JPS625443Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は複合断熱パネルに関し、内装材、断
熱材、桟木等を一体化して、壁面、床、天井など
に対する断熱施工が至極簡単に行なえるものを得
ようとしている。

従来、コンクリート建築物における内装および
断熱施工としては、予め型枠を使用してコンクリ
ートを打設形成して壁体等の基礎構造に対して、
桟木を適宜間隔で取付け、これに断熱ボードを釘
打ち、ボルト締め等にて貼着し、さらにその上に
別な桟木を介するか、または直接に内装材を貼着
する工法が採用されていた。しかし、上記施工方
法では、桟木、断熱材、内装材の取付け作業ごと
に非常な手間および施工コストがかかると共に、
コンクリート壁体と断熱材などの間に隙間があ
き、この隙間に結露を生じる欠点があつた。

そこで、この考案においては予め断熱材、桟木
および内装材が一体化された複合断熱パネルであ
つて、しかもコンクリート打設時の内枠としても
使用できるものを提供するものであり、その構成
としては、板状の断熱材の片面には側端部を含む
適宜個所に断熱材厚み以下の桟木を埋設し、さら
に断熱材の桟木埋設面の裏面に内装材を接合して
なる複合断熱パネルであつて、少なくとも一部の
桟木におけるコンクリート打設面側にはコンクリ
ート内への埋込金具取付用ネジ孔を形成し、パネ
ル側端の桟木にはダボ孔を形成してなり、ピン状
のダボ継手を用いて順次断熱パネルを連結固定で
き、該パネルの裏面に直接コンクリートを打設可
能になすことを特徴としている。

次いでこの考案の実施態様について図を参照し
ながら以下に例示する。

複合断熱パネル１は全体が矩形の板状をなして
おり、１０が発泡ポリスチレン等の合成樹脂発泡
体からなる断熱材である。２０は断熱材１０の厚
みより薄く形成された桟木であり、断熱材１０の
片面で、断熱材１０の側端部を含む適宜個所に枠
組状態で断熱材厚みの途中まで埋設されている。
桟木２０の材質としては天然木のほか、合成樹脂
からなる合成木材、あるいは単なる合成樹脂棒材
などが使用でき、また桟木２０の枠組形状につい
ても、パネル全体の補強効果等を考慮して自由に
変更することができ。例えば断熱材１０の短辺側
端部の桟木２０が無いものなども実施可能であ
る。

次に３０は合板石膏ボード、石綿板、木毛板等
からなる内装材であり、断熱材１０の桟木２０の
埋設面の裏面側（第１図参照）に接合するもので
ある。断熱材１０と内装材３０の接合について
は、接着剤にて内装材３０を直接断熱材１０に貼
着する。

次にパネル１の側端部に位置する桟木２０のう
ち、隣接する二辺の桟木２０′には凹溝２３を、
上記二辺と対向する残りの二辺の側端部桟木２
０″には凸条２４を形成してあつて、上記凹溝２
３と凸条２４を本ざね継手として利用し、パネル
１相互の連結時には隣接するパネル１において対
向する凹溝２３と凸条２４とを嵌合して順次連結
していけるものである。

上記本ざね継手をパネル側端全周に設けておけ
ば、後述するコンクリートの打設時にコンクリー
トのノロがパネル１の継目から浸出するのを上記
凹溝および凸条２４の密着嵌合によつて防げ、施
工後の外観あるいは仕上り状態を良好なものにで
きる。

また、２１はダボ孔であり、パネル側端の桟木
２０の凹溝２３および凸条２４の中央に適宜個数
が形成してあり、パネル１同士の連結の際に、ピ
ン状のダボ継手Ｄをダボ孔２１に嵌入可能にな
し、前記本ざね継手と共にパネル１を順次継いで
固定していくものである。

なお、少なくとも一部の桟木２０におけるコン
クリート打設面側には上面にネジ孔２２を形成
し、ここにコンクリート内への埋込金具Ｂを螺合
可能にしてある。

上述の構成を有する複合断熱パネル１の取付施
工について説明すると、まずパネル１側端の桟木
２０に形成した各ダボ孔２１にピン状のダボ継手
Ｄを打ち込むか、あるいは単に挿入して接着剤に
て止定すると共に、前述の本ざね継手または合じ
やくり継手なども併用し順次パネル１，１同士を
連結して固定する。なおこの時ダボ継手Ｄは両端
へ向けてテーパー状に形成し、ダボ孔２１への嵌
入を行ない易くするのが好ましい。

こうして建築物の壁面等に相当するパネル面を
組立てた後、この複合断熱パネル１を内枠とし
て、予め形成された木製型枠等からなる外枠との
間にコンクリートを打設し、コンクリート壁面等
を形成すると同時に、複合断熱パネル１とコンク
リート構造Ｃとを一体に固着する。従つてコンク
リート構造Ｃの形成と同時に断熱施工および内装
施工も完了することになる。

なお複合断熱パネル１はコンクリート建築物の
壁面、天井あるいは床など種々の施工に採用でき
るものであり、各用途に従つてパネル１に接合す
る内装材３０の材質を変更すればよく、さらに施
工後に内装材３０の表面に別な表装材を貼着する
などの仕上げ工程を実施することも自由に行なえ
る。

上記のごとく構成されたこの考案の複合断熱パ
ネルによれば、断熱材と内装材および桟木が予め
一体化された複合パネルを使用することにより、
断熱施工および内装施工が同時に行なえると共
に、該パネルをコンクリート打設時の内枠として
も兼用できることによつて、工程の削減、工期の
短縮および工費の低減に大きく貢献できるもので
ある。

また上記した複合断熱パネルは予め工場生産に
て大量に均一な品質のものを製造しておけるた
め、従来のごとく断熱材等を現場施工することに
よる断熱材と内装材との接合不良や隙間の発生な
どの欠陥は生じず、特にコンクリート構造とパネ
ルとが一体に固着されるため、断熱材とコンクリ
ート構造との間には全く隙間が無くなり、従来問
題とされていた結露の心配は解消されることにな
る。

次にこの考案ではパネルの連結構造として、パ
ネル側端の桟木にダボ孔を形成し、このダボ孔に
ダボ継手を用いて順次パネル同士を連結固定して
行くものゆえ、連結作業は簡単でしかも強固に固
定でき、パネル同士の密着度も良好で、施工仕上
がり後にパネル相互に凹凸が生じることも無く、
外観上も良好となる。

またダボ孔の形成および埋込金具の取付や内装
材の接合に使用すると共にパネル全体の補強にも
なる桟木が断熱材の片面で厚みの途中まで埋設さ
れた状態であり、断熱材の表裏を貫通していない
ため、桟木部分にて断熱性や遮音性を損なうこと
が無く、パネルの全面で良好な断熱性を発揮でき
る。特に内装材と反対面のコンクリート構造との
接合側に桟木がくるようにし、桟木の上面にネジ
孔を形成し、ここにコンクリート内への埋込金具
を螺合可能にしてなるものゆえ、桟木に埋込金具
を取付けてコンクリート構造とパネルとの接合強
度を高めることができる。

従つて、コンクリート構造の建築物における断
熱施工および内装施工に対し、能率的でしかも性
能的にも優れた施工の行なえる複合断熱パネルを
提供できる実用的価値の高いものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施態様を例示するものであ
り、第１図は斜視図、第２図はパネル連結時の拡
大断面図、第３図はコンクリート打設後の施工断
面図である。 １……複合断熱パネル、１０……断熱材、２０
……桟木、２１……ダボ孔、２２……ネジ孔、２
３……凹溝、２４……凸条、３０……内装材、Ｂ
……埋設金具、Ｄ……ダボ継手、Ｃ……コンクリ
ート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 板状の断熱材の片面には側端部を含む適宜個
   所に断熱材厚み以下の桟木を埋設し、さらに断
   熱材の桟木埋設面の裏面に内装材を接合してな
   る複合断熱パネルであつて、少なくとも一部の
   桟木におけるコンクリート打設面側にはコンク
   リート内への埋込金具取付用ネジ孔を形成し、
   パネル側端の桟木にはダボ孔を形成してなり、
   ピン状のダボ継手を用いて順次断熱パネルを連
   結固定でき、該パネルの裏面に直接コンクリー
   トを打設可能になすことを特徴とする複合断熱
   パネル。 ２ パネル側端の桟木には、凹溝および突条から
   なる本ざね継手を設けてなり、該凹溝および凸
   条の中央にダボ孔を形成してなる上記実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の複合断熱パネル。