JPH0536121Y2

JPH0536121Y2 -

Info

Publication number: JPH0536121Y2
Application number: JP1985172754U
Authority: JP
Priority date: 1985-11-08
Filing date: 1985-11-08
Publication date: 1993-09-13
Anticipated expiration: 2000-11-08
Also published as: JPS6280073U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は、エンジンをはじめ、多数の歯車を噛
合させて用いる種々の装置に適用が可能な歯車潤
滑装置に関するものである。

［従来の技術］例えば、自動車用エンジンにおけるイグニツシ
ヨン装置やカムシヤフト等の駆動には、タイミン
グチエーン、タイミングベルトあるいはタイミン
グギヤが使用されている。中でも、中、大型のエ
ンジンにおいては、信頼性向上の面からタイミン
グギヤを用いた歯車駆動方式が大半を占めてい
る。この場合、中間歯車用のシヤフトやシリンダ
ブロツクにオイルジエツト装置を設け、各歯車に
潤滑オイルを噴付けて潤滑を行なうようにしてい
る。

しかしながら、このような方式のものは、オイ
ルジエツトの組付方向のずれ等により潤滑オイル
を所望の歯車に供給できないことがあり、信頼性
に欠ける。また、構造上各オイルジエツトにより
１個の歯車しか潤滑することができないことが多
く、構造の複雑化や部品点数の増大を招くという
不具合がある。

この種の歯車潤滑装置に関する他の先行技術と
して実開昭54−8039号公報に示されるようなもの
もある。すなわち、このものは、相互に噛合する
複数の歯車をケース内に収容し、このケースの内
側にオイル案内面を形成している。そして、特定
の歯車を支承する軸の端部にオイル噴射用のノズ
ルを設けておき、このノズルから噴射される潤滑
オイルを前記案内面により案内して各歯車の噛合
部分等に供給し得るようにしている。

ところが、このような構成のものは、重力を利
用して潤滑オイルを所要個所に分配するようにし
たものであるため、前記ノズルよりも上方に位置
する部位に潤滑油を供給することはできない。そ
のため、前記ノズルよりも上方に位置する潤滑部
にはさらに別の潤滑油供給手段が必要となり、潤
滑系の複雑化を招く。

［考案が解決しようとする問題点］本考案は、相互に噛合する複数の歯車に万遍な
く潤滑オイルを供給しようとすると、構造の複雑
化や部品点数の増大を招いてしまうという問題点
を解消することを目的としている。

［問題点を解決するための手段］本考案は、かかる目的を達成するために、複数
の歯車に噛合する中間歯車の側面部に、中間歯車
に近似する外径を有し、かつ内面に供給される潤
滑オイルを遠心力により分散しつつ外周縁側に案
内するオイル分散板を添設し、このオイル分散板
の内面に潤滑オイルを供給するオイル供給系路を
中間歯車の軸部分の中心近傍に設けたことを特徴
とする。

［作用］このような構成のものであれば、中間歯車の軸
部分の中心近傍に設けられたオイル供給系路を介
して中間歯車の側面部に添設された中間歯車に近
似する外径を有するオイル分散板の内面に供給さ
れた潤滑オイルは、前記オイル分散板が回転する
ことにより生じる遠心力によつてオイル分散板の
内面を分散しつつ外周縁側に案内される。そし
て、その潤滑オイルは、前記オイル分散板の外周
縁部から該中間歯車と他の歯車との各噛合部分に
それぞれ供給されることになる。

［実施例］以下、本考案に係る歯車潤滑装置を自動車用エ
ンジンに適用した場合の実施例を図面を参照しな
がら説明する。

図中１はクランクピン２およびクランクアーム
３等を有し、ピストンの往復動を回転運動に変換
するクランクシヤフトである。このクランクシヤ
フト１の一端は、シリンダブロツク４の端壁４ａ
を貫通して外部に突出しており、この突出端部１
ａに駆動歯車５を軸装している。そして、この駆
動歯車５の回転動力を中間歯車６を介してイグニ
ツシヨン装置用の従動歯車７および、カムシヤフ
ト用の従動歯車８に伝達するようにしている。中
間歯車６は、前記シリンダブロツク４の端壁４ａ
に固設された固定軸９に回転自在に支承されてお
り、前述したように複数の歯車５，７，８に噛合
している。

そして、この中間歯車６の側面部にオイル分散
板１１を設けている。オイル分散板１１は、中央
部に部分球状の膨出部１１ａを有した偏平皿状の
もので、この中間歯車６に近似した外径を有して
いる。しかして、このオイル分散板１１は、前記
中間歯車６の側面に所定のピツチで突設したねじ
孔付きのボス部１２の先端にボルト１３を用いて
固定されており、前記中間歯車６と一体に回転す
るようになつている。

そして、このオイル分散板１１の内面１１ｂに
潤滑オイルＡを供給するためのオイル供給系路１
４を前記固定軸９部分に設けている。すなわち、
このオイル供給系路１４は、図示しないオイルポ
ンプの吐出口に連通させてシリンダブロツク４内
に形成した既存の主オイル通路１５に連通させて
前記固定軸９の軸心部に設けたオイルポート１６
と、前記固定軸９の先端にボルト止めした係止鍔
１７の中心に穿設され前記オイルポート１６を前
記オイル分散板１１に向けて開口させる中心孔１
８とから構成されている。なお、１９は前記オイ
ルポート１６内の潤滑オイルＡの一部を固定軸９
と中間歯車６との摺動部に導くための分岐ポート
である。

このような構成のものであれば、図示しないオ
イルポンプから吐出され主オイル通路１５に導入
された高圧の潤滑オイルＡの一部は、固定軸９の
オイルポート１６および係止鍔１７の中心孔１８
を通してオイル分散板１１の内面１１ｂの中心付
近に噴射される。しかして、エンジン運転中はこ
のオイル分散板１１は、中間歯車６とともに回転
しているので、このオイル分散板１１の内面１１
ｂに噴付けられた潤滑オイルＡは回転を与えら
れ、遠心力によりこの内面１１ｂに沿つて外周方
向へ案内される。そして、このオイル分散板１１
の外周縁１１ｃからこの中間歯車６と前記駆動歯
車５および従動歯車７，８との噛合部分に供給さ
れる。

しかして、このようなものであれば、前記オイ
ル分散板１１の内面１１ｂの１カ所に潤滑オイル
Ａを供給するだけで、複数の歯車噛合部分、すな
わち、中間歯車６と駆動歯車５との噛合部分、中
間歯車６と従動歯車７との噛合部分および中間歯
車６と従動歯車８との噛合部分にそれぞれ潤滑オ
イルＡを適正に分配して供給することが可能であ
る。そして、このものは遠心力を利用しているた
め、オイル分散板１１に対するオイル供給位置よ
りも上方に位置する歯車噛合部分にも潤滑オイル
Ａを供給することができる。したがつて、簡単な
構成により多数の歯車５，６，７，８の潤滑を確
実に行なわせることが可能であり、部品の製作や
組み立ての簡略化を図ることができるとともに、
信頼性や耐久性を向上させることもできる。

なお、前記各実施例は自動車用エンジンに応用
した場合のものであるが、本考案はエンジン用の
ものに限らず、複数の歯車を組み合わせて使用す
るあらゆる産業機器類の歯車潤滑装置に適用が可
能である。

［考案の効果］本考案は、以上のような構成であるから部品点
数が少ない上に簡単な構造であり、しかも１カ所
のオイル供給系路をもつて中間歯車に噛合するす
べての歯車に確実に潤滑オイルを供給することの
できる歯車潤滑装置を提供することができるもの
である。したがつて、オイル供給系路の構造が
簡単にできるので、その加工が容易になるととも
に、潤滑オイルの供給効率が高くなり、潤滑効率
が向上するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示
し、第１図は第２図における−線に沿う拡大
断面図、第２図は歯車の配置を概略的に示す正面
図である。５……駆動歯車、６……中間歯車、７，８……
従動歯車、９……固定軸、１１……オイル分散
板、１１ｂ……内面、１１ｃ……外周縁１、１４
……オイル供給系路、２１……中間歯車、２４…
…オイル分散板（皿ばね）、２５……オイル供給
系路。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

複数の歯車に噛合する中間歯車の側面部に、中
間歯車に近似する外径を有し、かつ内面に供給さ
れる潤滑オイルを遠心力により分散しつつ外周縁
側に案内するオイル分散板を添設し、このオイル
分散板の内面に潤滑オイルを供給するオイル供給
系路を中間歯車の軸部分の中心近傍に設けたこと
を特徴とする歯車潤滑装置。