JPH0545893Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、変速機、特にフオーク軸に貫通され
るボスと、このボスの外周面に一端を連ねる腕部
と、摺動歯車に係合し得る爪部を先端に有して腕
部の他端に連設される二股部とを備えたシフトフ
オークを用いて、第１軸上の固定歯車に対し第２
軸上の摺動歯車を進退させてその両歯車相互の噛
脱を行うようにした変速機に関する。

(2) 従来の技術 斯かる変速機において、その構造の簡素化を図
るべく１本のフオーク軸に複数のシフトフオーク
を支持し、それらシフトフオークを、それらに隣
接配置したシフトドラムに凹凸係合させて変速す
るようにしたものは、既に公知である。

また上記構造のシフトフオークも、例えば特開
昭58−64523号公報に開示されているように既に
公知である。

(3) 考案が解決しようとする問題点 上記公知の変速機は、比較的小型の車両に採用
されることが多く、そのため、変速機自体を極力
小型化することが、車両の走行性能等を向上させ
る上で望ましい。

また上記公知のシフトフオークでは、腕部がボ
スから二股部に向つて漸次幅広となるよう扇形に
形成されているが、このような腕部の形状は、該
腕部と、これに隣接する歯車やシフトドラム等の
隣接部材との中心間距離を縮めて変速機のコンパ
クト化を図ろうとする際に障害となる。

本考案は、斯かる事情に鑑みてなされたもの
で、シフトフオーク自身の堅牢且つ軽量化を図り
つつ、該シフトフオークをも含めた変速機構全体
の小型化に大いに寄与し得る変速機を提供するこ
とを目的とする。

Ｂ 考案の構成 (1) 問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本考案は、第１軸
と、その第１軸上の固定歯車に噛合し得る摺動歯
車を摺動可能に支持した第２軸と、シフトドラム
とを、それらが軸端側より見て三角形の頂点にそ
れぞれ位置し且つ互いに平行するように配設し、
前記第１軸とシフトドラムとの中間にはそれらと
平行なフオーク軸を配設し、そのフオーク軸に、
前記シフトドラムと凹凸係合して該ドラムの回転
に応じ前記摺動歯車を固定歯車に対し進退させる
ためのシフトフオークを摺動可能に支持してなる
変速機であつて、前記シフトフオークは、前記フ
オーク軸に貫通されるボスと、このボスの外周面
より前記第２軸に向かつて延出する腕部と、この
腕部の延出端部に連設されて、前記摺動歯車の環
状溝の両内側面に当接可能に対向する爪部を先端
に有する二股部とを備え、前記腕部は、その略全
長に亘りボスの外径と略同幅に、且つ爪部よりも
厚肉に形成され、前記腕部の外側面と前記二股部
の外側面とにより形成される一対の略Ｖ字状の空
間の一方が前記固定歯車に、またその他方が前記
シフトドラムにそれぞれ臨ませてあることを特徴
とする。

(2) 作用 第１軸、第２軸及びシフトドラムにより囲まれ
る横断面略三角形の空間にシフトフオークの大部
分を無理なく収めることができ、その上、該シフ
トフオークの腕部と二股部との外側面相互により
形成される略Ｖ字状の空間を固定歯車やシフトド
ラムに臨ませることによつて、その固定歯車等と
腕部との中心間距離を極力縮めることができるた
め、変速機ケーシング内において第１軸、第２軸
及びシフトドラムの三者を、その相互間にシフト
フオークをも配した形で全体としてコンパクトに
纏めて配置することが可能となる。

また二股部の爪部より厚肉の腕部は曲げ強度が
強いので、シフトフオークの作動時、摺動歯車か
ら受ける曲げモーメントに充分耐えることがで
き、その上、駄肉が無いのでシフトフオークの軽
量化をもたらす。

(3) 実施例 以下、図面により本考案の一実施例について説
明する。第１図において、変速機の第１軸として
の入力軸１と、第２軸としての出力軸２と、シフ
トドラム３とは、それらが軸端より見て三角形の
頂点に位置し且つ互いに平行するようにトランス
ミツシヨンケース（図示せず）内に配設されてお
り、また入力軸１とシフトドラム３との中間に
は、それらと平行なフオーク軸４が配設される。

入、出力軸１，２間には多段の変速歯車列が設
けられるが、図には第１速歯車列５のみを示す。
この第１速歯車列５は、入力軸１に固設された固
定歯車としての小径の駆動歯車５ａと、出力軸２
に摺動自在にスプライン嵌合した摺動歯車として
の大径の被動歯車５ｂとから構成されており、被
動歯車５ｂを軸方向にシフトして駆動歯車５ａに
噛合させれば第１速歯車列５が作動し、その噛合
を解けば該歯車列５は休止状態となる。

被動歯車５ｂを上記のようにシフトするための
シフトフオーク７が前記フオーク軸４に摺動自在
に支承される。

このシフトフオーク７は、前記フオーク軸４に
貫通されるボス８と、このボス８の外周面より出
力軸２に向かつて延出する腕部９と、この腕部９
の延出端部に連設された二股部１０とから構成さ
れており、その二股部１０が被動歯車５ｂのボス
外周に形成された環状溝１１に挿入されると共
に、二股部１０の先端に形成された一対の爪部１
０ａ，１０ａが環状溝１１の両内側面に当接可能
に配置される。

またボス８の外周面に突設されたピン状の突起
１２が前記シフトドラム３のカム溝３ａに係合さ
れる。したがつて、シフトドラム３を回転する
と、カム溝３ａの突起１２に対する誘導作用によ
りシフトフオーク７をフオーク軸４上で移動し、
被動歯車５ｂをシフトすることができる。

前記シフトフオーク７は、鍛造・鋳造等により
全体が一体に形成される。その際、第２図及び第
３図に示すように腕部９は、略全長に亘りボス８
の外径と略同幅に、且つ前記爪部１０ａよりも肉
厚に形成される。また二股部１０の、腕部９との
隣接部Ａは、腕部９と同じ厚みに形成され、さら
に二股部１０は前記隣接部Ａから、腕部９と反対
方向に向つて漸次肉厚を減じられ、その肉厚の減
少は、前記環状溝１１に入る手前の位置Ｂで終わ
つている。

上記のように、シフトフオーク７の腕部９が略
全長に亘りボス８の外径と略同幅に形成してある
ので、この腕部９の外側面と二股部１０の外側面
との間には横断面略Ｖ字状の大きな空間Ｓ，Ｓが
生じ、これら空間Ｓ，Ｓの一方に駆動歯車５ａ
を、またその他方にシフトドラム３をそれぞれ臨
ませることにより、それら駆動歯車５ａ等と腕部
９との中心間距離を大幅に縮めることができる。
しかも入力軸１、出力軸２及びシフトドラム３に
より囲まれる横断面略三角形の空間にシフトフオ
ーク７の大部分が無理なく収められるから、その
入力軸１、出力軸２及びシフトドラム３の三者
を、その相互間にシフトフオーク７をも配した形
で全体としてコンパクトに纏めて配置することが
でき、この種変速機のコンパクト化が達成され
る。

また、上記形状の腕部９はシフトフオーク７の
軽量化にも寄与し、しかも該腕部９は二股部１０
の爪部１０ａより厚肉に形成してあるので、曲げ
強度が高く、したがつてシフトフオーク７の作動
時、被動歯車５ｂから受ける曲げモーメントに充
分耐えることができ、被動歯車５ｂを的確にシフ
トすることができる。

その際、二股部１０の、腕部９との隣接部Ａも
腕部９と同じ厚みに形成され、しかもその隣接部
Ａから被動歯車５ｂの環状溝１１に入る手前まで
の範囲で肉厚の漸減がなされているので、環状溝
１１に干渉されることなく二股部１０の基部も高
い曲げ強度を有し、上記曲げモーメントに充分耐
えることができる。

Ｃ 考案の効果 以上のように本考案によれば、第１軸、第２
軸及びシフトドラムにより囲まれる横断面略三角
形の空間にシフトフオークの大部分を無理なく収
めることができ、その上、該シフトフオークの腕
部と二股部との外側面相互により形成される略Ｖ
字状の空間を固定歯車やシフトドラムに臨ませる
ことによつて、その固定歯車等と腕部との中心間
距離を極力縮めることができ、それらの結果、第
１軸、第２軸及びシフトドラムの三者を、その相
互間にシフトフオークをも配した形で全体として
コンパクトに纏めて配置することができ、変速機
の小型化に大いに寄与し得る。

また二股部の爪部より厚肉の腕部は曲げ強度が
強いので、該腕部自身の駄肉を極力無くし且つ上
記の如く固定歯車等と腕部との中心間距離を縮め
るために腕部を比較的幅狭としたにも拘わらず、
該腕部に必要な強度を付与してシフトフオークの
作動時に摺動歯車から受ける曲げモーメントに十
分対抗させることができ、従つてシフトフオーク
の堅牢化及び軽量化に寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は変速機の要部の横断面図、第２図は上記シフト
フオークの平面図、第３図は第２図の−線断
面図である。 １……第１軸としての入力軸、２……第２軸と
しての出力軸、３……シフトドラム、３ａ……カ
ム溝、４……フオーク軸、５ａ……固定歯車とし
ての駆動歯車、５ｂ……摺動歯車としての被動歯
車、７……シフトフオーク、８……ボス、９……
腕部、１０……二股部、１０ａ……爪部、１１…
…環状溝、１２……突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第１軸１と、その第１軸１上の固定歯車５ａに
   噛合し得る摺動歯車５ｂを摺動可能に支持した第
   ２軸２と、シフトドラム３とを、それらが軸端側
   より見て三角形の頂点にそれぞれ位置し且つ互い
   に平行するように配設し、前記第１軸１とシフト
   ドラム３との中間にはそれらと平行なフオーク軸
   ４を配設し、そのフオーク軸４に、前記シフトド
   ラム３と凹凸係合して該ドラム３の回転に応じ前
   記摺動歯車５ｂを固定歯車５ａに対し進退させる
   ためのシフトフオーク７を摺動可能に支持してな
   る変速機であつて、前記シフトフオーク７は、前
   記フオーク軸４に貫通されるボス８と、このボス
   ８の外周面より前記第２軸２に向かつて延出する
   腕部９と、この腕部９の延出端部に連設されて、
   前記摺動歯車５ｂの環状溝１１の両内側面に当接
   可能に対向する爪部１０ａを先端に有する二股部
   １０とを備え、前記腕部９は、その略全長に亘り
   ボス８の外径と略同幅に、且つ爪部１０ａよりも
   厚肉に形成され、前記腕部９の外側面と前記二股
   部１０の外側面とにより形成される一対の略Ｖ字
   状の空間Ｓ，Ｓの一方が前記固定歯車５ａに、ま
   たその他方が前記シフトドラム３にそれぞれ臨ま
   せてあることを特徴とする、変速機。