JP3288173B2 - 重量物運搬装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は重量物を傾斜面に沿って
運搬する重量物運搬装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、階段等の高低差のある傾斜面で使
用する重量物運搬装置は、階段上部の壁または床にアン
カーボルトを打設し、このアンカーボルトによってチェ
ーンブロックを支持し、このチェーンブロックに下方に
配置した重量物を連結し、チェーンブロックを操作して
重量物を上方部に引き上げていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
重量物運搬装置は建物内の階段上部の壁または床にアン
カーボルトを打設し、これにチェーンブロックを連結し
ていたため、重量物の運搬後に、それらチェーンブロッ
クおよびアンカーボルトを撤去し、さらに建物内の壁ま
たは床の補修作業を行なう必要があり、重量物運搬には
多数の人員と多大な時間が必要とされていた。

【０００４】本発明の目的とするところは、傾斜面での
重量物の運搬を迅速かつ容易に行なえ、しかも設置や撤
去が簡単に行なえる重量物運搬装置を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、傾斜面で重量物を運搬する重量物運搬装置
において、上記傾斜面に案内装置を設け、昇降用ロープ
と逆転防止付昇降用ロープ巻取り手段を有すると共に上
記案内装置に沿って移動可能な運搬台車を配置し、上記
傾斜面の上部に位置する部分の上記案内装置に、上記昇
降用ロープの固定手段を設け、一方、上記運搬台車は、
上記傾斜面の下部側である後部にロープガイドローラを
設置し、上記昇降用ロープは、上記ロープガイドローラ
を介して上記運搬台車の前部に導出して上記固定手段に
連結したことを特徴とする。

【０００６】

【作用】本発明による重量物運搬装置は、上述の如く重
量物を傾斜面を利用して運搬する場合に、傾斜面に案内
装置を設置した後、重量物を載せた運搬台車を案内装置
に沿って移動可能に配置し、運搬台車に設置した逆転防
止付昇降用ロープ巻取り手段の昇降用ロープを、傾斜面
の上部に位置する部分の案内装置に連結し、この状態で
逆転防止付昇降用ロープ巻取り手段を動作させて、逆転
防止付昇降用ロープ巻取り手段で昇降用ロープを巻き取
りながら運搬台車を下方から上方に移動させることがで
き、傾斜面での重量物の運搬を迅速かつ容易に行なえ、
また運搬作業終了後は案内装置を撤去すれば良いので、
従来のように昇降用ロープの取付け部を設置したり、作
業後にその設置部を補修したりする必要がなく、設置や
撤去を簡単に行なうことができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって説明す
る。図１は本発明の一実施例による重量物運搬装置を示
す側面図である。階段２として示す傾斜面には案内装置
７が配置され、この案内装置７の上方部には昇降用ロー
プ受台５が連結されており、また下方部にはレール受台
６が連結されている。案内装置７は、その上方部を拡大
した斜視図である図２に示すように、略Ｌ字状の鋼材か
らなる一対のガイドレール７Ａを所定の間隔でほぼ平行
に配置して成り、その上方部に位置した昇降用ロープ受
台５の下面に滑り防止用ゴム板５Ｃを配置し、この滑り
防止用ゴム板５Ｃを上階踊り場４に密着させると共に、
昇降用ロープ受台５の両側に一体的に形成した取付け部
５Ｄにそれぞれサラビス５Ｂにて一対のガイドレール７
Ａの上端を連結して構成されている。また昇降用ロープ
受台５の中央部には、ワイヤー等の昇降用ロープ８を固
定する固定手段であるアイボルト５Ａが取り付けられて
いる。一方、ガイドレール７Ａの下端には、同部を拡大
した斜視図である図３に示すように、下階踊り場３に滑
り防止用ゴム板６Ｂを介して密着させたガイドレール受
台６を配置し、このガイドレール受台６の両側に一体的
に形成した取付け部６Ｃに一対のガイドレール７Ａの下
端をサラビス６Ａで連結している。このような案内装置
７は、階段２の長さに応じてその軸方向長さを自由に調
節できるようガイドレール７Ａを伸縮可能に構成するの
が良い。昇降用ロープ受台５とガイドレール受台６は、
それぞれサラビス５Ｂ，６Ａでガイドレール７Ａに連結
しているため、異なった傾斜角をもつ階段に適用する場
合、サラビス５Ｂ，６Ａを一度緩め、それぞれ上階踊り
場４および下階踊り場３に滑り防止用ゴム板５Ｃ，６Ｂ
が密着するように角度を調整し、その後、再度サラビス
５Ｂ，６Ａを締め付ければ良い。

【０００８】上述の案内装置７に沿って移動する運搬台
車９は、図１に示すようにガイドレール７Ａ上を走行す
る複数の車輪１０を下部に有し、昇降用ロープ８を有す
る逆転防止付昇降用ロープ巻取り手段、例えば電動ウイ
ンチ１１を搭載すると共に、載せた重量物１をほぼ水平
に保持する水平積載装置１２を備えて構成している。

【０００９】この運搬台車９の詳細を、拡大斜視図であ
る図５を用いて説明する。運搬台車９は、搭載した逆転
防止付昇降用ロープ巻取り手段、例えば電動ウインチ１
１の昇降用ロープ８を、案内装置７の昇降用ロープ受台
５に設けた固定手段であるアイボルト５Ａに連結してい
る。電動ウインチ１１から導出された昇降用ロープ８
は、運搬台車９の後部、つまり下階踊り場３側に設けた
ロープガイドローラ１５Ａ，１５Ｂを介してから、運搬
台車９の前部、つまり上階踊り場４側に設けたロープガ
イドローラ１５Ｃを経てアイボルト５Ａに連結するよう
にしている。従って、電動ウインチ１１のプラグ２４を
コンセントに接続して、遠隔操作スイッチ２３を操作し
て昇降用ロープ８を巻き取る方向に電動ウインチ１１を
作動すると、運搬台車９は電動ウインチ１１によって昇
降用ロープ８を巻き取りながら案内装置７に沿って下階
踊り場３から上階踊り場４へと移動することになる。こ
のときの運搬台車９の移動を円滑にするため、運搬台車
９のフレーム９Ａの下部には複数の車輪１０が可回転的
に取り付けられ、ガイドレール７Ａに沿って転動するよ
うにしている。

【００１０】また運搬台車９には、傾斜面で重量物１を
ほぼ水平状態に維持する水平積載装置１２が構成されて
いる。重量物１を載せる水平荷台１２Ａのほぼ中央部
は、フレーム９Ａに固着された水平荷台支柱１３の一端
にピン連結されて揺動可能に成されている。水平荷台１
２の下部に固定されたガイド１７にはシャフト１８が摺
動可能に嵌挿されており、水平荷台１２とシャフト１８
間は伸縮可能に連結されている。水平荷台１２の手押ハ
ンドル１６と対向する面側には、ロープガイドローラ１
５Ｄが水平荷台１２もしくはガイド１７を利用して回動
自在に設けられている。フレーム９Ａの後部、つまり下
階踊り場３側には、パイプやＬ字鋼などにより構成され
た手押ハンドル１６が固定されており、この手押ハンド
ル１６には、上端にラチェットハンドル１９が設けられ
た長ボルト２１が可回転的に取り付けられ、この長ボル
ト２１の下端は手押ハンドル１６の下部に設けた長ボル
ト支持台２２へ回転自在に保持されている。自在継ぎ手
等でシャフト１８に対して角度を調整可能に一体的に取
り付けられたカラー２０は、長ボルト２１に螺合してい
る。

【００１１】このため、図５に示すように下階踊り場３
において水平荷台１２がほぼ水平となった状態で、電動
ウインチ１１のプラグ２４をコンセントに接続して、遠
隔操作スイッチ２３を操作して昇降用ロープ８を巻き取
る方向に電動ウインチ１１を作動すると、運搬台車９は
電動ウインチ１１によって昇降用ロープ８を巻き取りな
がら、車輪１０が案内装置７のガイドレール７Ａに沿っ
て下階踊り場３から上階踊り場４へと移動し、ガイドレ
ール７Ａを登り始める。この移動に伴って水平荷台１２
の傾きが変化するが、ラチェットハンドル１９を回転さ
せて長ボルト２１を回転すると、長ボルト２１に螺合し
たカラー２０が回転方向に応じて上下に移動して、カラ
ー２０と一体化されたシャフト１８の下階踊り場３側も
上下へ移動することになり、シャフト１８を介して水平
荷台支柱１３とのピン連結部を支点にして水平荷台１２
の下階踊り場３側も上下へ移動することになるため、水
平荷台１２の水平度を調整することができる。このよう
にして水平積載装置１２は、水平荷台１２の水平度を調
整して水平荷台１２を常にほぼ水平に保持することがで
き、水平荷台１２を落したり、不必要に傾けるのを防止
することができる。

【００１２】次に、上述した案内装置７と運搬台車９か
ら成る重量物運搬装置を用いてエレベータ用制御盤、電
動機、巻上機などの重量物１を運搬しようとする場合に
ついて説明する。先ず、図４の斜視図に示すように重量
物１を運搬台車９に載置するためにラチェットハンドル
１９を回転させて、カラー２０を長ボルト２１の上方に
移動させると、シャフト１８の下階踊り場３側が引き上
げられて水平荷台１２が前下がりに傾斜する。この傾斜
した水平荷台１２の前方に２本の荷揚げレール２５を設
置して、昇降用ロープ８をガイドローラ１５Ｂ，ガイド
ローラ１５Ａおよびガイドローラ１５Ｄの順番で順次係
合させて重量物１に結ぶ。その後、電動ウインチ１１の
プラグ２４をコンセントに接続して、遠隔操作スイッチ
２３を操作して昇降用ロープ８を巻き取る方向に電動ウ
インチ１１を作動すると、重量物１は荷揚げレール２５
を介して水平荷台１２に載置される。その後、下階踊り
場３において水平荷台１２がほぼ水平となるようにラチ
ェットハンドル１９を逆回転させて水平荷台１２の下階
踊り場３側を下げておく。

【００１３】次いで、重量物１から昇降用ロープ８を解
き、今度は図５に示すようにガイドローラ１５Ａ，ガイ
ドローラ１５Ｂおよびガイドローラ１５Ｃの順番で順次
係合させてから、案内装置７の昇降用ロープ受台５に設
けた固定手段であるアイボルト５Ａに昇降用ロープ８の
先端を連結する。この状態で、遠隔操作スイッチ２３を
操作して昇降用ロープ８を巻き取る方向に電動ウインチ
１１を作動すると、運搬台車９は電動ウインチ１１によ
って昇降用ロープ８を巻き取りながら、車輪１０が案内
装置７のガイドレール７Ａに沿って下階踊り場３から上
階踊り場４へと移動し、図６のようにガイドレール７Ａ
を登り始める。このとき水平荷台１２は徐々に後下がり
となって水平でなくなってしまうので、ラチェットハン
ドル１９を回転させて長ボルト２１を回転すると、長ボ
ルト２１に螺合したカラー２０が上方へ移動して、カラ
ー２０と一体化されたシャフト１８の下階踊り場３側も
上方へ移動することになり、シャフト１８を介して水平
荷台支柱１３とのピン連結部を支点にして水平荷台１２
の下階踊り場３側も上方へ移動し、図６のように再び水
平荷台１２をほぼ水平に保持することができる。

【００１４】さらに運搬台車９が図７の状態まで移動し
て、運搬台車９の前後の車輪１０が全てガイドレール７
Ａを転動するようになると、ガイドレール７Ａの傾きに
よって水平荷台１２が水平でなくなるので、さらにラチ
ェットハンドル１９を回転させて長ボルト２１を回転す
ると、長ボルト２１に螺合したカラー２０が上方に移動
して、カラー２０と一体化されたシャフト１８の下階踊
り場３側も上方へ移動することになり、シャフト１８を
介して水平荷台支柱１３とのピン連結部を支点にして水
平荷台１２の下階踊り場３側も上方へ移動し、図７のよ
うに再び水平荷台１２が水平になるように調整すること
ができる。さらに移動が進むと、今度は図８に示すよう
に運搬台車９の前方の車輪１０がガイドレール７Ａを過
ぎ、後方の車輪１０のみがガイドレール７Ａを転動する
ようになり、徐々に水平荷台１２は前下がりになってし
まう。そこで、今度はラチェットハンドル１９を逆方向
に回転させて長ボルト２１を逆回転すると、長ボルト２
１に螺合したカラー２０が下方に移動して、カラー２０
と一体化されたシャフト１８の下階踊り場３側も下方へ
移動することになり、シャフト１８を介して水平荷台支
柱１３とのピン連結部を支点にして水平荷台１２の下階
踊り場３側も下方へ移動し、図８のように再び水平荷台
１２を水平に調整することができる。

【００１５】その後、さらに電動ウインチ１１によって
昇降用ロープ８を巻き取ると、運搬台車９の後部の車輪
１０もガイドレール７Ａを越えて昇降用ロープ受台５上
に移動するので、遠隔操作スイッチ２３を操作して電動
ウインチ１１を停止させる。このように運搬台車９を上
階踊り場４まで移動させることができるのは、運搬台車
９の後方、つまり下階踊り場３側にガイドローラ１５Ｂ
を設け、このガイドローラ１５Ｂに昇降用ロープ８を掛
けた後、昇降用ロープ８を運搬台車９の前方、つまり上
階踊り場４側に延ばして昇降用ロープ受台５に設けた固
定手段であるアイボルト５Ａに昇降用ロープ８の先端を
連結したためである。

【００１６】上述のようにして運搬台車９を上階踊り場
４まで移動した後、昇降用ロープ８をアイボルト５Ａか
ら解き、作業者が運搬台車９を押して目的地まで重量物
１を運搬し、その後、ラチェットハンドル１９を回転さ
せてカラー２０を上方移動させることにより図４に示す
ように再び水平荷台１２を前方に傾斜させ、その傾斜し
た水平荷台１２に荷上レール２５を配置し、この荷上レ
ール２５を利用して重量物１を水平荷台１２から滑り降
ろすことにより、全ての運搬作業が終了する。その後、
昇降用ロープ受台５，ガイドレール７およびガイドレー
ル受台６を単に持ち上げるだけで階段２から撤去できる
ので、設置と共に撤去も簡単に行なうことができる。

【００１７】尚、上述の実施例では、重量物１を下階踊
り場３から上階踊り場４に運搬する場合を説明したが、
逆に、上階踊り場４から下階踊り場３に運搬する場合に
も上述の運搬作業と逆の手順で行なうことができる。ま
た逆転防止付昇降用ロープ巻取り手段として電動ウイン
チ１１を例示したが、手動の逆転防止付巻取り装置を用
いても良い。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明による重量物
運搬装置は、重量物を傾斜面を利用して運搬する場合
に、傾斜面に案内装置を設置した後、重量物を載せた運
搬台車を案内装置に沿って移動可能に配置し、運搬台車
に設置した逆転防止付昇降用ロープ巻取り手段の昇降用
ロープを、傾斜面の上部に位置する部分の案内装置に連
結し、この状態で逆転防止付昇降用ロープ巻取り手段を
作動させて昇降用ロープを巻き取りながら運搬台車を下
方から上方に移動させるようにしたため、従来のように
壁面にアンカーボルトを打設したりすることなく傾斜面
での重量物の運搬を迅速かつ容易に行なえ、また運搬作
業終了後は案内装置を撤去すれば良いので、従来のよう
に作業後に壁面を補修したりする必要がなく、撤去も簡
単に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による重量物運搬装置の側面
図である。

【図２】図１に示した重量物運搬装置における案内装置
の上方部を示す要部拡大斜視図である。

【図３】図１に示した重量物運搬装置における案内装置
の下方部を示す要部拡大斜視図である。

【図４】図１に示した重量物運搬装置における運搬台車
を示す要部拡大斜視図である。

【図５】図１に示した重量物運搬装置の運搬初期状態を
拡大して示す斜視図である。

【図６】図１に示した重量物運搬装置のその後の状態を
拡大して示す斜視図である。

【図７】図１に示した重量物運搬装置のさらにその後の
状態を拡大して示す斜視図である。

【図８】図１に示した重量物運搬装置のさらにその後の
状態を拡大して示す斜視図である。

【図９】図１に示した重量物運搬装置の運搬終期状態を
拡大して示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 重量物 ２ 階段 ３ 下階踊り場 ４ 上階踊り場 ５ 昇降用ロープ受台 ５Ａ アイボルト ６ ガイドレール受台 ７ ガイドレール ８ 昇降用ロープ ９ 運搬台車 １１ 電動ウインチ １２ 水平荷台 １５Ｂ ロープガイドローラ ２１ 長ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B66F 11/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 傾斜面で重量物を運搬する重量物運搬装
   置において、 上記傾斜面に案内装置を設け、昇降用ロープと逆転防止
   付昇降用ロープ巻取り手段を有すると共に上記案内装置
   に沿って移動可能な運搬台車を配置し、上記傾斜面の上
   部に位置する部分の上記案内装置に、上記昇降用ロープ
   の固定手段を設け、一方、上記運搬台車は、上記傾斜面
   の下部側である後部にロープガイドローラを設置し、上
   記昇降用ロープは、上記ロープガイドローラを介して上
   記運搬台車の前部に導出して上記固定手段に連結したこ
   とを特徴とする重量物運搬装置。