JPH0536652B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ａ 発明の目的 （産業上の利用分野） この発明に係るデイスクブレーキは、自動車の
制動に用いるもので、制動時に鳴きと呼ばれる騒
音が発生することを少なく抑えるものである。

（従来の技術） 自動車の制動を行なうため、第３図に示すよう
な、フローテイング型と呼ばれる、サポートにキ
ヤリパを変位自在に装着したデイスクブレーキが
広く使用されている。

この従来からのデイスクブレーキは、車輪とと
もに回転するロータ１を挟むサポート２に、上記
ロータ１を挟んで表裏１対のパツド３を表裏方向
の摺動自在に装着し、サポート２の上部を、この
サポート２に対して表裏方向に亘る摺動自在にキ
ヤリパ４を取付けて構成している。

制動を行なう際には、キヤリパ４に内装したピ
ストンにより、一方のパツドをロータ１の内側面
（デイスクブレーキに於ける内外方向は、車輌の
中央寄りを内、外端寄りを外とする。）に押圧す
ると、その反作用としてキヤリパ４がサポート２
に対して少し摺動し、他方のパツド３を、キヤリ
パ爪４ａを介してロータ１の外側面に押圧し、こ
のロータ１を内外両側面から強く挟持して制動を
行なう。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、このように構成され作用するデイス
クブレーキに於いては、制動時にしばしば鳴きと
呼ばれる騒音が発生し、乗員や歩行者等に不快感
を与えていた。

このような騒音が発生する原因は次のように考
えられている。即ち、デイスクブレーキのロータ
１は完全に平面的に回転する訳ではなく、僅かに
左右に振れるような形で回転するため、ロータ側
面のパツド３のライニングと接触する面は、上記
ロータの回転にともなつてあたかも凹凸があるよ
うになる。このため、制動時にロータ１の側面に
当接するパツド３は凹凸に従つて細かく揺動し、
この揺動によつて前記した鳴きと呼ばれる騒音が
発生する。揺動により騒音が発生する機構は種々
考えられるが、例えばパツド３が長さ方向（ロー
タ１の回転方向）に揺動した場合、第４図に示す
ようにパツド３の、ロータ１の回転方向の前端側
（反アンカ側。ロータ１が矢印ａで示すように図
中右から左に回転する場合、図中右側。）がロー
タ１に倒れかかると、上記パツド３のライニング
５の前端縁５ａが上記ロータ１の側面に食い込む
ようにして該側面と強く摺れ合い、摩擦に伴つて
パツド３が強く振動して騒音が発生する。

このため従来から、実開昭57−181938号公報に
示すように、パツド３の裏金とピストン或はキヤ
リパ爪との間に粘着性のシム板を介在させたり、
特開昭57−120735号公報に示すように、外側のパ
ツド（アウタパツド）を板ばねによりキヤリパ爪
に結合したり、或は特開昭57−120736号公報に示
すように、内側のパツド（インナパツド）を押圧
するピストンの端面や、外側のパツドを押圧する
キヤリパ爪の内側面を部分的に凹ませることで、
各パツドが振動した場合に、ピストンやキヤリパ
爪が、その振動の腹となる部分を押圧するように
する事が考えられている。

ところが、上記各公報に記載された技術は、発
生した振動の成長を抑えることで騒音の抑制を図
るものであるため、耳障りな程大きな騒音が発生
することの防止には或る程度の効果は得られる
が、完全な解決手段とは言えないものであつた。

本発明のデイスクブレーキは、制動時にパツド
が振動する事自体を防止することで、制動時に於
ける騒音の発生を防止するものである。

ｂ 発明の構成 （問題を解決するための手段） 本発明のデイスクブレーキは、第３図により説
明した従来のデイスクブレーキと同様に、サポー
ト２に摺動自在に保持された内外１対のパツド３
を、上記サポート２に、内外方向の摺動自在に係
合したキヤリパ４に内嵌したピストンの端面と、
キヤリパ４に固定のキヤリパ爪４ａ，４ｂの内側
面とにより、車輪とともに回転するロータ１の内
外両側面に押圧して制動を行なうように構成して
いる 更に、本発明のデイスクブレーキに於いては、
キヤリパ４に固定で、制動時に外側のパツド３を
ロータ１に向けて押し付けるキヤリパ爪４ａ，４
ａの内側面と、上記外側のパツド３の外側面と
を、上記キヤリパ爪４ａ，４ａの、ロータ１の回
転方向後方（アンカ側）に寄つた部分でのみ当接
自在としている。

即ち、本発明のデイスクブレーキに於いては、
第１図に示すように、キヤリパ爪４ａ，４ａの内
側面の、ロータ１の回転方向前側部分を凹ませ
て、上記キヤリパ爪４ａ，４ａの内側面とパツド
３の裏金６の外側面とが、上記内側面の後側（ア
ンカ側）部分でのみ当接したり、或は第２図に示
すように、裏金６の外側面に凸部７，７を形成す
ることにより、裏金６の外側面とキヤリパ爪４
ａ，４ａの内側面とが、この内側面の後側部分で
のみ当接するように構成している。

（作用） 上述のように構成される本発明のデイスクブレ
ーキの制動時に於ける作用自体は、第３図により
説明した従来のデイスクブレーキの場合と同様で
あるが、制動時に於いてキヤリパ爪４ａ，４ａに
よりパツド３を押圧する力の中心は、パツド３の
中心よりもロータ１の回転方向後方にずれるた
め、上記パツド３は回転方向前側よりも後側の方
が少しだけ強く押圧されるようになる。

このため、第４図に示しように、パツドのライ
ニング５の前端縁５ａがロータ１の側面に食い込
むようなことがなくなり、制動時にパツド３が振
動することを低く抑えることができる。

ｃ 発明の効果 本発明のデイスクブレーキは以上の述べた通り
構成され作用するため、制動時にパツドが振動す
る程度が小さくなり、制動時に耳障りな騒音が発
生することを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は本発明のデイスクブレーキを実施
する場合の形態の２例を示す、第３図のＡ−Ａ断
面に相当する図、第３図は本発明の対象となるデ
イスクブレーキの１例を示す正面図、第４図は騒
音が発生するための機構を示す第３図のＢ−Ｂ断
面に相当する図である。 １：ロータ、２：サポート、３：パツド、４：
キヤリパ、４ａ：キヤリパ爪、５：ライニング、
５：前端縁、６：裏金、７：凸部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ サポートに摺動自在に保持された内外１対の
   パツドを、上記サポートに内外方向の摺動自在に
   係合したキヤリパに内嵌したピストンの端面と、
   キヤリパに固定のキヤリパ爪の内側面とにより、
   車輪とともに回転するロータの内外両側面に押圧
   して制動を行なうデイスクブレーキに於いて、キ
   ヤリパに固定のキヤリパ爪の内側面と、外側のパ
   ツドの外側面とが、上記キヤリパ爪の、ロータの
   回転方向後方に寄つた部分でのみ当接自在とした
   ことを特徴とするデイスクブレーキ。