JPH0546140Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、硬貨貯留部に貯留される硬貨を、硬
貨貯留部の底部を構成し処理対象硬貨の直径より
大でかつ直径の２倍より小なる幅域が繰出ベルト
面として使われる繰出ベルトで繰出し、この繰出
される硬貨を硬貨厚み方向の規制をするゲート部
を通過せしめて１層１列状態で硬貨通路へ導出す
る硬貨収納繰出装置に関する。

（従来の技術） この種の硬貨収納繰出装置は、従来、例えば第
５図および第６図のように、底部の繰出ベルト１
と、この繰出ベルト１の幅方向の両側の側壁２，
２を有した硬貨貯留枠３とから硬貨貯留部４を構
成したものがあり、その両側壁２，２は、略垂直
上方へ立設されるとともに、両側壁２，２の間隔
ｌが処理対象硬貨の直径より大でかつ直径の２倍
より小とされている。

そして、硬貨貯留部４内に貯留される硬貨Ｃを
硬貨貯留枠３内で硬貨の径方向に１列にして繰出
ベルト１で繰出し、この繰出される硬貨Ｃを繰出
ベルト１の上面と逆転ローラ５との間で構成され
るゲート部６を通過させることにより硬貨厚み方
向に１層にし、よつて、硬貨Ｃを１層１列状態で
導出する。

（考案が解決しようとする問題点） 上記のような硬貨収納繰出装置では、第６図の
ように、両側壁２，２間に複数の硬貨Ｃが立位状
態で並ぶと、硬貨詰まりを生じる。また、硬貨詰
まりを生じない場合でも、立位状態のまま回転
し、硬貨貯留部４内に残ることもある。このこと
は、例えばこの硬貨収納繰出装置を硬貨入金機に
適応した場合に、硬貨残りが生じると、入金額に
異算を生じ顧客と係員とでトラブルを生じること
になる。

本考案は、上述のような問題点に鑑みなされた
もので、硬貨を繰出ベルト面上に確実に倒して１
層１列状態で硬貨通路へ繰出すことができ、硬貨
詰まりや硬貨残留を防止できる硬貨収納繰出装置
を提供することを目的とするものである。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案は、硬貨貯留部１１に貯留される硬貨
を、硬貨貯留部１１の底部を構成し処理対象硬貨
の直径より大でかつ直径の２倍より小なる幅域が
繰出ベルト面１７として使われる繰出ベルト１２
で繰出し、かつ、この繰出される硬貨を硬貨厚み
方向の規制をするゲート部３３を通過せしめて１
層１列状態で硬貨通路４１へ導出する硬貨収納繰
出装置において、前記硬貨貯留部１１は、前記繰
出ベルト１２の繰出ベルト面１７に対する幅方向
両側において繰出ベルト面１７から上方へ向かう
にしたがいベルト幅方向に広がり状態で傾斜しか
つ幅が硬貨の直径よりも小さく形成された傾斜壁
部２２ａ，２２ｂと、この傾斜壁部２２ａ，２２
ｂのベルト幅方向の上端縁から上方へ延びる側壁
部２３ａ，２３ｂと、前記傾斜壁部２２ａ，２２
ｂと側壁部２３ａ，２３ｂに接続され繰出ベルト
１２の繰出方向と反対側の繰出ベルト面１７から
上方へ向かいかつ繰出ベルト面１７の幅方向に非
対称形状のガイド側壁部２７とを備えたものであ
る。

（作用） 本考案では、硬貨貯留部１１内で硬貨が立位状
態となつて側壁部２３ａまたは傾斜壁部２２ａに
寄掛かつても、その硬貨は傾斜姿勢となるので、
繰出ベルト１２の回転に伴つて容易に倒れて繰出
ベルト１７上に載りやすい。

また、立位状態の硬貨が側壁部２３ａ，２３ｂ
間に並んだ場合は、ガイド側壁部２７に沿つてベ
ルト幅方向に非対称な状態で並べられるので、同
方向のバランスがくずれる。このとき、最も繰出
方向に位置する硬貨は、傾斜壁部２２ａ上に載る
ため、中央側の硬貨よりも繰出側および上側の縁
部が突出し、かつ、繰出ベルト面１７に接触して
空転する硬貨の回転が摩擦伝達され、繰出方向に
飛び出して繰出ベルト面１７上に倒れる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例の構成を図面を参照し
て説明する。

第１図ないし第３図において、１１は硬貨収納
繰出装置の硬貨貯留部で、この硬貨貯留部１１
は、底部を繰出ベルト１２によつて構成されると
ともに、側部を硬貨貯留枠１３によつて構成さ
れ、上面に硬貨投開口１４を有している。

前記繰出ベルト１２は、図示しないモータによ
つて正回転駆動される一対のローラ１５，１６に
掛け回されて、繰出方向（第１図および第２図右
方）が上方に位置する傾斜姿勢に配設され、そし
て、硬貨貯留部１１に臨む上面全幅域が繰出ベル
ト面１７として使われる。この繰出ベルト面１７
の幅l₁は、処理対象硬貨の直径より大でかつ直径
の２倍より小に、すなわち20〜26.5mmの硬貨を処
理対象硬貨とした場合に32mm程度に形成される。
また、繰出ベルト１２の繰出ベルト面１７の裏面
に臨んで、繰出ベルト面１７を一定高さに支持す
るベルト支持板１８が前記硬貨貯留枠１３に取付
けられている。なお、この繰出ベルト１２の傾斜
が例えば45°である場合にも、硬貨貯留部１１の
底部を構成するものとする。

前記硬貨貯留枠１３は、繰出ベルト１２のベル
ト幅方向両側において、繰出ベルト面１７より高
さh₁だけ上方へ略垂直に突出する第１（繰出ベル
ト面１７から数えて）の側壁部２１ａ，２１ｂ
と、この各側壁部２１ａ，２１ｂの上端縁から上
方へ向かうにしたがつてベルト幅方向に広がり状
態で傾斜しかつ幅が硬貨の直径よりも小さく形成
された第１の傾斜壁部２２ａ，２２ｂと、この各
傾斜壁部２２ａ，２２ｂの上端縁から上方に延び
る第２の側壁部２３ａ，２３ｂと、この各側壁部
２３ａ，２３ｂの上端縁から上方へ向かうにした
がつてベルト幅方向に広がり状態で傾斜する第２
の傾斜壁部２４ａ，２４ｂと、この各傾斜壁部２
４ａ，２４ｂの上端縁から上方に延びる第３の側
壁部２５ａ，２５ｂとを備えている。

そして、20〜26.5mmの硬貨を処理対象硬貨とし
た場合に、第１の側壁部２１ａ，２１ｂの高さh₁
は硬貨厚み１枚分以下の数mm以下（h₁＝０でもよ
い）で、両側壁部２１ａ，２１ｂ間の幅l₁はベル
ト幅方向に硬貨が１列となるように繰出ベルト面
１７と同じ32mm程度に設定し、また、第１の傾斜
壁部２２ａ，２２ｂの傾斜角度θは上面に載つた
硬貨が滑り落ちるように約40°以上で、傾斜壁部
２２ａ，２２ｂの幅l₂は上面に硬貨が面接触しな
いように硬貨径より小さい３〜６mm程度に設定
し、また、第２の側壁部２３ａ，２３ｂの繰出ベ
ルト面１７から高さh₂は硬貨径と同じ位の約25mm
程度、第２の傾斜壁部２４ａ，２４ｂの傾斜角度
αは上面に載つた硬貨が滑り落ちるように約40°
程度に設定する。

また、硬貨貯留枠１３は、繰出ベルト１２の繰
出方向と反対側において、前記両側壁部２１ａ，
２１ｂ、両傾斜壁部２２ａ，２２ｂおよび両側壁
部２３ａ，２３ｂと接続し繰出ベルト面１７上に
臨ませたガイド縁部２６から上方へ向かうにした
がつて外方へ傾斜するガイド側壁部２７と、略垂
直に立上げられた側壁部２８とを備えている。そ
して、ガイド側壁部２７は、繰出ベルト面１７の
幅方向に非対称に形成され、すなわち繰出ベルト
１２の幅方向の一側（第２図上側）が、小さい曲
率の曲線で側壁部２１ａ，傾斜壁部２２ａおよび
側壁部２３ａに接続し、また、他側（第２図下
側）が、大きい曲率の曲線あるいは直線で前記一
側よりも繰出方向に寄つた位置で側壁部２１ｂ、
傾斜壁部２２ｂおよび側壁部２３ｂに接続する。

また、硬貨貯留枠１３は、異形八角形状の前記
硬貨投入開口１４を開口形成した上壁部２９を有
している。なお、３０ａ，３１ａは側壁部２５ａ
の両側に接続する側壁部、３０ｂ，３１ｂは側壁
部２５ｂの両側に接続する側壁部である。

前記繰出ベルト１２の繰出ベルト側上面に１枚
の硬貨のみが通過可能な間隔をあけて逆転ローラ
３１が配設され、この逆転ローラ３２は、前記ロ
ーラ１５，１６を駆動する同一の図示しないモー
タによつて逆回転駆動され、繰出ベルト１２によ
つて繰出される硬貨を厚み方向に１層にして、繰
出ベルト面１７に接する１枚の硬貨のみの導出を
許容する。そして、この逆転ローラ３２と繰出ベ
ルト面１７との間隙がゲート部３３として構成さ
れる。

また、繰出ベルト１２の繰出側先端において、
繰出ベルト１２の幅方向一側の規制壁部３４が繰
出ベルト１２上に突出して、他側の側壁部３５と
の間隔l₃を、20〜26.5mmとした処理対象硬貨の最
大径硬貨が通過できる27mm程度に設定している。

前記繰出ベルト１２の繰出側先端に臨ませて硬
貨通路４１が連設されている。この硬貨通路４１
は、硬貨受取部４２を繰出ベルト１２の繰出側先
端に臨ませた通路底板４３の上面に形成され、こ
の通路底板４３上に設けられた略Ｌ字状の通路側
板４４，４５によつて横幅方向が構成されてい
る。この硬貨通路４１の上方には、繰出ベルト１
２から硬貨を受取り硬貨通路４１内を通路底板４
３に押付けながら移送する移送ベルト４６，４７
が設けられている。

次に、本実施例の作用を説明する。

硬貨投入開口１４を通じて硬貨貯留部１１内に
硬貨を投入する。この硬貨投入は、、係員等によ
り直接投入する場合や、硬貨処理機の内部に組込
まれている場合にコンベア等で自動補給すること
もある。

そして、繰出ベルト１２が正転駆動、逆転ロー
ラ３２が逆転駆動されると、硬貨貯留部１１内に
貯留された硬貨は、繰出ベルト１２によつて繰出
され、繰出ベルト１２の上面と逆転ローラ３２と
の間で構成されるゲート部３３を通過して硬貨通
路４１へ導出される。このとき、硬貨貯留部１１
内に貯留された硬貨は、硬貨貯留枠１３内でベル
ト幅方向に１列にされて繰出ベルト面１７上に載
り、ゲート部３３を通過する際に、繰出ベルト面
１７に直接面接触する硬貨の上に載つた重なり硬
貨を逆転ローラ３２によつて硬貨貯留部１１内に
戻して硬貨厚み方向に１層にし、これによつて、
１層１列状態で硬貨通路４１へ硬貨が導出され
る。

硬貨通路４１に導出された硬貨は、移送ベルト
４６，４７によつて硬貨通路４１内を移送され
る。

次に、硬貨貯留部１１において、側壁部２３ａ
や傾斜壁部２２ａに寄掛かつて立位状態になる硬
貨がある場合について説明する。

側壁部２３ａに寄掛かつて立位状態の硬貨が傾
斜壁部２２ａ上に載つた場合には、その硬貨の下
部域が傾斜壁部２２ａの傾斜によつて繰出ベルト
面１７に滑り落ち、したがつて、硬貨は上部が側
壁部２３ａに点接触し下部が繰出ベルト面１７に
接触する傾斜姿勢となる。この上部が側壁部２３
ａに点接触し下部が繰出ベルト面１７に接触する
傾斜姿勢の硬貨は、繰出ベルト１２の回転に伴つ
て容易に倒れて繰出ベルト面１７上に載りやす
い。

また、一側上部が傾斜壁部２２ａに寄掛かり他
側下部が繰出ベルト面１７に接触する傾斜姿勢の
硬貨は、傾斜壁部２２ａの幅l₂が処理対称硬貨の
径より小さいことから、傾斜壁部２２ａに完全に
接触（面接触）することなく点接触状態での接触
する傾斜姿勢となるため、繰出ベルト１２の回転
に伴つて容易に倒れて繰出ベルト面１７上に載り
やすい。

したがつて、側壁部２３ａまたは傾斜壁部２２
ａに寄掛かる硬貨は、側壁部２３ａまたは傾斜壁
部２２ａに点接触状態で接触する傾斜姿勢となる
ため、繰出ベルト１２の回転に伴つて容易に倒れ
て繰出ベルト面１７上に載りやすく、硬貨詰まり
や硬貨残留を確実に防止できる。

なお、側壁部２３ｂや傾斜壁部２２ｂについて
も同様の作用がある。

次に、第４図のように、側壁部２３ａ，２３ｂ
間に複数の硬貨が立位状態で並び、繰出ベルト１
２が回転駆動されていても空転してしまうような
場合について説明する。

側壁部２３ａ，２３ｂ間に立位状態の硬貨は、
ガイド側壁部２７によつてベルト幅方向に非対称
な状態で並ぶことになり、繰出ベルト１２の回転
を受けて空転する硬貨列のベルト幅方向のバラン
スがくずれる。

このとき、最も繰出方向に位置する側壁部２３
ｂ側の硬貨は、傾斜壁部２２ｂ上に載るため、中
央側の硬貨よりも繰出側および上側の縁部が突出
し、かつ、繰出ベルト面１７に接触して空転する
硬貨の回転が摩擦伝達されるため、繰出方向に硬
貨列から飛出して繰出ベルト面１７上に倒れる。

このように、最も繰出方向に位置する側壁部２
３ｂ側の硬貨から順に繰出方向に飛出して、繰出
ベルト面１７上に倒れていく。

なお、前記実施例では、繰出ベルト１２のベル
ト幅全域を繰出ベルト面１７として用いたが、傾
斜側壁部２２ａ，２２ｂを繰出ベルト１２の上面
に臨ませて設けることにより、繰出ベルト１２の
ベルト幅方向の一部のみを繰出ベルト面１７とし
て用いてもよい。

さらに、前記実施例では、側壁部２１ａ，２１
ｂを設けていたが、前記のような繰出ベルト１２
のベルト幅方向の一部を繰出ベルト面１７として
使うような場合等には、繰出ベルト面１７に傾斜
壁部２２ａ，２２ｂを直接臨ませて設けるように
してもよい。

〔考案の効果〕

本考案によれば、繰出ベルト面の幅方向両側に
おいて傾斜壁部および側壁部を設けたので、硬貨
貯留部内で硬貨が立位状態となつて側壁部または
傾斜壁部に寄掛かつても、その硬貨は、傾斜姿勢
となるため、繰出ベルトの回転に伴つて繰出ベル
ト面上に容易に倒れやすい。また、繰出方向とは
反対側においてガイド側壁部を設けたので、立位
状態の硬貨が側壁部間に並んでも、その硬貨は、
ガイド側壁部に沿つてベルト幅方向に非対称な状
態で並べられるので、ベルト幅方向のバランスが
くずされ、繰出ベルト面上に倒れやすい。したが
つて、硬貨を繰出ベルト面上に確実に倒して１層
１列状態で硬貨通路へ繰出すことができ、硬貨詰
まりや硬貨残留を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の硬貨収納繰出装置の一実施例
を示す第２図の−断面図、第２図はその平面
図、第３図は第２図の−断面図、第４図はそ
の硬貨貯留状態の一例を示す平面図、第５図およ
び第６図は従来の硬貨収納繰出装置の断面図であ
る。 １１……硬貨貯留部、１２……繰出ベルト、１
７……繰出ベルト面、２２ａ，２２ｂ……傾斜壁
部、２３ａ，２３ｂ……側壁部、２７……ガイド
側壁部、３３……ゲート部、４１……硬貨通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 硬貨貯留部に貯留される硬貨を、硬貨貯留部の
   底部を構成し処理対象硬貨の直径より大でかつ直
   径の２倍より小なる幅域が繰出ベルト面として使
   われる繰出ベルトで繰出し、かつ、この繰出され
   る硬貨を硬貨厚み方向の規制をするゲート部を通
   過せしめて１層１列状態で硬貨通路へ導出する硬
   貨収納繰出装置において、 前記硬貨貯留部は、 前記繰出ベルトの繰出ベルト面に対する幅方向
   両側において繰出ベルト面から上方へ向かうにし
   たがいベルト幅方向に広がり状態で傾斜しかつ幅
   が硬貨の直径よりも小さく形成された傾斜壁部
   と、 この傾斜壁部のベルト幅方向の上端縁から上方
   へ延びる側壁部と、 前記傾斜壁部と側壁部に接続され繰出ベルトの
   繰出方向と反対側の繰出ベルト面から上方へ向か
   いかつ繰出ベルト面の幅方向に非対称形状のガイ
   ド側壁部と を備えたことを特徴とする硬貨収納繰出装置。