JP2014214825A - 同期機構付きドグクラッチ - Google Patents

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Yoshihisa Sugano
嘉久 菅野
大関 孝
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孝 大関
幸生 横川
Yukio Yokogawa
幸生 横川
牧田宏之
Hiroyuki Makita
宏之 牧田
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    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D23/00Details of mechanically-actuated clutches not specific for one distinct type
    • F16D23/02Arrangements for synchronisation, also for power-operated clutches
    • F16D23/04Arrangements for synchronisation, also for power-operated clutches with an additional friction clutch
    • F16D23/06Arrangements for synchronisation, also for power-operated clutches with an additional friction clutch and a blocking mechanism preventing the engagement of the main clutch prior to synchronisation

Abstract

【課題】簡単な構造で同期作用を実行でき小型化が図れるドグクラッチを安価に供する。
【解決手段】第1回転体(60)における第2回転体(50)に対向する対向面に基端部を支持された摺接片(81,91,101)が、回転中心軸(Z)に対して角度をもって起立するとともに第2回転体(50)とは反対側へ弾性部材(82,93,103)の弾性力に抗して揺動可能に設けられ、第2回転体(50)における第1回転体(60)に対向する対向面に摺接片(81,91,101)に当接可能な突出部(55)が第2ドグ歯(54)より第1回転体(60)側に突出して形成され、第1ドグ歯(64)と第2ドグ歯(54)が噛合する前に、突出部(55)が起立した摺接片(81,91,101)に当接し同摺接片(81,91,101)を弾性部材(82,93,103)の付勢力に抗して倒伏させながら摺接し同期をとる同期機構付きドグクラッチ。
【選択図】図5

Description

本発明は、歯の噛み合いを利用したクラッチであるドグクラッチであって、特に同期機構付きのドグクラッチに関する。
ドグクラッチは、ドグ歯の噛み合いによってトルク伝達が行われるため、摩擦クラッチと異なりすべりが全くなく、確実にトルク伝達がなされるが、すべりがないことからクラッチの接続の際に衝撃を伴い、打音を発生することがある。
そこで、互いの回転体の回転を同期させてドグ歯を噛合させる同期機構を備えたドグクラッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−82539号公報
特許文献1に開示されたドグクラッチは、車両用動力伝達装置に適用されたもので、回転軸と一体のハブの外周にスリーブがドグ歯の噛み合いにより軸方向に移動可能に外嵌され、回転軸に回転自在に軸支された歯車のハブのドグ歯と同径に形成されたドグ歯に、スリーブが移動してスリーブのドグ歯がハブのドグ歯と歯車のドグ歯の双方に跨って噛合することで、トルク伝達がなされる。
このドグクラッチに備えられた同期機構(シンクロメッシュ機構)は、歯車のテーパコーン面に嵌合したブロッキングリングがスリーブと歯車間にハブのドグ歯と同径に形成されたドグ歯を有して配設され、スリーブのドグ歯に形成されたチャンファに対向するブロッキングリングのドグ歯および歯車のドグ歯にそれぞれチャンファが形成されている。
回転するハブに噛合したスリーブが歯車の方に移動すると、スプリングを介してブロッキングリングが歯車のテーパコーン面に押圧されて摩擦力により歯車が回転して同期作用が開始し、スリーブのチャンファがブロッキングリングのチャンファに係合すると、ブロッキングリングが歯車のテーパコーン面にさらに押圧されて、強い摩擦力が働いてスリーブと歯車との同期作用が完了する。
その後のスリーブの移動で、スリーブのドグ歯は同期回転する歯車のドグ歯に円滑に噛合する。
このように、特許文献1に係るドグクラッチは、回転体の外周に噛合されたスリーブが移動してクラッチの断接を行うもので、同期作用をなすシンクロメッシュ機構は、スリーブと歯車との間にドグ歯を備えるブロッキングリングを設け、スリーブ,ブロッキングリング,歯車のそれぞれにチャンファを加工成形しなければならない。
したがって、特許文献1に係るドグクラッチは、構造が複雑で大型化し、各部品の加工成形作業も容易でなく、コスト高となる。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、簡単な構造で同期作用を実行でき、小型化が図れるドグクラッチを安価に供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
同一軸体(10)に軸方向位置を規制されて軸支される第1回転体(60)と軸方向に移動可能に軸支される第2回転体(50)が、互いの対向面にそれぞれ互いに噛合可能な第1ドグ歯(64)と第2ドグ歯(54)を備え、
前記第1回転体(60)に対し前記第2回転体(50)が接近すると、前記第1ドグ歯(64)と前記第2ドグ歯(54)が噛合して互いに動力が伝達される同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面に基端部を支持された摺接片(81,91,101)が、回転中心軸(Z)に対して角度をもって起立するとともに前記第2回転体(50)とは反対側へ弾性部材(82,93,103)の弾性力に抗して揺動可能に設けられ、
前記第2回転体(50)における前記第1回転体(60)に対向する対向面に前記摺接片(81,91,101)に当接可能な突出部(55)が前記第2ドグ歯(54)より前記第1回転体(60)側に突出して形成され、
前記第1回転体(60)に対し前記第2回転体(50)が接近すると、前記第1ドグ歯(64)と前記第2ドグ歯(54)が噛合する前に、前記突出部(55)が起立した前記摺接片(81,91,101)に当接し同摺接片(81,91,101)を前記弾性部材(82,93,103)の付勢力に抗して倒伏させながら摺接し、前記第1回転体(60)と前記第2回転体(50)の回転を同期させる同期機構(80,90,100)を備えたことを特徴とする同期機構付きドグクラッチである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記摺接片(81,91,101)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に複数支持され、
前記突出部(55)は、前記第2回転体(50)における前記第1回転体(60)に対向する対向面に複数の前記摺接片(81,91,101)に当接可能に突出した円環状リブ(55)であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記弾性部材(82)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に取り付けられた環状ワイヤ(82)であり、
複数の前記摺接片(81)は、前記環状ワイヤ(82)に基端部を固着されて周方向に等間隔に配設されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記摺接片(91)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面に回転中心軸(Z)を中心とする同心円上の支軸(92)に基端を軸支されて軸方向に揺動自在に支持され、
前記弾性部材(93)は、前記支軸(92)に巻回されたねじりコイルばね(93)であり、同ねじりコイルばね(93)の一端が前記第1回転体(60)に固着され、同ねじりコイルばね(93)の他端が前記摺接片(91)に固着され、前記摺接片(91)の前記第2回転体(50)とは反対側への揺動に対して前記第2回転体(50)側に付勢力が作用することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項2記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記摺接片(101)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面に回転中心軸(Z)を中心とする同心円上の支軸(102)に基端を軸支されて軸方向に揺動自在に支持され、
前記弾性部材(103)は、圧縮コイルばね(103)であり、起立した前記摺接片(101)と同摺接片(101)の前記第2回転体(50)とは反対側で前記第1回転体(60)との間に介装され、前記摺接片(101)の前記第2回転体(50)とは反対側への揺動に対して前記第2回転体(50)側に付勢力が作用することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記支軸(92,102)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に取り付けられた環状ワイヤ(92,102)であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項2ないし請求項6のいずれか1項記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記第1回転体(60)と前記第2回転体(50)は、内燃機関の変速機(7)に使用される互いに隣合う第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)であり、
前記第1変速歯車(60)における前記第2変速歯車(50)に対向する対向面に円筒突出部(65)が軸方向に突出形成され、
複数の前記摺接片(81,91,101)が、前記第1変速歯車(60)の前記円筒突出部(65)の先端環状部(65a)に基端部を支持され回転中心軸(Z)側に起立して設けられることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
複数の前記摺接片(81,91,101)は、前記円筒突出部(65)に支持される基端部より前記第2変速歯車(50)とは反対側に延出して回転中心軸(Z)に対して傾斜した姿勢で起立されることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記摺接片(81,91,101)の先端部に重錘(81w,91w,101w)が設けられることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項8または請求項9記載の同期機構付きドグクラッチにおいて、
前記摺接片(81,91,101)は低速用の前記変速歯車(60)に取り付けられることを特徴とする。
請求項1記載の同期機構付きドグクラッチによれば、第1回転体(60)の第2回転体(50)に対向する対向面に基端部を支持された摺接片(81,91,101)が、回転中心軸(Z)に対して角度をもって起立するとともに第2回転体(50)とは反対側へ弾性部材(82,93,103)の弾性力に抗して揺動可能に設けられ、第2回転体(50)の第1回転体(60)に対向する対向面に摺接片(81,91,101)に当接可能な突出部(55)が第2ドグ歯(54)より第1回転体(60)側に突出して形成され、第1回転体(60)に対し第2回転体(50)が接近すると、第1ドグ歯(64)と第2ドグ歯(54)が噛合する前に、第2回転体(50)の突出部(55)が、起立した摺接片(81,91,101)に当接し、同摺接片(81,91,101)を弾性部材(82,93,103)の付勢力に抗して倒伏させながら摺接されるので、動摩擦力により第1回転体(60)と第2回転体(50)の回転を同期させることができ、同期した状態で第1ドグ歯(64)と第2ドグ歯(54)を円滑に噛合させることができる。
第1回転体(60)に弾性部材(82,93,103)を備えて摺接片(81,91,101)が揺動可能に支持される簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、小型化が図れるとともに、部品の加工成形も容易であることもあって、コストを低く抑えることができる。
請求項2記載の同期機構付きドグクラッチによれば、摺接片(81,91,101)は、第1回転体(60)の第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に複数支持され、第2回転体(50)の第1回転体(60)に対向する対向面に突出した円環状リブ(55)が複数の摺接片(81,91,101)に当接する構造であるので、複数の摺接片(81,91,101)が弾性部材(82,93,103)の弾性力により円環状リブ(55)に摺接することで、動摩擦力により第1回転体(60)と第2回転体(50)の回転を容易に同期させることができる。
請求項3記載の同期機構付きドグクラッチによれば、前記弾性部材(82)は第1回転体(60)における第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に取り付けられた環状ワイヤ(82)であり、複数の摺接片(81)は環状ワイヤ(82)に基端部を固着されて周方向に等間隔に配設されるので、第1回転体(60)に対し第2回転体(50)が接近し、起立した複数の摺接片(81)に円環状リブ(55)が当接すると、摺接片(81)の揺動により環状ワイヤ(82)にねじり弾性変形が生じ、このねじり弾性変形を復元しようとする弾性力が摺接片(81)を円環状リブ(55)に押圧する形で作用して、その押圧力の下での摺接による動摩擦力により第1回転体(60)と第2回転体(50)の回転を同期させることができる。
第1回転体(60)に取り付けられる環状ワイヤ(82)に複数の摺接片(81)の基端部を固着する極めて簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、ドグクラッチの小型化が図れる。
さらに、部品自体の加工成形も容易であり、コストの低減を図ることができる。
請求項4記載の同期機構付きドグクラッチによれば、前記摺接片(91)は、第1回転体(60)における第2回転体(50)に対向する対向面に回転中心軸(Z)を中心とする同心円上の支軸(92)に基端を軸支されて軸方向に揺動自在に支持され、前記弾性部材(93)は、支軸に巻回されたねじりコイルばね(93)であり、同ねじりコイルばね(93)の一端が第1回転体(60)に固着され、他端が摺接片(91)に固着され、摺接片(91)の第2回転体(50)とは反対側への揺動に対して第2回転体(50)側に付勢力が作用するので、第1回転体(60)に対し第2回転体(50)が接近し、起立した複数の摺接片(91)に円環状リブ(55)が当接すると、摺接片(91)の揺動によりねじりコイルばね(93)の弾性力が摺接片(91)を円環状リブ(55)に押圧する形で作用して、その摺接による動摩擦力により第1回転体(60)と第2回転体(50)の回転を同期させることができる。
第1回転体(60)に揺動自在に複数の摺接片(91)を軸支し、ねじりコイルばね(93)を介装する極めて簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、ドグクラッチの小型化が図れる。
さらに、部品自体の加工成形も容易であり、コストの低減を図ることができる。
請求項5記載の同期機構付きドグクラッチによれば、前記摺接片(101)は、第1回転体(60)における第2回転体(50)に対向する対向面に回転中心軸(Z)を中心とする同心円上の支軸(102)に基端を軸支されて軸方向に揺動自在に支持され、前記弾性部材(103)は、圧縮コイルばね(103)であり、起立した摺接片(101)と同摺接片(101)の第2回転体(50)とは反対側で第1回転体(60)との間に介装され、摺接片(101)の第2回転体(50)とは反対側への揺動に対して第2回転体(50)側に付勢力が作用するので、第1回転体(60)に対し第2回転体(50)が接近し、起立した複数の摺接片(101)に円環状リブ(55)が当接すると、摺接片(101)の揺動により圧縮コイルばね(103)の弾性力が摺接片(101)を円環状リブ(55)に押圧する形で作用して、その摺接による動摩擦力により第1回転体(60)と第2回転体(50)の回転を同期させることができる。
第1回転体(60)に揺動自在に複数の摺接片(101)を軸支し、圧縮コイルばね(103)を介装する極めて簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、ドグクラッチの小型化が図れる。
さらに、部品自体の加工成形も容易であり、コストの低減を図ることができる。
請求項6記載の同期機構付きドグクラッチによれば、前記支軸(92,102)は、第1回転体(60)における第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に取り付けられた環状ワイヤ(92,102)であるので、複数の摺接片(91,101)を1本の環状ワイヤ(92,102)で軸支することができ、部品点数をさらに削減するとともに、構造も簡素化することができる。
請求項7記載の同期機構付きドグクラッチによれば、第1回転体(60)と第2回転体(50)は、内燃機関の変速機(7)に使用される互いに隣合う第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)であり、第1変速歯車(60)における第2変速歯車(50)に対向する対向面に円筒突出部(65)が軸方向に突出形成され、複数の摺接片(81,91,101)が、第1変速歯車(60)の円筒突出部(65)の先端環状部(65a)に基端部を支持され回転中心軸(Z)側に起立して設けられるので、第1変速歯車(60)に対して第2変速歯車(50)が接近すると、第1変速歯車(60)の複数の摺接片(81,91,101)が弾性部材(82,93,103)の弾性力により第2変速歯車(50)の円環状リブ(55)に摺接し、動摩擦力により第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)の回転を同期させた後に、第1ドグ歯(64)と第2ドグ歯(54)を円滑に噛合させて第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)を一体に回転し、一方で第1変速歯車(60)に対して第2変速歯車(50)を離隔すると、第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)は互いに独立に回転することになり、第1変速歯車(60)に対して第2変速歯車(50)を接近・離隔することで、変速段の切換えが行うことができる。
請求項8記載の同期機構付きドグクラッチによれば、複数の摺接片(81,91,101)は、円筒突出部(65)に支持される基端部より第2変速歯車(50)とは反対側に延出して回転中心軸(Z)に対して傾斜した姿勢で起立されるので、第1変速歯車(60)の回転数が上昇すると、回転中心軸(Z)に対して傾斜した姿勢で起立していた複数の摺接片(81,91,101)は遠心力により弾性部材(82,93,103)の付勢力に抗して円筒突出部(65)の内周面に倒れていき、高速回転で複数の摺接片(81,91,101)が円筒突出部(65)の内周面に倒伏すると、第2変速歯車(50)の円環状リブ(55)が摺接することがなく、第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)の回転の同期が実行されない。
したがって、内燃機関の機関音が比較的に静かな低速回転時のみ同期がなされて円滑で静かなドグ歯(54,64)の噛合がなされ、内燃機関の機関音がドグ歯(54,64)の噛合音より大きい高速回転時には摺接片(81,91,101)が円環状リブ(55)に摺接せず、すなわち同期をとることをせず、摺接片(81,91,101)の摺接の機会をできるだけ減らして耐久性を図り、かつ噛み合いに要する時間を短縮してシフトフィーリングを向上することができる。
請求項9記載の同期機構付きドグクラッチによれば、摺接片(81,91,101)の先端部に重錘(81w,91w,101w)が設けられるので、機関回転数の上昇に伴う遠心力による摺接片(81,91,101)の倒伏を正確に行うことができ、同期を行わないようにする機関回転数を精度良く設定することができる。
請求項10記載の同期機構付きドグクラッチによれば、摺接片(81,91,101)は低速用の前記変速歯車(60)に取り付けられるので、機関回転数の小さい低速回転時の変速段の切換え時に、接続する低速用の変速歯車(60)の同期がなされるので、低速の変速段の切換えが円滑に静かに実行される。
本実施の形態に係る変速機の断面図である。 5速従動歯車の左側面図(図1のII矢視図)である。 1速従動歯車の右側面図(図1のIII矢視図)である。 環状ワイヤに複数の摺接片が取り付けられた状態を示す斜視図である。 同変速機がニュートラル状態で1速従動歯車に対して5速従動歯車が完全に離れた状態を示す要部拡大断面図である。 5速従動歯車が移動し同期が始まる状態を示す同要部拡大断面図である。 5速従動歯車がさらに移動しドククラッチが接合を始める状態を示す同要部拡大断面図である。 5速従動歯車がさらに移動しドククラッチが接合を完了した状態を示す同要部拡大断面図である。 別の実施の形態の要部拡大断面図である。 さらに別の実施の形態の要部拡大断面図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図8に基づいて説明する。
本実施の形態に係る同期機構付きドグクラッチを適用した変速機の構造を、図1に示す。
本変速機1は、車載内燃機関のクランクケース2に収容される常時噛合い式ツインクラッチ変速機である。
シフトドラム、シフトフォークからなるチェンジ機構は、図示を省略している。
図の矢印L、Rは内燃機関1を車両に搭載した時の車両の左右に対応する左右の方向を示している。
変速機7は、メイン軸9と、カウンタ軸10と、プライマリ従動ギヤ20と、一対の第1クラッチ21Aと第2クラッチ21Bとからなるツインクラッチ21を備えている。
メイン軸9の左端はボールベアリング22を介してクランクケース2に、中央部はボールベアリング23を介してクランクケース2に、それぞれ回転可能に支持されている。
メイン軸9の右端は、ボールベアリング24を介して右クランクケースカバー17に回転可能に支持されている。
カウンタ軸の左端はボールベアリング25を介してクランクケース2に、右端はニードルベアリング26を介してクランクケース2に、それぞれ回転可能に支持されている。
メイン軸9は、長尺のメイン軸内筒9Aの外周にメイン軸外筒9Bとクラッチ部外筒9Cが左右に並んで回転自在に嵌合して構成されている。
メイン軸外筒9Bは、メイン軸内筒9Aの一部をニードルベアリング27を介して相対回転可能に覆っている。
メイン軸9にはM1〜M6の6個の駆動変速ギヤが設けてあり、カウンタ軸10には前記変速ギヤM1〜M6に対応して、これらと常時噛み合うC1〜C6の6個の被動変速ギヤが設けてある。
Mはメイン軸上の駆動変速ギヤ、Cはカウンタ軸上の被動変速ギヤ、添数字1〜6は1速〜6速の変速比を決める変速ギヤであることを示している。
奇数変速段の駆動変速ギヤM1、M5、M3はメイン軸内筒9Aに、偶数変速段の駆動変速ギヤM4、M6、M2はメイン軸外筒9Bに設けてある。
図1において、前記変速ギヤ符号に付した添字xは、軸と一体形成された固定変速ギヤ、添字wは、軸に保持され、軸上の所定の位置で軸に対して相対回転可能の空転変速ギヤ、添字sは軸方向摺動可能の摺動変速ギヤを表す。
摺動変速ギヤは、スプライン30によって軸に保持され軸に対して周方向に相対回転しないが軸方向には摺動が可能な変速ギヤである。
固定変速ギヤ(添字x)及び摺動変速ギヤ(添字s)が噛み合う相手側の変速ギヤは、必ず空転変速ギヤ(添字w)である。
空転変速ギヤ(添字w)は単独では変速ギヤとしての機能を果たせず、変速ギヤとしての機能を果たすには、隣に設けられている摺動変速ギヤ(添字s)とドグクラッチのドグ歯を互いに噛合することによって軸に固定されることが必要である。
摺動変速ギヤには、チェンジ機構(図示なし)のシフトフォークが係合する係合溝Gが設けてあり、これに係合するシフトフォークによって、摺動変速ギヤ(添字s)は軸方向に移動する。
一対の第1クラッチ21Aと第2クラッチ21Bとからなるツインクラッチ21はクラッチ部外筒9C上に構成されており、クラッチ部外筒9Cの中央にプライマリ従動ギヤ20、その両側に第1クラッチ21Aと第2クラッチ21Bのクラッチアウタ37A、37Bがスプライン嵌合して軸方向の移動を規制されて設けられている。
すなわち、クラッチ部外筒9Cに固定されてプライマリ従動ギヤ20とクラッチアウタ37A、37Bが一体に回転する。
なお、プライマリ従動ギヤ20はクランク軸8に設けられるプライマリ駆動ギヤ(図示なし)に噛合うギヤである。
そして、第1クラッチ21Aのクラッチインナ40Aはメイン軸内筒9Aに軸方向の移動を規制されてスプライン嵌合され、第2クラッチ21Bのクラッチインナ40Bはメイン軸外筒9Bに軸方向の移動を規制されてスプライン嵌合されている。
クラッチアウタ37A(37B)側の一緒に回転する駆動摩擦板とクラッチインナ40A(40B)側の一緒に回転する被動摩擦板とを交互に配列した摩擦板群45A(45B)を加圧プレート46A(46B)が加圧可能である。
加圧プレート46A,46Bを選択的に駆動する油圧回路が、メイン軸内筒9Aとクラッチ部外筒9Cおよび右クランクケースカバー17に形成されている。
加圧プレート46Aが駆動されて摩擦板群45Aが加圧されると、第1クラッチ21Aが接続し、プライマリ従動ギヤ20に入力された動力がメイン軸内筒9Aに伝達され、奇数変速段の固定変速ギヤM1xと摺動変速ギヤM3sが回転する。
他方、加圧プレート46Bが駆動されて摩擦板群45Bが加圧されると、第2クラッチ21Bが接続し、プライマリ従動ギヤ20に入力された動力がメイン軸外筒9Bに伝達され、偶数変速段の固定変速ギヤM2xと摺動変速ギヤM4sが回転する。
この選択的に回転されるメイン軸21上の変速ギヤと選択的に隣りの変速ギヤに噛合する摺動変速ギヤM3s,M4s,C5s,C6sの組合せにより、1速段から6速段までのいずれかの変速段が確立する。
例えば、1速段を確立するときは、第1クラッチ21Aを接続してメイン軸内筒9Aを固定変速ギヤM1xと摺動変速ギヤM3sとともに回転し、カウンタ軸10上の摺動変速ギヤC5sを左方に移動して左隣りの空転変速ギヤC1wと互いのドグクラッチのドグ歯を噛合すれば、固定変速ギヤM1xと空転変速ギヤC1wとの噛合いにより1速の速度比で回転する空転変速ギヤC1wが摺動変速ギヤM3sを介してカウンタ軸10を1速の速度比で回転する。
第1クラッチ21Aが接続しているときに、摺動変速ギヤC5sを右方に移動して右隣りの空転変速ギヤC3wと互いのドグクラッチのドグ歯を噛合すれば、3速の速度比でカウンタ軸10を回転することができる。
このように、本変速機7は、1速から5速までの各変速段を確立する各ドグクラッチが設けられているが、そのうち1速の変速段を確立する空転変速ギヤC1wと摺動変速ギヤC5sとの間に構成されるドグクラッチにのみ同期機構80が組み込まれている。
以下、摺動変速ギヤC5sを5速従動歯車50とし、空転変速ギヤC1wを1速従動歯車60として記述して説明する。
図5は、カウンタ軸10に軸支される5速従動歯車50(摺動変速ギヤC5s)と1速従動歯車60(空転変速ギヤC1w)の互いに離れた状態の部分拡大断面図である。
5速従動歯車50は、軸孔ボス部51の内周のスプライン51sがカウンタ軸10のスプライン10sにスプライン嵌合して相対回転は規制されて軸方向に移動自在に軸支されており、1速従動歯車60は、カウンタ軸10に軸方向位置を規制されてニードルベアリング10bを介して回転自在に軸支されている。
5速従動歯車50を1速従動歯車60側から視た図(図1のII矢視図)が図2であり、同図2と図5を参照して、5速従動歯車50は、シフトフォークが係合する係合溝Gを有し(図1参照)、係合溝Gの左側に軸孔ボス部51から径方向に円環状壁部52が延出し、円環状壁部52の外周縁に5速従動変速歯53が形成されている。
この5速従動変速歯53は、従動変速歯の中で2番目に小さい外径を有する。
そして、5速従動歯車50における1速従動歯車60に対向する対向面に円環状壁部52から6本のドグ歯54が周方向に等間隔に突出形成されている。
隣合うドグ歯54の間に形成されるドグ穴54hはドグ歯54より幅広である。
この6本のドグ歯54の外周縁を連結するように、円環状リブ55が突出形成されている。
円環状リブ55は、ドグ歯54よりも1速従動歯車60側に突出している。
一方、1速従動歯車60を5速従動歯車50側から視た図(図1のIII矢視図)が図3であり、同図3と図5を参照して、1速従動歯車60は、ニードルベアリング10bを外嵌する軸孔ボス部61から左側に片寄って径方向に延出する円環状壁部62が延出し、円環状壁部62の外周縁に1速従動変速歯63が形成されている。
この1速従動変速歯63は、従動変速歯の中で最も大きい外径を有する。
そして、1速従動変速歯63における5速従動歯車50に対向する対向面に円環状壁部62から6本のドグ歯64が周方向に等間隔に突出形成されている。
6本のドグ歯64は、軸孔ボス部61から放射状に延出しており、5速従動歯車50のドグ歯54と軸方向で対応する位置にある。
すなわち、1速従動変速歯63のドグ歯64と5速従動歯車50のドグ歯54は、従動歯車の回転中心軸Z(カウンタ軸10の中心軸)から略同距離にあって、互いに噛合することができるドグクラッチ70を構成する。
1速従動歯車60における5速従動歯車50に対向する対向面には、6本のドグ歯64より外周に円筒突出部65が、円環状壁部62から5速従動歯車50側に向けて突出形成されている。
6本のドグ歯64とその外周の円筒突出部65との間には環状に凹部66が形成されており、同凹部66に5速従動歯車50の円環状リブ55が臨んでおり、同凹部66に円環状リブ55が挿入可能である。
1速従動変速歯63は円環状壁部62より5速従動歯車50側に片寄って形成されているので、1速従動変速歯63と円筒突出部65との間に環状凹部67が形成されている。
本ドグクラッチ70は、同期機構80を備えている。
1速従動歯車60の円筒突出部65は、ドグ歯64より5速従動歯車50側に突出しており、その円筒突出部65の先端環状部65aが周方向に等間隔に切欠き65bが複数形成されており、この複数の切欠き65bにそれぞれ嵌るようにして同期機構80の摺接片81が複数配設される(図3参照)。
摺接片81は、矩形板状をした動摩擦係数の大きい摩擦金属板であり、鋼線をリング状に形成した環状ワイヤ82に、複数の摺接片81が周方向に等間隔に基端部を固着されて支持されている。
環状ワイヤ82は、1速従動歯車60の円筒突出部65の先端環状部65aの内周面に周方向に形成された内周溝65cに内側から嵌合する外径を有する(図5参照)。
円筒突出部65の先端環状部65aの内周溝65cに嵌合した環状ワイヤ82における先端環状部65aの複数の切欠き65bに対応する部分にそれぞれ摺接片81が設けられる。
図5に示すように、摺接片81は、矩形板状部81aの基端部が環状ワイヤ82に巻き付くようにして一体に固着され、固着された基端部から矩形板状部81aが5速従動歯車50とは反対側(左側)に延出して回転中心軸Zに対して角度をもって傾斜した姿勢で起立される。
この図5に示す状態は、摺接片81および環状ワイヤ82に外力が加わらないときのものであり、この傾斜した姿勢で起立する摺接片81は、6本のドグ歯64とその外周の円筒突出部65との間に環状に形成された凹部66の右側開口に起立しており、凹部66に臨む5速従動歯車50の円環状リブ55が摺接片81の矩形板状部81aに対向している。
摺接片81の矩形板状部81aは、円環状リブ55に対向する面が、円環状リブ55の外周面と同じ曲率で湾曲した凹面をなすように湾曲している。
摺接片81の矩形板状部81aの先端部は、厚肉に膨らんで重量を増した重錘81wが形成されている。
1速従動歯車60の円筒突出部65の内周面には、この摺接片81の重錘81wの干渉を避ける内周溝65dが円環状壁部62寄りに形成されている。
図4に示す環状ワイヤ82に複数の摺接片81が固着されたものは、環状ワイヤ82を撓ませることで、1速従動歯車60の円筒突出部65の先端環状部65aの内周面の内周溝65cに簡単に嵌合して取り付けることができ、また、内周溝65cから外すことも容易であり、作業性が良い。
本同期機構80は、弾性部材として環状ワイヤ82のねじり弾性力を利用したものである。
以下、本同期機構付きドグクラッチ70のクラッチ動作を、図5ないし図8に従って説明する。
図5は、ニュートラル状態を示しており、1速従動歯車60は回転しているが、この1速従動歯車60に対して5速従動歯車50が完全に離れている。
1速従動歯車60の凹部66に臨む5速従動歯車50の円環状リブ55は、傾斜した姿勢で起立する摺接片81の矩形板状部81aに対向して離れて位置しており、5速従動歯車50のドグ歯54は1速従動歯車60のドグ歯64からさらに離れた位置にある。
1速変速段に切り換えるべく、チェンジ機構により5速従動歯車50が左方に移動させられると、図6に示すように、まず距離p(約1.5mm)だけ移動したところで、5速従動歯車50の円環状リブ55が回転する1速従動歯車60側の傾斜した姿勢で起立する摺接片81に接する。
5速従動歯車50のドグ歯54は、まだ1速従動歯車60のドグ歯64から離れている。
この状態から5速従動歯車50がさらに左方に移動すると、同期が始まり、5速従動歯車50の円環状リブ55が旋回する複数の摺接片81の矩形板状部81aの湾曲した凹面に摺接しながら複数の摺接片81を揺動し倒していくので、摺接片81の揺動により環状ワイヤ82にねじり弾性変形が生じ、このねじり弾性変形を復元しようとする弾性力が摺接片81を円環状リブ55に押圧する形で作用して、その押圧力の下での摺接による動摩擦力により1速従動歯車60の回転に5速従動歯車50を追従させるように作用して同期がとられいく。
図7に示すように、図6に示す同期が始まる状態から5速従動歯車50が左方に距離qだけ移動すると、5速従動歯車50のドグ歯54は1速従動歯車60のドグ歯64に達し、まさに噛合が始まる状態で、この距離q(1.0〜1.5mm)を5速従動歯車50が移動する間が、同期機構80が働いて1速従動歯車60と5速従動歯車50の回転の同期作用がなされる。
図7に示す状態からさらに5速従動歯車50が左方に移動すれば、5速従動歯車50のドグ歯54が1速従動歯車60のドグ歯64に噛合して、ドグクラッチ70が接合状態となり、1速従動歯車60と一体に5速従動歯車50がカウンタ軸10とともに回転し、1速変速段が確立する。
図8は、5速従動歯車50の左方への移動が完了した状態を示しており、図7のドグクラッチ70の接合が始まる状態から距離r(4.0mm以上)だけ移動した位置にある。
この状態で、摺接片81は、1速従動歯車60の円筒突出部65の内周面に倒伏している。
このとき、摺接片81の先端部の厚肉に膨らんだ重錘81wは円筒突出部65の内周面の内周溝65dに収まっている。
以上のように、1速従動歯車60に5速従動歯車50が接近すると、5速従動歯車50のドグ歯54が1速従動歯車60のドグ歯64に噛合する前に、5速従動歯車50の円環状リブ55が、1速従動歯車60側の摺接片81に当接し、同摺接片81を環状ワイヤ82のねじり弾性変形の付勢力に抗して倒伏させながら摺接されるので、動摩擦力により1速従動歯車60と5速従動歯車50の回転を同期させることができ、同期した状態で5速従動歯車50のドグ歯54と1速従動歯車60のドグ歯64を円滑に噛合させることができ、変速段の切換えが円滑になされる。
1速従動歯車60に取り付けられる環状ワイヤ82に複数の摺接片81の基端部を固着する極めて簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、ドグクラッチ70の小型化が図れる。
さらに、部品自体の加工成形も容易であり、コストの低減を図ることができる。
本変速機7は、低速用の1速従動歯車60に摺接片81が設けられるので、機関回転数の小さい低速回転時の変速段の切換え時に、接続する低速用の変速歯車の同期がなされるので、低速の変速段の切換えが円滑に静かに実行される。
高速回転になると、先端に重錘81wを有する摺接片81に働く遠心力が大きくなり、環状ワイヤ82のねじり弾性変形の付勢力に抗して摺接片81を倒伏することになり、円環状リブ55が接近しても、摺接片81に接することがなく、よって同期機構80は働かずに、同期されないままドグクラッチ70が接合することで、ドグ歯54,64の噛合音が生じることになるが、高速回転時には内燃機関の機関音がドグ歯の噛合音より大きく、ドグ歯54,64の噛合音は、機関音に紛れて問題にならない。
したがって、内燃機関の機関音が比較的に静かな低速回転時のみ同期がなされて円滑で静かなドグクラッチのドグ歯の噛合がなされ、内燃機関の機関音がドグ歯の噛合音より大きい高速回転時には摺接片81が円環状リブ55に摺接せず、すなわち同期をとることをせず、摺接片81の摺接する機会をできるだけ減らして耐久性を図り、かつ噛み合いに要する時間を短縮してシフトフィーリングを向上することができる。
摺接片81の先端部に重錘81wが設けられるので、機関回転数の上昇に伴う遠心力による摺接片81の倒伏を正確に行うことができ、同期を行わないようにする機関回転数を精度良く設定することができる。
以上の実施の形態では、同期機構80の摺接片81に付勢力を与える弾性部材は、環状ワイヤ82であったが、弾性部材としてねじりコイルばね93を用いた同期機構90の別の実施の形態について、図9に基づき説明する。
1速従動歯車60および5速従動歯車50は、前記実施の形態と同じであり、符号も同じものを用い、本同期機構90の摺接片91と環状ワイヤ92も概ね前記実施の形態のものと略同じであるが、環状ワイヤ92は弾性部材として機能するわけでなく、摺接片91を揺動自在に軸支する支軸として使用する。
複数の摺接片91は、矩形板状部91aの基端部が環状ワイヤ92に巻き付くようにして揺動自在に軸支され、摺接片91の先端部は厚肉に膨らんで重量を増した重錘91wが形成されている。
摺接片91が軸支された環状ワイヤ92にねじりコイルばね93が摺接片91に沿って巻回されて設けられ、ねじりコイルばね93の突出した一端が摺接片91の係止部91bに係止されるとともに固定され、ねじりコイルばね93の突出した他端が1速従動歯車60の円筒突出部65の先端環状部65aに形成された係止部65cに係止され、図9に示すように、ねじりコイルばね93により摺接片91は基端部から矩形板状部91aが5速従動歯車50とは反対側(左側)に延出して回転中心軸Zに対して角度をもって傾斜した姿勢で起立した状態にある。
したがって、1速従動歯車60に対して5速従動歯車50が接近し、起立した複数の摺接片91に5速従動歯車50の円環状リブ55が当接すると、摺接片91の揺動によりねじりコイルばね93の弾性力が摺接片91を円環状リブ55に押圧する形で作用して、その摺接による動摩擦力により1速従動歯車60と5速従動歯車50の回転を同期させることができる。
1速従動歯車60に揺動自在に複数の摺接片91を軸支し、ねじりコイルばね93を介装する極めて簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、ドグクラッチの小型化が図れる。
さらに、部品自体の加工成形も容易であり、コストの低減を図ることができる。
次に、弾性部材として圧縮コイルばね103を用いた同期機構100の別の実施の形態について、図10に基づき説明する。
図9に示す実施の形態で使用されたねじりコイルばね93の代わりに圧縮コイルばね103を使用した例であり、環状ワイヤ102に複数の摺接片101が揺動自在に軸支され、摺接片101と1速従動歯車60の円筒突出部65との間に圧縮コイルばね103が介装される。
圧縮コイルばね103が両端がそれぞれ摺接片101と円筒突出部65に固着されて、図10に示すように、摺接片101は基端部から矩形板状部101aが5速従動歯車50とは反対側(左側)に延出して回転中心軸Zに対して角度をもって傾斜した姿勢で起立した状態にある。
したがって、1速従動歯車60に対して5速従動歯車50が接近し、起立した複数の摺接片101に5速従動歯車50の円環状リブ55が当接すると、摺接片101の揺動により圧縮コイルばね103の弾性力が摺接片101を円環状リブ55に押圧する形で作用して、その摺接による動摩擦力により1速従動歯車60と5速従動歯車50の回転を同期させることができる。
1速従動歯車60に揺動自在に複数の摺接片101を軸支し、圧縮コイルばね103を介装する極めて簡単な構造で同期作用を実行でき、部品点数も少なく、ドグクラッチの小型化が図れる。
さらに、部品自体の加工成形も容易であり、コストの低減を図ることができる。
7…変速機、9…メイン軸、9A…メイン軸内筒、9B…メイン軸外筒、9C…クラッチ部外筒、10…カウンタ軸、21…ツインクラッチ、
50(C5s)…5速従動歯車、51…軸孔ボス部、52…円環状壁部、53…5速従動変速歯、54…ドグ歯、55…円環状リブ、56…、57…、58…、59…、
60(C1w)…1速従動歯車、61…軸孔ボス部、62…円環状壁部、63…1速従動変速歯、64…ドグ歯、65…円筒突出部、65a…先端環状部、65b…切欠き、66…凹部、
70…ドグクラッチ、
80…同期機構、81…摺接片、82…環状ワイヤ、
90…同期機構、91…摺接片、92…環状ワイヤ、93…ねじりコイルばね、
100…同期機構、101…摺接片、102…環状ワイヤ、103…圧縮コイルばね。
7…変速機、9…メイン軸、9A…メイン軸内筒、9B…メイン軸外筒、9C…クラッチ部外筒、10…カウンタ軸、21…ツインクラッチ、
50(C5s)…5速従動歯車、51…軸孔ボス部、52…円環状壁部、53…5速従動変速歯、54…ドグ歯、55…円環状リブ
60(C1w)…1速従動歯車、61…軸孔ボス部、62…円環状壁部、63…1速従動変速歯、64…ドグ歯、65…円筒突出部、65a…先端環状部、65b…切欠き、66…凹部、
70…ドグクラッチ、
80…同期機構、81…摺接片、82…環状ワイヤ、
90…同期機構、91…摺接片、92…環状ワイヤ、93…ねじりコイルばね、
100…同期機構、101…摺接片、102…環状ワイヤ、103…圧縮コイルばね。

Claims (10)

  1. 同一軸体(10)に軸方向位置を規制されて軸支される第1回転体(60)と軸方向に移動可能に軸支される第2回転体(50)が、互いの対向面にそれぞれ互いに噛合可能な第1ドグ歯(64)と第2ドグ歯(54)を備え、
    前記第1回転体(60)に対し前記第2回転体(50)が接近すると、前記第1ドグ歯(64)と前記第2ドグ歯(54)が噛合して互いに動力が伝達される同期機構付きドグクラッチにおいて、
    前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面に基端部を支持された摺接片(81,91,101)が、回転中心軸(Z)に対して角度をもって起立するとともに前記第2回転体(50)とは反対側へ弾性部材(82,93,103)の弾性力に抗して揺動可能に設けられ、
    前記第2回転体(50)における前記第1回転体(60)に対向する対向面に前記摺接片(81,91,101)に当接可能な突出部(55)が前記第2ドグ歯(54)より前記第1回転体(60)側に突出して形成され、
    前記第1回転体(60)に対し前記第2回転体(50)が接近すると、前記第1ドグ歯(64)と前記第2ドグ歯(54)が噛合する前に、前記突出部(55)が起立した前記摺接片(81,91,101)に当接し同摺接片(81,91,101)を前記弾性部材(82,93,103)の付勢力に抗して倒伏させながら摺接し、前記第1回転体(60)と前記第2回転体(50)の回転を同期させる同期機構(80,90,100)を備えたことを特徴とする同期機構付きドグクラッチ。
  2. 前記摺接片(81,91,101)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に複数支持され、
    前記突出部(55)は、前記第2回転体(50)における前記第1回転体(60)に対向する対向面に複数の前記摺接片(81,91,101)に当接可能に突出した円環状リブ(55)であることを特徴とする請求項1記載の同期機構付きドグクラッチ。
  3. 前記弾性部材(82)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に取り付けられた環状ワイヤ(82)であり、
    複数の前記摺接片(81)は、前記環状ワイヤ(82)に基端部を固着されて周方向に等間隔に配設されることを特徴とする請求項2記載の同期機構付きドグクラッチ。
  4. 前記摺接片(91)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面に回転中心軸(Z)を中心とする同心円上の支軸(92)に基端を軸支されて軸方向に揺動自在に支持され、
    前記弾性部材(93)は、前記支軸(92)に巻回されたねじりコイルばね(93)であり、同ねじりコイルばね(93)の一端が前記第1回転体(60)に固着され、同ねじりコイルばね(93)の他端が前記摺接片(91)に固着され、前記摺接片(91)の前記第2回転体(50)とは反対側への揺動に対して前記第2回転体(50)側に付勢力が作用することを特徴とする請求項2記載の同期機構付きドグクラッチ。
  5. 前記摺接片(101)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面に回転中心軸(Z)を中心とする同心円上の支軸(102)に基端を軸支されて軸方向に揺動自在に支持され、
    前記弾性部材(103)は、圧縮コイルばね(103)であり、起立した前記摺接片(101)と同摺接片(101)の前記第2回転体(50)とは反対側で前記第1回転体(60)との間に介装され、前記摺接片(101)の前記第2回転体(50)とは反対側への揺動に対して前記第2回転体(50)側に付勢力が作用することを特徴とする請求項2記載の同期機構付きドグクラッチ。
  6. 前記支軸(92,102)は、前記第1回転体(60)における前記第2回転体(50)に対向する対向面の回転中心軸(Z)を中心とする同心円上に取り付けられた環状ワイヤ(92,102)であることを特徴とする請求項4または請求項5記載の同期機構付きドグクラッチ。
  7. 前記第1回転体(60)と前記第2回転体(50)は、内燃機関の変速機(7)に使用される互いに隣合う第1変速歯車(60)と第2変速歯車(50)であり、
    前記第1変速歯車(60)における前記第2変速歯車(50)に対向する対向面に円筒突出部(65)が軸方向に突出形成され、
    複数の前記摺接片(81,91,101)が、前記第1変速歯車(60)の前記円筒突出部(65)の先端環状部(65a)に基端部を支持され回転中心軸(Z)側に起立して設けられることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項記載の同期機構付きドグクラッチ。
  8. 複数の前記摺接片(81,91,101)は、前記円筒突出部(65)に支持される基端部より前記第2変速歯車(50)とは反対側に延出して回転中心軸(Z)に対して傾斜した姿勢で起立されることを特徴とする請求項7記載の同期機構付きドグクラッチ。
  9. 前記摺接片(81,91,101)の先端部に重錘(81w,91w,101w)が設けられることを特徴とする請求項8記載の同期機構付きドグクラッチ。
  10. 前記摺接片(81,91,101)は低速用の前記変速歯車(60)に取り付けられることを特徴とする請求項8または請求項9記載の同期機構付きドグクラッチ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102015102141A1 (de) * 2015-02-13 2016-08-18 Hoerbiger Antriebstechnik Holding Gmbh Transmitter für ein Schaltgetriebe für ein Kraftfahrzeug, Baugruppe mit Transmitter, Getriebewelle und Gangrad sowie Getriebe

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