JP2593710Y2 - 硬貨類繰出し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、遊技用メダル、または
硬貨などの硬貨類を計数する硬貨類計数機、硬貨類選別
機などにおける硬貨類繰出し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の硬貨計数機などにおいて、多量の
硬貨類を不整列状態で収納する繰出し収納部と、この繰
出し収納部の下部開口部に張設され硬貨類を繰出す繰出
しベルトと、この繰出しベルトで繰出された硬貨類を一
層一列状態に規制する規制部材とを有する硬貨類繰出し
装置は、例えば特開昭６１−１７５８８５号公報に記載
された構造が知られている。

【０００３】この従来の硬貨類繰出し装置は、硬貨類の
繰出し収納部の下部開口部が繰出しベルトにて構成され
るとともに硬貨類繰出し口が規制部材によって規制され
る繰出し収納部が硬貨類の送出し方向を逆方向にして上
下に重ね合わせた状態で一対設けられ、上側の繰出し収
納部に収納されている多量の硬貨類を適量ずつ下側の繰
出し収納部へ供給し、下側の繰出し収納部に適量ずつ供
給された硬貨類を規制部材によってさらに一層一列状態
に規制して送出す構造が採られていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の構造の硬貨
類繰出し装置では、一つの繰出しベルト上の多量の硬貨
をいきなり一層一列状態に規制して繰出すようにする
と、規制部材の付近で硬貨類が停滞してしまい良好な硬
貨類の繰出しができず、特に高速で硬貨繰出しができな
いために、繰出しベルトと規制部材とを有する繰出し収
納部を上下二段に構成し、一段目の繰出し収納部から繰
出される硬貨類の繰出し量を適当な量に規制した後、二
段目の繰出し収納部で最終的に硬貨類を一層一列状態に
して送り出すようにした構造を採用する必要があるた
め、硬貨類繰出し装置が高さ方向に大形化するとともに
部品点数も多くなり、コストが高くなるなどの問題があ
った。

【０００５】本考案は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、コンパクトかつ安価でありながら、硬貨類が停滞
することなく高速処理ができる硬貨類繰出し装置を提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の硬貨類繰出し装
置は、多数の硬貨類を不整列状態で収納するとともに硬
貨類が流出する下部開口部を有する収納部と、この収納
部の下部開口部の下方位置から斜め上方に向けて傾斜状
に張設され、硬貨類を載置して昇り傾斜方向に繰出す繰
出しベルトと、この繰出しベルトの繰出し側の上部域に
設けられ、繰出される硬貨類を一層一列状態に規制する
硬貨類規制部材とを備え、前記繰出しベルトは、前記収
納部の下部開口部に臨む低部域を構成する第１の繰出し
ベルトと、この第１の繰出しベルトの末端に続けて設け
られ前記硬貨類規制部材の手前位置から後方位置にかけ
た高部域を構成して第１の繰出しベルトより高速駆動さ
れる第２の繰出しベルトとに分割形成されたものであ
る。

【０００７】

【作用】本考案の硬貨類繰出し装置では、収納部に収納
されている硬貨類を第１の繰出しベルトに載置して昇り
傾斜方向に繰出すとともに、この第１の繰出しベルトか
ら受け渡される硬貨類を第２の繰出しベルトに載置して
昇り傾斜方向に繰出し、この第２の繰出しベルトで繰出
される硬貨類を硬貨類規制部材により一層一列状態に規
制する。このとき、第１の繰出しベルトは低速駆動する
とともに、第２の繰出しベルトは高速駆動するので、第
１の繰出しベルトで収納部からの硬貨類の繰出し量を適
当な量に規制し、第２の繰出しベルトで硬貨類規制部材
により一層一列状態に規制される硬貨類を停滞すること
なく高速で送り出す。

【０００８】

【実施例】次に本考案の一実施例の構成を図面について
説明する。

【０００９】１は筐体状の機体で、この機体１の上面一
端側にはパチンコ玉と、硬貨、メダルなどの硬貨類を混
合状態で収納可能なホッパー状の収納部２の上面が開口
されている。この収納部２のパチンコ玉、硬貨類を流出
させる下部開口部３は一端側から他端側に向って上方に
傾斜され、この収納部２の下部開口には最大硬貨類の直
径以上で最小硬貨の直径の２倍以下の寸法の一定幅間隔
で前記機体１の幅方向に配設された複数の区画板4bにて
複数に区画して複数の送出し列4aを形成する区画部材４
が前記機体１の一端側から他端側に向って設けられてい
る。

【００１０】また、前記収納部２の下部開口部３には、
この下部開口部３に沿って前記区画部材４にて形成され
る各送出し列4aの底部をそれぞれ傾斜状に形成しパチン
コ玉を機体１の一端側に向う下り傾斜方向に転動させる
とともに硬貨類を機体１の他端側に向う上り傾斜方向に
繰出す繰出しコンベア手段５が傾斜状に設けられてい
る。

【００１１】この繰出しコンベア手段５は前記収納部２
の下部開口部３の全域から機体１の一端側に配設される
低部域の第１の繰出しベルト６と、この第１の繰出しベ
ルト６より上部側に配設される高部域の第２の繰出しベ
ルト７とにて構成され、この第１および第２の繰出しベ
ルト６，７は前記機体１の一端側から他端側に向って上
方に傾斜して張設されている。そして、この第２の繰出
しベルト７は第１の繰出しベルト６より高速駆動される
ようになっている。

【００１２】また、前記機体１内に前記繰出しコンベア
手段５の下り傾斜側端部近傍にパチンコ玉の通過を許容
するとともに硬貨類の通過を阻止するピン状のパチンコ
玉規制部材８が前記繰出しコンベア手段５の搬送面に向
って突設されている。

【００１３】10は整列手段で、パチンコ玉の直径よりや
や広い間隔で基板部11から突設した複数の整列板12とに
て構成され、この整列手段10は前記パチンコ玉規制部材
８より機体１の一端側に位置して前記機体１内に配設さ
れ、この整列手段10は前記パチンコ玉規制部材８を通過
して機体１の一端側に向って転動するパチンコ玉を一列
に整列させるようになっている。

【００１４】また、15はパチンコ玉計数手段で、前記整
列手段10の整列板12間で基板部11上を整列状態で転動す
るパチンコ玉を計数するもので、この整列板12間に位置
して幅方向の中心部より一側に偏位した位置に臨ませて
基板部11に形成した検出孔16を透過する光を検出する受
光素子17と発光素子18とにて構成され、パチンコ玉が連
続して整列手段10を転動しても計数できるようになって
いる。

【００１５】また、前記機体１内には一端側に位置して
前記整列手段10の送出し端にこの整列手段10から送出さ
れたパチンコ玉を送出すパチンコ玉送出し路20が機体１
の幅方向に一側に向って下方に傾斜されて形成され、こ
のパチンコ玉送出し路20の底部側の一端にはパチンコ玉
出口21が形成されている。

【００１６】さらに、前記区画部材４には前記収納部２
の下部開口部３より機体１の他端側に向ってこの区画部
材４より高さが低い部分、すなわち、硬貨径の３分の２
以下の高さで各送出し列4aを移動可能な区画延長部25が
一体に延出されている。

【００１７】また、この区画延長部25の機体１の他端側
に硬貨類規制部材26が設けられている。この硬貨類規制
部材26は前記繰出しコンベア手段５の第２の繰出しベル
ト７の繰出し側上部域で繰出される硬貨類を一層状態に
規制して通過させパチンコ玉の進入を阻止する規制ロー
ラ29と、硬貨類を一列状態に規制して通過させる規制板
27とにて構成されている。この規制ローラ29は前記第２
の繰出しベルト７に対向して回転自在に軸支され、この
第２の繰出しベルト７による硬貨類の繰出し方向と反対
方向にかつ第２の繰出しベルト７による繰出し速度より
も高速で回転され硬貨類が重なって繰り出されることを
阻止する。また、規制板27は前記第２の繰出しベルト７
の上側に位置して設けられこの第２の繰出しベルト７に
より移送される硬貨類が一列状態となるように幅方向が
狭められた案内縁部28が形成されている。

【００１８】また、前記第２の繰出しベルト７の繰出し
上部側にはこの第２の繰出しベルト７の上部端と略同一
面を形成する硬貨通路30が設けられ、この硬貨通路30に
は前記規制板27から延出され一枚ずつ繰出される硬貨類
を案内する案内縁部34が両側に対向して形成され、この
案内縁部34は硬貨通路30を通過する硬貨類の位置を規制
する一側に傾斜した規制縁部31が形成されている。

【００１９】また、この硬貨通路30には小径の硬貨類を
選別する選別孔32が形成され、この選別孔32の下方に設
けたシュート33の導出端には小径硬貨の収納箱39が挿脱
自在に配設されている。

【００２０】さらに、この硬貨通路30の上部側に規制板
27に案内されて通過して一枚ずつ繰出される硬貨類を計
数する硬貨類計数手段35が設けられている。この硬貨類
計数手段35は規制板27間に位置して幅方向の中心部より
他側に偏位した位置に臨ませて硬貨通路30に形成した検
出孔36を透過する光を検出する受光素子37と発光素子38
とにて構成され、硬貨類が連続して硬貨通路30を通過し
ても計数できるようになっている。

【００２１】また、前記硬貨通路30にはこの硬貨通路30
に送込まれた硬貨類を搬送する搬送手段40が設けられて
いる。この搬送手段40は搬送ベルト41にて構成され、硬
貨類を硬貨通路30に上方から押付けて搬送するようにな
っている。

【００２２】さらに、前記硬貨通路30の搬送端には前記
機体１内の他端側に位置してこの硬貨通路30から送出さ
れた硬貨類を送出す硬貨類送出路45が機体１の幅方向に
一側に向って下方に傾斜されて形成され、この硬貨類送
出路45の底部側の一端には硬貨類送出口46が形成されて
いる。

【００２３】また、前記収納部２にはパチンコ玉、硬貨
類が橋架状態となることを阻止するピン状の回転崩し体
48の回転軸49が支架されている。さらに、この収納部２
の下部開口部３の一端側には硬貨類の立回り防止部材50
が設けられ、この立回り防止部材50は収納部２の一端側
から他端側に向って下向きで平面凹弧状に形成されてい
る。

【００２４】さらに、前記機体１の一側には伝導機構配
設部51が形成され、この伝導機構配設部51には第１の電
動機52に設けた出力軸53に設けたプーリ54，55と前記第
１の繰出しベルト６の駆動軸56に設けたプーリ57および
回転崩し体48の回転軸49に設けたプーリ58とにそれぞれ
駆動ベルト59，60が懸回されている。また、この伝導機
構配設部51には第２の電動機61に設けた出力軸62に設け
たプーリ63と前記第２の繰出しベルト７の駆動軸64に設
けたプーリ65と規制ローラ29に設けたプーリ66とに駆動
ベルト67が懸回されている。さらに、駆動軸64に設けた
プーリ68と回転軸69に設けたプーリ70とに駆動ベルト71
が懸回され、この回転軸69と前記搬送ベルト41の駆動軸
72とに設けた歯車73，74が噛合されている。また、この
搬送ベルト41の従動プーリ75の回転軸76は上下動可能に
長孔77に軸支されている。

【００２５】次にこの実施例の作用について説明する。

【００２６】収納部２に投入された混合状態のパチンコ
玉と、硬貨、メダルなどの硬貨類Ｃは収納部２の下部開
口部３から流出される。そして、第１の電動機52の駆動
で駆動されている第１の繰出しベルト６により硬貨類Ｃ
は区画部材４にてそれぞれ一列ごとに区分けされて機体
１の傾斜上部側に向って搬送される。また、パチンコ玉
Ｐは第１の繰出しベルト６の傾斜により機体１の一端側
に向って転動される。さらに、硬貨類Ｃはパチンコ玉規
制部材８によって機体１の一端側への移動が規制され
る。

【００２７】そして、第１の繰出しベルト６を転動した
パチンコ玉Ｐは硬貨類Ｃの通過を阻止するピン状のパチ
ンコ玉規制部材８により転動が阻止されることなく許容
されて整列手段10に転動される。この整列手段10の整列
板12にてパチンコ玉規制部材８を通過して転動するパチ
ンコ玉は一列に整列される。

【００２８】また、整列手段10の整列板12間を転動する
パチンコ玉はパチンコ玉計数手段15の受光素子17が発光
素子18からの光の受光を遮断することにより計数され
る。そして、計数されたパチンコ玉はパチンコ玉送出し
路20に転動し、パチンコ玉出口21に導出される。

【００２９】また、第１の繰出しベルト６により機体１
の他端側に搬送される硬貨類Ｃは区画部材４にてそれぞ
れ一列ごとに区分けされ、第１の繰出しベルト６から第
２の繰出しベルト７に乗り移り、第２の繰出しベルト７
は第１の繰出しベルト６より高速駆動されているため、
硬貨は滞留されることなく収納部２の下部開口部３から
機体１の他端側に向って搬送され、第２の繰出しベルト
７により繰出される硬貨類Ｃが重なっていて、硬貨類規
制部材26の規制ローラ29にて第２の繰出しベルト７によ
る硬貨類Ｃの繰出し方向と逆方向にかつこの繰出しベル
トによる繰出し速度よりも高速で回転する規制ローラ29
にて上層の硬貨類は戻され、区画部材４の低く形成され
た区画延長部25から余剰硬貨類が少ない送出し列4aへ移
動し、各送出し列4aに硬貨が均等に振り分けられ、効率
よく硬貨類Ｃが繰出される。このようにして、規制ロー
ラ29にて硬貨類Ｃが重なって繰り出されることなく一層
状態に規制されて繰り出され、また、この規制ローラ29
にてパチンコ玉Ｐの通過が阻止される。

【００３０】そして、硬貨類Ｃは規制板27の幅方向が狭
められた案内縁部28により硬貨類Ｃは一列状態に整列さ
れ、硬貨類Ｃは第２の繰出しベルト７により硬貨通路30
上に繰り出され、前記規制板27から延出された案内縁部
34間を搬送ベルト41により搬送され、この案内縁部34は
規制縁部31にて硬貨類の整列位置が規制され、選別孔32
にて小径の硬貨類Ｃが選別落下され、この選別孔32の下
方に設けたシュート33から小径硬貨の収納箱39に収納さ
れる。

【００３１】さらに、この硬貨通路30の上部側に規制板
27に案内されて通過して一枚ずつ繰出される硬貨類Ｃは
硬貨類計数手段35の検出孔36を透過する発光素子38の光
の受光が遮断されることにより計数される。計数されて
搬送ベルト41にて繰り出される硬貨類Ｃは、前記硬貨通
路30の搬送端から硬貨類送出路45に送出され、この硬貨
類送出路45から硬貨類送出口46に導出される。

【００３２】このようにして、パチンコ玉Ｐと硬貨類Ｃ
との計数が一つの計数機で計数できる。

【００３３】

【考案の効果】本考案によれば、収納部内の多数の硬貨
類を載置して昇り傾斜方向に繰出す繰出しベルトを、硬
貨類を一層一列状態に規制する硬貨類規制部材の手前位
置で分割し、底部域を構成する第１の繰出しベルトを低
速駆動するとともに、高部域を構成する第２の繰出しベ
ルトを高速駆動することにより、第１の繰出しベルトで
収納部からの硬貨類の繰出し量を適当な量に規制し、第
２の繰出しベルトで硬貨類規制部材により一層一列状態
に規制される硬貨類を高速で送り出すことができ、従来
の繰出ベルトおよび規制部材を備える繰出し収納部を上
下二段必要としていた構成に比べてコンパクトかつ安価
でありながら、硬貨類が停滞することなく計数、選別な
どの高速処理ができ、設置スペースを少なくできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す硬貨類繰出し装置を実
施した計数機の平面図である。

【図２】同上縦断側面図である。

【図３】同上繰出し装置の斜視図である。

【符号の説明】

２ 収納部 ３ 下部開口部 ６ 第１の繰出しベルト ７ 第２の繰出しベルト 26 硬貨類規制部材 Ｃ 硬貨類

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−175885（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−260291（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G07D 1/00 - 1/08

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の硬貨類を不整列状態で収納すると
   ともに硬貨類が流出する下部開口部を有する収納部と、 この収納部の下部開口部の下方位置から斜め上方に向け
   て傾斜状に張設され、硬貨類を載置して昇り傾斜方向に
   繰出す繰出しベルトと、 この繰出しベルトの繰出し側の上部域に設けられ、繰出
   される硬貨類を一層一列状態に規制する硬貨類規制部材
   とを備え、 前記繰出しベルトは、前記収納部の下部開口部に臨む低
   部域を構成する第１の繰出しベルトと、この第１の繰出
   しベルトの末端に続けて設けられ前記硬貨類規制部材の
   手前位置から後方位置にかけた高部域を構成して第１の
   繰出しベルトより高速駆動される第２の繰出しベルトと
   に分割形成されたことを特徴とする硬貨類繰出し装置。