JPH0537989Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 産業上の利用分野 本考案は、階段等の傾斜路を通る重量物を運搬
するための重量物運搬装置に関する。

ｂ 従来の技術 一般に、重量物を短い距離だけ移動するには、
ウインチ、コロとスベリ板等を用いて行つてい
る。しかし、変電室用変圧器などの重量物を建物
内の階段を通つて地下室等に運搬する場合は、階
段の巾や途中の踊り場の面積が狭く、またウイン
チのロープ反力に対して構築物に損傷を与えない
ようウインチを固定しなければならないから、コ
ロ、ウインチ等を使用することができない。

他の方法として階段の全経路にチエンブロツク
の支持枠を設けるとともに、該支持枠に複数のチ
エンブロツクを適当な間隔を置いて吊設し、先
ず、第１チエンブロツクで運搬しようとする重量
物を吊り下げ、次に第２チエンブロツクのチエン
を上記重量物に保持可能なように連結し、続い
て、第１チエンブロツクの吊り下げ長さを伸長す
ると共に第２チエンブロツクの吊り下げ長さを短
縮して、逐次重量物による荷重を第１チエンブロ
ツクから第２チエンブロツクに移し、以下同じ要
領により全運搬経路を移動させている。

ｃ 考案が解決しようとする課題 しかしながら、このような従来の重量物運搬装
置にあつては、重量物の移動速度が極めて遅いば
かりか、運搬経路の全長にわたつて重量物を移動
させるための支持枠を設置しなければならず、ま
たその運搬後はこの支持枠を撤去しなければなら
ないので、運搬作業に多大の手数と時間を必要と
し、重量物取付け作業の能率低下を招来してい
た。また、従来の傾斜路台車運搬方式では運搬物
が重量物であるため、台車が過大となり、その取
扱いが困難であるとともに、台車への積み降ろし
が不便であり、しかも据付場所への運搬や踊り場
内における運搬のためには別手段を必要とし、不
利であつた。

本考案はこのような実状に鑑みてなされたもの
であつて、その目的は、上述の如き各種の欠点を
解消し、一般運搬装置より重量物を降ろした後は
荷降しした位置より同一運搬装置によつてその据
付場所まで運搬し得る重量物運搬装置を提供する
ことにある。

ｄ 課題を解決するための手段 上記従来技術の有する課題を解決するために、
本考案においては、重量物吊上げ用ウインチにて
被搬送物たる重量物を走行台車に吊下げ保持し、
車輪を転動させることにより前記走行台車を走行
させて重量物を運搬する重量物運搬装置におい
て、下面に階段の角部と係合する係合部を有する
スリツプ防止部材が付着された一対のガイドレー
ルを階段状の傾斜路に沿つて左右両側に所定の間
隔を置き取外し自在に配置すると共に、一端が前
記ガイドレールに連結される左右一対の取付部材
を上階の水平場所に取外し自在に設置し、該取付
部材の他端に、前記走行台車をガイドレールに沿
つて走行可能に支持する走行台車昇降用ウインチ
を取付け、該走行台車昇降用ウインチと前記ガイ
ドレールとを前記取付部材を介して一体的に構成
すると共に、上端が天井に取付けられ、下端が前
記取付部材の他端に突張り係合される支柱を設け
ている。

ｅ 実施例 以下、本考案を図示の実施例に基いて詳細に説
明する。

第１図は本考案の一実施例を示すもので、図に
おいて、１は走行台車であつて、この走行台車１
はアツパフレーム２ａと、該アツパフレーム２ａ
の両端部にそれぞれ配設された三角形状の支持フ
レーム３と、該支持フレーム３間であつて、一方
側にのみ配設されたロアフレーム２ｂと、上記支
持フレーム３の両端下部にそれぞれ配設されたブ
ラケツト４と、該ブラケツト４に取付けられた車
輪５およびガイドローラ６とによつて構成されて
いる。ガイドローラ６は、車輪５より内側であつ
て、路面に接しない位置に取付けられている。一
方、上記アツパフレーム２ａの上部には滑車７が
取付けられ、支持フレーム３の一方には手巻き式
の重量物吊上げ用ウインチ８が走行台車１の進行
方向と直交する側に取付けられている。この吊上
げ用ウインチ８には、一端が止着された吊上げ用
ワイヤロープ９が巻回されており、該吊上げ用ワ
イヤロープ９は吊上げ用ウインチ８より滑車７を
経て掛けわたされている。吊上げ用ワイヤロープ
９の先端には、被搬送物たる重量物（例えば変電
室用の変圧器、制御器）Ａを吊上げるための掛止
具１０が取付けられている。そして重量物Ａの上
部には、適当な被掛止具１０ａが取付けられてい
る。また、走行台車１の傾斜路運搬方向側の支持
フレーム３間には、運搬中の重量物Ａの振れを防
止する複数個の振止め用バンド１１が上下方向に
所定の間隔を置いて架設されている。そして、こ
の振止め用バンド１１と同一側の支持フレーム３
の下部および反対側の支持フレーム３の上部に
は、後述する昇降用ワイヤロープの先端を引つ掛
けるための掛止部材１２がそれぞれ配設されてい
る。

１３は階段Ｂ等の傾斜路に沿つて左右両側に設
置された一対のガイドレールであり、ガイドレー
ル１３は走行台車１のガイドローラ６の間隔に対
応させて取外し自在に配置している。このガイド
レール１３は、階段Ｂの長さに応じてその長さを
自由に調節できる伸縮可能な構成となつており、
階段の角度にも適応できる角度調節機構を備えて
いる。また、ガイドレール１３の部材は、コ字状
に形成され、通常所定の間隔を維持し得るように
組立てられており、その下面には階段Ｂの角部と
係合する波形の係合部を有するスリツプ防止用の
ゴム１４が付着されている。

１５は走行台車昇降用ウインチ、１６は一端が
ガイドレール１３に連結されかつ上階の水平場所
Ｄ側に取外し自在に設置された左右一対の取付部
材であり、昇降用ウインチ１５は通常２台設置さ
れ、それぞれ取付部材１６の他端に取付けられて
いる。しかして、ガイドレール１３と昇降用ウイ
ンチ１５とは、取付部材１６を介して一体的に構
成されている。一方、上記昇降用ウインチ１５に
は、一端が止着された昇降用ワイヤロープ１７が
巻回されており、この昇降用ワイヤロープ１７を
介して走行台車１をガイドレール１３に沿つて走
行可能に支持するものである。

また昇降用ウインチ１５の間には、上端が天井
Ｃに取付けられた突張り支柱１８が配置されてい
る。この支柱１８は、その下端を取付部材１６の
他端に突張り係合させてガイドレール１３および
取付部材１６が重量物Ａの運搬中に反時計方向に
回動するのを規制するものである。

上記構成の重量物運搬装置による重量物Ａの運
搬は次の方法で行なう。

先ず、一般の運搬車両から適当な手段にて降ろ
された重量物Ａを走行台車１に載せるため、ロア
フレーム２ｂが配設されていない支持フレーム３
の開放側を進行方向として走行台車１を走行せし
めて重量物Ａをつつみ込み、これにより重量物Ａ
を走行台車１の中央付近に位置せしめる。次いで
振止め用バンド１１を掛け渡し、吊上げ用ワイヤ
ロープ９の掛止具１０を重量物Ａの被掛止具１０
ａに引つ掛けるとともに、吊上げウインチ８を巻
上げて重量物Ａを吊上げ保持する。この状態で走
行台車１の車輪５を水平路面上で転動させて、第
１図の実線で示す如く走行台車１の階段Ｂのある
上階の水平場所Ｄまで移送する。次いで、走行台
車１を階段Ｂを経て下階の踊り場Ｅに降ろすにあ
たつて、走行台車１の上下の掛止部材１２に昇降
用ワイヤロープ１７を引つ掛ける。続いて、走行
台車１を押してガイドローラ６をガイドレール１
３内に押込み、第１図の鎖線で示す如く、走行台
車１を昇降用ワイヤロープ１７を介して昇降用ウ
インチ１５により引張り支持し、走行台車１の転
倒を防ぎながら徐々にガイドレール１３に沿つて
ガイドローラ６を転動させて、走行台車１を降ろ
していく。ガイドレール１３は、下面のスリツプ
防止用のゴム１４によつてしつかりと固定されて
いるため、重量物Ａの運搬中において階段Ｂから
滑り落ちることはない。また、昇降用ウインチ１
５には、重量物Ａの運搬中、当該重量物Ａによる
力が作用するが、取付部材１６を介してガイドレ
ール１３と一体化しているため、水平な場所Ｄに
安定した状態で固定されている。

走行台車１が下階の踊り場Ｅに到達してガイド
レール１３から離脱したら、走行台車１の掛止部
材１２から昇降用ワイヤロープ１７を取外す。次
いで、車輪５を転動させて走行台車１を目的とす
る場所まで移送するとともに、吊上げ用ウインチ
８を巻戻して重量物Ａを走行台車１から降ろす。
そののち、吊上げ用ワイヤロープ９を重量物Ａの
被掛止具１０ａから取外し、重量物Ａを所定の位
置に設置して運搬作業を終了させる。なお、上記
運搬方法とは逆に下階の踊り場Ｅから上階の水平
場所Ｄまで走行台車１を昇らさせる場合も、上記
方法とほぼ同様の操作にて行なう。

以上、本考案の一実施例につき述べたが、本考
案は既述の実施例に限定されるものでなく、本考
案の技術的思想に基いて各種の変形および変更が
可能である。

例えば既述の実施例においては、走行台車１
に、水平路走行時用の４つの車輪５と、傾斜路走
行時用の４つのガイドローラ６とをそれぞれ別個
に設けたが、これを共用して４つの車輪のみとす
ることも可能である。また、路面状況や運搬経路
巾などにより車輪５はウレタンゴム等の軟質材料
の車輪や旋回金具付の車輪を使用することもでき
る。さらに走行台車１の支持フレーム３に適当な
アームを付設し、吊上げ用ウインチ８により前記
運搬車両からの重量物Ａを直接走行台車１に吊込
むこともできる。さらにまた、水平運搬経路に運
搬を困難とする突起、溝等が存在する場合は、ガ
イドレール１３を水平路面に敷くことも可能であ
る。

ｆ 考案の効果 上述の如く、本考案に係る重量物運搬装置は、
下面にスリツプ防止部材が付着された一対のガイ
ドレールを階段状の傾斜路に沿つて左右両側に所
定の間隔を置き取外し自在に配置すると共に、一
端が上記ガイドレールに連結される左右一対の取
付部材を上階の水平場所に取外し自在に設置し、
該取付部材の他端に、上記走行台車をガイドレー
ルに沿つて走行可能に支持する走行台車昇降用ウ
インチを取付けているので、一般の運搬車両から
降ろされた重量物を載せた走行台車は水平路と階
段状の傾斜路間を円滑に移動することができ、重
量物の積替作業や異なる断面形状の運搬路面（階
段）に対するチエーンブロツクによる運搬のよう
な作業段取などが一切不要となり、重量物を一般
運搬車両から階を異にする目的位置まで運搬する
ことができる。しかも、上記ガイドレールは、ス
リツプ防止部材の係合作用によつて階段状の傾斜
路にしつかりと固定されているので、重量物の運
搬中に、当該重量物により傾斜路に沿つて移動す
ることはなく安定した状態で設置されており、重
量物を安全かつ確実に運搬できる。

また、本考案の運搬装置は、上記ガイドレー
ル、取付部材および走行台車昇降用ウインチを取
外すことによつて他の場所の階段に設置できるの
で、建物の構築物などに固定されかつ一定の場所
にのみ被搬送物を運搬する従来の運搬装置に比べ
て使用上便利であり、経済的にも極めて有利であ
る。それに加えて、上記ガイドレールと走行台車
の昇降用ウインチとは、取付部材を介して一体的
に構成されていると共に、上端が天井に取付けら
れ、下端が前記取付部材の他端に突張り係合され
る支柱を設けているので、運搬中の重量物により
昇降用ウインチに力が作用しても、転倒モーメン
トに対する抗力が大きくなる上、支柱の存在でガ
イドレールおよび取付部材が移動するのを規制す
ることができ、当該昇降用ウインチを上階の水平
場所に安定した状態で固定できる一方、迅速に設
置することができ、重量物の運搬に適した構造と
なつている。さらに、重量物を建物内の狭い場所
に運搬する場所であつても、従来の運搬装置の如
く構築物に損傷を与えることなく、階段を経て目
的位置まで迅速かつ安全に重量物を運搬すること
ができる。したがつて、本考案の重量物運搬装置
を用いれば、重量物の運送作業および取付作業の
能率向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る重量物運搬装
置を用いて階段を通る重量物を運搬する状態を概
念的に示す側面図である。 １……走行台車、３……支持フレーム、５……
車輪、６……ガイドローラ、７……滑車、８……
吊上げ用ウインチ、９……ワイヤロープ、１０…
…掛止具、１０ａ……被掛止具、１２……掛止部
材、１３……ガイドレール、１４……スリツプ防
止用のゴム、１５……昇降用ウインチ、１６……
取付部材、１７……ワイヤロープ、１８……突張
り支柱、Ａ……重量物、Ｂ……階段、Ｃ……天
井、Ｄ……上階の水平場所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 重量物吊上げ用ウインチにて被搬送物たる重量
   物を走行台車に吊下げ保持し、車輪を転動させる
   ことにより前記走行台車を走行させて重量物を運
   搬する重量物運搬装置において、下面に階段の角
   部と係合する係合部を有するスリツプ防止部材が
   付着された一対のガイドレールを階段状の傾斜路
   に沿つて左右両側に所定の間隔を置き取外し自在
   に配置すると共に、一端が前記ガイドレールに連
   結される左右一対の取付部材を上階の水平場所に
   取外し自在に設置し、該取付部材の他端に、前記
   走行台車をガイドレールに沿つて走行可能に支持
   する走行台車昇降用ウインチを取付け、該走行台
   車昇降用ウインチと前記ガイドレールとを前記取
   付部材を介して一体的に構成すると共に、上端が
   天井に取付けられ、下端が前記取付部材の他端に
   突張り係合される支柱を設けたことを特徴とする
   重量物運搬装置。