JP3272128B2 - 変速ギアシフト装置 - Google Patents

変速ギアシフト装置

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JP3272128B2
JP3272128B2 JP31426993A JP31426993A JP3272128B2 JP 3272128 B2 JP3272128 B2 JP 3272128B2 JP 31426993 A JP31426993 A JP 31426993A JP 31426993 A JP31426993 A JP 31426993A JP 3272128 B2 JP3272128 B2 JP 3272128B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外部からの操作により
シフトドラムを回動させ、このシフトドラムのカム溝に
係合するシフトフォークーを移動させて変速を行う変速
ギアシフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車の変速装置としては、メイン
シャフト(入力軸)とカウンターシャフト(出力軸)に
それぞれに常に噛み合っている複数組のギアが設けら
れ、各シャフトのスプライン上に摺動自在にシフターや
ギアの一部が配置され、このシフターやギアをスプライ
ン上で摺動させて移動させるためのシフトフォークが各
シャフトと平行な2本のフォーク軸上にそれぞれ摺動自
在に設けられ、各シフトフォークをそれぞれのフォーク
軸上で移動させるためのカム溝を有するシフトドラムが
外部からの操作により回動可能に設けられているような
変速ギアシフト装置が従来から広く用いられている。
【0003】この変速ギアシフト装置は、外部からの操
作によりシフトドラムが回動されると、シフトドラムの
外周面に形成されている複数のカム溝にそれぞれピンを
介して係合された各シフトフォークがカム溝の傾斜溝壁
に押されてフォーク軸上を移動し、各シフトフォークの
先端部に係合されているシフターやギアを各シャフトの
スプライン上で移動させ、この移動によってスプライン
上のシフターやギアをその側面に設けられたドッグクラ
ッチを介して複数のギア組の何れかと噛み合わせ、その
ギア組によって各シャフトを連動させると共に他のギア
組を空転させるもので、ドッグクラッチによる噛み合わ
せの相手を変えることによって各ギア組と各シャフトの
伝動関係を変更するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の変速ギアシフト装置では、シフトドラムの回動
軸をメインシャフトおよびカウンターシャフトの回動軸
に近づけようとすると、各シャフトに設けられたギアの
うちの大きなものがシフトドラムと接触することとなる
ため、シフトドラムをメインシャフトやカウンターシャ
フトからある程度離して配置することが必要であった。
【0005】そのため、各シャフトとシフトドラムのレ
イアウトをコンパクトなものとすることができず、ま
た、各シフトフォークの作用点に対するフォークピンの
位相方向が不適当なものとなる(シフトフォークの作用
するシフターの回動軸とフォーク軸を結ぶ線に対するフ
ォークピンの角度が大きくなる)ことによって、シフト
ドラムによりフォークピンの先端を力点としてシフトフ
ォークをフォーク軸上で摺動させるときにフォーク軸の
軸心方向に対してシフトフォークが傾いて所謂こじりを
起こし、シフトフィーリングが悪くなるという問題があ
った。
【0006】本発明は、上記のような従来の変速ギアシ
フト装置の持つ不都合を解消することを目的としてお
り、より具体的には、各シャフトとシフトドラムを近づ
けて配置することができるようなものとすることによっ
て、そのレイアウトのコンパクト化を図ることができ、
シフトフォークにおけるフォークピンの位相方向を最適
なものとしてシフトフィーリングの改善を図ることがで
きる変速ギアシフト装置を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決しかつ目的を達成するために、それぞれに常に噛み
合う複数組のギアが設けられたメインシャフトとカウン
ターシャフトに対して、外部からの操作により回動され
るシフトドラムのカム溝に係合して各シャフトの軸方向
に移動されるシフトフォークーが配置されている変速ギ
アシフト装置において、シフトドラムの外周面のカム溝
から離れた位置に円周方向の溝を形成すると共に、シフ
トフォークーにより動かされない大径のギアの歯部を、
該円周方向の溝の側壁や底壁に接触させることなく該溝
内に入り込ませることで、該大径のギアとシフトドラム
との干渉を回避していることを特徴とするものである。
【0008】
【作 用】上記のような構成によれば、メインシャフト
あるいはカウンターシャフトに設けられたシフトフォー
クーにより動かされない大径のギアの歯部(外周部)
が、シフトドラムの外周面と干渉するような状態となっ
ても、シフトドラムの外周面でカム溝から離れた位置
形成された円周方向の溝の溝内に、該溝の側壁や底壁に
接触させることなく該大径のギアの歯部を入り込ませ
て、該大径のギアとシフトドラムとの干渉を回避するこ
とにより、メインシャフトおよびカウンターシャフトに
対してシフトドラムをできるだけ近づけて配置すること
ができる。
【0009】また、メインシャフトおよびカウンターシ
ャフトに対してシフトドラムを近づけて配置できるた
め、シフトフォークにおけるフォークピンの位相方向を
最適なものとすることができ、フォークピンを力点とし
てシフトフォークを摺動させるときにシフトフォークが
フォーク軸の軸心方向に対して傾くことがなく、シフト
フォークとフォーク軸との間でこじりが起きることはな
い。
【0010】
【実施例】以下、本発明の変速ギアシフト装置の一実施
例を図面に基づいて説明する。
【0011】図1は、変速ギアシフト装置の軸方向から
見た各部材の配置関係を示すもので、図示されているよ
うな状態で、入力軸であるメインシャフト1と出力軸で
あるカウンターシャフト2とシフトフォークを摺動自在
に支持するフォーク軸3,4とシフトドラム5とはそれ
ぞれの回動軸が平行となるように配置されており、フォ
ーク軸3には1個のシフトフォーク31が、フォーク軸
4には2個のシフトフォーク41,42(軸方向に重な
っているため図面上はシフトフォーク41のみが示され
ている。)がそれぞれ摺動自在に軸支されている。
【0012】図2は、そのように配置されたメインシャ
フト1とカウンターシャフト2のそれぞれのギアの関係
を示すもので、メインシャフト1上には、ギア11,1
2,13,16がシャフトと一体的に回動するように、
ギア14,15が空転するようにそれぞれ設けられてお
り、カウンターシャフト2上には、ギア24,25,2
6,27がシャフトと一体的に回動するように、ギア2
1,22,23が空転するようにそれぞれ設けられてい
て、ギア11はギア21と、ギア12はギア22と、ギ
ア13はギア23と、ギア14はギア24と、ギア15
はギア25と、それぞれに常に噛み合った状態にある。
【0013】また、メインシャフト1にはスプライン1
aが形成されており、カウンターシャフト2にはスプラ
イン2a,2bが形成されていて、メインシャフト1の
スプライン1a上にはギア13が摺動自在にスプライン
係合されており、カウンターシャフト2にはスプライン
2a上にはギア25がスプライン係合されていて、スプ
ライン2b上にはシフター28がスプライン係合されて
いる。
【0014】図3および図4は、メインシャフト1とシ
フトドラム5およびカウンターシャフト2とシフトドラ
ム5の関係をそれぞれ示すもので、複数のピンを有する
星形カム51がその側面に固定されたシフトドラム5
は、図示されていないシフトペダルが踏み込まれてレバ
ー6が揺動されることにより、星形カム51を介して一
定角度(星形カム51のピンの間隔)づつ回動され、ス
トッパー56によってそれぞれの回動位置にクリックさ
れるものであり、シフトドラム5の外周面には、その円
周方向に対して傾斜する溝壁部分を有するカム溝52,
53,54が形成されている。
【0015】メインシャフト1とシフトドラム5とシフ
トフォーク31の関係については、図3に示されている
ように、シフトドラム5外周面のカム溝52には、図1
に示されているフォーク軸3に摺動自在に軸支されてい
るシフトフォーク31のフォークピン31aが、シフト
ドラム5の回転に伴ってカム溝52内を移動できるよう
に遊嵌状態に係合されており、このシフトフォーク31
の二股になった先端部31bは、メインシャフト1のス
プライン1a上に配置されたギア13を保持するように
そのフォーク係合部13aと係合されている。
【0016】カウンターシャフト2とシフトドラム5と
シフトフォーク41,42の関係については、図4に示
されているように、シフトドラム5外周面のカム溝53
には、図1に示されているフォーク軸4に摺動自在に軸
支されているシフトフォーク41のフォークピン41a
が遊嵌状態に係合されており、このシフトフォーク41
の二股になった先端部41bがカウンターシャフト2の
スプライン2a上に配置されたギア25のフォーク係合
部25aと係合されていると共に、カム溝54にはシフ
トフォーク42のフォークピン42aが遊嵌状態に係合
されており、このシフトフォーク42の二股になった先
端部42bは、カウンターシャフト2のスプライン2b
上に配置されたシフター28のフォーク係合部28aと
係合されている。
【0017】このようなシフトドラム5の外周面には、
上記の各カム溝52,53,54の他に、各カム溝5
2,53,54から離れた位置で、カウンターシャフト
2の最も大きなギア21(シフトフォークーにより動か
されないギア)に対応する位置に、円周方向の溝55が
形成されていて、この溝55によって、シフトドラム5
の外周面とギア21の歯部(外周部)とが干渉する位置
にあるにもかかわらず、ギア21とシフトドラム5との
接触が回避されている。
【0018】さらに、各ギアやシフトドラムを収納する
ミッションケースと一体のクランクケースが左右分割タ
イプである場合、クランクケースを2つに分解してその
内部に収納されている部分のメンテナンスを行ってから
再び組み付ける際等に、シフトドラム5とギア21が衝
突しないように、シフトドラム5の外周面の一部にギア
21がその軸方向に通過できるような切欠き部57が形
成されている。
【0019】上記のような構成を有する変速ギアシフト
装置は、シフトペダルを踏み込むことによりレバー6が
揺動され、星形カム51を介してシフトドラム5がそれ
ぞれの変速位置に回動されることによって、シフトドラ
ム5の外周面に形成されているカム溝52,53,54
の傾斜溝壁に押されてシフトフォーク31,41,42
がフォーク軸3,4上を適時移動し、それによって各シ
フトフォーク31,41,42の先端部31b,41
b,42bと係合しているシフター28とギア13,2
5がそれぞれのシャフトのスプライン上を移動してそれ
ぞれの側面に設けられたドッグクラッチの噛み合わせ相
手が変わることにより、各ギア組と各シャフトの伝動関
係が変更されるものである。
【0020】すなわち、ギア13,25およびシフター
28の側面が何れのギアとも噛み合っていない場合は、
それぞれに常に噛み合った状態にあるギア11とギア2
1、ギア12とギア22、ギア13とギア23、ギア1
4とギア24、ギア15とギア25において、ギア2
1,ギア22,ギア23がカウンターシャフト2に対し
て空転し、ギア14,ギア15がメインシャフト1に対
して空転するため、メインシャフト1からカウンターシ
ャフト2へは回転が伝わらず、ニュートラルの状態とな
っている。
【0021】シフトドラム5が1速の位置まで回転され
ると、カム溝52と係合するシフトフォーク41がギア
21の方に移動し、これによってギア25の側面とギア
21の側面が噛み合わされ、メインシャフト1の回転は
ギア11,ギア21,ギア25を介してカウンターシャ
フト2へ伝えられる。
【0022】シフトドラム5が2速の位置まで回転され
ると、カム溝54と係合するシフトフォーク42がギア
22の方に移動し、これによってシフター28の側面と
ギア22の側面が噛み合わされ、メインシャフト1の回
転はギア12,ギア22,シフター28を介してカウン
ターシャフト2へ伝えられる。
【0023】シフトドラム5が3速の位置まで回転され
ると、カム溝52と係合するシフトフォーク41がギア
23の方に移動し、これによってギア25の側面とギア
23の側面が噛み合わされ、メインシャフト1の回転は
ギア13,ギア23,ギア25を介してカウンターシャ
フト2へ伝えられる。
【0024】シフトドラム5が4速の位置まで回転され
ると、カム溝53と係合するシフトフォーク31がギア
14の方に移動し、これによってギア13の側面とギア
14の側面が噛み合わされ、メインシャフト1の回転は
ギア13,ギア14,ギア24を介してカウンターシャ
フト2へ伝えられる。
【0025】シフトドラム5が5速の位置まで回転され
ると、カム溝53と係合するシフトフォーク31がギア
15の方に移動し、これによってギア13の側面とギア
15の側面が噛み合わされ、メインシャフト1の回転は
ギア13,ギア15,ギア25を介してカウンターシャ
フト2へ伝えられる。
【0026】上記のような変速ギアシフト装置では、
フトドラム5の外周面において、各カム溝52,53,
54から離れた位置で、カウンターシャフト2の最も大
きなギア21(シフトフォークーにより動かされないギ
ア)に対応する位置に、円周方向の溝55が形成され
該溝55の側壁や底壁に接触することなく該大径のギア
21の歯部が該溝55内に入り込んで、該大径のギア2
1とシフトドラム5との干渉が回避されているため、
5に示されているような従来のものと比べて、メインシ
ャフト1とカウンターシャフト2に対してシフトドラム
5を近づけて配置することができる。
【0027】また、それぞれのシフトフォーク31,4
1,42におけるフォークピン31a,41a,42a
の位相方向、すなわち、シフトフォークの作用するシフ
ターの回動軸とフォーク軸を結ぶ線に対するフォークピ
ンの角度が従来のものと比べて小さくなるため、フォー
クピンを力点としてシフトフォークを摺動させるときに
フォーク軸の軸心方向に対してシフトフォークが傾いて
こじりを起こすということがない。
【0028】さらに、シフトドラム5の外周面の一部に
切欠き部57が形成されているため、左右に分割されて
いるクランクケース(ミッションケース一体)に対して
シフトドラム5と各ギアを組み付けて収納する際のシフ
トドラム5とギア21の組み付けが容易となる。
【0029】以上、本発明の変速ギアシフト装置を一実
施例により説明したが、本発明は、上記のような具体的
な構造にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲
に記載された限りにおいて適宜変更可能なものであるこ
とはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】以上説明したような本発明の変速ギアシ
フト装置によれば、メインシャフトおよびカウンターシ
ャフトとシフトドラムを近づけて配置することができ、
そのレイアウトのコンパクト化を図ることができると共
に、シフトフォークにおけるフォークピンの位相方向を
最適なものとしてシフトフィーリングの改善を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変速ギアシフト装置の一実施例におけ
る各部材の配置関係の側方から見た状態を示す説明図。
【図2】図1に示された実施例のA−A線に沿ったメイ
ンシャフトとカウンターシャフトの断面図。
【図3】図1に示された実施例のB−O線に沿ったメイ
ンシャフトとシフトドラムの断面図。
【図4】図1に示された実施例のC−O線に沿ったカウ
ンターシャフトとシフトドラムの断面図。
【図5】従来の変速ギアシフト装置における各部材の配
置関係の図1に対応する説明図。
【符号の説明】
1 メインシャフト 2 カウンターシャフト 5 シフトドラム 15 ギア 21 ギア 31 シフトフォーク 41 シフトフォーク 42 シフトフォーク 52 カム溝 53 カム溝 54 カム溝 55 円周方向の溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48 F16H 3/00 - 3/78 F16H 57/00 - 57/12 B62M 25/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれに常に噛み合う複数組のギアが
    設けられたメインシャフトとカウンターシャフトに対し
    て、外部からの操作により回動されるシフトドラムのカ
    ム溝に係合して各シャフトの軸方向に移動されるシフト
    フォークーが配置されている変速ギアシフト装置におい
    て、シフトドラムの外周面のカム溝から離れた位置に
    周方向の溝が形成されていると共に、シフトフォークー
    により動かされない大径のギアの歯部が、該円周方向の
    溝の側壁や底壁に接触することなく該溝内に入り込んで
    いることで、該大径のギアとシフトドラムとの干渉が回
    避されていることを特徴とする変速ギアシフト装置。
JP31426993A 1993-11-19 1993-11-19 変速ギアシフト装置 Expired - Lifetime JP3272128B2 (ja)

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JPH07139627A JPH07139627A (ja) 1995-05-30
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EP2597339B1 (en) 2008-10-30 2020-09-02 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Shift mechanism, transmission and vehicle equipped therewith
JP5064478B2 (ja) * 2009-12-09 2012-10-31 本田技研工業株式会社 変速装置
JP6631287B2 (ja) * 2016-02-05 2020-01-15 スズキ株式会社 車両の変速装置およびエンジン

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