JPH0547759Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、自動２輪車等における変速機のチ
エンジ装置に関する。

［従来の技術］ 自動２輪車等のチエンジ装置として、一端部を
シフト軸へセレーシヨン結合するチエンジアーム
と、このチエンジアームの他端部とリンクロツド
を介して連結するチエンジペダルとを備えたもの
が知られている。通常このチエンジペダルの先端
部には、乗員がつま先で操作するための操作部が
設けられている（例えば、実開昭60−45291号、
同62−127889号各公報記載）。

また、特公昭62−3035号公報には、前記リンク
ロツドをネジ結合により長さを伸縮自在に調節可
能な連結杆とし、かつフツトレストの取付位置並
びにシフト軸との連結対象をチエンジアームとチ
エンジペダルのいずれかに変更することにより、
チエンジパターンを跳ね上げ式又は踏み込み式の
いずれかに変更可能としたものが示されている。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、乗員が変わると、その体格差により
チエンジペダルの操作部の高さを調節する必要が
生じる。このとき、従来ではセレーシヨン結合を
解いてシフト軸からチエンジアームを一度抜き出
し、さらに角度を変えて取付け直すとか、または
リンクロツドに設けた長さ調節機構を操作してリ
ンクロツド部の長さを変更することになる。

しかしこの調節作業は、前者の場合には比較的
多くの手間を要するため作業時間が長くなつてし
まう。一方、このような調節作業はより迅速にで
きることが望まれており、特に、レース仕様車な
どの場合にはこの要望が強い。

また、後者の場合にはリンクロツドが長さ調節
機構を設ける分だけ長大になり、かつこの長さ調
節機構がネジ結合のためリンクロツドが変形する
と調節できなくなるので、小径にして軽量化する
ことが困難になつた。ゆえに、長大かつ小径のリ
ンクロツドであつても使用可能になることも望ま
れている。

さらに、前記特公昭62−3035号公報に記載され
たものの場合は、チエンジパターンを変更するた
びに複数のケ所で取付け直さなければならず比較
的多くの手間を要し、かつそのたびフツトレスト
の取付位置が前後へ変化して運転姿勢が変化して
しまう。したがつて、チエンジパターンを変更す
る際に短時間で作業でき、かつフツトレストの取
付位置を変更させないようにすることも望まれて
いる。

そこで本考案の目的は、かかる要請を実現でき
るチエンジ装置の提供にある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため本考案に係る自動２輪
車用変速機のチエンジ装置は、一端部をシフト軸
とセレーシヨン結合したチエンジアームと、この
チエンジアームの他端部とリンク部材を介して連
結したチエンジペダルとを備えたチエンジ装置に
おいて、前記チエンジアームを、前記シフト軸と
セレーシヨン結合する第１の部材と、前記リンク
部材と連結する第２の部材とで構成するととも
に、これら第１及び第２の部材をそれぞれシフト
軸を挟んでアーム状に上下略反対方向へ延出さ
せ、第２の部材をシフト軸が嵌合している第１の
部材のボス部の周囲へ回動自在に連結し、第２の
部材を第１の部材に対して回動させることにより
チエンジペダルの操作部の高さを調節し、かつリ
ンク部材の一端を第１及び第２の部材のいずれか
へ選択的に連結することにより、チエンジパター
ンを跳ね上げ式又は踏み込み式のいずれかに変更
可能としたことを特徴とする。

［考案の作用］ 第２の部材を第１の部材のボス部周囲へ回動さ
せると、リンク部材の連結位置が移動するのでチ
エンジペダルの操作部の高さが調整される。この
とき、セレーシヨン結合部での結合作業をする必
要がないので、調節作業が迅速になる。

しかも、リンク部材にネジ結合による長さ調節
機構を設けないので、仮にリンク部材が変形して
も第２の部材の回動調節が可能である。したがつ
て、リンク部材が長大になつても、これを小径に
して軽量化することができ、このような長大かつ
小径のリンク部材であつても使用可能になる。

また、リンク部材をそれぞれシフト軸を挟んで
略反対方向へ延出している第１又は第２の部材の
いずれかに連結すると、チエンジペダルの操作部
の高さが大きく上下方向へ調整されるので、チエ
ンジパターンが変更される。このときチエンジペ
ダルの取付位置は変化せず、かつ変更作業もリン
ク部材の一端部だけの作業で済むので比較的迅速
になる。

［実施例］ 第１図乃至第４図に本考案をレース仕様の自動
２輪車用チエンジ装置として構成した一実施例を
示す。

第１図に示すように、このチエンジ装置におけ
るチエンジペダル１は先端部に棒状の操作部１ａ
を設け、かつ中間部をピボツト軸２によつて図示
しない車体側へ揺動自在に支持しており、後端部
のアーム部３には第１のジヨイント部材４が取付
けられている。この第１のジヨイント部材４には
リンクロツド５の一端部が取付けられ、他端部に
も第２のジヨイント部材６が取付けられている。

第１図の図示状態において、第２のジヨイント
部材６は第１の部材７とともに、チエンジアーム
９を構成する第２の部材８の一端部へ連結されて
いる。すなわち、第２図にも示すように、第２の
部材８の端部へ取付けられたボルト軸１０の延出
部１１を第２のジヨイント部材６の中心部に貫通
させ、その突出端に割りピン１２を係合すること
により抜け止めされ、かつ迅速な着脱が可能とな
つている。

第１の部材７は、第３図にもその平面形状を示
すように、一端部にシフト軸１３を嵌合可能な穴
が形成され、この穴の内周面にはシフト軸１３の
周囲に形成されたセレーシヨンと係合するセレー
シヨン結合部１４が形成されている。このセレー
シヨン結合部１４周囲で第２の部材８と接触する
側は外方へ突出してボス部１５となつている。

さらに、端部にはセレーシヨン結合部１４に達
する溝からなる割り締め部１６が形成され、この
部分をボルト１７（第１図参照）によつて締結す
ることによりシフト軸１３へ取付け可能となつて
いる。

また、第１の部材７の中間部には長穴１８が形
成され、他端部には第２の部材８と同様のボルト
軸１０が取付けられている。なお、符号１９はシ
フト軸１３上部のカバーである。

一方、第２の部材８は第４図にもその平面形状
を示すように、中間部にボス部１５を嵌合する穴
２０が形成され、さらに端部からこの穴２０に達
する溝を形成した割り締め部２１が設けられ、穴
２０内へボス部１５を嵌合した状態でボルト２２
（第１図参照）により割り締め部２１を締め付け
ることにより、第２の部材８を第１の部材７へ一
体化するようになつている。

また、割り締め部２１部分に形成された端部で
第１の部材７の長穴１８に対応する位置にはボル
ト支持部２３が形成され、ここに通したボルト２
４が長穴１８を通過し、その先端部でナツト２５
に締め付けられている。これら長穴１８、割り締
め部２１、ボルト２４及びナツト２５によつて本
考案のアジヤスト機構Ａを構成している。

次に、本実施例の作用を説明する。まず、第１
図の実線で示す状態ではチエンジパターンが跳ね
上げ式となつている。この状態で操作部１ａの高
さを調節するには、ボルト２２と２４の両方を緩
める。すると、第１の部材７のボス部１５の回り
に第２の部材８が回動可能になるので、例えば第
２の部材８を時計回り方向へ回動させ、第１図の
仮想線の状態にする。このとき、ボルト２４は長
穴１８内にあるので、時計回り方向に回動でき
る。そこで、第２の部材８を所定量回動した後、
再びボルト２２と２４を締めると、第２の部材８
が仮想線の状態で固定され、その結果、リンクロ
ツド５に引かれてアーム部３がピボツト軸２を中
心に時計回り方向へ回動するので、操作部１ａも
仮想線で示すように高い位置へ調節される。な
お、第２の部材８を逆方向へ回動させれば、操作
部１ａの位置を下げることができる。しかも、こ
れらの調節は迅速に行われる。

このとき、第１の部材７をシフト軸１３から抜
き出して角度を変え、再びシフト軸１３へセレー
シヨン結合する作業が不要になるので、作業時間
が著しく短縮する。

しかも、リンクロツド５自体はネジ結合による
長さ調節機構を設けてないので、仮に変形しても
第２の部材８の回動調節が可能である。したがつ
て、リンクロツド５が長大になつても、これを小
径にして軽量化することができる。

また、跳ね上げ式から踏み込み式にチエンジパ
ターンを変更するには、割りピン１２を抜いて第
２のジヨイント部材６を側方延出部１１から外
し、第１の部材７側に取付けられている別のボル
ト軸１０の側方延出部１１へ取付け直し、再び割
りピン１２で抜け止めすることにより、迅速に変
換できる。したがつて、リンクロツド５の一端部
である第２のジヨイント部材６において連結し直
すだけの作業で済むので、チエンジパターンの変
更が比較的短時間で終了できる。しかも、チエン
ジペダル１はピボツト軸２へ取付けられたままで
あり、その取付位置は前後へ変化しないので、足
の位置は一定であり運転姿勢が変化しないので有
利である。

なお、本考案は上記実施例に限定されるもので
なく、種々な応用等が可能である。例えば、アジ
ヤスト機構として、第１の部材７側へ長穴１８の
代りに同心円状の小孔列を形成し、これに出入自
在なピンを第２の部材８側へ設けることにより、
有段階調節式とすることもできる。

［考案の効果］ 本考案によれば、第１の部材のボス部周囲に第
２の部材を回動させるだけで、チエンジペダルの
操作部の高さを調節できるので、セレーシヨン結
合部又はリンク部材で調節作業をすることなく、
チエンジペダルの操作部における高さ調節作業を
容易迅速にできる。

しかも、リンク部材にネジ結合による長さ調節
機構を設けないので、仮にリンク部材が変形して
も第２の部材の回動調節が可能である。したがつ
て、リンク部材が長大になつても、これを小径に
して軽量化することができ、このような長大かつ
小径のリンク部材であつても使用可能になる。

また、リンク部材をそれぞれシフト軸を挟んで
略反対方向へ延出している第１又は第２の部材の
いずれかに連結すると、チエンジペダルの操作部
の高さが大きく上下方向へ調整されるので、チエ
ンジパターンを変更できる。このときチエンジペ
ダルの取付位置は変化せず、かつ変更作業もリン
ク部材の一端部だけの作業で済むので比較的迅速
にチエンジパターンを変更でき、かつチエンジペ
ダルの取付位置が前後へ変化しないので、運転姿
勢を変化させないようにできる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は実施例であり、第１図は全
体の側面図、第２図は第１図の−線断面図、
第３図及び第４図はそれぞれ要部の平面図であ
る。 符号の説明、Ａ……アジヤスト機構、１……チ
エンジペダル、１ａ……操作部、５……リンクロ
ツド、７……第１の部材、８……第２の部材、９
……チエンジアーム、１３……シフト軸、１４…
…セレーシヨン結合部、１８……長穴、２４……
ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端部をシフト軸とセレーシヨン結合したチエ
   ンジアームと、このチエンジアームの他端部とリ
   ンク部材を介して連結したチエンジペダルとを備
   えた自動２輪車用変速機のチエンジ装置におい
   て、前記チエンジアームを、前記シフト軸とセレ
   ーシヨン結合する第１の部材と、前記リンク部材
   と連結する第２の部材とで構成するとともに、こ
   れら第１及び第２の部材をそれぞれシフト軸を挟
   んでアーム状に上下略反対方向へ延出させ、第２
   の部材をシフト軸が嵌合している第１の部材のボ
   ス部の周囲へ回動自在に連結し、第２の部材を第
   １の部材に対して回動させることによりチエンジ
   ペダルの操作部の高さを調節し、かつリンク部材
   の一端を第１及び第２の部材のいずれかへ選択的
   に連結することにより、チエンジパターンを跳ね
   上げ式又は踏み込み式のいずれかに変更可能とし
   たことを特徴とする自動２輪車用変速機のチエン
   ジ装置。