JPH056346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 この考案は、住宅等の建物の基礎と壁パネルの
接合部を形成する際に用いる基礎の仕上げ構造に
関するものである。

〔背景技術〕

従来、パネル工法により形成された住宅等にお
いては、壁パネルは基礎の上面に設置したパネル
支持具により支持されていた。そして、壁パネル
と基礎との間に生じる凹部には、モルタルを充填
するとともに基礎の外面をモルタルで塗着して仕
上げていた。

この構造においてモルタルを塗着する際、パネ
ル支持具と基礎の上面との間に薄手の鋼板等から
なるモルタル止めを基礎の外周の全長にわたつて
設け、このモルタル止めの屋外側面にモルタルの
付着を確実にするためのラス等を設け、その上に
モルタルを塗着していた。

しかし、この構造では、パネル支持具と基礎の
間にモルタル止めを固定するには、パネル支持具
や基礎に孔を形成してビス止めにしたり、溶接等
で固定しなければならないので、作業が非常に面
倒になつていた。また、モルタルの付着を確実に
するためには、モルタル止め以外にラス等を設け
なければならないので、それだけ工数が増えて施
工の能率が悪くなつていた。

〔考案の目的〕

この考案の目的は、基礎の壁パネルの接合部を
モルタルで仕上げるに際し、その施工が容易に行
える基礎の仕上げ構造を提供することである。

〔考案の開示〕

この考案の基礎の仕上げ構造は、基礎上面に設
置され壁パネルを支持したパネル支持具と、表面
をざらつき面に形成し裏面に付着した粘着剤によ
り前記パネル支持具から前記基礎にかけて貼着さ
れたシート材と、このシート材の上から前記パネ
ル支持具および基礎の外面に塗着したモルタルと
を備えたものである。

この考案の構成によれば、裏面に粘着剤を付着
したシート材をパネル支持具から基礎にかけて貼
着し、このシート材の上からモルタルを塗着した
ので、モルタルを支持するための部材の設置が容
易に行える。しかも、シート材は、その表面をざ
らつき面に形成したので、モルタルの付着を確実
に行うことができる。従つて、他にモルタルを付
着させるための部材を必要とせず、部材点数の削
減とともに工数の削減が可能になり、施工性を向
上させることができる。

実施例 この考案の一実施例を第１図および第２図に基
づいて説明する。この基礎の仕上げ構造は、第１
図に示すように、基礎１上面に設置され壁パネル
５を支持したパネル支持具２と、表面をざらつき
面に形成し裏面に付着した粘着剤３ｂによりパネ
ル支持具２から基礎１にかけて貼着されたシート
材３と、このシート材３の上からパネル支持具２
および基礎１の外面に塗着したモルタル４とを備
えたものである。

基礎１は、その立ち上がり部の内周側にパネル
支持具２を固定するための受け梁７が設けてあ
る。

パネル支持具２は、Ｚ形断面を有し、その下フ
ランジ２ａが基礎１の受け梁７にボルト等の固着
具８で固定してあり、上フランジ２ｂは壁パネル
５を形成する溝形断面の下枠５ａにボルト等の固
着具９で固定してある。また、このパネル支持具
２は、細幅の部材で形成してあり、一つの壁パネ
ル５に対して複数箇所に設置される。

シート材３は、不織布等から形成される。シー
ト材３の裏面には、第２図に示すように、パネル
支持具２のウエブの高さに合わせて発泡スチロー
ル等からなる下地材３ａが固着してある。この下
地材３ａは、パネル支持具２と重なる箇所だけで
なく、シート材３の全長にわたつて固着してあ
る。また、シート材３の下地材３ａが固着されて
いない部分には、粘着剤３ｂが塗布してあり、パ
ネル支持具２の上フランジ２ｂおよび基礎１に貼
着できるようになつている。このシート材３は、
保管時においては、粘着剤３ｂの塗布された部分
は裏紙（図示せず）で覆つてあり、使用時にこれ
をはがして使う。

モルタル４は、基礎１外面の立ち上がり部から
壁パネル５と基礎１上面との間の凹部にかけて塗
着される。壁パネル５の外面下端とモルタル４の
上端との間の隙間にはコーキング材６が施してあ
り、防水性を高めている。

この実施例による基礎１仕上げの施工手順を説
明する。受け梁７は、基礎１のコンクリート打設
時に設置しておき、アンカーボルト（図示せず）
で固定しておく。受け梁７の上フランジには予め
ボルトが埋め込んであり、このボルトにパネル支
持具２の下フランジ２ａをナツトで固定する。パ
ネル支持具２の上フランジ２ｂに壁パネル５を固
着具９で固定する。シート材３の裏紙をはがし、
パネル支持具２に下地材３ａを押し付けた状態で
パネル支持具２および基礎１にシート材３を貼着
する。基礎１の外面および壁パネル５と基礎１の
間の凹部にモルタル４を塗着充填する。モルタル
４の上端と壁パネル５の外面下端との間の隙間に
コーキング材６を充填して施工が完了する。

この実施例の構成によると、モルタル４を支持
するための部材として裏面に粘着剤３ｂを付着し
たシート材３を用いたので、単に押し付けるだけ
でシート材３が設置できる。従つて、従来のよう
に孔あけや溶接等の加工を必要とせず、施工を容
易にすることができる。また、シート材３は基礎
１の上面から側面にかけて覆つたので、このシー
ト材３が水切りの役目を果たし、防水効果を高め
ることができる。しかも、シート材３に不織布を
用いたので、この不織布の表面に形成されたざら
つき面がラスの役目を果たし、モルタル４の付着
を確実にすることができる。さらに、シート材３
の裏面に下地材３ａを設けたので、この下地材３
ａがバツクアツプ材の役目を果たし、その分だけ
モルタル４の使用量を削減することができる。ま
た、この下地材３ａは壁パネル５と基礎１との間
の全長にわたつて設けたので、断熱材としての役
割を果たすことができ、断熱効果を高めることが
できる。

なお、前記実施例において、シート材３には下
地材３ａを設けていたが、下地材３ａは別に設け
なくてもよい。

また、前記実施例においては、パネル支持具２
は、細幅に形成してあるが、基礎１全長にわたつ
て設けた長尺物の部材に形成してもよい。

〔考案の効果〕

この考案の基礎の仕上げ構造によると、裏面に
粘着剤を付着したシート材をパネル支持具から基
礎にかけて貼着し、このシート材の上からモルタ
ルを塗着したので、モルタルを支持するための部
材の設置が容易に行える。しかも、シート材は、
その表面をざらつき面に形成したので、モルタル
の付着を確実に行うことができる。従つて、他に
モルタルを付着させるための部材を必要とせず、
部材点数の削減とともに工数の削減が可能にな
り、施工性を向上させることができるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の部分断面図、第
２図はそのシート材の断面図である。 １……基礎、２……パネル支持具、３……シー
ト材、３ｂ……粘着剤、４……モルタル、５……
壁パネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基礎上面に設置され壁パネルを支持したパネル
   支持具と、表面をざらつき面に形成し裏面に付着
   した粘着剤により前記パネル支持具から前記基礎
   にかけて貼着されたシート材と、このシート材の
   上から前記パネル支持具および基礎の外面に塗着
   したモルタルとを備えた基礎の仕上げ構造。