JPH0567595U - 船舶の姿勢制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速航走時や荷物などの積載時にも船体姿勢
を水平に保つことができる船舶の姿勢制御装置を提供す
る。 【構成】 船首下部に設けられるバラストタンク２と、
そのバラストタンク２に海水などを給・排水するための
バラストポンプ３と、そのポンプ３をトリム角に応じて
駆動させるバラスト量制御装置４とを備えて構成され
る。船体１のトリム角に応じてバラストポンプ３を正・
逆駆動させ、バラストタンク２内の海水バラスト量を調
節することで船体姿勢を水平に維持する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、作業船（特に船尾に荷重が掛るもの）の姿勢制御装置に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

作業船には底引き網，巻き網船やクレ−ン船など種々のものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記作業船は一般に船尾側にマスト，網，吊り荷によりどうしても重 心が船尾側に偏ってしまい、船首が浮き上がり船尾が沈んだ傾き姿勢での航走を 余儀無くされていた。このように船尾が沈んだ状態では、プロペラが下向きにな り推進効率が低下する。さらに、上下の動揺が大きく、また舵効きが悪くなると いう問題もあった。

【０００４】 本考案の目的は、上記課題を解決し、船尾側に大きい荷重を受けての航行時に も船体姿勢を水平に保つことができる船舶の姿勢制御装置を提供することにある 。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案の姿勢制御装置は、船首下部に設けられるトリ ム調整用のバラストタンクと、そのバラストタンクに海水などを給・排水するた めのバラストポンプと、そのバラストポンプをトリム角に応じて駆動させるバラ スト量制御装置とを備えて構成される。

【０００６】

【作用】

船首に設けたバラストタンクに海水などを給・排水すれば、船首側の重量が増 減し、これに伴い船体のトリム角が変化する。したがって、バラスト量制御装置 によってトリム角を検出し、バラストポンプを駆動させて等喫水（トリム角がゼ ロ）になるようバラストタンク内のバラスト量を調節することにより、船体姿勢 を水平に維持することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面に基いて詳述する。

【０００８】 図１に示される作業船には本考案に係る姿勢制御装置が搭載されている。姿勢 制御装置は、船体１の船首下部に設けられたバラストタンク２と、船底部に設け られたバラストポンプ３と、操舵室に設けられたバラスト量制御装置４とからな る。バラストタンク２は隔壁６によって船体１内に区画形成されている。バラス トポンプ３は船底に固定され、バラストタンク２とは配管５で接続されている。 船体１の底部にはバラスト孔（図示せず）が形成されており、バラストポンプ３ はこのバラスト孔よりバラストタンク２内に海水を給・排水でいきるようになっ ている。このバラストポンプ３とバラスト量制御装置４とは信号線（鎖線で示す ）で接続されている。バラスト量制御装置４は船体１のトリム角を検出するため のトリム計を備えており、船尾トリム（船首の喫水よりも船尾の喫水の方が大き い状態）のときにはバラストポンプ３を正駆動させてバラストタンク２内に海水 バラストを導入させ、船首トリム（船尾の喫水よりも船首の喫水の方が大きい状 態）のときにはバラストポンプ３を逆駆動させてバラストタンク２内の海水バラ ストを船外に排出させるよう構成されている。

【０００９】 作業船が、船尾に荷を搭載しているとき、その船体姿勢は図１(b) に示される ように船尾トリムになる。このようなときバラスト量制御装置４は、船体１のト リム角θを検出しつつバラストポンプ３を正駆動させ、バラストタンク２内の海 水バラスト量を増加させて行く。そしてトリム角がゼロになった時点でバラスト ポンプ３の駆動を停止させる。この時、船体１は水平姿勢となる。一方、バラス トタンク２内の海水バラストによって船体バランスがとられている状態で航走ス ピ−ドを下げると、海水バラスト量がそのままでは船体姿勢が船首トリムになっ てしまう。そこで、このようなときにはバラスト量制御装置４はバラストポンプ ３を逆駆動させ、バラストタンク２内の海水バラスト量を減らして行く。そして トリム角がゼロになった時点でバラストポンプ３の駆動を停止させる。このよう に船体１のトリム角に応じてバラストポンプ３を正・逆駆動させ、バラストタン ク２内の海水バラスト量を調節すれば、図１(a) に示されるように船体姿勢は水 平に維持されることとなる。船体姿勢が水平に維持されることで、推進効率の低 下を防ぎ、船体の上下の動揺はほとんど解消され、舵効きも良くなり、従来小型 高速船が有していた課題は解消される。

【００１０】 図２に示される作業船は、その船体１′の船首下部にバルバウスバウと称され る球形の膨出部７を有し、その膨出部７の内部に本考案に係る姿勢制御装置のバ ラストタンク２が形成されている。バラストポンプ３、バラスト量制御装置４な どの配置、構成は図１と同様である。この作業船は、膨出部７による船首の浮上 抑制作用と上記姿勢制御装置による姿勢制御作用との相乗作用により、極めて安 定した水平姿勢での航走が可能である。

【００１１】 尚、船首を幾分上げた状態を推率効率を最適としている船にあっては、当該最 適トリムになるように船体姿勢を制御することは勿論である。

【００１２】

【考案の効果】

以上要するに、本考案の船舶の姿勢制御装置によれば積荷の積載時にも船体姿 勢を水平に維持することができ、船舶推進効率の低下防止、船体動揺の低減、操 船性の維持、など優れた効果を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る姿勢制御装置を搭載した船舶の一
実施例を示す概略断面図であり、(a) は姿勢制御装置を
作動させたときの船体姿勢、(b) は姿勢制御装置を作動
させないときの船体姿勢を示している。

【図２】本考案に係る姿勢制御装置を搭載した船舶の他
の実施例を示す概略断面図である。

【符号の説明】

１ 船体 ２ バラストタンク ３ バラストポンプ ４ バラスト量制御装置 ５ 配管 ６ 隔壁 ７ 膨出部（バルバウスバウ）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 船首下部に設けられるトリム調整用のバ
   ラストタンクと、そのバラストタンクに海水などを給・
   排水するためのバラストポンプと、そのバラストポンプ
   をトリム角に応じて駆動させるバラスト量制御装置とを
   備えていることを特徴とする船舶の姿勢制御装置。