JPH0560476B2 - - Google Patents

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JPH0560476B2
JPH0560476B2 JP7828385A JP7828385A JPH0560476B2 JP H0560476 B2 JPH0560476 B2 JP H0560476B2 JP 7828385 A JP7828385 A JP 7828385A JP 7828385 A JP7828385 A JP 7828385A JP H0560476 B2 JPH0560476 B2 JP H0560476B2
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phospholipid
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chloroform
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JP7828385A
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Satoshi Shuto
Hiromichi Ito
Seishi Fukukawa
Hideo Sakakibara
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は新規リン脂質・ヌクレオシド誘導体に
関する。さらに詳しく言えば、本発明は下記一般
式〔〕 (ただし式中、R1およびR2は長鎖脂肪酸残基
を示し、Nsは5−フルオロウリジン−5′−イル
基を示す)で表されるリン脂質・ヌクレオシド誘
導体またはその塩に関する。 〔従来の技術〕 ヌクレオシド系抗腫瘍剤は、種々の型の腫瘍細
胞の化学療法に有用な薬剤として従来から広く臨
床に応用されてきた。しかしながら、化学療法剤
としての応用において、いくつかの問題点が指摘
されている。即ち、これらヌクレオシド系抗腫瘍
剤の作用機作として5′−リン酸化されて活性を発
現するものであり、また加リン酸分解、脱アミノ
化等の不活化を受け急速に不活性な物質に分解さ
れやすいこと、腫瘍細胞がこれら抗腫瘍剤に抵抗
性を有するようになること、急速に分裂しつつあ
る正常細胞に対しても毒性を表すことなど種々の
欠点があつた。リボヌクレオシドは、細胞内グリ
セロリン脂質の生合成や膜の構成に重要な役割を
演じていることから、ヌクレオシドを含むリボヌ
クレオシドが化学的に合成された、一方、前記ヌ
クレオシド系抗腫瘍剤の毒性等の欠点を改善する
目的でプロドラツグとして種々の化合物が化学的
に合成されてきた。このような経過から抗腫瘍作
用(細胞毒性)を有するリボヌクレオシドを合成
する試みがなされ、シトシンアラビノシド(ara
−C)を含むリボヌクレオシドが合成されて、あ
る程度の効果が認められていた〔Biochimica et
Biophysica Acta,616(1980)619−631,J.Med.
Chem.,1982,25,1322−1329〕。 〔発明が解決しようとする課題〕 上述したようなリボヌクレオシドは、化学的合
成法で合成されているがために、その合成には多
段階反応工程を必要とし、従つて収率も低くしか
も工程も煩雑であつた。また、そのためにリン脂
質・ヌクレオシド誘導体のヌクレオシド残基成分
としてシトシンアラビノシドの例しかなく、従つ
て抗腫瘍剤としての効果も、終局的にはシトシン
アラビノシド(ara−C:1−β−アラビノフラ
ノシルシトシン)としての効果しかなく、シトシ
ンアラビノシドに伴う毒性等の欠点は改善されな
かつた。 〔課題を解決するための手段〕 このような欠点を解決するための一手段として
は、シトシンアラビノシド以外のヌクレオシド化
合物を使用すればよいのであるが、それらのリン
脂質・ヌクレオシド誘導体を化学的に合成するに
は多段階の合成工程を必要とし、反応条件も設定
し難く、合成は実質上困難であつた。 本発明者らは、このような欠点を有する合成法
を改善し、新たなリン脂質・ヌクレオシド誘導体
を合成し、前記公知の抗腫瘍剤よりもすぐれた物
質を得ようとして研究を重ねた結果、グリセロリ
ン脂質と5−フルオロウリジンであるヌクレオシ
ドをホスホリポーゼDの存在下反応させることに
より、該ヌクレオシドの一級アルコール基とグリ
セロリン脂質とが簡便に反応して、一般式〔〕
で表される新規リン脂質・ヌクレオシド誘導体を
得たものである。 本発明は、上記の知見に基づいて完成されたも
ので、下記一般式〔〕 (ただし式中、R1,R2,Nsは前記と同じ基を
示す)で表されるリン脂質・ヌクレオシド誘導体
またはその塩である。 まず、本発明の一般式〔〕で表されるリン脂
質・ヌクレオシド誘導体を得るに用いられるグリ
セロリン脂質としては、例えば下記一般式〔〕
で表されるホスフアチジルコリン系グリセロリン
脂質が挙げられる。 (ただし式中、R1およびR2は前記と同じ基を
示し、R3はコリン残基を示す)。 さらに一般式〔〕で表されるホスフアチジル
コリン系グリセロリン脂質において、基R1,R2
は同一または異なつた長鎖脂肪酸残基を示すもの
であるが、例えば炭素数16〜20の長鎖脂肪酸残基
であり、詳細には、例えばパルミトイル、ステア
ロイル、ドデカノイルなどの炭素数16〜20の長鎖
飽和脂肪酸残基、パルミトオレオイル、オレオイ
ル、リノレオイル、リノレノイル、アラキドニル
などの1〜4つの不飽和結合を有する炭素数16〜
20の長鎖不飽和脂肪酸残基が挙げられ、具体的に
はR1およびR2がともにパルミトイル基で示され
るジパルミトイルホスフアチジルコリン、R1
よびR2がともにリノレオイル基で示されるジリ
ノレオイルホスフアチジルコリンなどの飽和また
は不飽和長鎖脂肪酸残基を有するホスフアチジル
コリンでもよく、さらにR1およびR2が炭素数16
〜20の長鎖脂肪酸の混合体であるラジール
(Radyl)基で示される天然のホスフアチジルコ
リンでもよい。またこれらのR1およびR2の基を
有するホスフアチジルコリンは、適宜炭素数16〜
20の脂肪酸を用いて合成して得たものでもよく、
市販のものを用いてもよい。 また、本発明に使用されるヌクレオシドとして
は、例えば、5−フルオロウリジン〔5−
Fluorouridine;5−Fluoro−1−β−D−
ribofuranosyl−2.4−(1H,3H)−pyrimidine
dione;以下FURと略す〕が挙げられる。 さらに一般式〔〕で表されるリン脂質・ヌク
レオシド誘導体を得るに当たつて、前記のグリセ
ロリン脂質とヌクレオシドとを、必要に応じて金
属イオンの存在下、ホスホリパーゼDを用いて溶
媒中で反応せしめて得られる。用いるホスホリパ
ーゼDとしては、例えばストレプトミセス属に属
するストレプトミセス・エス・ピー・AA586
(Streptomyces sp.AA586;FERM P−6100)
由来のホスホリパーゼD−P(特開昭58−152481
号公報、東洋醸造社製カタログ番号P−39)が好
ましい。またその使用量は、ホスフアチジルコリ
ン1mg当りのホスホリパーゼD0.01単位以上、好
ましくは1〜100単位である。さらに用いられる
溶媒としては、例えばエーテル、ベンゼンまたは
クロロホルムなどの有機溶媒とPH4〜9の緩衝液
の有機溶媒層−水層の二層系溶媒が挙げられる。
さらにまた金属イオン形式のための水溶性塩類と
しては、通常塩化カルシウムが用いられ、また反
応温度は通常30〜50℃で、反応時間は30分〜5時
間で充分である。このようにして得られたリン脂
質・ヌクレオシド誘導体は、分液法およびシリカ
ゲルクロマトグラフイーにより簡便に精製するこ
とができる。 以上述べたような本発明のリン脂質・ヌクレオ
シド誘導体の一段階工程合成法は、以下のように
示される。 このようにして得られたリン脂質・ヌクレオシ
ド誘導体は、リン脂質のリン酸基において用いた
ヌクレオシドの5′位における一級水酸基に基づい
て結合したものであつて、さらに本誘導体は、ナ
トリウム塩などの無毒性塩となすこともでき、一
般に注射用蒸留水に懸濁して投与することがで
き、例えば注射剤として15〜30mg/Kg、経口剤と
して30〜200mg/Kgを投与すればよい。 〔発明の効果〕 このようにして得られた本発明のリン脂質・ヌ
クレオシド誘導体は、元の原料として用いたヌク
レオシドと比較して、脂溶性が大きいため生体内
に長時間溜まり(従つて活性が持続することにな
る)、デアミネーシヨン、ホスホリレーシヨン、
還元等の不活性化を受けにくい、生体膜への親和
性が高まる、キナーゼの関与なしに抗腫瘍性ヌク
レオシドの5′−モノリン酸体が細胞内で生成す
る、等の利点があり、活性が持続、増強され、毒
性が低くなる。 本発明の新規リン脂質・ヌクレオシド誘導体
は、後に示すように生体内(in vivo)での著名
な抗腫瘍作用が認められる。また、更に、生体内
に発生した腫瘍が他の部位に転移するのを阻害す
る、抗転移効果も認められた。 本発明のリン脂質・ヌクレオシド誘導体につい
てP−388白血病(leukemia P−388
carcinoma)およびエールリツヒ腹水癌
(Ehrlich ascites carcinoma)に対する抗腫瘍活
性を調べた結果を以下示す。 <抗腫瘍作用> (1) 試料: 試験成績の表に示す。 (2) 動物: BDF1またはICRマウス、5〜5週令、雄、1
群5匹、対照群(非薬物投与群)7匹。 (3) 腫瘍細胞: P−388白血病細胞:1×106/0.2mlをBDF1
ウスの腹腔内に移植。 エールリツヒ腹水癌細胞:2×106/0.2mlを
ICRマウスの腹腔内に移植。 (4) 試料調製投与スケジユール: 各試料を超音波処理によりトリス塩酸緩衝化食
塩水に懸濁。マウス体重10g当り0.1mlを投与。
調製試料は遮光して4℃で保存。投与:P−388
白血病;腫瘍移植の翌日より1日1回、3〜5日
間投与。 エールリツヒ腹水癌;腫瘍移植後2日目(翌々
日)より1日1回2〜7日間投与。 試料投与量は試験成績表に示す。 (5) 延命率は以下により求めた。 延命率(ILS)(%)= 試料投与群の平均延命日数/対照群の平均生存日
数 ×100 観察期間:35日間(一部 30日間)、 最終日に生存していたマウスは延命
率に加えない。 対照群平均生存日数: P−388白血病移植群:7.57−7.79日 エールリツヒ腹水癌移植群:15.14−15.43日
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を挙げて本発明について
具体的に述べるが、本発明は何らこれらによつて
限定されるものではない。 実施例 1 5−フルオロウリジン(FUR)4.0gを、
100mM塩化カルシウム含有100mM酢酸緩衝液
(PH5.5)20mlに加え、45℃で20分間攪拌した。こ
れに、ホスホリパーゼD−P(ストレプトミセス
属由来、東洋醸造社製)10mg(比活性:160単
位/mg)およびジパルミトイルホスフアチジルコ
リン1.5gを30mlクロロホルム(Merck社製:液
体クロマトグラフイー用)溶液として加え、45℃
にて、3時間攪拌して反応せしめた。反応後反応
液を冷却した。この反応液にメタノール20mlを加
えて分液して有機層を回収し、残った水層にクロ
ロホルム30mlおよびメタノール15mlを加えて分液
した。有機層は合わせて、水20ml、メタノール20
mlを加えて分液し、ワツトマン1−PS濾紙にて
濾過した後減圧乾固した。残渣にクロロホルム:
エタノール(1:1)混液30mlを加えて再び減圧
乾固後、残渣を少量のクロロホルムに溶かし、フ
ラツシユカラム(Merck社製、シリカゲル
Art9385、直径4cm×15cm)にチヤージ、クロロ
ホルムから、クロロホルム:メタノール混液
(20:1),(7:1),(4:1),(3:1),
(2:1)の順にて展開溶出した。溶出液を減圧
乾固して白色粉末の下記構造式〔Ia〕で示される
化合物0.92g(収率50.5%)を得た。 (式中、R1およびR2はいずれもパルミトイル
基である)UV吸収スペクトルλmax:268nm(メ
タノール:クロロホルム=20:1中にて測定) FABマススペクトル:m/e915(M+Na)+ Rf値:0.37(クロロホルム:メタノール:水=
65:25:3を展開溶媒とし、Merck社製Art5715
プレートを使用しスポツトはUVランプおよモリ
ブデン青試薬により検出した。なお、以下Rf値
の測定は同一条件にて行つたものである。) また本化合物の抗腫瘍活性は前記した通りであ
り、さらにその150mg/Kgの投与量(腹腔内投与)
における急性毒性は認められなかつた。 実施例 2 実施例1におけるジパルミトイルホスフアチジ
ルコリンの代わりにジリノレオイルホスフアチジ
ルコリン1.5gを用い、以下実施例1と同様に行
つて、下記構造式〔Ic〕で示される化合物1.09g
を得た。 (ただし式中、R1およびR2はいずれもリノレ
オイル基を示す)UV吸収スペクトルλmax:
268nm(メタノール:クロロホルム=20:1) FABマススペクトル:/e963(M+Na)+ Rf値:0.37 また本化合物の抗腫瘍活性は、腫瘍細胞P−
388白血病に対してILS100.8%(15mg/Kg、5回
投与)で良好な活性を示し、さらに75mg/Kg投与
量において急性毒性は認められなかつた。 実施例 3 FUR4.0gを、100mM塩化カルシウム含有の
100mM酢酸緩衝液(PH5.6)20mlに加え、45℃に
て20分間攪拌した後ホスホリパーゼD−P(スト
レプトミセス属由来、東洋醸造社製)10mgおよび
ホスフアチジルコリン(卵黄レシチン)1.5gを
30mlのクロロホルム)Merck社製:液体クロマ
トグラフイー用)溶液として加えた。次いで、45
℃、3時間攪拌反応せしめた後冷却した。反応
後、以下実施例1と同様にして分液し、シリカゲ
ルクロマトグラフイーを行つて、下記構造式
〔Id〕で示される化合物1.11gを得た。 (ただし式中、R1およびR2はいずれもラジー
ル基を示す) さらに本化合物のUV吸収スペクトルλmaxは
268nm(メタノール:クロロホルム=20:1)、 Rf値は0.37であり、その抗腫瘍活性は腫瘍細胞
P−388白血病に対してILS98.3%を示し、さらに
150mg/Kg投与量において急性毒性は認められな
かつた。 実施例 4 実施例1において、ジパイトイルホスフアチジ
ルコリンの代わりにジステアロイルホスフアチジ
ルコリンを用いて、以下実施例1と同様に行つて
目的物である一般式〔〕で表されるリン脂質・
ヌクレオシド誘導体を得た。これは有用な抗腫瘍
活性を示すものであつた。また、第5表に示した
いずれの化合物も150mg/Kgをマウス腹腔内に投
与したが、急性毒性は認められなかつた。
【表】 さらに以下に、実施例1におけるリン脂質・ヌ
クレオシドの代わりに下記化合物を用いることに
より、実施例1と同様にして製造されるリン脂
質・ヌクレオシド誘導体を挙げる。
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記一般式 〔〕 (ただし式中、R1およびR2は長鎖脂肪酸残基
    を示し、Nsは5−フルオロウリジン−5′−イル
    基を示す)で表されるリン脂質・ヌクレオシド誘
    導体またはその塩。 2 一般式〔〕において、R1およびR2がパル
    ミトイル基、Nsが5−フルオロウリジン−5′−
    イル基である特許請求の範囲第1項記載のリン脂
    質・ヌクレオシド誘導体またはその塩。
JP7828385A 1985-04-15 1985-04-15 新規リン脂質・ヌクレオシド誘導体 Granted JPS61236793A (ja)

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