JPH0566293U - ベーン型気体圧縮機 - Google Patents
ベーン型気体圧縮機Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 シリンダブロックや、フロントサイドブロッ
ク、リアサイドブロック、ロータおよびベーンがアルミ
合金により形成され、両サイドブロックの軸受け部間に
回転自在に支持されるロータ軸を鉄系金属により形成し
たベーン型気体圧縮機において、オゾン層を破壊するこ
とのない冷媒を使用すると共に、軸受け部が無潤滑状態
になった場合でも、軸受け部にて凝着を起こさないよう
にする。 【構成】 冷媒としてその成分に塩素を含まないHFC
−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
CH2 FCF3 )を使用する。両サイドブロック14,
15のボス部14a,15aにはりん酸塩皮膜処理を施
した鋳鉄により形成したブシュ14b,15bを設け
る。
ク、リアサイドブロック、ロータおよびベーンがアルミ
合金により形成され、両サイドブロックの軸受け部間に
回転自在に支持されるロータ軸を鉄系金属により形成し
たベーン型気体圧縮機において、オゾン層を破壊するこ
とのない冷媒を使用すると共に、軸受け部が無潤滑状態
になった場合でも、軸受け部にて凝着を起こさないよう
にする。 【構成】 冷媒としてその成分に塩素を含まないHFC
−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
CH2 FCF3 )を使用する。両サイドブロック14,
15のボス部14a,15aにはりん酸塩皮膜処理を施
した鋳鉄により形成したブシュ14b,15bを設け
る。
Description
【0001】
本考案はベーン型気体圧縮機に係り、特にカーエアコン等に用いられるベーン 型気体圧縮機に関する。
【0002】
従来のベーン型気体圧縮機には、例えば圧縮機本体を構成するフロントサイド ブロック、リアサイドブロック、およびシリンダや、ロータおよびベーンがアル ミ合金により形成される一方、ロータ軸をSCM材等の焼き入れ鋼材により形成 し、冷媒としてCFC−12(ジクロロジフルオロメタン;CCl2 F2 )を使 用するものがある。
【0003】 この様なベーン型気体圧縮機では、ロータ軸が滑り軸受け式、すなわちロータ 軸両端がフロントサイドブロックおよびリアサイドブロックそれぞれ中央のボス 部に設けた軸受け部で回転自在に支持されている。そして、この軸受け部の潤滑 は、通常ケーシング後部空間の油溜まりから潤滑油を高圧で吹付けたり、冷媒で あるCFC−12中に溶けた潤滑油により行われていた。また、CFC−12自 身の潤滑作用によっても行われていた。
【0004】
しかし、従来のベーン型気体圧縮機に使用されるCFC−12は、成分として 塩素を含み、この塩素がオゾン層を破壊するために、今後、その使用が禁止され る。
【0005】 従って、その代替冷媒が必要であり、そのために成分として塩素を含まない冷 媒を使用することが考えられる。ところが、この塩素自身は潤滑作用を有する元 素であるため、逆に塩素を含まない冷媒を使用した場合は、その潤滑性はCFC −12より劣ることになる。
【0006】 ケーシング後部空間の油溜りの潤滑油量が比較的少ない運転条件で圧縮機を停 止し、長時間放置した場合などに液冷媒で潤滑油が薄められ、且つ、軸受け部の 潤滑油が液冷媒により洗い流された状態が生じる。この状態から圧縮機を起動さ せると、一時的に軸受け部が無給油状態となるが、塩素を含まない冷媒を使用し た場合には、冷媒自体の潤滑作用が全く期待出来ないため、鉄系金属のロータ軸 とアルミニウム合金の軸受け面との金属同士の摺接により凝着を起こして焼きつ きに至るという新たな問題を生じる恐れがある。
【0007】 そこで、本考案は上記問題に鑑みなされたもので、オゾン層を破壊することの ない冷媒を使用すると共に、両サイドブロックの軸受け部で凝着を起こすことの ないベーン型気体圧縮機を提供することを目的とする。
【0008】
上記課題を解決するため本考案は、内周略楕円筒状のシリンダと、このシリン ダの両側に取り付けられたフロントおよびリアサイドブロックと、これらのサイ ドブロックと上記シリンダによって形成されるシリンダ室内に回転自在に収納さ れたロータと、このロータに回転力を伝えるロータ軸と、このロータの半径方向 に設けた複数のベーン溝に進退自在に挿入してある複数のベーンを備え、 上記フロントおよびリアサイドブロックには、それぞれロータ軸を回転自在に 支持する滑り軸受が形成され、一方、上記シリンダ,フロントサイドブロック, リアサイドブロック,ロータおよびベーンはアルミニウム合金により形成され、 ロータ軸は鉄系金属により形成したベーン型気体圧縮機において、 気体として、冷媒HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン ;CH2 FCF3 )を使用すると共に、上記滑り軸受は、フロントおよびリアサ イドブロックのボス部に開けたそれぞれの穴に鋳鉄製で、少なくともその軸受面 にりん酸塩皮膜処理を施したブシュを圧入等により嵌合・締結したものであるこ とを特徴とする。
【0009】
上記構成では、冷媒としてその成分に塩素を含まないHFC−134aを使用 したため、オゾン層の破壊は防止される。
【0010】 また、フロントおよびリアサイドブロックそれぞれの軸受け部には鋳鉄製で、 その軸受面にりん酸塩皮膜処理を施したブシュ(軸受メタル)を圧入したため、 このブシュとロータ軸との間に潤滑油が一時的に供給されなくなり無潤滑状態に なったとしても凝着や焼付きを起こさない。
【0011】
以下、本考案に係るベーン型気体圧縮機の一実施例を図面に基づいて説明する 。図1は本考案に係るベーン型気体圧縮機の全体構成を示す断面図、図2はベー ン型圧縮機の軸受け部を示す断面図である。
【0012】 このベーン型気体圧縮機は、図1に示すように電磁クラッチMと、圧縮機本体 10と、この圧縮機本体10を気密に包囲する一端開口形のケーシング11と、 このケーシング11の開口端面に取り付けられたフロントヘッド12とにより構 成されている。
【0013】 圧縮機本体10は、内周がほぼ楕円筒状をしたシリンダ13と、このシリンダ 13の両側に取り付けられたフロントサイドブロック14およびリアサイドブロ ック15とを有し、これらによりほぼ楕円筒状のシリンダ室16を形成し、この シリンダ室16内にはロータ軸17と一体で、かつ、周囲にその半径方向に設け た複数のベーン溝に進退自在に複数枚のベーン18を装着したロータ19が収納 されている。
【0014】 フロントサイドブロック14の中央部には、図2に示すようにボス部14aが 形成されている。また、リアサイドブロック15にも、フロントサイドブロック 14と同様にボス部15aが形成されている。
【0015】 更に、これら圧縮機本体10と、ロータ19と、ベーン18とを例えば過共晶 Al−Si合金鋳造材等のアルミ合金で形成する一方、ロータ軸をSCMやSC r等の焼入れ綱材により形成している。
【0016】 そして、本実施例では冷媒ガスとしては塩素を含まないHFC−134a(1 ,1,1,2−テトラフルオロエタン;CH2 FCF3 )を使用している。
【0017】 更に、本実施例ではボス部14a,15aには鋳鉄製で、少なくともその軸受 面にりん酸塩皮膜処理を施したブシュ14b,15bが圧入等の方法で嵌合・締 結されており、このブシュ14bと15bにロータ軸17両端部が挿入され、ロ ータ19を回転自在に支持している。
【0018】 このブシュ14bと15bはFC25相当の鋳鉄で、円柱状又は円筒状に鋳造 した後、機械加工によって外径,内径,長さをそれぞれ所定の寸法・精度に仕上 げる。その後、このブシュを鉄用の化成処理槽内に投入し、公知の処理工程によ り、ブシュの全面,或いは少なくともその軸受面にりん酸塩の化成処理皮膜を形 成させる。りん酸塩皮膜としては、りん酸マンガン皮膜が最も良い、この皮膜は 、塑性加工用に通常使用されるりん酸亜鉛やりん酸亜鉛カルシウム等の皮膜に比 べて非常に硬いため耐摩耗性に優れている。
【0019】 尚、図1において、21は潤滑油を溜めておく油溜り、22は冷媒ガスから潤 滑油を分離する油分離器、23は潤滑油を両サイドブロック14,15の軸受面 14c,15cに供給する油連絡通路、24は冷媒ガスを吸気する吸気口、25 は吸気通路、26は冷媒ガスが吐出される吐出口である。
【0020】 次に、このように構成されたベーン型気体圧縮機の作用を説明するが、ロータ 軸17が両サイドブロック14,15の軸受面14c,15cで潤滑油のない無 潤滑状態で回転したとする。
【0021】 この場合、本実施例では冷媒としてその成分に塩素を含まないHFC−134 aを使用しているため、CFC−12を使用した場合と比較して潤滑性に劣るこ とになる。
【0022】 しかし、このような構成により両サイドブロック14,15の軸受面14c, 15cを形成すれば、軟かいアルミ合金製の従来の軸受面とは異なり、まず、軸 受の基地が硬くなること、鉄の基地表面が上記のりん酸マンガン皮膜で覆われる こと等の理由により鋼材製のロータ軸17との凝着が防止されるのである。
【0023】 そして、このりん酸塩皮膜の厚みは、エッチング層の厚みを含めると、10〜 15μm程度と、かなり厚くすることができるため、過酷な運転や長期間の使用 の後でも、完全に摩耗して鉄基地が露出することはなく、鉄基地とロータ軸の鉄 とが直接摺接して凝着を起こしたり、更に焼付きに至ることはない。
【0024】 尚、アルミ合金上に直接化成処理を施すことも可能ではあるが、アルミ合金上 の化成処理皮膜は鉄鋼材上の皮膜と異なり、その膜厚を厚くすることができない し(通常1〜2μm程度)、また軟らかく密着性も弱いため、ロータ軸との摺接 によって簡単に剥げてアルミ合金の基地が露出してしまい、焼付き防止の効果は 得られないことを付記しておく。
【0025】 従って、本実施例では冷媒としてその成分に塩素を含まないHFC−134a を使用するため、従来のCFC−12を使用した場合に比べ潤滑性に劣ることに なるが、たとえロータ軸17が両サイドブロック14,15の軸受け部で潤滑油 のない無潤滑状態で回転したとしても、その軸受け部には耐摩耗・耐焼付き性に 優れた上記のブシュ14b,15bが設けられているので、凝着を起こして焼付 きに至ることはなくなる。また、HFC−134aはCFC−12とは異なり、 その成分に塩素を含まないので塩素によりオゾン層を破壊することがなくなり、 環境破壊を防止することができる。
【0026】 尚、本実施例では、ブシュ材として鋳鉄(FC材)を用いたが鉄系の焼結材を 用い、同様のりん酸塩皮膜処理を施すようにしても良い。
【0027】 また、ブシュ14b,15bをボス部14a,15aに圧入によって嵌合・締 結させるとしたが、たとえば、鋳ぐるみ等の方法によってアルミ合金鋳物やダイ カストとブシュとの一体化を図ることも可能である。
【0028】
以上説明したように、本考案ではシリンダブロックや、フロントサイドブロッ ク、リアサイドブロック、ロータおよびベーンがアルミ合金により形成され、両 サイドブロックの軸受け部間に回転自在に支持されるロータ軸を鉄系金属により 形成したベーン型気体圧縮機において、冷媒としてその成分に塩素を含まないH FC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を使用し、フロント サイドブロックおよびリアサイドブロックそれぞれの軸受け部にはりん酸塩皮膜 処理を施した鋳鉄製のブシュを設けたため、塩素が発生せずにオゾン層の破壊は 防止されると共に、軸受け部にて潤滑油のない無潤滑状態になってもその軸受け 面の凝着を防止することができる。
【図1】本考案に係るベーン型気体圧縮機の全体構成を
示す断面図。
示す断面図。
【図2】ベーン型圧縮機の軸受け部を示す断面図。
13 シリンダ 14 フロントサイドブロック 15 リアサイドブロック 16 シリンダ室 17 ロータ軸 18 ベーン 19 ロータ 14a,15a ボス部 14b,15b ブシュ 14c,15c 軸受面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山根 修二 千葉県習志野市屋敷4丁目3番1号 セイ コー精機株式会社内 (72)考案者 清水 裕 栃木県佐野市朝日町790
Claims (1)
- 【請求項1】 内周略楕円筒状のシリンダと、このシリ
ンダの両側に取り付けられたフロントおよびリアサイド
ブロックと、これらのサイドブロックと上記シリンダに
よって形成されるシリンダ室内に回転自在に収納された
ロータと、このロータに回転力を伝えるロータ軸と、こ
のロータの半径方向に設けた複数のベーン溝に進退自在
に挿入してある複数のベーンを備え、 上記フロントおよびリアサイドブロックには、それぞれ
ロータ軸を回転自在に支持する滑り軸受が形成され、一
方、上記シリンダ,フロントサイドブロック,リアサイ
ドブロック,ロータおよびベーンはアルミニウム合金に
より形成され、ロータ軸は鉄系金属により形成したベー
ン型気体圧縮機において、 気体として、冷媒HFC−134a(1,1,1,2−
テトラフルオロエタン;CH2 FCF3 )を使用すると
共に、上記滑り軸受は、フロントおよびリアサイドブロ
ックのボス部に開けたそれぞれの穴に鋳鉄製で、少なく
ともその軸受面にりん酸塩皮膜処理を施したブシュを圧
入等により嵌合・締結したものであることを特徴とした
ベーン型気体圧縮機。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992005246U JP2604727Y2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | ベーン型気体圧縮機 |
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EP93102249A EP0556746B1 (en) | 1992-02-12 | 1993-02-12 | Vane type gas compressor |
DE69303835T DE69303835T2 (de) | 1992-02-12 | 1993-02-12 | Flügelzellenverdichter |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992005246U JP2604727Y2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | ベーン型気体圧縮機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0566293U true JPH0566293U (ja) | 1993-09-03 |
JP2604727Y2 JP2604727Y2 (ja) | 2000-06-05 |
Family
ID=11605852
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP1992005246U Expired - Lifetime JP2604727Y2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | ベーン型気体圧縮機 |
Country Status (4)
Country | Link |
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US (1) | US5356277A (ja) |
EP (1) | EP0556746B1 (ja) |
JP (1) | JP2604727Y2 (ja) |
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