0019】
次いで、この出願の発明の平板瓦の施工方法では、一段目の瓦である平板瓦(1)における下側の瓦合わせマーク(5)に左下隅若しくは右下隅を合わせて平板瓦(1)を固定し、これを二段目の瓦とする。三段目の瓦以降はこの二段目の瓦と同様にして固定する。このようにしても、図3に示したとおり、最小重ね代(b)は確保され、防水性は十分となる。
【0020】
なお、スターター(1a)及び平板瓦(1)の固定は、図1に示した釘穴(10)を用いた釘打ち固定とすることができる。
【0021】
このように、この出願の発明の平板瓦とその施工方法は、一品種の平板瓦であっても軒先の納めが可能で、瓦葺きの積算を容易とし、また、建築廃材の削減に有効となる。
【0022】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。平板瓦の大きさ、寸法や、切断マーク、スターター合わせマーク及び瓦合わせマークの形状、大きさ、配設位置などの細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、一品種であっても軒先の納めが可能で、瓦葺きの積算が容易となり、また、建築廃材の削減に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の平板瓦の一実施形態を示した平面図である。
【図2】この出願の発明の平板瓦の施工方法の要部について概略的に示した要部平面図である。
【図3】この出願の発明の平板瓦の施工方法の要部について概略的に示した要部断面図である。
【図4】従来の平板瓦とその施工方法を概略的に示した要部平面図である。
【符号の説明】
1 平板瓦
1a スターター
2 表面部
3 切断マーク
4 スターター合わせマーク
5 瓦合わせマーク
6 縦辺
7 仮想線
8 横辺
9 仮想線
10 釘穴
11 軒先
21 平板瓦
22 スターター
Claims (2)
- 平面視で横長の長方形形状を有し、表面部に切断マーク、スターター合わせマーク及び瓦合わせマークが設けられた平板瓦であり、切断マークは両縦辺中央を結ぶ仮想線上の所定部位に位置し、スターター合わせマークは、長方形形状の中心部及び両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分離れた左右両側端部に位置し、瓦合わせマークは、両横辺中央を結ぶ仮想線上に、両横辺から葺き足長さと最小重ね代の合計分離れて位置することを特徴とする平板瓦。
- 請求項1記載の平板瓦の施工方法であり、切断マークにおいて平板瓦を二等分したものをスターターに用い、これを軒先に揃えて固定し、このスターターの上辺中央に位置するスターター合わせマークに、左右いずれかの側端部において上側に位置するスターター合わせマークを合わせて平板瓦を固定し、これを一段目の瓦とし、この一段目の瓦である平板瓦における下側の瓦合わせマークに左下隅若しくは右下隅を合わせて平板瓦を固定し、これを二段目の瓦とし、三段目の瓦以降をこの二段目の瓦と同様にして固定することを特徴とする平板瓦の施工方法。
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