JPH0541544Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は電気二重層コンデンサに関し、とくに
フラツト型電気二重層コンデンサのケーシング構
造に関する。

〔従来の技術〕

電気二重層現象を利用して大容量コンデンサを
得る手段の一つとして米国特許第3536963号明細
書に開示されているように、カーボン粉末と電解
液とを接触させて電気二重層を発生させることを
利用したものがある。

第５図は従来の電気二重層コンデンサ（以後コ
ンデンサと略称）の一例の断面図である。

第５図において、１および２は導電性弾性体
（例えば導電性ゴム）で作られた上板および底板、
３は活性炭粉末と電解質溶液（例えば硫酸水溶
液）から成るカーボンペースト電極、４はイオン
透過性で非導電性の多孔質セパレータ、５は電気
絶縁性弾性体（例えば絶縁性ゴム）で作られた側
壁である。従つて前述の上板１および底板２がコ
ンデンサの上下の電極となる。しかしこのような
構造のコンデンサにおいては、コンデンサとして
の耐圧が電解質溶液の電気分解電圧に支配される
から、高耐電圧コンデンサを得たい場合には、前
述のコンデンサを積重ねて直列接続にした積層形
にする必要がある。

第６図は積層型コンデンサ（以後積層体と称
す）７の一例の断面図である。第６図において符
号６は第５図に示した単体のコンデンサ（以後こ
れを素子と称す）を表わし、ｎは所要耐電圧を得
るために必要な素子６の積層数を示す。この積層
体７はこの状態のままでは素子６間の接触抵抗お
よび素子６内の活性炭粒子間の接触抵抗等が大き
いので、積層体の上下面、特にカーボンペースト
電極３の部分に適正な圧力を加え、その圧力を保
持するケーシングを行なう必要があつた。

第７図ａ，ｂは、従来のボタン型コンデンサの
ケーシング構造を示す上面図および断面図であ
る。

第７図ａ，ｂに示すように、積層体７を陽極電
極となる金属製の外装ケース９内に収納し、絶縁
材から成る断面コの字状の絶縁リング１０を陰極
電極と成る上蓋８の外周部８ａに嵌め合せて積層
体７に被せ、その後所定の圧力を上下から加え、
外装ケース９の開口縁部９ａをカール状にかしめ
て加圧力を保持するケーシング構造が採用されて
いた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このようなケーシング構造において
は、金属製の外装ケース９により加圧かしめが必
要であるので(1)材料費、加工費が高くなる。(2)ま
た、たとえば乾電池で動作する機器においては、
回路電圧が1.8V程度となり、水溶系の電解液を
用いた場合には素子６が２枚積層となるため、背
高寸法が高くなり、最近の電子機器の小型化、特
に低背高寸法化の要求から離れた製品となつてし
まう等の欠点を有していた。

本考案の目的は、かかる従来構造の欠点を除去
し、薄型電気二重層コンデンサを提供することに
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の電気二重層コンデンサは、イオン透過
性で非電子導電性の多孔性セパレータを介して分
離された一対のカーボンペースト電極と、この一
対のカーボンペースト電極を介して上下に配置さ
れた導電性の上板および底板と、前記一対のカー
ボンペースト電極層の周辺部で多孔性セパレータ
と上板および底板の間に介在させた電気絶縁性の
側壁とで構成されるコンデンサ部を複数個隣接配
置した電気二重層コンデンサにおいて、上板およ
び底板は導電性プラスチツクからなり、側壁は絶
縁性プラスチツクからなり、かつ側壁と上板およ
び底板をそれぞれに設けられた凹凸部の嵌合溶着
により密閉して各コンデンサ部を構成するととも
に隣接する前記コンデンサ部の側壁を同一平面内
に一体化して形成したものである。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例について図面を参照して
説明する。

第１図ａ，ｂは本考案の一実施例の上面図およ
び断面図であり、また、第２図ａ，ｂ及び第３図
ａ，ｂは第１図の一実施例の部品の上面図及び断
面図である。

まず、第１図ａ，ｂ〜第３図ａ，ｂに示すよう
に、本考案のカーボンペースト電極３と多孔性セ
パレータ４は従来例と同じものを使用する。導電
材を含有したカーボン含浸ポリプロピレンなどの
プラスチツク性の導電性シートの方形の周縁を立
設した皿状の収容部１１にカーボンペースト電極
３を充填し、多孔性セパレータ４を載せて固定す
る。次に、カーボンペースト電極３を押圧し、ポ
リプロピレンなどの絶縁性プラスチツクよりなる
非導電性シートにおいて嵌合する方形周縁の凸部
１２ａの前述の皿状の収容部１１における方形周
縁の凹部１１ａを嵌合し、同様に上部にもカーボ
ンペースト電極３の充填された皿状の収容部１１
を嵌合させ溶着して密閉する。同様にして隣接す
る非導電性シートのコンデンサ収容部に他のコン
デンサを溶着させる。しかるときは二個以上の電
気二重層コンデンサが同一平面内に独立して配置
し平坦に一体化された一実施例が得られる。

第４図は本考案の他の実施例の上面図及び断面
図である。この実施例も第１の実施例と同様に複
数個の電気二重層コンデンサが非導電性シート１
２上に配置され平坦に形成されている。ただし、
第１の実施例との相違は一方の導電性シート１１
を２個づつで共有して、電気的に直列接続して、
同一平面内に配置一体化していることである。な
お、ここで示した例は、電気二重層コンデンサ数
個を、１個づつ平面的に配置、一体化したもので
あるが、この他、要求される動作電圧に見合つた
個数の電気二重層コンデンサを同一平面内に配
置、一体化しても、同様な効果が得られるのは云
うまでもない。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、一対のカーボン
ペースト電極層の周辺部で多孔質セパレータと上
板および底板の間に介在させた電気絶縁性の側壁
を一体化し同一平面に複数個の電気二重層コンデ
ンサを組立ているので、(1)従来の金属ケース上蓋
などの部品が不用なため、材料費が節減できる。
(2)素子の材料は、従来ゴム性のものからプラスチ
ツク性にしたため、加圧保持が不要であり、素子
の状態で使用が可能である。(3)部品が少ないため
製造工程が少なく、工数が節減できる。(4)従来の
２枚積層に比べ、低背高品となつた。

従つて、従来のコンデンサと比べ薄型、低価格
のコンデンサが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは、本考案の一実施例の上面図お
よび断面図、第２図ａ，ｂおよび第３図ａ，ｂ
は、第１図ａ，ｂに示す本考案の一実施例の部品
の上面図および断面図、第４図ａ，ｂは、本考案
の他の実施例の上面図および断面図、第５図は、
従来の電気二重層コンデンサ素子の断面図、第６
図は、従来の電気二重層コンデンサ積層体の断面
図、第７図ａ，ｂは従来のボタン型コンデンサの
上面図および断面図である。 １……上板、２……底板、３……カーボンペー
スト電極、４……多孔性セパレータ、５……側
壁、６……素子、７……積層体、８……上蓋、８
ａ……上蓋の外周部、９……外装ケース、９ａ…
…開口縁部、１０……絶縁リング、１１……導電
性シート、１１ａ……方形周縁の凹部、１２……
非導電性シート、１２ａ……方形周縁の凸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. イオン透過性で非電子導電性の多孔性セパレー
   タを介して分離された一対のカーボンペースト電
   極と、この一対のカーボンペースト電極を介して
   上下に配置された導電性の上板および底板と、前
   記一対のカーボンペースト電極の周辺部で前記上
   板および底板の間に介在させた電気絶縁性の側壁
   とで構成されるコンデンサ部を複数個隣接配置し
   た電気二重層コンデンサにおいて、前記上板およ
   び底板は導電性プラスチツクからなり、前記側壁
   は絶縁性プラスチツクからなり、かつ前記側壁と
   前記上板および底板をそれぞれに設けられた凹凸
   部の嵌合溶着により密閉して各コンデンサ部を構
   成するとともに隣接する前記コンデンサ部の側壁
   を同一平面内に一体化して形成したことを特徴と
   する電気二重層コンデンサ。