JPH0568797U - 自転車用リヤディレーラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型軽量であり、しかも、製造コストを低く
抑えることのできる、リヤディレーラを提供する。 【構成】 ハブ軸周りに支持される多段スプロケットの
前方においてチエンステーに支持されるベース部材と、
このベース部材に基端において車幅方向に揺動可能に連
結されるとともに後方に向けてのびる揺動部材と、ガイ
ドプーリおよびテンションプーリを回転可能に支持する
とともに、上記揺動部材の後端部において、チエンにテ
ンションを付与する方向に弾力付勢されつつ上記ハブ軸
と略平行な軸周りに回動可能に支持されたチエンガイド
とを備え、上記揺動部材に連結された変速操作ケーブル
を牽引操作することにより上記ガイドプーリを車幅方向
に揺動させて、所望のスプロケットにチエンを掛け換え
るように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本願考案は自転車用リヤディレーラに関する。

【０００２】

【従来の技術】

たとえば、自転車用変速機構としてのリヤディレーラは、ガイドプーリおよび テンションプーリを回転可能に支持するチエンガイドを備え、このチエンガイド が自転車フレームに取付けられるリンクベースに、いわゆる平行四辺形パンタグ ラフリンク機構等のシフトリンク機構を介してチエンにテンションを与える方向 に付勢されながら回動可能に支持されて構成されている。

【０００３】 チエンは上記チエンガイドのテンションプーリ、ガイドプーリの順に掛け回さ れ、上記ガイドプーリを離脱した後、多段スプロケットの一つのスプロケットに 向かって走行させられる。上記チエンガイドは、上記パンタグラフリンク機構の 可動部材に対して、その上方寄りの部分を中心として揺動可能に支持されるとと もに、その下部が後方に向かって回動するように弾力付勢されており、チエンに 所定の張力を与えるように構成されている。

【０００４】 そして、上記パンタグラフリンク機構に操作ケーブルを介して連結された変速 操作レバーを操作することにより、上記パンタグラフリンク機構が変形させられ て、パンタグラフリンク機構の可動部材に支持された上記チエンガイドがハブ軸 方向に平行移動させられ、チエンが多段スプロケットの所望のスプロケットに掛 け換えられるように構成されている。

【０００５】 上記パンタグラフリンク機構は、エンドプレートに支持されるリンクベースと 、このリンクベースに基端において揺動可能に連結され、車体前方に向けて延び る内リンク部材および外リンク部材と、これらリンク部材の先端に揺動可能に連 結される可動部材とを備えて構成されており、上記可動部材に上記チエンガイド が回動可能に支持されている。 上記パンタグラフリンク機構を利用したリヤディレーラにおいては、チエンガ イドを各スプロケットの回転面と平行に移動させることができるため、多数のス プロケットを備える多段スプロケット装置に適用することができる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来のリヤディレーラにおいては、上記パンタグラフリンク機構を 構成するために多数の部品を必要とし、装置が複雑になるとともに、寸法および 重量が大きくなってしまう。 また、製造コストを低減するにも限界があり、サイクリング自転車等の比較的 高いグレードの自転車に採用されることが多い。

【０００７】 一方、子供用自転車、あるいは、いわゆるミニサイクル等の自転車は、車体自 体が小型であり、また、価格を低く抑えなければならない。このため、パンタグ ラフリンク機構を採用した従来のリヤディレーラを採用することはきわめて困難 である。 一方、上記のような子供用自転車等においては変速段数も少なくてよく、パン タグラフリンク機構を採用してチエンガイドを各スプロケットの回転面に対して 正確に平行に移動させなければならないというようなことはない。

【０００８】 本願考案は、上述の事情のもとで考え出されたものであって、小型軽量であり 、しかも、製造コストを低く抑えることのできる、自転車用リヤディレーラを提 供することをその課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本願考案では、次の技術的手段を講じている。 すなわち、本願の請求項１に記載した考案は、ハブ軸周りに支持される多段ス プロケットの前方においてチエンステーに支持されるベース部材と、このベース 部材に基端において車幅方向に揺動可能に連結されるとともに後方に向けてのび る一つの揺動部材と、ガイドプーリおよびテンションプーリを回転可能に支持す るとともに、上記揺動部材の後端部において、チエンにテンションを付与する方 向に弾力付勢されつつ上記ハブ軸と略平行な軸周りに回動可能に支持されたチエ ンガイドとを備え、 上記揺動部材に連結された変速操作ケーブルを牽引操作することにより上記ガ イドプーリを車幅方向に揺動させて、所望のスプロケットにチエンを掛け換える ように構成したことを特徴とする。

【００１０】 また、本願の請求項２に記載した考案は、上記揺動部材の揺動軸心を、垂直方 向に対して傾斜させることにより、 上記揺動部材を揺動させたとき、上記ガイドプーリが、上記ハブ軸方向内方に 移動すると同時に、斜め下方向に移動するように構成したことを特徴としている 。

【００１１】

【考案の作用および効果】

本願考案に係るリヤディレーラは、パンタグラフリンク機構によってチエンガ イドをハブ軸方向へ移動させるのではなく、ベース部材に基端において揺動可能 に連結された一つの揺動部材にチエンガイドを支持し、上記揺動部材を一つの軸 心を中心として揺動させることにより、チエンガイドをハブ軸方向に移動させる のである。

【００１２】 したがって、従来のディレーラのようにパンタグラフリンク機構を構成する複 数のリンク部材が必要なくなり、構造がきわめて簡単になる。 また、部品点数が少なくなることから、ディレーラの小型軽量化を大幅に促進 することができるとともに、製造コストを大幅に低減することができる。 この結果、子供用自転車、あるいはミニサイクル等にも採用することが可能と なる。

【００１３】 一方、本願考案に係るリヤディレーラにおいては、チエンガイドが揺動部材の 揺動軸心を中心として円弧状に揺動させられる。このため、ガイドプーリを各ス プロケットの回転面に対して平行に移動させることはできない。 しかし、子供用自転車、あるいはミニサイクルにおける変速段数は少なく、チ エンガイドを各スプロケットの回転面に対して正確に平行移動させなくとも変速 操作に問題が生じることはほとんどない。

【００１４】 しかも、本願考案に係るリヤディレーラにおいては、多段スプロケットの前方 におけるチエンステー中間部にベース部材を支持し、上記ベース部材に対して、 後方に向けてのびる揺動部材の基端を揺動可能に支持している。すなわち、上記 揺動部材は、揺動可能に支持された基端から後方の多段スプロケットに向けて延 出させられており、この揺動部材の後端部にチエンガイドが支持されている。

【００１５】 上記構成のリヤディレーラにおいては、チエンガイドないしガイドプーリを各 スプロケットの回転面に対して平行に移動させることはできないけれども、上記 揺動部材の揺動軸心を多段スプロケットの前方に設定しているため、チエンガイ ドを最大径スプロケットないし最小径スプロケットに掛かるチエンのチエンライ ンの傾きにほぼ沿って移動させることが可能となる。 したがって、変速段数の少ない、すなわちスプロケットの枚数が少ない場合に は、各スプロケットとチエンガイドとの間の角度が大きく変化するとことはなく 、ガイドプーリあるいはスプロケットからチエンが外れやすくなるといったよう な問題は生じない。

【００１６】

【実施例の説明】

以下、本願考案に係る実施例を図に基づいて具体的に説明する。 図１に示すように、本実施例に係るリヤディレーラ１は、ハブ軸２周りに支持 される多段スプロケット３の前方においてチエンステー４に支持されるベース部 材５と、このベース部材５に基端において揺動可能に連結されるとともに後方に 向けて延びる揺動部材６と、ガイドプーリ７およびテンションプーリ８を回転可 能に支持するとともに、上記揺動部材６の後端部において、チエンＣにテンショ ンを付与する方向に弾力付勢されつつ、上記ハブ軸２と略平行な軸回りに回動可 能に支持されたチエンガイド９とを備える。

【００１７】 上記ベース部材５は、図１および図２に示すように、板状材料を折り曲げ加工 して形成されており、チエンステー４の中間部下側に溶接されたブラケット１０ にねじ１１によって連結される縦壁部１２と、上記縦壁部１２の下縁から車幅方 向内方に折れ曲がって延出させられた水平壁部１３と、上記縦壁部１２の前縁か ら車幅方向外方に折れ曲がって延出させられたアウタ受け部１４とを備える。

【００１８】 上記水平壁部１３には、上記揺動部材６を揺動可能に支持する揺動軸１５が上 方に向けて突出形成されている。また、上記アウタ受け部１４には前後方向に貫 通するねじ孔１７が形成されており、インナケーブルｗ１とこれに套挿されるア ウタケーブルｗ２とからなる変速操作ケーブルＷの上記アウタケーブルｗ２の端 部が止着されたアウタ受けボルト１６が螺合されている。

【００１９】 上記揺動部材６は、上記水平壁部１３の上面に重ねられるようにして配置され 、上記揺動軸１５に揺動可能に連結されるアーム部１８と、このアーム部１８の 後部外側から下方に折れ曲がり形成されたチエンガイド支持部１９とを備える。 上記揺動軸１５には、リターンバネ２０が套挿されており、その上端部が上記揺 動軸１５の頭部１５ａに止着される一方、下端部は、上記アーム部１８の上面に 突設されたピン２１に係止されている。そして、上記リターンバネ２０によって 、上記揺動部材６が車幅方向内方へ常時弾力付勢されている。

【００２０】 上記アーム部１８の中間部外側には、上記アウタ受けボルト１６の先端部から 延出させられるインナケーブルｗ１を止着する止着金具２２がネジ２３によって 取付けられている。そして、上記止着金具２２と上記アーム部１８との間で、上 記インナケーブルｗ１の端部が挟圧されることにより、上記インナケーブルｗ１ が揺動部材６に対して止着されている。

【００２１】 上記チエンガイド９は、図１および図２に示すように、内ガイドプレート２４ と外ガイドプレート２５とを備え、これらガイドプレート２４，２５の間に掛け 渡された支軸２６，２７に上記ガイドプーリ７およびテンションプーリ８をそれ ぞれ回転可能に支持している。そして、上記外ガイドプレート２５の中間部が、 上記揺動部材６のチエンガイド支持部１９に設けられた車幅方向軸２８に回動可 能に支持されている。

【００２２】 また、上記チエンガイド９は、上記車幅方向軸２８の頭部２８ａに装填された 図示しないばねによって、チエンＣにテンションを与える方向に弾力付勢されて おり、上記テンションプーリ８およびガイドプーリ７を経て多段スプロケット３ の一つのスプロケットに掛け回されるチエンＣが弛まないように構成されている 。

【００２３】 上記構成のリヤディレーラ１において、図示しない変速操作レバー装置によっ てインナケーブルｗ１を牽引すると、上記揺動部材６が車幅方向外方に揺動させ られ、これにしたがって、上記ガイドプーリ７も車幅方向外方へ揺動させられる 。これにより、チエンＣのスプロケットに掛かろうとする部分がハブ軸方向外側 に押圧されてチエンＣの走行経路が変更させられ、チエンＣが外側に隣り合うス プロケットに掛け換えられる。

【００２４】 一方、上記インナケーブルｗ１を繰り出すと、上記リターンバネ２０によって 、上記揺動部材６が車幅方向内方へ揺動させられる。これにより、ガイドプーリ ７ないし外ガイドプレート２５がチエンを車幅方向内方に押圧し、チエンＣが内 側に隣合うスプロケットに掛け換えられる。

【００２５】 上記構成のリヤディレーラ１においては、従来のリヤディレーラのようにパン タグラフリンク機構によってチエンガイドを移動させるのではなく、多段スプロ ケット３の前方に揺動可能に支持した一つの揺動部材６を、その前端部における 揺動軸１５を中心として揺動させ、上記揺動部材６の後端部に支持されたチエン ガイドをハブ軸方向に移動させるように構成されている。

【００２６】 したがって、本実施例に係るリヤディレーラ１においては、従来のようにパン タグラフリンク機構を構成する４つのリンク部材が必要でなくなり、部品点数を 大幅に削減することが可能となる。また、装置の構成がきわめて簡単になり、リ ヤディレーラ１の小型軽量化を図ることが可能となる。

【００２７】 さらに、部品点数を大幅に削減することができるため、製造コストを大幅に低 減させることもできる。 この結果、子供用自転車、あるいはミニサイクル等に採用することが可能とな る。

【００２８】 一方、子供用自転車、あるいはミニサイクルにおける変速段数は、５段以下の 少ない段数でよいため、チエンガイドをハブ軸に対して正確に平行移動させなく とも問題は生じない。

【００２９】 しかも、本実施例に係るリヤディレーラ１においては、ハブ軸回りに支持され る多段スプロケット３の前方において、ベース部材５をチエンステー４に対して 支持し、上記ベース部材５に基端において揺動可能に連結され、後方に向けて延 びる揺動部材６の後端部にチエンを掛け換えるためのチエンガイド９を支持して いる。

【００３０】 すなわち、本実施例においては、図３に示すように、揺動部材６の揺動軸心Ｏ を多段スプロケット３の前方に設定しているため、チエンガイド９は、この揺動 軸心Ｏを中心に円弧状に移動させられる。このため、従来のパンタグラフリンク 機構を採用したリヤディレーラとは異なり、チエンガイド９を各スプロケット３ ａ，３ｂ，３ｃの回転面に対して平行移動させることはできない。

【００３１】 しかし、上記揺動軸心Ｏを多段スプロケット３の前方に設定しているため、図 ３に示すように、最大径スプロケット３ａに掛かるチエンＣのチエンラインｃ１ と最小径スプロケットに掛かるチエンのチエンラインｃ２の傾きにほぼ沿って、 チエンガイド９をハブ軸方向に移動させることが可能となる。 したがって、チエンガイド９が各スプロケットの回転面に平行に移動させられ ないことによってチエンがスプロケットから外れやすくなるといった不都合は生 じない。

【００３２】 なお、図３に示すように、最大径スプロケット３ａおよび最小径スプロケット ３ｂに掛かるチエンＣのチエンラインｃ１，ｃ２に対するチエンガイド９の角度 がほぼ同じになるように上記チエンガイド９を揺動させるように構成するのが好 ましい。

【００３３】 図４および図５に本願の第二の実施例を示す。 この実施例は、上記揺動部材６の揺動軸心Ｏを、最小径スプロケット３ｂに掛 かるチエンのチエンラインｃ２の車幅方向外側に設定するとともに、上記揺動軸 心Ｏを垂直方向に対してθ傾斜させたものである。

【００３４】 上記構成により、図４および図５に示すように、上記チエンガイド９ないし上 記ガイドプーリ７を、ハブ軸方向に内方（図４および図５における矢印Ｘ方向） に移動させると同時に、車体前方向（図４における矢印Ｙ方向）かつ車体下方（ 図５における矢印Ｚ方向）に、すなわち、側面視において車体前方斜め下方向（ 図１における矢印Ｐ方向）に移動させることが可能となる。 この結果、上記ガイドプーリ７を、上記多段スプロケット３の各スプロケット の外周をつないで形成される略円錐台形の一の母線に沿うように移動させること が可能となる。

【００３５】 しかも、上記ガイドプーリ７を、上記略円錐台形の車体前方斜め下方向に向か う母線にほぼ沿って移動させることができるため、チエンＣの各スプロケットに 対する巻掛け角もほぼ一定に保持される。 この結果、上記揺動部材６の揺動量も少なくなり、変速効率および変速操作性 が格段に向上させられる。 また、各スプロケットの外周部とチエンガイドとの距離が大きく変化すること はなくなり、チエンＣがスプロケットから外れるといった問題も生じない。

【００３６】 本願考案の範囲は、上述の実施例に限定されることはない。 実施例においては、ベース部材５および揺動部材６を板状素材を折り曲げ加工 することにより形成したが、鋳造等他の方法によって形成することができる。 また、本実施例に係るチエンガイド９は、いわゆる三角天秤式のものを用いた が、振り子式等他の形式のものを採用することができる。

【００３７】 また、実施例においては、変速操作ケーブルＷとしてインナケーブルｗ１とこ れに套挿されるアウタケーブルｗ２とからなる二重ケーブルを採用したが、イン ナケーブルのみで構成されるベアケーブルを採用することができる。 また、実施例においては、アウタケーブルｗ２の端部を、ベース部材５に設け たアウタ受け部１４に止着したが、チエンステー４にアウタケーブルを止着する ための部材を別途形成することもできる。

【００３８】 また、スプロケットの枚数も実施例に限定されることはなく、２枚、あるいは ４枚以上のスプロケットを備える多段スプロケット装置に対応することもできる 。 さらに、多段スプロケット３を構成する各スプロケットの外周縁を、上記ガイ ドプーリ７の円弧状移動軌跡と平行になるように上記各スプロケットの外形を設 定することにより、変速操作性をより向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案に係るリヤディレーラの斜視図であ
る。

【図２】図１に係るリヤディレーラの平面図である。

【図３】本願考案に係るリヤディレーラの作用を説明す
るための図である。

【図４】本願考案の第二の実施例に係るに係るリヤディ
レーラの作用を説明するための図である。

【図５】本願考案の第二の実施例に係るリヤディレーラ
を示す図面であり、図１のリヤディレーラを矢印Ａ方向
から見た図に相当する図である。

【符号の説明】

１ リヤディレーラ ２ ハブ軸 ３ 多段スプロケット ４ チエンステー ５ ベース部材 ６ 揺動部材 ７ ガイドプーリ ８ テンションプーリ ９ チエンガイド Ｗ 変速操作ケーブル

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハブ軸周りに支持される多段スプロケッ
   トの前方においてチエンステーに支持されるベース部材
   と、このベース部材に基端において車幅方向に揺動可能
   に連結されるとともに後方に向けてのびる一つの揺動部
   材と、ガイドプーリおよびテンションプーリを回転可能
   に支持するとともに、上記揺動部材の後端部において、
   チエンにテンションを付与する方向に弾力付勢されつつ
   上記ハブ軸と略平行な軸周りに回動可能に支持されたチ
   エンガイドとを備え、 上記揺動部材に連結された変速操作ケーブルを牽引操作
   することにより上記ガイドプーリを車幅方向に揺動させ
   て、所望のスプロケットにチエンを掛け換えるように構
   成したことを特徴とする、自転車用リヤディレーラ。
2. 【請求項２】 上記揺動部材の揺動軸心を、垂直方向に
   対して傾斜させることにより、 上記揺動部材を揺動させたとき、上記ガイドプーリが、
   上記ハブ軸方向内方に移動すると同時に、斜め下方向に
   移動するように構成したことを特徴とする、請求項１に
   記載の自転車用リヤディレーラ。