JPH0564569B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は磁性粉末に合成樹脂を添加して成形
されたプラスチツクマグネツトの射出成形に使用
される成形機に関するものである。

［従来の技術］ 異方性プラスチツクマグネツトを射出成形する
場合には、成形過程で金型に磁場を加える必要が
あり、そのため固定盤と可動盤の両方に磁場発生
用の励磁コイルを備えた射出成形機が使用され
る。

この種の射出成形機としては、特開昭55−
84640号公報、実開昭60−158727号公報に記載さ
れたものがある。この従来の射出成形機は、固定
盤または可動盤あるいはその両方の対向面に、磁
性材料によるブロツクと励磁コイルとを備え、固
定盤、可動盤、タイバーは磁性材料により形成さ
れていることから、励磁コイルに通電すると、固
定盤−磁性ブロツク−金型−磁性ブロツク−可動
盤−タイバーを磁路とする磁場が発生し、これに
よりキヤビテイ内に射出されたプラスチツク材料
中の磁性材料は異方化されて、プラスチツクマグ
ネツトとなる。

［発明が解決しようとする課題］ ところで、通常の射出成形機の可動盤は、機台
上に配設された固定盤間のタイバーを金型重量を
支えながら、高速にて移動することから、長期間
にわたりその精度を維持するために、機台上面の
スライド座上を摺動するようにして、可動盤側の
重量を機台側にも負担させている。

また機台はスライド座とともに磁性金属により
形成されていることから、機台と固定盤または可
動盤との間にも磁路が形成される。これはタイバ
ーの外に機台も磁束のリターンヨークとして作用
することを意味する。

このため磁束が機台内にも影響し、機台側に組
付けられた電子制御機器、たとえば磁気カード、
フロツピーデイスクなどの記憶装置を誤作動さ
せ、機械の暴走原因となることがある。

このようなことから、この種の射出成形機では
電子制御機器等の組付けや配線作業に際して、細
心の注意を払い、また磁気、ノイズに対する保護
策を施す必要もあり、通常の射出成形機に比べて
工程数やコストが増すなどの問題があつた。

更にまた磁気効率が悪化する問題や、型盤位置
による磁束密度にばらつきが生じ、成形品の磁気
特性が不均一となるなどの問題をも有し、構造的
には、両盤の型取付側に励磁コイルをカバーと共
に設け、そのカバーに金型を取付けるようにして
いるので、固定盤と可動盤との間の距離が大きく
なり、通常の射出成形機よりも型締機構が長く構
成される。

この発明は上記従来の多くの課題を解決するた
めに考えられたものであつて、その目的は、機台
側への磁束の流れを防止でき、また金型を通常の
ごとく固定盤と可動盤に取付けることができる新
たなプラスチツクマグネツト射出成形機を提供す
ることにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的によるこの発明の特徴は、磁性金属に
よるタイバーを隅部に貫挿した機台上の固定盤及
び可動盤とを非磁性金属により形成し、それら盤
体の中央部に磁性金属によるコア部材を貫設し、
そのコア部材の周囲に励磁コイルを設けて固定盤
と可動盤とに励磁コイルを内設するとともに、両
盤体の背面に磁性板体を上記コア部材及びタイバ
ーに接続して設け、その磁性板体を介して上記タ
イバーとコア部材及び金型とにわたる閉磁路を形
成してなることにある。

［作用］ 上記構成では、型閉後に励磁コイルに通電を行
なうと、可動盤側コア部材−金型−固定盤側コア
部材−磁性板体−タイバー磁性板体の順に閉磁路
が形成され、そこに磁束が生じる。

［実施例］ 図中１は機台、２，３は機台上に対設した非磁
性金属製の固定盤、４は磁性金属製のタイバーで
両固定盤の隅部に貫挿し締着してある。

５はタイバー４に挿通した非磁性金属製の可動
盤で、スライド台６を介して機台上のスライド座
７に摺動自在に設置してある。

型取付側の固定盤３と可動盤５は背面が開口し
た中空体で、オーステナイト系ステンレス鋼など
の非磁性金属により形成され、その中央部には磁
性金属によるコア部材８，９が貫設してある。

このコア部材８，９の周囲の盤体内には励磁コ
イル１０，１１が設けられ、かつコア部材１０，
１１は盤体開口を閉塞する背面の磁性材料による
板体１２，１３と接続してある。またコア部材８
及び背面板１２の中心部には突出ピン１４の貫通
孔１５が、またコア部材９及び背面板１３の中心
部には射出装置１６の挿入孔１７が貫設してあ
る。

上記背面板１３の各隅部には上記タイバー４の
端部が貫通しており、その端部に螺着または嵌装
した磁性金属によるナツト１９を介して背面板１
３はタイバー４と接続している。

２０は金型で、固定盤３と可動盤５の対向面に
止着した型置板２１，２２に分割して取付けてあ
る。また２３は型締シリンダー２４のプランジヤ
ーで、非磁性金属のジヨイント２５をもつて可動
盤５に連結してある。２６は固定盤２，３の取付
座で磁性金属からなる。

なおタイバーの径、各背面板の厚さ、各背面板
とタイバーの接続部分の面積は、励磁コイルによ
り発生される磁束が通過するに必要、かつ十分な
面積とする。

上記構成では、型置板２１，２２に磁性金属と
非磁性金属とを適宜に組合せてなる金型２０を取
付け、第１図に示す型締状態にて、両励磁コイル
１０，１１に通電を行なと、磁力が発生する。

この磁力の磁束は、可動盤側コア部材８−金型
２０−固定盤側コア部材９−背面板１３−タイバ
ー４−背面板１２なる閉磁路内を流れる。

このような状態において、フエライトや希土類
金属の磁性粉末に結合材として合成樹脂を添加し
た材料を、金型２０のキヤビテイに射出充填する
と、磁性粉末の磁化容易軸が、磁束の流れ方向に
配向し、冷却固化により物理的に閉じ込められ
て、成形品は異方性プラスチツクマグネツトとな
る。

［発明の効果］ この発明は上述のように、非磁性金属により形
成した固定盤３と可動盤５との中央部に磁性金属
によるコア部材８，９を貫設し、そのコア部材
８，９の周囲の盤体内に励磁コイル１０，１１を
設けるとともに、固定盤３及び可動盤５の隅部に
貫挿された磁性金属によるタイバー４と上記コア
部材８，９とを、両盤体の背面に設けた磁性の板
体１２，１３により接続して、磁性コイルの通電
時に磁性板体１２，１３を介して上記タイバー４
とコア部材８，９及び金型２０とにわたる閉磁路
が生じるように構成してなることから、機台側が
磁性金属で構成されていても、機台への磁束の流
れが殆どなくなり、機台側に設けられた電子制御
機器等への磁気、ノイズによる障害が排除される
結果、電子制御機器等の組付けや配線作業に特別
な考慮を必要とせず、通常の射出成形機と同様な
仕様にて製造を行なうことができる。

また磁束の洩れがなく、タイバーのみがリター
ンヨークとなるので、磁気効率が向上し、磁束密
度も均一となることから、磁気特性に優れた高品
質のプラスチツクマグネツト成形品が得られる。

更にまた固定盤と可動盤の対向面に励磁コイル
がないことから、固定盤と可動盤との間の距離も
特に大きくする必要がなく、金型の取付けも固定
盤及び可動盤に対して行なえるので、取扱い易い
などの特長を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明に係るプラスチツクマグネツト
射出成形機の１実施例を示すもので、第１図は要
部縦断正面図、第２図は縦断斜視図である。 １……機台、２，３……固定盤、４……タイバ
ー、５……可動盤、８，９……コア部材、１０，
１１……励磁コイル、１２，１３……背面板、１
９……ナツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁性金属によるタイバーを隅部に貫挿した機
   台上の固定盤及び可動盤とを非磁性金属により形
   成し、それら盤体の中央部に磁性金属によるコア
   部材を貫設し、そのコア部材の周囲に励磁コイル
   を設けて固定盤と可動盤とに励磁コイルを内設す
   るとともに、両盤体の背面に磁性板体を上記コア
   部材及びタイバーに接続して設け、その磁性板体
   を介して上記タイバーとコア部材及び金型とにわ
   たる閉磁路を形成してなることを特徴とするプラ
   スチツクマグネツト射出成形機。