JPH0558956U - 転がり軸受 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸受の構造自体を複雑にすることなく、保守
・点検も容易でまた歯車ケ−ス内に貯留される潤滑油を
軸受の潤滑にも利用することの出来る転がり軸受を提供
すること。 【構成】 転がり軸受における保持器５の外側の両端部
若しくは片側端部に、外輪１の内周面若しくは内輪２の
外周面に摺接する舌状切片５ａ、５ｂ等を形成すると共
に、外側端面の両側５ｅ及び５ｆ若しくは片側には周方
向一定間隔に磁石６が埋設されていることを特徴とする
転がり軸受。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば自動車のトランスミッションやデファレンシャルギヤ機構 等で用いられる軸受に関し、より詳しくは潤滑油槽を設けた歯車ケ−ス内に保持 される動力伝達用の歯車等を支持する円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、玉軸受等の 転がり軸受に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のトランスミッションやデファレンシャルギヤ機構では歯車を嵌着した 駆動軸や被駆動軸が軸受を介して支承され、内燃機関からの動力を減速して伝達 したり回転駆動方向を変換している。このような動力伝達機構は歯車ケ−ス内に 配置されるが、該ケ−ス内にはこれら歯車或いは軸受を潤滑するための潤滑油を 入れて潤滑油貯留槽が形成されるようにしてある。例えば図７に示す如く歯車ケ −ス３０内に歯車３１、３２及び３３、３４等を嵌着した駆動軸５０や被駆動軸 ６０等が配置され、これらの駆動軸や被駆動軸は軸受３５、３６、３７、３８で 支承される構造になっている。そして該歯車ケ−ス３０内下部には潤滑油貯留槽 ３９が形成され前記歯車３１等の一部により潤滑油を跳ねかけ歯車全体を潤滑す る。 上記歯車ケ−ス３０内の潤滑油には歯車の噛合或いは機械加工や研磨加工の際 の微小粉塵を含有していることが多い。このような固い異物を含む汚れ油中で使 用されざるを得ない軸受は、そうした異物によりころがり面に圧痕を生じ、その 圧痕を起点としたクラックが表面起点剥離に至り、軸受の初期の寿命を全う出来 ない場合がある。 従来の軸受等の潤滑方法としては歯車と同時に前記軸受３５等も潤滑するよう なオ−プン形式のものもあったが、異物の侵入を防止出来ないためフィルタ付密 封軸受とすることが提案されていた。しかしフィルタにより微小粉塵を濾過する だけでは目詰まりを生じ結局焼付の原因となり効果に限界があった。そこで軸受 自体を密封シ−ルし軸受内部は歯車用潤滑油よりも粘度の大きい潤滑油やグリ− ス等で別個に潤滑するような構造のものが提案され、効果があることが知られて いる（特開昭５３−１０９０４９号）。また更に、上記する歯車ケ−ス内に配置 される駆動軸を支承する軸受内に極力異物を侵入させない構造の軸受として特開 昭５５−１０１４０号で開示されているものが知られている。その他ゴム製シ− ルやフェルト製シ−ルを軸受に装着する場合もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

潤滑油を貯留する歯車ケ−ス内に配置される軸受３５、３６等を潤滑する場合 、ゴム製シ−ルやフェルト製シ−ルを用いるのは潤滑油の侵入が困難となり焼付 の問題を生じる。また潤滑油内に含まれる異物の侵入防止を考慮して軸受内部を 別個の潤滑油で潤滑する構造のものは軸受構造が複雑になりコストアップは避け ることが出来ないし保守・点検も面倒となる。更に、潤滑油内の微小粉塵は歯車 により常に潤滑油と共に跳ね上げられ移動するため除去することは難しい。歯車 ケ−ス内に貯留される潤滑油自体をフィルタで除去するにしてもフィルタは目詰 まりを起こし易く保守・点検が面倒である。この考案はかかる課題に鑑みてなさ れたものであり、その目的とする所は軸受の構造自体を複雑にすることなく、保 守・点検も容易でまた歯車ケ−ス内に貯留される潤滑油を軸受の潤滑にも利用す ることの出来る転がり軸受を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

即ち、この考案は上記する課題を解決するために、転がり軸受が、外側の両 端部若しくは片側端部に、外輪の内周面若しくは内輪の外周面に摺接する舌状切 片を形成すると共に、外側端面の両側若しくは片側には周方向一定間隔に磁石が 埋設された保持器を有することを特徴とする。 或いは転がり軸受が、外側の両端部若しくは片側端部に、外輪の内周面若し くは内輪の外周面との間にラビリンス密封部を形成すると共に、外側端面の両側 若しくは片側には周方向一定間隔に磁石が埋設された保持器を有することを特徴 とする。

【０００５】

【作用】

この考案にかかる転がり軸受において、保持器を上記手段とした場合の作用に ついて添付図の符号を用いて説明する。 の手段によれば図１に示すように、保持器５を端部に舌状切片５ａ、５ｂを 形成したＴ型保持器とし、両端部上下方向には外輪１の内周面と内輪２及びリン グ３の外周面に摺接させれば比較的大きな異物の軌道面への侵入を防止すること が出来るし、外側端面５ｅに埋設した磁石６により鉄粉のような磁性体を付着さ せ微小異物の軌道面への侵入を防止することが出来る。 また、の手段では図５や図６に示すように、ラビリンス１１、１３部で異物 の侵入を防止することが出来ると共に該磁石６により微小粉塵等の軌道面への侵 入を防止することが出来る。

【０００６】

【実施例】

以下、この考案の具体的実施例について図面を参照して説明する。 図１はこの考案にかかる円筒ころ軸受の軸方向断面図の一部であり、図２は図 １のＰ矢視図である。 この実施例では円筒ころ軸受は両端部に鍔部１Ｆ、１Ｆを形成した外輪１と、 片側端部に鍔部２Ｆを形成した内輪２と、別体のリング３と、ころ４と、該ころ ４を保持するＴ型の保持器５とより構成されている。リング３と内輪２とは図示 しない適宜手段にて結合されても良い。前記Ｔ型の保持器５の両端部には前記外 輪１の内周面と内輪２及びリング３の外周面に摺接するよう舌状切片５ａ、５ｂ 、５ｃ、５ｄが形成されている。この実施例の軸受はＮＵＰ型円筒ころ軸受であ るが、勿論Ｎ型円筒ころ軸受或いはＮＵ型円筒ころ軸受でも用いることが出来る 。 次に、前記保持器５の両側の外側端面５ｅ、５ｆには一定間隔で磁石６が埋設 されている。但し、前記磁石６は一定間隔でなく不規則な所定の間隔で埋設して も良い。前記磁石６を埋設する面は保持器５の両側面ではなく片側面、特に潤滑 油の侵入する側の面のみとしても良い。前記保持器５は合成樹脂にて成形され、 舌状切片５ａ、５ｂを一体成形かつ磁石６をモ−ルドにて一体に埋設している。

【０００７】 上記するように保持器５をＴ型の保持器とし、両端部上下方向には外輪１の内 周面１ａと内輪２の外周面２ａ及びリング３の外周面３ａに周接するよう舌状切 片５ａ、５ｂ等を形成すれば比較的大きな異物の軌道面への侵入を防止すること が出来るし、外側端面５ｅに埋設した磁石６により鉄粉のような磁性体を付着さ せ微小異物の軌道面への侵入を防止することが出来る。なお、前記舌状切片は保 持器３の端面の上下いずれかの片側にのみ形成し、反対側には微小スキマを形成 するようにしても良い。

【０００８】 次に、図３は前記軸受の変形実施例（形状は異なるが符号は共通して用いる） であって軸方向断面図である。即ち、保持器５は、一方を外輪内周面及び内輪内 周面に接する舌状切片５ａ、５ｂとし、他方の片側にスキマ７を形成すると共に 外側面５ｅ及び５ｆの円周方向に一定間隔で磁石６を埋設させた構造としても良 い。勿論、該磁石６は片側（例えば５ｅ側）にのみ埋設させても良い。

【０００９】 図４は円すいころ軸受に適用した場合の別の変形実施例である。即ち、保持器 ５の片側には外輪１の軌道面１ｇと摺接する舌状切片５ａを形成すると共に内輪 ２の外周面とは所定のスキマ７（０〜０．０５ｍｍ）を形成し、更に該片側の周 方向一定間隔に磁石６を埋設する構造とするＴ型の保持器とするものである。こ の場合も比較的大きな異物の侵入を防止すると共に磁石６により微小粉塵を付着 させ軌道面への異物の侵入を防止することが出来る。

【００１０】 この考案にかかる転がり軸受は、主として歯車ケ−ス内の潤滑油槽にある潤滑 油を歯車等で跳ね上げて歯車等と共に軸受をも潤滑する該潤滑油中の微小粉塵が 軸受軌道面へ侵入するのを防止するためのものである。しかし微小粉塵等の異物 が軌道面に侵入する可能性のある他の軸受でも使用することが可能である。 図５は外輪と保持器との間、或いは内輪と保持器との間をラビリンス構造とし た場合の実施例である。この図に示すように外輪１と保持器５との間をラビリン ス１１、１３とし、或いは内輪２と保持器５との間をラビリンス１２、１４とし た場合の該保持器５両側端面５ｅ、５ｆに磁石６を周方向一定間隔で埋設すれば 前記ラビリンス１１等で異物の侵入を防止することが出来ると共に該磁石６によ り微小粉塵等の軌道面への侵入を防止することが出来る。 図６は玉軸受の外輪１と保持器５との間及び内輪２と保持器５との間をそれぞ れラビリンス構造とした場合の実施例である。この実施例でも保持器５の両外側 端面５ｅ、５ｆに磁石６を周方向一定間隔で埋設すればラビリンス１１、１３等 で異物の侵入を防止することが出来ると共に該磁石６により微小粉塵等の軌道面 への侵入を防止することが出来る。なお、上記したように各実施例では保持器５ を合成樹脂にて成形し、磁石６を一体にモ−ルド成形にて埋設したものであるが 、この場合保持器は合成樹脂に限定するものではない。

【００１１】

【考案の効果】

この考案にかかる転がり軸受は以上詳述したような構成としたので、潤滑油中 に固い異物を含む汚れ油中で使用することが出来るだけでなく、かかる固い異物 の侵入を防止することが出来る。こうして歯車等を潤滑する油で同時に軸受をも 潤滑することが出来かつ軸受寿命も向上させることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案にかかる円筒転がり軸受の軸方向断面
図の一部である。

【図２】図１のＰ矢視図である。

【図３】この考案にかかる円筒転がり軸受の変形実施例
の軸方向断面図である。

【図４】この考案にかかるころ円すいころ軸受の実施例
の軸方向断面図である。

【図５】この考案にかかる円すいころ軸受の別実施例の
軸方向断面図である。

【図６】この考案にかかる玉軸受の実施例の軸方向断面
図である。

【図７】自動車のトランスミッション等のギヤケ−ス内
の動力伝達機構を示す断面概略図である。

【符号の説明】

１ 外輪 ２ 内輪 ３ リング
４ ころ ５ 保持器 ５ａ、５ｂ、５ｃ、５ｄ 保持器の
舌状切片 ５ｅ、５ｆ 保持器の外側端面 ６ 磁石

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外輪と、内輪と、内、外輪間に介装され
   保持器にて保持された転動体とを有する転がり軸受にお
   いて、前記保持器の外側の両端部若しくは片側端部に、
   外輪の内周面若しくは内輪の外周面に摺接する舌状切片
   を形成すると共に、外側端面の両側若しくは片側には周
   方向一定間隔に磁石が埋設されていることを特徴とする
   転がり軸受。
2. 【請求項２】 外輪と、内輪と、内、外輪間に介装され
   保持器にて保持された転動体とを有する転がり軸受にお
   いて、前記保持器の外側の両端部若しくは片側端部に、
   外輪の内周面若しくは内輪の外周面との間にラビリンス
   密封部を形成すると共に、外側端面の両側若しくは片側
   には周方向一定間隔に磁石が埋設されていることを特徴
   とする転がり軸受。