JP4320156B2 - 無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車やその他の産業機械で使用されている無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図8(A)に示すように、自動車等の無段変速機80においては、溝幅可変のV形の駆動側プーリ81と被駆動側プーリ82間の動力伝達に伝動ベルト83が採用されている。この伝動ベルト83は、図8(B)に示すように、金属製の無端バンド84、85と、この無端バンド84、85が両側からそれぞれ挟み込まれる多数のエレメント86から構成されており、使用にあっては、伝動ベルト83を駆動側プーリ81及び被駆動側プーリ82に掛け渡すことにより、駆動側プーリ81の回転力が伝動ベルト83を介して被駆動側プーリ82に伝達される。
このとき、伝動ベルト83は、駆動側プーリ81を通って被駆動側プーリ82側に、或いは、被駆動側プーリ82を通って駆動側プーリ81側に走行方向を変えるため、各エレメント86が円滑に各プーリ81、82の周りを回れるように、図9に示すように、各プーリ81、82に接するエレメント86のサドル部87の下側部分の板厚を薄くする必要があった。
このような形状のエレメント86は、例えば、パンチとダイとの間に板材から打抜かれたエレメントの中間製品を据え込んで鍛造を行い製造されている(特許文献1参照。)。しかし、この製造方法では、エレメントの半製品を板材から打抜いた後、据え込み鍛造を行うため、エレメントの生産性が悪い。
そこで、エレメントの生産性を向上させるため、予め異なる板厚を備えた板材を使用し、この板材から複数のエレメントを打抜き加工することで、板厚が薄くなった部分を備えたエレメントを製造していた。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−10882号公報(第4頁右欄37行〜第5頁左欄5行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、異なる板厚を備えた板材は、平板材よりも高価であるため、コスト高の要因になる。ここで、コスト高を避けるため、平板材に対して打抜き加工前に、一部の板厚を薄くするコイニング加工を行う方法が考えられるが、この場合、コイニング加工を施すことで加工硬化した箇所が生じるため、当該箇所と加工硬化していない他の箇所とが連続した部分を一度に打抜き形成するとき、例えばプーリに接するサドル部の両側部の打抜きを行うとき、エレメントの形状が悪くなり、精度が劣化する。また、このように、加工硬化した部分とそうでない部分とがあるサドル部を、パンチとダイを備えた金型を用いて打抜くことで、金型に部分的に劣化が生じ、通常よりも金型の打抜き回数が減少、即ち金型の寿命が短くなり、経済的でない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、エレメントを形状よく打抜き形成し、またエレメント製造の各工程を一連の工程として行いエレメントを生産性良く製造する無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法は、使用にあってはV溝プーリの内側壁に接する傾斜部が両側に設けられ、かつ下側部分に板厚が薄くなった板厚減少部が形成されたサドル部と、前記サドル部の上側位置に形成され、中央の背側には凹部を、前側には凸部がそれぞれ形成された上板部及び該上板部と前記サドル部を連結する連結部を有し、使用にあっては金属製の無端バンドを装着するバンド保持部とを備えた無段変速機用伝動ベルトのエレメントを、被加工板から打抜き形成する方法において、
前記被加工板の前記エレメント打抜き予定位置に、前記板厚減少部に対応する減肉加工を板幅方向に行う機械加工工程と、
前記機械加工工程で前記被加工板に生じた内部応力を除去する焼鈍工程と、
前記凹部及び凸部が形成された前記被加工板から前記エレメントのサドル部及び連結部を、該サドル部を前記被加工板に連結片を介して繋げて外形抜きし、該エレメントの最終形状に対応した形状のパンチとダイを備えた仕上げ金型装置により該サドル部及び連結部の周囲の仕上げ加工を行い、次いで前記エレメントの上板部を、該上板部の上端部を前記被加工板に連結片を介して繋げて外形抜きし、該エレメントの最終形状に対応した形状のパンチとダイを備えた仕上げ金型装置により該上板部の周囲の仕上げ加工を行う打抜き加工工程と、
前記エレメントが前記被加工板に前記それぞれの連結片によって一部固定された状態で熱処理を行う熱処理工程とを有する。
このように、機械加工工程を行った後に焼鈍工程を行うので、機械加工工程時に被加工板に生じた内部応力を除去できる。また、機械加工工程により被加工板に減肉加工を施すので、一定の厚みを備えた被加工板を使用して、板厚減少部が形成されるサドル部を備えたエレメントを打抜き形成できる。
ここで、本発明に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法において、焼鈍工程を機械加工工程と打抜き加工工程との間で行うことが好ましい。このように、焼鈍工程を機械加工工程と打抜き加工工程との間で行うので、被加工板からのエレメントの打抜き形成を一連の工程で行うことができる。
【0006】
本発明に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法において、機械加工工程は、金型による押圧加工及び切削による切削加工のいずれか一方であることが好ましい。これにより、被加工板に対する減肉加工を容易に行うことができる。
本発明に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法において、焼鈍工程での焼鈍はバッチ処理及び連続処理のいずれか一方で行われることが好ましい。このように、焼鈍をバッチ処理で行った場合、被加工板に生じた加工応力の除去を安定して行うことができる。また、焼鈍を連続処理で行った場合、エレメントの打抜き形成を前後の工程と一貫した連続ラインで行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法の概略説明図、図2(A)、(B)はそれぞれ同方法で製造するエレメントの正面図、側面図、図3は同方法の機械加工工程及び焼鈍工程の説明図、図4(A)、(B)はそれぞれ同方法の減肉加工が行われた条材の平面図、側断面図、図5(A)、(B)はそれぞれ変形例に係る機械加工工程及び焼鈍工程の説明図、図6(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法の打抜き加工工程の説明図、図7は同打抜き加工工程の仕上げ加工の説明図である。
【0008】
まず、図2(A)、(B)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法を適用して製造したエレメント10について説明する。
エレメント10は、材質が例えば、炭素工具鋼(SK)、合金工具鋼(SKS)、その他の焼入れ焼戻し可能な合金鋼等からなって、板厚が例えば1.5〜2.5mmの被加工板の一例である条材32(図4参照)からプレス加工によって形状加工される製品である。このエレメント10は、サドル部11と、このサドル部11の上側位置に一体的に連結され、使用にあっては金属製の無端バンドを装着するバンド保持部12とを備えている。
【0009】
サドル部11は、使用にあってはV溝プーリの内側壁に接する直線状の傾斜部13、14が両側に設けられ、かつ下側部分に板厚が薄くなった板厚減少部15が形成されている。この傾斜部13、14の傾斜角度は、組立てられた状態の無段変速機用伝動ベルトを使用するV溝プーリの内側壁の傾斜角度に一致している。このように、サドル部11は、板厚減少部15の上端である途中位置16から上方への厚みが一定であるが、途中位置16から下方へかけては徐々にその厚みが薄くなって前面が傾斜している。この板厚減少部15の下端、即ち最も厚みが薄い部分の板厚は、元の板厚の例えば1/3〜2/3となっている。
なお、サドル部11の下端部には、全体の重量を軽減するために左右対となる切り込み17、18が設けられている。
【0010】
バンド保持部12は、角部が丸くなった2等辺三角形の上板部19と、この上板部19とサドル部11とを連結する連結部20とを有している。そして、連結部20の左右であって、サドル部11と上板部19との間には、スリット部21、22がそれぞれ形成されている。
上板部19の各斜辺23、24は、内側に緩やかに湾曲し、上板部19の中央部分の一方(背側)には凹部25を、他方(前側)には凸部26を備えている。凹部25は断面円形の丸孔からなり、凸部26は隣合うエレメント10の凹部25に僅少の隙間を有して入り込む断面円形の円柱状突起からなっている。また、凸部26の高さは、凹部25の深さよりも小さくなって、積層状態にある各エレメント10の傾斜角度が多少変わっても、凸部26が凹部25に常時嵌入するようになって、複数の積重ねられたエレメント10の姿勢を常時一定に保つ機能を有している。
【0011】
サドル部11、上板部19、及び連結部20によって形成される左右のスリット部21、22は、この部分に鋼等の十分な強度を有し繰返し曲げに強い材質からなる断面長方形の無端バンド(一般に、スチール、無端リングとも言われる)がそれぞれ嵌入している(図8(B)参照)。従って、このエレメント10において、V溝プーリの接する傾斜部13、14と無端バンドに接するスリット部21、22の形状が、一定の品質を保持する必要がある。
このように構成することで、無段変速機用伝動ベルトがV溝に沿って湾曲する場合、各エレメント10の凹部25に凸部26を係合させた状態で、板厚減少部15により各エレメント10を円滑に接触させることが可能になる(図9参照)。
【0012】
続いて、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法は、機械加工工程、焼鈍工程、打抜き加工工程、及び熱処理工程を有している。
まず、図1、図3、図4(A)、(B)に示すように、機械加工工程では、押圧加工(コイニング、つぶし加工とも言う)を行う押圧金型装置30を用いて、リール31から巻戻された条材32の板幅方向の両側部に所定ピッチで仮ガイド孔33が形成され、条材32のエレメント打抜き予定位置34に、板厚減少部15に対応する減肉加工を板幅方向に行った後、リール35に巻いてコイル状にする。押圧金型装置30は、所定形状のパンチ36と水平のダイ37とを備えた装置であり、予め加熱処理されて柔らかくなって順次搬送される条材32に、プレス加工して所定ピッチで複数の窪み部38(図4(A)の斜線)を形成する。このとき、窪み部38が形成された部分及びその近傍は加工硬化し、内部応力が発生する。
【0013】
次に、機械加工工程で減肉加工が施されリール35に巻かれた条材32を、焼鈍工程へと搬送する。焼鈍工程では、機械加工工程で条材32に生じた内部応力を除去するため、コイル状となった条材32を加熱炉39に装入して、例えば700〜850℃に加熱する。この加熱炉39は、バッチ処理方式のものとなっており、この場合、炉内温度を例えば700〜760℃とし、1〜5時間の加熱を行う。
なお、図5(A)に示すように、前記した機械加工工程で減肉加工された条材32を、焼鈍工程では、リール35から巻戻して加熱炉40で加熱した後、再度リール41に巻取ることも可能である。これにより、焼鈍を連続処理(リール・ツー・リールとも言う)で行うことができる。このように、焼鈍を連続処理で行う場合は、条材32を例えば760〜850℃で1〜30分加熱処理する。
また、図5(B)に示すように、機械加工工程及び焼鈍工程を一貫した工程とすることで、リール31から巻戻された条材32を押圧金型装置30で減肉加工した後、前記した加熱炉40で加熱して、リール42に巻取ることも可能である。
【0014】
続いて、焼鈍工程で内部応力が除去された条材32を、打抜き加工工程へと搬送する。打抜き加工工程では、板幅方向の両側部に所定ピッチで新たなガイド孔43が形成され、リール35から巻戻された条材32から、打抜き金型装置44、45を用いて、エレメント10の外形抜きを行う。
この工程では、図1、図6(A)に示すように、図示しない金型装置によってエレメント10の上板部19に凹部25及び凸部26が形成された条材32に対して、打抜き金型装置44を用い、エレメント10のサドル部11及び連結部20の外形抜きを行う。この打抜き金型装置44は、実質的にエレメント10のサドル部11及び連結部20の輪郭に対応した形状を備えるパンチ、及びこれと対となるダイを備えている。そして、外形がパンチによって抜き落とされた打抜き部46によって形成されるエレメント10のサドル部11の中央下端部が、条材32の枠部47と連結片48を介して繋がっている。
【0015】
なお、サドル部11及び連結部20の外形抜きが終了した時点では、図7に示すように、サドル部11及び連結部20の周辺部にバリ49が生じる。しかし、サドル部11の各傾斜部13、14はV溝プーリに接する部分であり、またサドル部11及び連結部20のスリット部21、22を形成する部分は無端バンドが装着される部分であるため、バリ49の発生や寸法精度の悪さがエレメント10の製品品質を悪くする。このため、エレメント10の最終形状に対応した形状(角に丸みを備えた形状)のパンチ50及びダイ51を備えた仕上げ金型装置52により、サドル部11及び連結部20の周囲の仕上げ加工を行う。なお、この仕上げ加工は、条材32の硬さやエレメント10の形状精度を考慮して、1つの工程で行うことも、また2つ以上の工程で行うことも可能である。
【0016】
サドル部10及び連結部20の仕上げ加工が終了した後は、引き続き図6(B)に示すように、上板部19の外形抜きを行う。この打抜き金型装置45は、実質的にエレメント10の上板部19の輪郭に対応した形状を備えるパンチ、及びこれと対となるダイを備えている。そして、外形がパンチによって抜き落とされた打抜き部53によって形成されるエレメント10の上板部19の上端部が、条材32の枠部47と連結片54を介して繋がっている。
なお、上板部19の外形抜きが終了した時点では、上板部19の周辺部にバリが生じるが、上板部19のスリット部21、22を形成する部分は、無端バンドが装着される部分であるため、バリの発生や寸法精度の悪さがエレメント10の製品品質を悪くする。このため、前記したように、エレメント10の最終形状に対応した形状のパンチとダイを備えた仕上げ金型装置55(図7参照)により、上板部19の周囲の仕上げ加工を行う。この仕上げ加工も、1つの工程、又は2つ以上の工程で行うことができる。
このように、焼鈍工程を機械加工工程と打抜き加工工程との間で行うことにより、エレメント10を生産性良く製造できる。
【0017】
図1に示すように、打抜き加工工程が終了した後、エレメント10が条材32に連結片48、54を介して一部固定された状態で、熱処理工程を行う。この熱処理工程は、加熱炉56を用いて、エレメント10が例えば、耐衝撃性、耐摩耗性、靱性等を有するように、焼入れ、又は焼入れ焼戻し等を行う工程である。
焼入れは、一部がオーステナイト化する温度、例えば条材の成分組成にもよるが、加熱炉56で条材32を例えば750℃以上に加熱し、強制冷却して行う。また、焼入れ後の焼戻しは、焼入れ歪みを除去し、しかも打抜き品の固溶炭素を減らさない温度範囲で行うことが好ましく、例えば250℃以下で行う。
なお、それぞれの加熱温度、加熱時間、冷却時間等は、材料が決まれば周知の技術であるので、詳しい説明を省略する。この熱処理は、全部のエレメント10が条材32に一部連結された状態で行うので、均一な熱処理を行うことができ、更には、作業を連続的に行うこともできる。
【0018】
以上の処理によって、上記特性を有するエレメント10が製造できるので、切り離し装置(例えば、トリム装置)を用いて、パンチによって条材32の枠部47からエレメント10を分離する。この分離は、前記パンチにより容易に行うことができる。
なお、打抜き加工工程が終了した後、条材32の枠部47からエレメント10を切り離し、加熱炉を用いたバッチ処理で熱処理を行うことも可能である。
【0019】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、エレメントの板厚減少部の形状を、片側面のみに傾斜面が設けられ、他方が連結部に連続する平面とした場合について説明した。しかし、エレメントの板厚減少部の形状を他の形状、例えば、片側面をアール面取りし、側面視して部分円形、部分楕円形とすることも、また板厚減少部の板厚を連結部の板厚より薄くし、片側面のみを連結部に連続する平面とした段差形状とすることも可能である。
更に、前記実施の形態においては、機械加工工程で条材に対して金型による押圧加工を行った場合について説明したが、切削による切削加工を行うことも可能である。
【0020】
【発明の効果】
請求項1〜4記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法においては、機械加工工程を行った後に焼鈍工程を行うので、機械加工工程時に被加工板に生じた内部応力を除去できる。ここで、焼鈍工程後に、サドル部の減肉加工された板厚減少部と減肉加工されていない他の部分とを一度に打抜きした場合でも、エレメントを形状よく、しかも精度よく打抜き形成でき、製品品質を良好にできる。
また、板厚減少部から内部応力が除去されるので、打抜きを行う金型のパンチとダイの部分的な劣化の発生を防止でき、劣化速度も低減できる。これにより、金型の使用回数の低減を抑制できるので、経済的である。
そして、機械加工工程により被加工板に減肉加工を施すので、一定の厚みを備えた被加工板を使用して、板厚減少部が形成されるサドル部を備えたエレメントを打抜き形成できる。これにより、従来のように、コスト高となる異なる厚みを備えた被加工板を使用することなくエレメントを打抜き形成でき経済的である。
更に、機械加工工程、焼鈍工程、及び打抜き加工工程を、一枚の被加工板に対して連続的に行うことができるので、生産性を向上できる。
【0021】
特に、請求項2記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法においては、焼鈍工程を機械加工工程と打抜き加工工程との間で行うので、被加工板からのエレメントの打抜き形成を一連の工程で行うことができ、エレメントを生産性良く製造できる。
請求項3記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法においては、被加工板に対する減肉加工を容易に行うことができるので、製造時における作業性が良好である。
請求項4記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法においては、焼鈍をバッチ処理で行った場合、被加工板に生じた加工応力の除去を安定して行うことができるので、エレメントの製品品質を更に高めることができる。また、焼鈍を連続処理で行った場合、エレメントの打抜き形成を前後の工程と一貫した連続ラインで行うことができるので、生産性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法の概略説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同方法で製造するエレメントの正面図、側面図である。
【図3】同方法の機械加工工程及び焼鈍工程の説明図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ同方法の減肉加工が行われた条材の平面図、側断面図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ変形例に係る機械加工工程及び焼鈍工程の説明図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法の打抜き加工工程の説明図である。
【図7】同打抜き加工工程の仕上げ加工の説明図である。
【図8】(A)、(B)はそれぞれ従来例に係る無段変速機の説明図、無段変速機用伝動ベルトの部分拡大図である。
【図9】同無段変速機用伝動ベルトの進行方向が変わる場合の説明図である。
【符号の説明】
10:エレメント、11:サドル部、12:バンド保持部、13、14:傾斜部、15:板厚減少部、16:途中位置、17、18:切り込み、19:上板部、20:連結部、21、22:スリット部、23、24:斜辺、25:凹部、26:凸部、30:押圧金型装置、31:リール、32:条材(被加工板)、33:仮ガイド孔、34:打抜き予定位置、35:リール、36:パンチ、37:ダイ、38:窪み部、39、40:加熱炉、41、42:リール、43:ガイド孔、44、45:打抜き金型装置、46:打抜き部、47:枠部、48:連結片、49:バリ、50:パンチ、51:ダイ、52:仕上げ金型装置、53:打抜き部、54:連結片、55:仕上げ金型装置、56:加熱炉
Claims (4)
- 使用にあってはV溝プーリの内側壁に接する傾斜部が両側に設けられ、かつ下側部分に板厚が薄くなった板厚減少部が形成されたサドル部と、前記サドル部の上側位置に形成され、中央の背側には凹部を、前側には凸部がそれぞれ形成された上板部及び該上板部と前記サドル部を連結する連結部を有し、使用にあっては金属製の無端バンドを装着するバンド保持部とを備えた無段変速機用伝動ベルトのエレメントを、被加工板から打抜き形成する方法において、
前記被加工板の前記エレメント打抜き予定位置に、前記板厚減少部に対応する減肉加工を板幅方向に行う機械加工工程と、
前記機械加工工程で前記被加工板に生じた内部応力を除去する焼鈍工程と、
前記凹部及び凸部が形成された前記被加工板から前記エレメントのサドル部及び連結部を、該サドル部を前記被加工板に連結片を介して繋げて外形抜きし、該エレメントの最終形状に対応した形状のパンチとダイを備えた仕上げ金型装置により該サドル部及び連結部の周囲の仕上げ加工を行い、次いで前記エレメントの上板部を、該上板部の上端部を前記被加工板に連結片を介して繋げて外形抜きし、該エレメントの最終形状に対応した形状のパンチとダイを備えた仕上げ金型装置により該上板部の周囲の仕上げ加工を行う打抜き加工工程と、
前記エレメントが前記被加工板に前記それぞれの連結片によって一部固定された状態で熱処理を行う熱処理工程と
を有することを特徴とする無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法。 - 請求項1記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法において、前記焼鈍工程を前記機械加工工程と前記打抜き加工工程との間で行うことを特徴とする無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法において、前記機械加工工程は、金型による押圧加工及び切削による切削加工のいずれか一方であることを特徴とする無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法において、前記焼鈍工程での焼鈍はバッチ処理及び連続処理のいずれか一方で行われることを特徴とする無段変速機用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
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