JPH0557049B2 - - Google Patents

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JPH0557049B2
JPH0557049B2 JP1095934A JP9593489A JPH0557049B2 JP H0557049 B2 JPH0557049 B2 JP H0557049B2 JP 1095934 A JP1095934 A JP 1095934A JP 9593489 A JP9593489 A JP 9593489A JP H0557049 B2 JPH0557049 B2 JP H0557049B2
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Masayasu Kojima
Chihiro Hayashi
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D53/00Making other particular articles
    • B21D53/16Making other particular articles rings, e.g. barrel hoops
    • B21D53/18Making other particular articles rings, e.g. barrel hoops of hollow or C-shaped cross-section, e.g. for curtains, for eyelets
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G1/00Driving-belts
    • F16G1/21Driving-belts built-up from superimposed layers, e.g. zig-zag folded
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
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  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は積層金属ベルトの製造方法に関するも
のであり、更に詳しくは、積層金属薄板を素材と
して、駆動側プーリと被動側プーリに掛け渡して
動力を伝達するために用いられる積層金属ベルト
を製造する方法に関するものである。
〔従来の技術〕
第20図はリング状積層金属ベルト1の使用態
様を示す模式図であり、単に動力を伝達するのみ
でなく、リング状積層金属ベルト1を巻き掛けて
いるプーリ2,3の半径r,Rを調整できる構造
とすることによつて、プーリ2の回転数を一定に
維持しつつベルトの走行速度を自在に調整できる
無段変速機にも使用されるようになつている。
プーリ2,3に巻き掛けられたリング状積層金
属ベルト1には所定の半径r,Rに曲げられてい
る部分と、プーリ2,3の間で真直ぐに張られて
いる部分とが形成され、プーリの回転により、ベ
ルトには繰り返し曲げ、曲げ戻し変形が加えられ
る。従つてベルトは曲げに対して柔軟であると共
に、動力を伝達するための引張りに対して必要十
分なる強度を備える必要がある。この種のベルト
の材質としては従来各種のものが提案されてお
り、例えば維持で補強されたゴム、強固に編まれ
た繊維、皮革等広く使用されてきた。
しかしこれら非金属材質のベルトは柔軟性に富
み、繰り返し曲げ、曲げ戻し変形には十分追随で
きるが、単位断面積当たりの引張り強度に限界が
ある。従つて大動力を伝達する場合にはベルトの
幅を広くし、また多条掛けする等の対策を余儀な
くされているが、プーリ及びベルト走行部分に大
きな空間を要し、またプーリ自体の重量が増すと
いう問題があり、設置空間が狭く、軽量性,耐破
断性に対して高度の信頼性が要求される用途、例
えば自動車の無段変速機の如き等には非金属材質
のベルトは使用できず、高強度の金属製ベルトを
採用せざるを得ない。もちろん、この場合にも繰
り返し曲げ、曲げ戻しによる疲労破壊を生じない
ような構造と材質が必要である。
金属製のベルトは通常周長が僅かづつ異なる複
数のリング単体を内,外に嵌合させて積層状態と
して使用される。内,外に隣り合うリング単体相
互の嵌め合いは、繰り返し曲げ、曲げ戻し変形の
過程でリング単体間に滑りを生じさせて個々のリ
ング単体に過大な引張り、圧縮応力が生じないよ
うに周方向に適度の摩擦抵抗で相対滑りを生じ得
るように調整されている。なお複数のリング単体
を積層して使用するのは、張力を付与して使用さ
れるベルトの引張り破断を防止するべくベルト全
体の断面積を確保するためである。曲げ、曲げ戻
しに伴う引張り力、圧縮応力は各リング単体の厚
みが薄いほど小さくなり、曲げ、曲げ戻し疲労破
壊が生じにくくなる。したがつてそれ程高強度の
材料を使用する必要がなくなる。ところがリング
単体の厚さを薄くするのは製造コストが上昇する
ので、現状の金属ベルトのリング単体の厚さ0.2
mm前後に設定されている。この板厚では疲労強度
の点からマルエージ鋼が必要とされ、しかも時効
等による硬化熱処理さらには窒化等による表面硬
化熱処理が施されるのが通例である。
ところで従来のリング状積層金属ベルトの製造
は、板材を素材とする方法と、継目無管を素材と
する方法に大別される。
前者は、例えば特開昭57−161335号、特開昭58
−159937号に示されているように積層ベルトを構
成する単体リング一本分の厚さ,幅,長さを有す
る帯状板材の端部同士を突き合わせ溶接してリン
グ状となし、溶接部とそれ以外の部位の強度を均
一化するための熱処理を施した後、リングロール
圧延加工で所定の厚みと周長に仕上げ、熱処理で
硬化させてリングを形成し、形成した複数のリン
グを内,外に多重に嵌め合わせて積層ベルトとす
る方法である。
一方後者は所定の肉厚,外径を有する継目無管
をリング単体一本分に相当する幅で輪切りし、要
すれば焼鈍を行つた後にリングロール圧延加工で
所定の厚み,周長に仕上げ、熱処理で硬化させた
ものを同様にして内,外に多重に嵌め合わせて積
層ベルトとする方法である。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで1セツトの積層ベルトを構成する複数
のリング単体は内,外に多重に嵌め合わせるため
に一本毎にその周長が異なるように製造するが、
前述したように隣り合うリング同士には適度の摩
擦抵抗で相対滑りの生ずるよう微妙な嵌め合いを
周方向全長にわたつて維持する必要があり、この
ような嵌め合いをリングロール圧延加工での肉
厚,周長調整のみで得ることは多大の労力を要
し、生産性が著しく損なわれてしまう。リング単
体の厚さが薄いほど、周長調整のための肉厚圧下
調整が微妙になり、膨大な工数を必要とするばか
りでなく、良品歩留が大きく低下してしまう。
この対策として複数のリング単体を組み合わせ
て1セツトの積層ベルトとなした後に隣り合うリ
ング同士を適度に密着させるべく、周方向のエキ
スパンド加工を行う方法が提案されている。例え
ば特開昭56−30041号,特開昭56−84139号に示さ
れている分割工具による方法、或いは特開昭57−
163750号に示されている芯金の熱膨張による方法
等である。
しかしこれらの方法によつても1/100mm単位の
微妙な寸法調整を完全に行うことは難しい。そこ
で、例えば特開昭58−118351号に記載されている
ように、一旦リング単体同士を密着させた状態の
ベルトを製作し、これを分解して化学研磨を行
い、適度の嵌め合いが得られるように減肉させた
後に再度組み合わせるという方法も考案されてい
る。しかしいずれの寸法によつても、隣り合うリ
ング単体同士の嵌め合い調整に多大の労力を要す
るという問題があつた。
本発明は以上の如き問題点に鑑み、リング同士
の嵌め合い調整を大幅に簡略化、或いは省略する
ことが可能な積層金属ベルトの製造方法を提供す
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係る積層金属ベルトはリング単体の厚
さ以上の厚さを有する金属薄板を樹脂で接着積層
した積層素体を、胴部の内,外径が製品ベルトの
内,外径と夫々一致する円筒形状の積層成形体に
成形する工程と、次いで当該積層成形体の胴部を
前記リング単体の幅で輪切りして積層リングを得
る工程と、該積層リングの接着樹脂層を除去する
工程とを含む。
〔作用〕
本発明はこれによつて樹脂層の厚さをベルト単
体相互の間の間隙に設定することが出来、しかも
1セツト分の積層ベルトを構成するに必要なベル
ト単体を同時的に得ることが可能となる。
〔実施例〕
次に、本発明をその実施例を示す図面に基づき
具体的に説明する。
第1図イは本発明方法によつて製造されるリン
グ状積層金属ベルトの模式的正面図、第1図ロは
部分拡大図、第1図ハは第1図イの横断面図であ
り、図中1はリング状積層金属ベルト(以下単に
積層ベルトという)、4は積層ベルトを構成する
リング単体を示している。積層ベルト1は複数の
リング単体4を内,外に多重に嵌め合わせて構成
されており、内,外に相隣する各リング単体4間
は適宜の摩擦抵抗のもとで相対滑りが生じ得るよ
うになつている。
第2図は本発明方法の主要工程を示す工程図で
あり、先ず複数の素板を相互の間に樹脂層を介在
させて多重に重合わせた状態に積層接着せしめて
積層素材(以下積層ブランクという)を製作する
工程Aと、この積層ブランクをプレス加工、或い
はスピニング加工等によつて積層成形体に成形す
る工程Bと、この積層成形体をバイト,ブレー
ド,レーザビーム,ワイヤソー等を用いて輪切り
にして接着積層リングを得る工程Cと、この接着
積層リングにおける接着樹脂を燃焼除去する工程
Dと、積層リング又はこれを構成するリング単体
に表面処理及び/又は手入れを行う工程E等を備
えている。
以下各工程について具体的に説明する。
積層ブランクの製作工程A 第3図は本発明方法に使用する積層ブランク1
1を示し、第3図イはその斜視図、第3図ロは同
じく部分拡大断面図である。積層ブランク11は
第3図ロに示すように複数の円板形をなす素板1
1aを相互の間に樹脂層11bを介在させて積層
接着して形成されている。素板11aは積層ベル
トと同一材質であり、枚数は1セツト分の積層ベ
ルト1のリング単体4の枚数と同一である。積層
素体11の直径DOは後述する絞り加工が可能な
大きさに選定され、また素板11aの板厚さtp
積層ベルト1を構成するリング単体4の板厚tよ
りも大きく、後述するしごき加工で板厚tに仕上
がるような厚さを選定する。
樹脂層11bを用いて素板11a同士の接着を
行う目的は二つある。
その一つは、後述するプレス加工、或いはスピ
ニング加工等による成形加工工程Bにおいて、積
層ブランク11を構成する複数の素板11aを一
体的に変形せしめ、破断,しわを抑制するためで
あり、他の一つはプレス加工、又はスピニング加
工後の積層成形体21において、隣り合う素板1
1aの間に薄い樹脂層11bを保ち、これを輪切
りして接着積層リングとし、これから樹脂層11
bを除去したとき、その厚さが隣り合うリング単
体4間の隙間となるようにするためである。
従つて樹脂層11bは、プレス加工の際に素板
11aが剥離しない接着強度と、素板11aの変
形に追随しうる延性を有している材料、例えばポ
リプロピレン樹脂等を用いる。樹脂自体の強度が
不足すると、後述するプレス加工等において[第
8図ハ参照]しわが生じ易く、且つしごき加工に
おいて樹脂層が薄くなり過ぎて、積層ベルト1の
隣り合うリング単体4間に適当な隙間を確保する
ことができなくなる。逆に強度が大き過ぎて延性
が乏しくなると、プレス加工、又はスピニング加
工での変形に耐えられず膜切れを生じることとな
る。樹脂層11bの強度は、一般に金属製の一対
の試料一端部を相互にオーバラツプさせた状態で
樹脂にて接着し、試料の他端部に夫々所定の引張
り力を付与し、樹脂相互の接着力が失われるまで
の最大引張り力を接着面積で除した剪断強度τで
評価される。
本発明者の実験によれば、τが150〜250Kgf/
cm2の樹脂を採択すれば良好な結果が得られること
が確認された。
樹脂層11bの厚さtPは、後述するプレス加
工、又はスピニング加工後に積層ベルト1の隣り
合うリング単体4間に要求される隙間が得られる
ように決定する。リング単体4間の隙間は5〜
20μmが適当とされており、本発明者の実験によ
れば、剪断強度τが150〜250Kgf/cm2の樹脂の場
合、厚さ、tPを20〜100μmにすることによつて上
記隙間が得られる。なお、厚さtPは積層ブランク
11のすべての樹脂層11bについて全て同一に
する必要はなく、積層ベルト1の状態で各リング
単体4間の隙間が適当となるように、積層ブラン
ク11の段階で樹脂層11b毎にその厚さtPを適
宜に変化させてもよい。
第4図イ,ロは本発明方法に用いる他の積層ブ
ランク11′,11″の部分拡大断面図であり、第
4図イは両外面に捨て板11c,11cを、また
第4図ロは片面に捨て板11cを夫々積層接着し
た構成としてある。他の構成は第3図ロに示すも
のと実質的に同じであり、対応する部分に同じ番
号を付して説明を省略する。
このような積層ブランク11の製造は次の如く
に行われる。
素板11aを樹脂接着する方法は二つに大別さ
れる。一つはコイル状の金属板を連続的に積層す
る方法、他の一つは所定枚数の金属板を樹脂層1
1bをはさんで積層し、同時的に接着する方法で
ある。
第5図は前者の例を示す。第5図イはその積層
接着態様を示しており、素板11aと同一材質,
同一板厚の金属コイル12,12を夫々加熱され
たヒートロール14,14で予熱し、コイル状の
接着性を有する熱可塑性の樹脂フイルム13をヒ
ートロール15,15で挟み込んで溶融状態で圧
着し、冷却して接着積層コイル16を得る。
第5図ロは接着積層コイル16の断面を示して
おり、このようにして得られた2層の積層接着コ
イル16を再度第5図イに示す金属コイル12,
12に代えて使用すると、第5図ハに示す4層の
接着積層コイル17が得られる。これを繰り返す
ことにより偶数枚の金属板が積層された接着積層
コイル17が得られる。奇数枚の金属板を積層接
着する場合は、2回目以降のいずれかの接着工程
で1回だけいずれかの金属コイル12として単層
の金属コイルを使用すればよい。このようにして
得られたn層の接着積層コイル17を、例えば打
抜き加工で第3図に示す如き積層ブランク11を
得る。
第6図に所定枚数の素板11aを同時に接着す
る後者の場合の積層接着方法の説明図であり、第
6図イは円板形をなす素板11aの片面に樹脂層
11bを付着形成してなる樹脂被覆板を積み重
ね、最上部に樹脂層11bを付していない素板1
1aを乗せる場合を、また第6図ロは素板11a
と樹脂フイルム19を交互に積層する場合であり
夫々この状態で加熱しつつ素板11aを相互に加
圧し、一体的に積層接着する。第6図イに示す樹
脂被覆板の製造は、単一の素板11aの片面に液
状の樹脂を塗布する方法と、第7図に示すよう
に、素板と同一材質,同一板厚の金属コイル12
をヒートロール14で予熱し、ヒートロール15
に巻き付けた金属コイル12の表面にコイル状の
接着性を有する熱可塑性の樹脂フイルム13をロ
ーラ15aで押しつけて溶融接着せしめ、冷却し
て片面樹脂被覆コイル19を製作し、これを例え
ば打抜き加工する方法等で作成する。第5,6,
7図はいずれも第3図ロに示す積層ブランク11
を対象とした積層接着方法であるが、第4図イ,
ロに示す如き捨て板11cを使用した積層ブラン
ク11の場合も同様して形成することが可能であ
る。
成形品の成形加工工程B 次に積層ブランク11を円筒側壁を有する積層
成形体に成形するために積層ブランク11に対す
るプレス加工及びスピニング加工について説明す
る。
a プレス加工 第8図はプレスによる深絞り加工の説明図であ
り、第8図イはプレス直前の状態を、また第8図
ロはポンチのストロークエンド直後の状態を示す
説明図である。先ず第8図イに示す如く積層ブラ
ンク11をダイス25の面25a上にのダイス穴
25bと同芯にセツトし、上方より板押え板26
を降下し、図示しない加圧装置によつて加圧挾持
した後、上方よりポンチ27を図示しない作動装
置によつて降下せしめ、ポンチ底面27aでダイ
ス穴25b直上の積層ブランク11を押圧し、ダ
イス面25aのダイス肩25c通してダイス穴2
5bに押し込む。板押え板26はフランジ21g
のしわを抑制するのが目的であり、破断が発生し
ない範囲で可及的に大きな圧力を付加する。積層
ブランク11を構成する素板11aの厚みが小さ
いほどフランジしわが発生し易く、破断限界まで
押え力を増加させてもフランジしわを消し得ない
ことがある。第4図イの両外面に捨て板11cを
接着することの目的の1つがこのフランジしわの
防止であり、捨て板11cの厚みを素板11aの
厚さよりも大きくすることによつてしわが効果的
に抑制される。これは捨て板11cの剛性が素板
(ブランク)11aの挫屈に対して抵抗となるこ
とによる。
本発明者の実験によれば、ブランク11aの板
厚を0.1mm程度まで減少させても捨て板11cの
板厚を0.8mm程度にすることによつてフランジし
わを完全に防止できることが確認されている。前
述したようにブランク11aの薄肉化によつて疲
労耐久性が向上するので、従来と同様にマルエー
ジ鋼を使用すれば硬化熱処理の省略やさらにはよ
り強度が低い低価格の材料を使用することが可能
となる。第8図ロに示す如く円筒状の胴部21f
を有する積層成形体21を得た後、ポンチ27を
上昇させて積層成形体21をダイス25から抜き
とり、次いで板押え板26を上昇し、ノツクアウ
ト板28を図示しない作動装置で上昇せしめ、積
層成形体21をダイス穴25bから取り出す。ダ
イス肩25cの丸味半径rdは、この部位でしわを
防止するために小さい方がよいが、小さ過ぎると
第8図ニに示す如く周線部位で破断を生じ易くな
る。本発明者の実験によれば、第3図ロの積層ブ
ランクの場合はrd=5〜15tp(tp:加工金属板11
aの板厚)の範囲が適当であつた。ポンチ肩部2
7aの丸味半径rPは、積層成形体における胴部の
直線部分を長くするために小さい方がよいが、小
さ過ぎると破断が生ずるので、rP=5〜10tpとす
るのが望ましい。
なお、第4図イの積層ブランクの場合あるいは
第4図ロの積層ブランクでポンチ側に捨て板11
cを向けて深絞り加工する場合には、捨て板11
cが加工金属板11aのダイス肩25cでのしわ
発生を抑制するので、rdは上記の値よりも大きく
することも可能である。
第8図ロにおいて、積層成形体21にフランジ
21gを残すのには、3つの理由がる。
第1の理由はフランジ21gの外周エツジがダ
イス肩25cにさしかかつた段階で板押え板26
から開放されてフランジエツジにしわが発生する
ことを防ぐことである。
第2の理由はフランジ21gを完全に絞り込ん
だ場合に円筒状胴部21fの開口部近傍の剛性が
不足したり、断面が円形でなくなつたりすること
によつて後述する輪切り切断が困難とならないよ
うにすることである。
第3の理由は、前述したように、フランジ21
gを板押え板26で押さえることができるので、
ポンチ27の抜きとりが容易になることである。
もちろん、以上のような問題が発生しない場合
にはフランジ21gを完全に絞り込むまで深絞り
加工を続行し、材料歩留を向上させることができ
る。第9図イは積層成形体21の半截図、第9図
ロは第3図に示す積層素体を用いて得た成形品2
1の胴部21fの部分拡大断面図、第9図ハは第
4図イに示す積層素体を、更に第9図ニは第4図
ロに示す積層素体を夫々用いて得た積層成形体2
1の胴部21fの部分拡大断面図である。
なお、第9図ニ捨て板11cを内面側に向けた
場合であるが外面側に向けてもよいことは勿論で
ある。
ところで、このような深絞り加工においては、
ダイス面25上の材料は、ダイス肩25c通過し
て移動する際に曲げ、曲げ戻し変形を受ける。こ
れによつて第9図イに示す積層成形体21の各胴
部21fにおける金属には厚み方向に不均一な残
留応力が形成される。この結果、後述に積層成形
体21の胴部21fを輪切りに切断して得られる
積層リング41にはその幅方向の中間部が内側
に、また両側エツジ側が外側に曲がる、所謂“反
り”が発生する。これを防止するために第8図に
示す深絞り加工の際に、ポンチ側壁とダイス25
の内壁との間で積層成形体21の肉厚を減少させ
るしごきを付加したしごき深絞りを実施する。こ
のしごきは反りの防止の他に積層成形体21の胴
部21f直径,肉厚を深さ方向に均一化する効果
もある。勿論しごきは必ずしも深絞り加工と同時
的に行う必要はなく、深絞りを行つた後に行つて
もよい。
第10図はしごき工程の説明図であり、第10
図イしごき直前のまた第10図ロはしごき直後の
状態を示している。先ず第10図イに示す如く積
層成形体21をポンチ27に嵌め込み、加圧装置
によつて第10図ロに示す如きダイス29を通過
せしめてしごきを行う。
一般に、単一金属板からなるブランクをしごき
深絞りするには、深絞り加工としごき加工とを連
続させ、成形体の胴部にしごきを加えるにはブラ
ンクの最小板厚はポンチ−ダイスのクリアランス
Cの1.0〜1.05倍としているが、複数の金属板を
接着した積層ブランクの場合には、金属よりも軟
質の接着樹脂層が存在するため、積層ブランク1
1厚Tp,Tp′,Tp″(第3図、第4図イ,ロ参照)
をポンチ27−ダイス29のクリアランスCの
1.0〜1.05倍にしてもしごきは有効に加えられな
い。本発明者の実験によれば、第10図に示す胴
部21fにおける金属層の厚みを容器深さ方向に
均一化し、しかも切断後の反りを防止するには、
積層成形体21の胴部21fにおける金属層の厚
さと樹脂層厚さとの合計厚さから、樹脂層厚さを
差し引いた金属層の合計厚さTMをクリアランス
Cの1.0〜1.05倍以上にする必要がある。合計厚
さTMは、第3図ロに示す積層ブランク11の場
合にはntp(n:素板11aの枚数)第4図イ,ロ
に示す積層ブランク11の場合にはntpに夫々の
捨て板11c,11cの厚さを加えた値である。
第9図ロ,ハ,ニに示すプレス加工後の積層成
形体21の最も内側の金属層21aの内径,最も
外側の金属層21aの外径D2は夫々製品ベルト
の内径D1、外径D2に等しく、またポンチ27の
直径DD1は積層成形体21の胴部内径D1,D1′に
等しく、更にしごき深絞りの場合のダイス内径
Dd1(第8図ロ参照)、或いはしごきダイス内径
Dd2(第10図参照)は成形品胴部外径D2,D2
(第9図ロ,ハ,ニ参照)に等しくしてあること
は勿論である。
b スピニング加工 次にスピニング加工について第11図を用いて
説明する。
第11図イは積層ブランク11に対するスピニ
ング加工工程の説明図であり、積層ブランク11
の中央に透孔21eを穿ち、ここにホルダ36の
センタリングピン36aを貫通せしめて芯金35
のセンタ穴35aに嵌合せしめ、図示しない加工
装置によつて積層ブランク11を芯金35の端面
に押圧し、芯金35と共に積層ブランク11を回
転する。次いでホルダ37aに回転自在に保持し
たロール37を、その外周面と芯金35とのクリ
アランスCを保ちながら芯金35の軸心と平行に
移動せしめ、円筒形の容器状をなす積層成形体3
1を得る。なお、この工程においてもフランジ3
1gをのこしておくと積層成形体31を芯金35
から抜き取る際、容易に行い得る。スピニング加
工の場合も前記プレス加工における場合と同様に
積層成形体31の胴部31fにしごきを付加す
る。
スピニング加工においては必ずしも平板状の積
層ブランク11を素材とする必要はなく、第11
図ロに示すように深絞り加工後の積層成形体21
を芯金35に外嵌固定し、スピニング加工でしご
きを付加してもよい。
ところで第8図に示すプレス加工では、ダイス
25とポンチ27との摺動によつて積層成形体2
1の胴部21fの内外面には深さ方向の線状疵が
生ずることがあり、また第11図に示すスピニン
グ加工でも芯金35、ロール37と積層成形体3
1との間の潤滑が不十分な場合には焼き付きによ
る疵が生ずることがあり、いずれの場合も内外面
の金属層をそのまま積層ベルトの内、外のリング
単体4として使用する場合には疵の手入れが必要
となる。
しかし第4図イに示す両面に捨て板11cを貼
り付けた積層ブランク11又は第4図ロに示す片
面に捨て板11cを設けた積層ブランクを使用す
れば、積層ベルトの内,外両側又は内側のリング
単体4となる部分が保護されることとなる。
輪切り切断工程C 次にプレス加工、或いはスピニング加工で得ら
れた積層成形体21又は31の胴部21f又は3
1fを第12図のように輪切り切断し、接着積層
リング41を採取するが、その方法についてはバ
イト切断、回転ブレード切断、レーザ切断、ワー
ヤソー切断を行う場合について説明する。なお、
接着積層リング41の幅b′は後工程で端面仕上げ
をしない限り最終製品である積層ベルトの幅bと
同一でよい。
第13図イは積層成形体21を旋盤によるバイ
ト切断する態様を示す説明図、第13図ロは切断
部の部分拡大断面図であり、まず第13図イに示
す如く積層成形体21に管状の芯材45を圧入
し、当該芯材45をチヤツク46でつかんで回転
し、バイト47で突切り切断する。芯材45を使
用する目的は2つある。その一つは積層成形体2
1の胴部21fの金属層21aの厚み分が薄く剛
性が不足する場合に、金属層21fの一部が切断
時に第13図ニに示す如く変形するのを防止する
ためにである。他の一つは、次工程で樹脂層21
bの除去を加熱燃焼で行う場合に接着積層リング
41が変形するのを防止するためである。従つ
て、芯材45はこの加熱に耐え得る金属製のもの
が望ましい。
切断は第13図ロのように芯材45の厚さ方向
の中間にまでバイト47で切り込むことにより、
切断を次から次へと連続して実施することができ
る。勿論、バイト47を切断ピツチの間隔で必要
な本数だけ並べ、同時に多数の接着積層リング4
1を得ることも可能である。第13図ハは切断が
完了した状態を示す斜視図である。
なお、第4図イ,ロに示すように捨て板11c
を接着した積層ブランクを使用し、第9図ハ,ニ
に示すような積層成形体21′,21″とした場合
にはその胴部21fを切断する場合に、内側の捨
て板11cの成形体を第13図イにおいて芯材4
5の代わりに使用することができる。即ち、捨て
板11cの成形体の厚みを剛性を考慮して決定す
れば、第14図イに示すように積層成形体21を
回転自在の芯押し治具48でチヤツク49に押し
つけ、チヤツク49を回転させてバイト47で切
断することができる。この場合も第14図ロに示
すように捨て板11の成形体41cを中間部分迄
切り込み、第13図ハに示すのと同様の切断半成
品が得られる。
第15図は回転ブレードによる切断態様を示す
模式図、第15図イは砥石ブレード51による切
断の場合を、第15図ロは内,外回転刃52,5
3による切断の場合を示している。第15図イに
おいては、第13図イと同様に積層成形体21に
芯材45が圧入され、チヤツク46で回転させた
ところに砥石ブレード51を回転させながら切り
込む方法である。砥石ブレード51の切り込みは
第13図ロと同様に芯材45の途中まで実施す
る。なお、この場合も捨て板11cを有する積層
ブランク11を使用すれば、芯材45の省略が可
能である。
第15図ロでは積層成形体21を芯押し治具4
8でチヤツク49に押しつけ、チヤツク49で回
転させた積層成形体21の内側,外側にセツトし
た内刃52、外刃53で積層成形体21又は31
の胴部21f又は31fをはさみ、これら回転刃
の間隙を徐々にせまくすることにより胴部肉厚方
向に切り込み切断分離する方法である。なお、チ
ヤツク49をアイドル回転とし、内刃52或いは
外刃53を回転駆動して切断を実施してもよい。
第16図イ,ロはレーザ切断の態様を示す模式
図である。第16図イにおいては積層成形体21
又は31をチヤツク46で固定して回転せしめ、
レーザガン55からのレーザ光線によつて胴部2
1f又は31fを溶断し、第13図ハのように接
着積層リング41が採取できる。
第16図ロは多数のリングを同時に切断する場
合を示す模式図である。積層成形体21に、表面
に溝56aを有する芯材56を嵌め込み、当該芯
材56をチヤツク46で掴持して回転させる。レ
ーザガン55は芯材56の各溝56aと対向させ
ておき、溶断で生じたノロが溝56aに溜まるよ
うにする。なお切断端面にノロが付着したり、平
滑でない場合には切断後各積層リング41の端面
を研磨すればよい。
第17図はワイヤソー切断の態様を示す模式図
であり、第17図イは切断の状況を示す斜視図で
あり、第17ロは切断終了時の部分拡大断面図で
あり、積層成形体21に圧入した管状の芯材45
をチヤツク46でつかんで回転させる一方、ノス
ル58に管58aを通して砥粒混合研削液を、積
層成形体21の軸心と直交する方向に所定のピツ
チで張つたワイヤ59にかけつつワイヤ59を走
行せしめ、積層成形体21を徐々に上昇させなが
ら切り込んでいく。第17ロは芯材45まで切り
込んだ状態を示し、この後ワイヤ59を抜きとつ
て切断が完了する。ワイヤソー切断の場合も、第
14図ロに示すように芯材45の代わりに捨て板
成形体を利用することが可能であることは言うま
でもない。
接着積層リングの接着樹脂除去工程D 次に接着積層金属リング41の接着樹脂層41
bを除去する方法について説明する。代表的な方
法は二つあり、一つは有機溶剤によつて樹脂層4
1bを溶解除去する方法、他の一つは加熱して樹
脂層41bを燃焼除去する方法である。溶解法は
接着積層リング41、又はリング単体或いは第1
3図ハに示す芯材45に嵌め合わせたままの切断
半成品、或いは第14図ロに示す捨て板成形体を
有する切断半成品を有機溶剤中に浸漬し、必要に
応じて加熱し、切断切口より徐々に樹脂層41b
を溶解し、第18図に示す如き積層リング61を
得る。当該積層リング61を構成する個々のリン
グ単体61a同士の間には除去した樹脂層41b
の厚みに等しい隙間が確保されており、第1図に
示す積層ベルト1の個々のリング単体4が周方向
に摩擦摺動し得る適度の嵌め合い代となる。
次に燃焼法について説明する。第13図ハに示
す芯材45に嵌合した状態の切断半成品、或いは
第14図ロに示す切断半成品を加熱し、樹脂層4
1b分を燃焼除去し、第18図に示す積層リング
51を得る。ただこの場合にはリング単体61a
の表面に樹脂の炭化物が付着しており、これは積
層リング61を分解し、研磨、或いは洗滌によつ
て除去する。なお、加熱燃焼の際の接着積層リン
グ41の変形は内径部が芯材45、或いは捨て板
成形品41cで支持されているので発生しない。
勿論、以上の加熱燃焼法は芯材45或いは捨て板
成形品41cがない接着積層リング41、また捨
て板成形品を使用していてもその剛性が小さく加
熱時の変形が防止できない場合には、例えば第1
9図のようにエキスパンド治具65を使用する。
第19図イはエキスパンド治具の使用状態を示す
模式図、第19図ロは第19図イのb−b線によ
る断面図を示している。エキスパンド治具65は
円周方向に分割されており、中心部に楔66を押
し込んで接着積層リング41に円周方向に適正な
張力を付加する構造としてあり接着積層リング4
1は円形を保つた状態に維持される。
リング単体の表面処理工程E 以上のようにして所定の数のリング単体61a
同士が適度の隙間で嵌合した積層リング61が得
られる。ところで、積層ベルト1は前述したよう
に張力が付加された状態で、繰り返しの曲げと曲
げ戻しが連続して加えられ、かつ個々のリング単
体4同士が摩擦摺動を受ける。従つて個々のリン
グ単体4はそれに耐え得る強度と表面硬度を有し
ている必要がある。曲げによる応力は当然リング
単体4の表面に近い部分ほど大きいから、その強
度、或いは硬度はリング単体の表面に近いところ
ほど高くなるように分布させることが望ましい。
表面近傍の強度、或いは硬度を増加する方法は
従来から知られている浸炭処理、窒化処理が適用
される。これらの表面硬化処理は予め素材である
金属コイル12の段階で済ませておくことが可能
である。この場合には積層リング61を製作した
後の表面硬化処理は不要である。
勿論、素材金属コイル12の段階では処理を行
わず、積層リング61を製作した後に実施しても
よい。なお、浸炭処理は、前述した接着樹脂層4
1bの加熱燃焼工程で、樹脂をカーボン源に利用
して同時に実施することも可能である。
表面硬化処理の他にリング単体61aの肉厚方
向全体の強度、或いは硬度を上昇させる熱処理も
必要に応じて実施する。この方法としては例えば
時効硬化処理が採用される。これは積層リング6
1を製作した後に実施してもよいが、前述した接
着樹脂層41bの加熱燃焼工程において同時に実
施することも可能である。
ところで、積層ベルト1の耐久性を向上させる
には、前述した如き強度、或いは硬度上昇のため
の熱処理の他に、リング単体61aの表面に周方
向に圧縮の残留応力を形成することも有効であ
り、この圧縮残留応力によつて、使用時の表面近
傍の引張応力のレベルを低下させる。圧縮残留応
力の形成方法の例としてはシヨツトブラストがあ
る。シヨツトブラストは表面に微細な凹凸模様を
形成するので、この凹凸部が潤滑油をキープし、
ベルト使用時のリング間摩擦による摩耗を抑制す
る効果が得られる。シヨツトブラストは積層リン
グ61を分解した状態で実施し、再度組立てれば
よい。
なお、残留応力付加が必要でなく、単に表面に
凹凸をつけるのみであれば、素板11aの段階で
シヨツトブラストを施してもよい。
次に本発明方法により10層のリング単体4を有
する積層ベルトの製造過程について夫々数値を掲
げて説明する。
なお最も内側のリング単体4の内径は216.9mm、
肉厚は0.184mm、巾は8.7mmとした。
〔数値例 1〕 板厚0.2mmのマルエージ鋼コイルを第5図イに
示す方法で厚さ30μmのポリプロピレン樹脂(剪
断強度τ=180Kgf/cm2)を用いて繰り返し接着
積層し、得られた10層の接着積層コイルより直径
320mmの積層ブランクを打抜き、更にその片面に
低炭素鋼製の直径320mm、板厚2.3mmの捨て板を、
同じく厚さ30μmのポリプロピレン樹脂で(τ=
180Kgf/cm2)を挟んでホツトプレスにて加熱圧
着した。次いで第8図に示す如くDP1=212.9,rP
=2mmのポンチとDd1=220.8,rd=5mmのダイス
を使用し、捨て板を内側に向けてしごき深絞り加
工を行い、第9図イに示す如き深さH1=80mmの
積層成形体を得た。この積層成形体における胴部
の捨て板成形体の厚さは2.0mm、10層の金属層の
厚さが0.182〜0.188mm、樹脂層の厚さは5〜13μm
であつた。次に第14図に示す方法でb′=8.7mm
の接着積層リング単体7本を残して、捨て板成形
体の肉厚途中まで切込み、切断半成品を500℃で
加熱して接着樹脂層を燃焼せしめた。得られた積
層リング61を分割してリング単体61aの表面
に付着した樹脂炭化物の残滓を研磨除去した後、
480℃3時間の時効処理を施し、更に500℃でイオ
ン窒化して表面硬度Hv850,肉厚中心部硬度
Hv550となし、酸洗して酸化被膜を除去し、シヨ
ツトブラストの後、積層状態に組み立てて積層ベ
ルト1とした。
〔数値例 2〕 板厚0.3mmのマルエージ鋼コイルの片面に第7
図に示す方法で厚さ50μmのポリプロピレン樹脂
(τ=180Kgf/cm2)を貼り付け、当該片面接着コ
イル19より直径340mmの素板11aを打ち抜き、
これを10枚重ね、更に最上部の円板の樹脂面上に
低炭素鋼製であつて直径340mm、板厚2.3mmの捨て
板を乗せホツトプレスで接着し、第8図に示す
DP1=213.3,rP=5mmのポンチ27と、Dd1
230.0,rd=5mmのダイス25を使用し、捨て板
を内側に向けて深絞り加工を行い、第10図に示
すDd2=226.0mmのダイス29を使用してしごき加
工を行い、第9図イに示す深さH1=120mmの積層
成形体21を得た。胴部における捨て板成形体の
厚さは1.8mm,10層の金属層21aの厚さは0.180
〜0.185mm樹脂層21bの厚さは7〜11μmであつ
た。この後、第15図イに示すマルチ砥石ブレー
ドでb′=8.7mmの間隔で捨て板成形体の肉厚途中
まで切り込み、切断半成品を130℃に加熱したテ
トラリン中に浸漬して接着樹脂層41b分を溶解
除去し、480℃3時間の時効処理の後、更に500℃
でイオン窒化して表面硬度Hv840,肉厚中心部硬
度Hv540となしたる後、積層リング61を分解し
てシヨツトブラスト処理を行い、再び積層状態に
組立てて積層ベルトとした。
〔数値例 3〕 板厚0.2mm、直径320mmのマルエージ鋼板10枚を
窒化処理して表面硬度Hv980,板厚中心部硬度
Hv350とした後、厚さ30μmのポリプロピレン樹
脂フイルム(τ=180Kgf/cm2)をはさんで積層
してホツトプレスで接着積層せしめ、第8図に示
すDP1=216.9,rP=2mmのポンチ27と、Dd1
φ220.8,rd=2mmのダイス25を使用してしごき
深絞り加工を行い、第9図イに示す深さH1=80
mmの積層成形体を得た。この積層成形体における
胴部の10層の金属層21aの厚さは0.183〜0.186
mm,樹脂層21bの厚さは8〜12μmであつた。
この後、第16図イに示す方法で幅9.0mmの接着
積層リング7本を1本ずつレーザ切断し、切断端
面を研磨して幅8.7mmに仕上げ、しかる後、第1
9図に示す治具65で内径部を支持し、500℃で
接着樹脂層41bを燃焼せしめると共に時効処理
を施して表面硬度Hv850,肉厚中心部硬度Hv530
となした後、積層リング61を分解してリング単
体61aの表面に付着した樹脂炭化物の残滓を研
磨除去し、シヨツトブラストの後、再度積層状態
に組立てて積層ベルトとした。
〔数値例 4〕 板厚0.3mm、直径340mmのマルエージ鋼板10枚を
窒化処理して表面硬度Hv790,肉厚中心部硬度
Hv520とした後、厚さ50μmのポリプロピレン樹
脂フイルム(τ=150Kgf/cm2)をはさんで積層
し、更に最上部,最下部に同上樹脂フイルムをは
さんで板厚2.0mm、板厚1.0mmの低炭素鋼製の直径
340mmの捨て板を置いてホツトプレスで加熱圧着
し、中心部に透孔を穿ち、第11図に示す方法で
板厚2.0mmの捨て板をDP1=215.3mmの芯金35に
対向させてスピニング加工し、第9図イに示す深
さH1=130mmの積層成形体を得た。胴部における
10層の金属層21aの厚さは0.181〜0.189mm、樹
脂層21bの厚さは6〜13μm、内,外の捨て板成形
体の厚さは夫々0.8mm,0.4mmであつた。この後、
第17図イに示す方法で直径0.2mmのワイヤを使
用し、b′=8.7mmの間隔の捨て板成形体胴部の肉
厚途中まで切り込み、切断半成品を500℃に加熱
して接着樹脂層41bを燃焼せしめ、得られた積
層リング61を分解してリング単体61aの表面
に付着した樹脂炭化物の残滓を研磨除去し、再度
積層状態に組立てて積層ベルトとした。
〔数値例 5〕 板厚0.4mmのマルエージ鋼板コイルを第5図イ
に示す方法で厚さ厚さ50μmのポリプロピレン樹
脂(τ=180Kgf/cm2)で接着積層し、得られた
10層の接着積層コイルから直径360mm積層ブラン
ク11を打ち抜き、第8図に示すDP1=216.9mm,
rP=4mmのポンチ27とDd1=φ224.0,rd=4mm
のダイス25を使用してしごき深絞りを行い、第
10図に示すDd2=φ220.8のダイス29を使用し
てしごき加工を行い、第9図イに示す深さH1
160mmの積層成形体21を得た。胴部における10
層の金属層21aの厚さは0.182〜0.185mm,樹脂
層21bの厚さは6〜10μmであつた。この後、
第16図ロに示す方法で幅9.0mmの接着積層リン
グ41を16本マルチレーザ切断し、切断端面を幅
8.7mmに仕上げ、第19図に示す治具で内径部を
支持し、真空炉で500℃で3時間加熱して接着樹
脂41bを燃焼し、その炭化物をカーボン源とし
てマルエージ鋼のリング表面に浸炭せしめ、同時
に時効処理も施した後、得られた積層リング61
を分解して樹脂炭化物の残滓を研磨除去し、再度
積層状態に組立てて積層ベルトとした。
〔数値例 6〕 板厚0.2mmのSUS304のコイルの片面に溶融状態
のポリプロピレン樹脂を連続的に塗布し、冷却し
て厚さ35μmの樹脂層(τ=180Kgf/cm2)を形成
し、該コイルより直径320mmの素板を打ち抜き、
このような素板9枚と樹脂被覆を施していない板
厚0.2mmのSUS304製の直径320mmの素板1枚を積
層し、ホツトプレスで加熱圧着して積層ブランク
となし、この積層ブランクを第8図に示すDP1
216.9mm,rP=2mmのポンチ27とDd1=222.5mm,
rd=2mmのダイス25を使用して絞り加工を行
い、続いて第11図に示す方法で外径220.8mmの
スピニング加工を施し、第9図イに示す深さH1
=80mmの積層成形体を得た。胴部における10層の
金属層21aの厚さは0.181〜0.187mm、樹脂層2
1bの厚さは8〜12μmであつた。この後、第1
5図ロに示す方法で、胴部を幅8.8mmの間隔で接
着積層リング7本を切り出し、端面にバリとりの
ための研磨を施して幅8.7mmに仕上げ、第19図
に示すエキスパンド治具65で内径部を支持し、
500℃で加熱して接着樹脂層41bを燃焼せしめ、
得られた積層リング61を分解してリング単体6
1aの表面に付着した樹脂炭化物の残滓を研磨除
去し、続いて500℃でイオン窒化処理して表面硬
度Hv1100,肉厚中心部硬度Hv300となした後、
再び積層状態に組立てて積層ベルトとした。
〔数値例 7〕 板厚0.2mm、直径340mmのSUS304製の素板10枚
を窒化処理して表面硬度Hv1000,板厚中心部硬
度Hv300となしたる後、厚さ40μmのポリプロピ
レン樹脂フイルム(τ=180Kgf/cm2)をはさん
で積層ね、さらに最上部に同樹脂フイルムをはさ
んで板厚2.3mm,直径340mmの低炭素鋼製の捨て板
を重ね、ホツトプレスで加熱圧着して積層ブラン
クとなし、該積層ブランクを第8図に示すDP1
φ212.7mm,rP=5mmのポンチ27とDd1=224.0
mm,rd=10mmのダイス25を使用してしごき深絞
り加工を行い、続いて第11図に示すDd2=220.8
mmのダイス29を使用してしごき加工を行い、第
9図イに示す深さH1=80mmの積層成形体を得た。
胴部における捨て板成形体の厚さは2.1mm,10層
の金属層21aの厚さは0.183〜0.188mm,樹脂層
21bの厚さ7〜12μmであつた。この後、第1
4図に示す方法でb′=8.7mmの間隔で捨て板成形
体の肉厚途中までバイトで切り込み、切断半成品
を500℃で加熱して接着樹脂層21bを燃焼せし
め、得られた積層リング61を分離してリング単
体61aの表面に付着した樹脂炭化物を研磨除去
した後、再び積層状態に組立てて積層ベルトとし
た。
〔数値例 8〕 数値例6と同一の方法で得られた積層成形体2
1の内径に外径217.0mm肉厚3mmの溶接鋼管製の
芯材を圧入し、第13図に示す方法で胴部をb′=
8.7mmの間隔で芯材45の肉厚途中までバイトで
切り込み、そのまま500℃で加熱して接着樹脂層
41bを燃焼せしめ、得られた積層リング61を
分解してリング単体61aの表面に付着した樹脂
炭化物の残滓を研磨除去し、続いて500℃でイオ
ン窒化処理を施して表面硬度Hv1000,肉厚中心
部硬度Hv300となした後、再び積層状態に組立て
て積層ベルトとした。
〔数値例 9〕 板厚さ0.1mm、380mm角、硬さHv=290のマルエ
ージ鋼板20枚を、厚さ30μmのポリプロピレン樹
脂フイルム(τ=180Kg/cm2)をはさんで積層し、
更に最上部、最下部に同一樹脂フイルムをはさん
で板厚0.8mmのSUS304ステンレス鋼板の捨て板を
置いてホツトプレスで加熱圧着し、これより直径
360mmの積層ブランク11を打ち抜き、第8図に
示すDP1=215.4mm,rP=4mmのポンチ27とDd1
=222.2mm,rd=4mmのダイス25を使用して深
絞りを行い、第9図イに示す深さH1=120mmの積
層成形体21を得た。胴部における20層の金属層
21aの厚さは0.08〜0.10mm,樹脂層21bの厚
さ7〜11μm、内,外の捨て板成形体の厚さは
夫々0.72mm,0.68mmであつた。この後、第16図
ロに示す方法で幅9.0mmの接着積層リング41を
12本マルチレーザ切断し、切断端面を幅8.7mmに
仕上げ、第19図に示す治具で内径部を支持し、
真空炉で500℃で3時間加熱して接着樹脂41b
を燃焼せしめた後、得られた積層リング61を分
解して樹脂炭化物の残滓を研磨除去し、再度積層
状態に組立てて積層ベルトとした。
〔数値例 10〕 板厚0.1mm、380mm角のSUS304ステンレス鋼板
20枚を窒化処理して表面硬度Hv950、板厚中心部
硬度Hv200となしたる後、厚さ30μmのポリプロ
ピレン樹脂フイルム(τ=180Kgf/cm2)をはさ
んで積層し、更に最上部、最下部に同一樹脂フイ
ルムをはさんで板厚0.8mmのSUS304ステンレス鋼
板の捨て板を置いてホツトプレスで加熱圧縮し、
これより直径360mmの積層ブランク11を打ち抜
き、数値例9と同一の金型で深絞り加工を行い、
第9図イに示す深さH1=120mmの積層成形体21
を得た。胴部における20層の金属層21aの厚さ
は0.09〜0.11mm,樹脂層21bの厚さは7〜
10μm、内,外の捨て板成形体の厚さは夫々0.70
mm,0.65mmであつた。この後、第14図に示す方
法でb′=8.7mmの間隔で内側捨て板成形体の肉厚
途中までバイトで切り込み、切断半成品を500℃
で加熱して接着樹脂層21bを燃焼せしめた後、
得られた積層リング61を分離してリング単体の
表面に付着した樹脂炭化物を研磨除去した後、再
び積層状態に組立てて積層ベルトとした。
〔効果〕
以上のように本発明の方法によれば、従来の積
層金属ベルトの製造における如き1本ずつのリン
グ単体の直径調整が全く不要であり、寸法精度に
優れた積層金属ベルトを能率的に製造でき、その
工業的価値が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図イは本発明方法により製造されるリング
状積層ベルトの模式的正面図、第1図ロはその部
分拡大図、第1図ハは第1図イの横断面図、第2
図は本発明方法の主要工程を示す工程図、第3図
イは積層ブランクの斜視図、第3図ロは同じく部
分拡大断面図、第4図イ,ロは積層ブランクの他
の例を示す部分拡大断面図、第5図イは積層コイ
ルの製造態様を示す模式図、第5図ロは二枚の金
属コイルを重ねた状態の部分拡大断面図、第5図
ハは4枚の金属コイルを重ねた状態を示す部分拡
大断面図、第6図イ,ロは積層ブランクの他の製
造態様を示す説明図、第7図は片面樹脂付着金属
コイルの製造態様を示す模式図、第8図イ,ロは
深絞り又はしごき深絞り加工の説明図、第8図
ハ,ニは深絞り時の不都合の例を示す説明図、第
9図イは積層成形体の半截図、第9図ロ,ハ,ニ
は第3図イ、第4図イ,ロの積層ブランクを用い
て形成した積層成形体の部分拡大断面図、第10
イ,ロはしごき加工の説明図、第11図イ,ロは
スピニング加工の説明図、第12図は積層成形体
を輪切りにした切断半成品の半截図、第13図
イ,ロ,ハにバイトによる切断加工の態様を示す
説明図、第13図ニは切断時の不都合の例を示す
説明図、第14図イ,ロは捨て板を用いた積層成
形体の切断加工の態様を示す説明図、第15図
イ,ロは回転ブレードによる切断加工の態様を示
す説明図、第16図イ,ロはレーザビームによる
切断加工の態様を示す説明図、第17図イ,ロは
ワイヤソーによる切断加工の態様を示す説明図、
第18図イは接着積層リングの斜視図、第18図
ロは第18図イのa−a線による部分拡大断面
図、第19図イは接着積層リングの樹脂を加熱燃
焼せしめて除去する際の治具の使用態様を示す平
面図、第19図ロは第19図イのb−b線による
平面図、第20図は一般的なリング状積層金属ベ
ルトの使用態様を示す斜視図である。 1……積層金属ベルト、4……リング単体、1
1……積層ブランク、11a……素板、11b…
…樹脂層、11c……捨て板、21……積層形成
体、21a……金属層、21b……樹脂層、21
c……捨て板成形体、41……接着積層リング、
41a……金属リング、41b……樹脂層、61
……積層リング、61a……リング単体。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 リング単体の厚さ以上の厚さを有する金属薄
    板を樹脂で接着積層した積層素体を、胴部の内,
    外径が製品ベルトの内,外径と夫々各一致する円
    筒形状の積層成形体に成形する工程と、次いで当
    該積層成形体の胴部を前記リング単体の幅で輪切
    りして接着積層リングを得る工程と、該積層リン
    グの接着樹脂層を除去する工程とを含むことを特
    徴とする積層金属ベルトの製造方法。 2 前記積層素体から積層成形体を成形する工程
    では側壁のしごきを伴う深絞り加工又は深絞り加
    工としごき加工とが併用して適用される請求項1
    記載の積層金属ベルトの製造方法。 3 前記積層素体から積層成形体を成形する工程
    ではスピニング加工が適用される請求項1記載の
    積層金属ベルトの製造方法。 4 前記積層素体から積層成形体を成形する工程
    ではプレス成形加工とスピニング加工とが併用さ
    れる請求項1記載の積層金属ベルトの製造方法。 5 前記積層成形体の胴部を輪切りして積層リン
    グを得る工程ではバイト切断、回転ブレート切
    断、レーザ切断又はワイヤソー切断が適用される
    請求項1記載の積層金属ベルトの製造方法。 6 前記接着積層リングの接着樹脂層を除去する
    工程では樹脂層の除去を溶剤の使用又は加熱燃焼
    により行う請求項1記載の積層金属ベルトの製造
    方法。 7 金属薄板に予め浸炭処理又は窒化処理又はこ
    れら両処理を施す工程を含む請求項1記載の積層
    金属ベルトの製造方法。 8 前記接着積層リングの接着樹脂層を除去した
    後にリング単体に分解し、これを研磨又は洗浄す
    る工程を含む請求項1記載の積層金属ベルトの製
    造方法。 9 前記接着積層リングの接着樹脂層を加熱燃焼
    して除去する過程で、積層リングを構成する各リ
    ング単体の表層に浸炭処理を施す工程を含む請求
    項6記載の積層金属ベルトの製造方法。 10 前記接着樹脂層の除去後に、積層リングを
    分解し、リング単体表面にシヨツトブラストを施
    し、再度積層リングに組み立てる工程を含む請求
    項6又は7記載の積層金属ベルトの製造方法。 11 前記接着積層リングの接着樹脂層を加熱燃
    焼して除去する過程で、積層リングを構成する各
    リング単体に時効硬化処理を施す請求項8記載の
    積層金属ベルトの製造方法。 12 前記積層リングを構成する各リング単体へ
    の表面硬化熱処理又は時効硬化熱処理はリング単
    体を個別に又は組み合わせた状態で施す請求項9
    又は10記載の積層金属ベルトの製造方法。 13 前記リング単体表面に対する硬化処理の後
    に積層リングを分解し、各リング単体表面にシヨ
    ツトブラストを施し、再度積層リングに組み立て
    る工程と含む請求項9,10又は12記載の積層
    金属ベルトの製造方法。
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