JPH053908Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、ラジエータ、インタークーラ、そ
の他の熱交換器において、インナーフインを内蔵
した伝熱管を形成するために用いられるインナー
フイン内蔵伝熱管形成用管材に関するものであ
る。

従来の技術 一般に、熱交換器の伝熱管には、押出型材製の
管、ブレージング・シートのロールフオーミング
による管、およびブレージング・シート製の扁平
状管材の側部を溶接により縫合してなる電縫管が
ある。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、上記押出型材製の管は、管厚が
厚肉であつて管の軽量化に限度があり、また表面
処理が施せないため耐食性が劣るうらみがある。
他方のロールフオーミング製の管や電縫管の場
合、管内に挿入されたインナーフインと管内面と
の密着性がよくない上に、ブレージング不良を生
じることがあり、そのためプレスで上記密着性を
補つてやる必要があつた。

ところで、従来、ブレージング・シートから形
成されるとともに、横断面略Ｕ字状のＵ溝部、こ
のＵ溝部の各開口側先端に内向き湾曲状に伸びて
いる一対の管側部形成用湾曲延長部と、同湾曲延
長部の各先端に対向状に設けられた相互に接合さ
れるべき横断面円弧状の一対の接合用湾曲部とよ
りなる熱交換器用管材は、すでに公知である（例
えば特開昭61−66091号公報参照）。

しかしながら、従来の管材は、その横断面略Ｕ
字状のＵ溝部の対向壁が相互に平行状であるた
め、これらの対向壁内面とインナーフインとの密
着性が悪く、ブレージング不良を生じるおそれが
あつた。従つて、これを解消するためには、イン
ナーフインの挿入後、管の対向壁をプレスで外側
より押さえて、管壁をインナーフインに密着せし
めるようにしなければならない面倒があるという
問題があつた。

この考案の目的は、上記の従来技術の問題を解
決し、対向壁内面とインナーフインとを確実に密
着せしめることができて、ブレージング不良を生
じるおそれが全くなく、従つて従来のように、イ
ンナーフインの挿入後、管の対向壁をプレスで押
さえて、管壁をインナーフインに密着せしめると
いつた補正作業を全く省略することができ、ひい
ては熱交換器用伝熱管の製造を容易かつ安価に行
ない得る、インナーフイン内蔵伝熱管形成用管材
を提供しようとするにある。

課題を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、ブ
レージング・シートから形成されるとともに、横
断面略Ｕ字状のＵ溝部と、このＵ溝部の各開口側
先端に内向き湾曲状に伸びている一対の管側部形
成用湾曲延長部と、同湾曲延長部の各先端に対向
状に設けられた相互に接合されるべき横断面円弧
状の一対の接合用湾曲部とよりなる管材におい
て、横断面略Ｕ字状のＵ溝部の一対の対向壁が、
相互に対向方向に横断面突弧状に緩やかに湾曲し
ており、両対向壁のインナーフインに当接せしめ
られるべき内側面が内方に膨出せしめられている
ことを特徴とする、インナーフイン内蔵伝熱管形
成用管材を要旨としている。

作 用 上記管材によれば、ブレージング・シート製の
管材のＵ溝部の一対の対向壁が、相互に対向方向
に横断面突弧状に緩やかに湾曲している、すなわ
ち内方突出状に反り返つているから、この管材の
内側にインナーフインを挿入した状態で、管材の
一対開口部を閉じると、管材の対向壁がインナー
フインの両側面に強く圧接せしめられて密着す
る。従つて、この状態で管材とインナーフインと
をブレージングにより接合すると、管材の対向壁
内面とインナーフインとを確実にろう付けするこ
とができて、ブレージング不良を生じるおそれが
全くない。このため、従来のように、インナーフ
インの挿入後、管の対向壁をプレスで押さえて、
管壁をインナーフインに密着せしめるといつた補
正作業を全く省略することができるものである。

実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて詳
しく説明する。

第１図に示す伝熱管用の管材４は、ブレージン
グ・シートからプレスにより形成されたものであ
る。

この管材４は、横断面略Ｕ字状のＵ溝部１と、
Ｕ溝部１の各開口側先端に内向き湾曲状に伸びて
いる一対の管側部形成用湾曲延長部２，２と、同
湾曲延長部２，２の各先端に対向状に設けられた
横断面円弧状の一対の接合用湾曲部３，３とより
なり、Ｕ溝部１の一対の対向壁１ａ，１ａは、そ
れぞれ対向方向に横断面突弧状に緩やかに湾曲し
ている。この湾曲形状によつて、伝熱管と後述す
るインナーフインとの密着性が良好ならしめられ
ている。Ｕ溝部１の溝底部１ｂは横断面半円弧状
に湾曲している。

一対の湾曲延長部２，２は、いずれも横断面四
半円弧状であり、これらの曲率半径は溝底部１ｂ
の円弧の曲率半径と同じである。

一対の接合用湾曲部３，３は、湾曲延長部２，
２の曲率半径に比べて小さい半径の横断面優弧状
をなし、円弧状の湾曲延長部２，２の紙先端弧内
側に優弧面を互いに対向させるように設けられて
いる。

接合用湾曲部３，３の各先端には湾曲延長部
２，２の内側に沿つてそれぞれ横断面劣弧状の内
側延長部８，８が設けられている。

熱交換器を製造するには、まず一側開口状の管
材４を、第２図に示すように、Ｕ溝部１内にイン
ナーフイン９を挿入した状態で閉じて、対向状の
接合用湾曲部３，３どうしを当接させ、管材４を
横断面長円状にする。このとき、Ｕ溝部１の一対
の対向壁１ａ，１ａが、相互に対向方向に横断面
突弧状に緩やかに湾曲している。すなわち内方突
出状に反り返つているので、この管材４の内側に
インナーフイン９を挿入した状態で、管材４の一
側開口部を閉じると、管材４の対向壁１ａ，１ａ
がインナーフイン９の両側面に強く圧接せしめら
れて密着するものである。

他方、第３図に示すように、熱交換器のヘツダ
プレート５には、バーリング加工により、幅方向
に長い複数の管取付け孔６があけられている。こ
れらの孔６に長円状の管材４の取付け端部をそれ
ぞれ挿入する。

ついで、管材４内に押圧片を圧入し、互いに当
接している接合用湾曲部３，３を潰して、管材４
の接合用湾曲部３，３とヘツダプレート５の孔縁
部７との間隙を埋めるように、ヘツダプレート５
の孔縁部７内面に圧着させる。また管材４の孔通
過端部を拡管して、孔縁部７に圧接せしめる。

最後に、アウターフインその他のエレメントを
取付け後、組付け品を加熱により一括ブレージン
グ処理に付すものである。

その結果、各エレメントがブレージング接合さ
れるとともに、接合用湾曲部３，３から形成され
た圧着部が孔縁部７に接合され、さらに管長方向
の中間部では当接状の湾曲部３，３どうしが接合
される。また、ブレージング熱によつて管材４の
ひずみが解消される。

またとくに、上記のように、管材４の内側にイ
ンナーフイン９を挿入して状態で、管材４の一側
開口部を閉じると、管材４の対向壁１ａ，１ａが
インナーフイン９の両側面に強く圧接せしめられ
て密着しているから、この状態で管材４とインナ
ーフイン９とをブレージングにより接合すると、
管材４の対向壁１ａ，１ａ内面とインナーフイン
９とを確実にろう付けすることができて、ブレー
ジング不良を生じるおそれが全くないものであ
る。

考案の効果 この考案は、上述のように、ブレージング・シ
ートから形成されるとともに、横断面略Ｕ字状の
Ｕ溝部と、このＵ溝部の各開口側先端に内向き湾
曲状に伸びている一対の管側部形成用湾曲延長部
と、同湾曲延長部の各先端に対向状に設けられた
相互に接合されるべき横断面円弧状の一対の接合
用湾曲部とよりなる管材において、横断面略Ｕ字
状のＵ溝部の一対の対向壁が、相互に対向方向に
横断面突弧状に緩やかに湾曲しており、両対向壁
のインナーフインに当接せしめられるべき内側面
が内方に膨出せしめられているものであるから、
対向壁内面とインナーフインとを確実に密着せし
めることができて、ブレージング不良を生じるお
それが全くなく、従つて従来のように、インナー
フインの挿入後、管の対向壁をプレスで押さえ
て、管壁をインナーフインに密着せしめるといつ
た補正作業を全く省略することができ、ひいては
熱交換器用伝熱管の製造を容易かつ安価に行ない
得るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は一側開口状の管材を示す斜視図、第２図は閉じ
た状態の管材を示す斜視図、第３図はヘツダプレ
ートに伝熱管を取付けた状態を示す平面図であ
る。 １……Ｕ溝部、１ａ，１ａ……横断面突弧状に
緩やかに湾曲した対向壁、２……湾曲延長部、３
……接合用湾曲部、４……管材、５……ヘツダプ
レート、６……管取付け孔、７……孔縁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレージング・シートから形成されるととも
   に、横断面略Ｕ字状のＵ溝部１と、このＵ溝部１
   の各開口側先端に内向き湾曲状に伸びている一対
   の管側部形成用湾曲延長部２，２と、同湾曲延長
   部２，２の各先端に対向状に設けられた相互に接
   合されるべき横断面円弧状の一対の接合用湾曲部
   ３，３とよりなる管材において、横断面略Ｕ字状
   のＵ溝部１の一対の対向壁１ａ，１ａが、相互に
   対向方向に横断面突弧状に緩やかに湾曲してお
   り、両対向壁１ａ，１ａのインナーフイン９に当
   接せしめられるべき内側面が内方に膨出せしめら
   れていることを特徴とする、インナーフイン内蔵
   伝熱管形成用管材。