JPH05339855A - 伸縮性経編地およびその製造方法 - Google Patents

伸縮性経編地およびその製造方法

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JPH05339855A
JPH05339855A JP15072292A JP15072292A JPH05339855A JP H05339855 A JPH05339855 A JP H05339855A JP 15072292 A JP15072292 A JP 15072292A JP 15072292 A JP15072292 A JP 15072292A JP H05339855 A JPH05339855 A JP H05339855A
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elastic
elastic yarn
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elongation
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Isao Hayakawa
勲 早川
Yoshihisa Takada
義久 高田
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Urabe & Co Ltd
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Urabe & Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 伸縮性に優れ、特に、タテ方向だけでなくヨ
コ方向の伸縮性にも優れ、しかも、十分なパワーを備え
ている伸縮性経編地およびその製造方法を提供する。 【構成】 非弾性糸と2種類の弾性糸から構成され、特
定の編成組織を有する編地において、非弾性糸が30〜
50デニールの長繊維または100〜150′Sの短繊
維であり、第1弾性糸は105〜280デニール、第2
弾性糸は40〜70デニールであり、各糸の給糸量が、
非弾性糸は1100〜1300mm/R、第1弾性糸は8
5〜95mm/R(整経ストレッチ75%)、第2弾性糸
は280〜340mm/R(整経ストレッチ100%)で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、伸縮性経編地および
その製造方法に関し、詳しくは、パンツやガードルなど
のインナーウェアとして利用される、高い伸長性および
回復性を備えた伸縮性経編地と、この伸縮性経編地を製
造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パンツ、ガードル、ボディスーツ
などのインナーウェア用編地としては、ナイロンなどの
合成繊維からなる非弾性糸とポリウレタン弾性糸を、ト
リコット機またはラッセル機で編成した経編弾性生地、
あるいは、丸編機で編成した天竺編地が用いられてい
た。
【0003】このような伸縮性経編地は、その用途に合
わせて、タテヨコそれぞれの方向の伸度や、身体に対す
る緊迫力その他の特性を適当な条件に設定しなければな
らない。しかし、通常の編地では、前記のような用途に
必要とされる伸縮性を十分に持たせることができなかっ
た。そこで、本発明者らは、経編地を構成する糸の組み
合わせや編成組織を変えることで、従来よりもはるかに
伸縮性に優れた伸縮性経編地が得られることを見い出
し、この伸縮性経編地について、実願昭54−3592
1号として実用新案登録出願している(実公昭59−2
148号公報参照)。
【0004】この伸縮性経編地は、ナイロン等の合成繊
維糸条を数コースごとに両隣りまたは片隣りのウエール
に交互に編込み編成して経編地組織を形成し、この経編
地組織の内側(裏側)に、伸縮性糸条を同一ウエールに
おいて1コースごとにジグザグ状に繰り返して挿入する
と共に、さらに前記経編地組織の内側に、別の伸縮性糸
条をそれぞれ同じ数コースごとに片隣りのそれぞれ同じ
数ウエールにわたる振り幅で繰り返し挿入編成してい
る。この伸縮性経編地は、2種類の伸縮性糸条すなわち
弾性糸と、前記合成繊維糸条すなわち非弾性糸とを、前
記のような編成組織で組み合わせることにより、タテヨ
コ両方向に良好な伸縮性を示すとともに、パワーの点で
も十分な特性を発揮することができ、インナーウェアな
どに好適な素材を提供することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、イン
ナーウェアに対する前記物性の要求がますます高くな
り、特に、身体の運動に対する生地の追随性、着脱の容
易さ、着用時の快適性などについて、さらなる向上の要
求がなされ、生地のタテヨコ両方向について、より良好
な伸縮性を備えた素材が求められている。
【0006】前記した従来の経編地の場合、400〜7
00%の伸度を有するスパンデックス等の弾性糸と、伸
度50%程度のナイロン等からなる非弾性糸を、前記し
たような編組織で交編しているが、いくら高伸度の弾性
糸を用いても、それだけでは、経編地全体の伸度はある
限度以上には大きくならなかった。経編地の伸度を向上
させるために、編成時のタテヨコの密度に比べて、仕上
時の密度が出来るだけ高密度になるようにする方法も提
案されているが、この方法のみでは十分な伸度の向上は
望めない。
【0007】また、経編地を構成する非弾性糸の編込み
量を多くしてループ形状を大きくとることにより伸度を
高める方法もある。しかし、この方法では、弾性糸が編
目から抜ける、いわゆるスリップ現象を起こすという問
題が発生する。このスリップ現象を防止するために、経
編地の染色加工時に、弾性糸同士の接触部を融着させる
方法が提案されているが、特別の工程を追加したり、特
別な加工条件を採用するのでは、加工の手間が増える。
しかも、融着加工の際に熱または圧力の一方でも弱い
と、弾性糸の融着が全ての接触部分で確実に行われない
ことや、熱が強すぎると、弾性糸のパワーダウンや脆化
を起こしたり、生地を伸張させたときに融着個所の断糸
を誘発したりすることなど、技術的に問題が多いもので
あった。
【0008】従来、一般に用いられている経編地では、
タテヨコ両方向の伸度の合計を、550%程度にするの
が限度であり、それ以上の合計伸度を達成することは出
来なかった。また、従来の経編地では、タテ方向の伸度
に比べてヨコ方向の伸度が低く、タテヨコ両方向にバラ
ンス良く伸度を向上させることが難しかった。さらに、
単純に伸度を増やすには、前記先行技術のような編組織
を形成せず、弾性糸の伸縮性がより有効に発揮されるよ
うな編組織にすればよいが、そうすると、経編地のパワ
ーが低下してしまう。
【0009】前記したインナーウェア等の用途では、経
編地として、タテヨコ何れの方向にも高い伸度を必要と
すると同時に、十分なパワーもなければ、身体に対する
適度な緊迫力を持たせるなどの特性を発揮することがで
きない。そこで、この発明の課題は、前記した従来の伸
縮性経編地の問題点を解消し、さらに伸縮性に優れ、特
に、タテ方向だけでなくヨコ方向の伸度を向上させ、し
かも、十分なパワーを備えている伸縮性経編地を提供す
ることにある。また、このような伸縮性経編地を製造す
る方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる伸縮性経編地は、非弾性糸と2種類の弾
性糸から構成され、非弾性糸は全ての編目でループを形
成し、第1の弾性糸は全ウェールにわたり1コース毎に
1〜2針の振り幅で挿入され、第2の弾性糸は全ウェー
ルにわたり1コース毎に1〜3針の振幅で挿入されてな
る編成組織を有する編地において、非弾性糸が30〜5
0デニールの長繊維または100〜150′Sの短繊維
であり、第1弾性糸は105〜280デニール、第2弾
性糸は40〜70デニールであり、各糸の給糸量が、非
弾性糸は1100〜1300mm/R、第1弾性糸は85
〜95mm/R(整経ストレッチ75%)、第2弾性糸は
280〜340mm/R(整経ストレッチ100%)であ
る。
【0011】経編地の基本的な編成構造自体は、前記し
た実開昭55−135086号公報に開示された先行技
術などと同様でよい。経編機も、通常のラッシェル機な
どの経編機が使用できる。但し、経編機として、少なく
とも3枚の筬を備えたものを用い、一番前側の筬に非弾
性糸をフルセットで通糸し、その後側に第1弾性糸およ
び第2弾性糸をそれぞれフルセットで通糸して編成を行
うのが好ましい。第1弾性糸と第2弾性糸の筬配置は、
何れが前になってもよい。
【0012】この発明では、非弾性糸として、ナイロ
ン、ポリエステル等の長繊維、あるいは、綿、アクリル
等の短繊維の何れもが使用でき、経編地の用途や要求品
質に合わせて、任意の素材が用いられる。非弾性糸の伸
度は比較的小さなものが用いられ、通常は、伸度が60
%以下のものを用いる。非弾性糸の太さは、長繊維の場
合、30〜50デニールのものを用い、短繊維の場合、
100〜150′Sのものを用いる。非弾性糸が太い
と、編成時の編機上での密度に比べて、製造された経編
地の仕上がり密度が込み難くなり、伸びが出にくくなる
ので好ましくない。
【0013】第1および第2の弾性糸としては、弾性に
優れた各種の繊維を用いることができ、例えば、高弾性
ポリウレタン糸、いわゆるスパンデックスが好ましい。
弾性糸の伸度は400%以上のものが好ましい。第1弾
性糸は105〜280デニール、第2弾性糸は40〜7
0デニールの太さのものを用いる。第1弾性糸が280
デニールを超えるものでは、タテ方向の伸度が出にくく
なるので好ましくない。第2弾性糸が40デニール未満
では、ヨコ方向の伸度が出にくくなるので好ましくな
い。
【0014】編組織において、非弾性糸は全ての編目で
ループを形成して、基本的な編地構造を構成し、第1お
よび第2の弾性糸を一定の振り幅で交編することによ
り、編地に良好な伸縮性を付与することができる。2種
類の弾性糸のうち、比較的太い第1の弾性糸は全ウェー
ルにわたり1コース毎に1〜2針の振り幅で挿入され
る。振り幅が3針以上になると、糸が重なって太くな
り、タテ方向に生地が縮みにくくなり、伸びがでない。
しかも、ヨコ方向のパワーが強くなりすぎ、生地のヨコ
巻き(カール)を発生するなどの問題を生じるので好ま
しくない。また、比較的細い第2の弾性糸は全ウェール
にわたり1コース毎に1〜3針の振幅で挿入される。振
り幅が4針以上になると、編成後に縮み難くなるので、
経編地の伸びが出ず、ゴワゴワとした感じになり、イン
ナーウェア等の素材として不適切であり、コストも高く
つくので好ましくない。弾性糸が1種類だけの場合に
は、タテ方向あるいはヨコ方向の一方向のみに伸縮性を
持たせることはできるが、タテヨコ両方向に適度な伸縮
性を持たせることが出来ないので好ましくない。
【0015】経編地を構成する各糸の給糸量を、非弾性
糸は1100〜1300mm/R、第1弾性糸は85〜9
5mm/R(整経ストレッチ75%)、第2弾性糸は28
0〜340mm/R(整経ストレッチ100%)になるよ
うにする。ここで、mm/Rは1ラック(480コース)
当たりの給糸量mmを意味する。この給糸量mm/Rは、整
経ストレッチの大きさで変わってくるので、第1・第2
弾性糸の整経ストレッチが上記と異なる場合には、上記
75%または100%の場合の給糸量から換算して、そ
れぞれの場合の給糸量を設定する。具体的な給糸量は、
経編地の単位面積当たりにおける各糸の量から算出する
ことができる。
【0016】非弾性糸の給糸量が1100mm/R未満で
は、ループ形状が小さくなるので十分な伸度が出ず、1
300mm/Rを超えると、スリップが発生する。第1弾
性糸の給糸量が85mm/R未満、あるいは、第2弾性糸
の給糸量が280mm/R未満では、得られた経編地を衣
料として利用したときに、糸が限界伸度を超えてしまう
ので断糸を生じる。第1弾性糸の給糸量が95mm/Rを
超えるか、第2弾性糸の給糸量が340mm/Rを超える
と、仕上状態で編地の密度が込まないので、伸びが悪く
なる。
【0017】上記のような経編地を編成するには、前記
した各糸を用いるとともに、前記編成組織が編成される
ように経編機の作動条件などを設定しておけばよく、具
体的な編成手順は、従来の経編技術を適当に組み合わせ
ればよい。
【0018】
【作用】前記した経編地の基本的な構造、すなわち、非
弾性糸と2種類の弾性糸から構成され、非弾性糸は全て
の編目でループを形成し、第1の弾性糸は全ウェールに
わたり1コース毎に1〜2針の振り幅で挿入され、さら
に第2の弾性糸は全ウェールにわたり1コース毎に1〜
3針の振幅で挿入されてなる編成組織を有する編地は、
前記した先行技術公報にも開示されているように、伸縮
性に優れた編地として公知である。
【0019】しかし、編地の伸縮性その他の特性は、使
用する非弾性糸および弾性糸、および、両者の組み合わ
せ方によって、大きく左右される。そこで、前記したよ
うに、非弾性糸、第1弾性糸および第2弾性糸の太さを
規定するとともに、経編地における各糸の給糸量を規定
することによって、非弾性糸による経編地としての基本
的な特性を損なうことなく、弾性糸の優れた伸縮性を有
効に発揮させることができる。
【0020】具体的には、この発明の伸縮性経編地は、
伸度が、タテ350%以上、ヨコ220%以上で、タテ
ヨコの合計伸度が570%以上にもなる。また、経編地
のパワーは、タテ450〜650kg、ヨコ700〜11
00kgになり、前記インナーウェアなどに非常に適した
特性を備えたものとなる。ここに示した伸度およびパワ
ーは、後述する実施例の項に記載した条件で測定した値
を基準にしている。
【0021】この発明では、経編機あるいは基本的な編
成方法自体は、従来の通常の伸縮性経編地の場合と同様
でよく、各糸の太さや給糸量を特定の範囲に規定するだ
けなので、製造は容易であり、製造能率は高く、製造コ
ストも安価である。
【0022】
【実施例】
−実施例1− <経編機>カールマイヤー社製ラッシェル機RSE4
N、130インチ幅、56GG <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−13Fil
SD異形 ミドル :第1弾性糸 スパンデックス140d−12
7(クリアー) バック :第2弾性糸 スパンデックス40d−127
(クリアー) <筬への引込配列>フロント、ミドル、バックそれぞれ
フルセット <編組織> フロント:42/24/20/24/42/46// ミドル :22/00// バック :22/00/66/44/66/00// 図1に具象的な編成組織図を、図2に各糸に分解した状
態の模式的編成組織図を示している。図中、経編地は、
非弾性糸10と、第1弾性糸20および第2弾性糸30
で構成されている。
【0023】<給糸量> フロント:1200mm/R ミドル : 92mm/R(整経ストレッチ 75%) バック : 300mm/R(整経ストレッチ100%) 以上の条件で編成を行って、伸縮性経編地を製造した。
【0024】得られた伸縮性経編地の物性は次のとおり
であった。 <伸度およびパワー>経編地のタテヨコ両方向につい
て、伸縮性評価試験を行った。
【0025】試験条件 荷重:2.25kgf 試料幅:2.5cm つかみ間距
離:10cm 3サイクル目の値を読み取った。但し、パワーの測定
は、幅5cmの試料を用い、80%伸長時の値を測定し
た。試験結果のグラフを、図3〜図6に示している。こ
の試験結果から、常法により、伸度およびパワーを算出
した。
【0026】 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 397% 562g ヨコ方向 251% 864g
【0027】−実施例2− <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−20Fil
Br異形 ミドル :第1弾性糸 スパンデックス105d−12
7(クリアー) バック :第2弾性糸 スパンデックス70d−127
(クリアー) <筬への引込配列> 実施例1と同じ <編組織> 実施例1と同じ <給糸量> フロント:1140mm/R ミドル : 95mm/R(整経ストレッチ 75%) バック : 300mm/R(整経ストレッチ100%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 391% 651g ヨコ方向 226% 1085g
【0028】−実施例3− <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> 実施例1と同じ <筬への引込配列> 実施例1と同じ <編組織> 実施例1と同じ <給糸量> フロント:1200mm/R ミドル : 95mm/R(整経ストレッチ 75%) バック : 300mm/R(整経ストレッチ100%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 379% 740g ヨコ方向 238% 1013g
【0029】−比較例1− 従来、伸縮性経編地として使用されている、トリコネッ
トと呼ばれている経編地である。 <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−13Fil
SD異形 ミドル :非弾性糸 ナイロン66、40d−13Fil
SD異形 バック :弾性糸 スパンデックス210d−127
(クリアー) <筬への引込配列>フロント、ミドル、バックそれぞれ
フルセット <編組織> フロント:02/44/64/22// ミドル :22/20/22/24// バック :22/00/22/44// <給糸量> フロント: 720mm/R ミドル : 410mm/R バック : 115mm/R(整経ストレッチ75%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 189% 884g ヨコ方向 89% 3105g この比較例では、前記実施例に比べて、明らかに伸度が
低い。また、パワーが強すぎるため、インナーウェアに
用いたときに、着心地に劣るものとなる。
【0030】−比較例2− 従来、伸縮性経編地として使用されていた、6コースサ
テンネットと呼ばれている経編地である。 <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、30d−6Fil S
D異形 ミドル :なし バック :弾性糸 スパンデックス140d−127
(クリアー) <筬への引込配列>フロント、バックそれぞれフルセッ
ト <編組織> フロント:24/24/24/20/20/20// バック :44/22/66/22/44/00// <給糸量> フロント:1000mm/R バック : 87mm/R(整経ストレッチ75%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 318% 575g ヨコ方向 134% 2283g この比較例では、前記実施例に比べて、明らかに伸度が
低い。また、ヨコ方向のパワーが強すぎる。
【0031】−比較例3− 従来、伸縮性経編地として使用されていた、トリスキン
と呼ばれている経編地である。これは、前記実公昭59
−2148号公報に開示された技術の実施品に該当し、
糸使いや編組織自体は、この発明と同じである。 <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−13Fil
SD異形 ミドル :第1弾性糸 スパンデックス280d−12
7(クリアー) バック :第2弾性糸 スパンデックス40d−127
(クリアー) <筬への引込配列> 実施例1と同じ <編組織> 実施例1と同じ <給糸量> フロント:1200mm/R ミドル : 120mm/R(整経ストレッチ75%) バック : 300mm/R(整経ストレッチ100%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 270% 1260g ヨコ方向 169% 1593g この比較例では、第1弾性糸の給糸量が、この発明の条
件を外れるため、伸度が小さくなっている。また、パワ
ーも大きくなり過ぎている。
【0032】−比較例4− 比較例3と同じく、実公昭59−2148号公報に開示
された技術の実施品である。 <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−20Fil
Br異形 ミドル :第1弾性糸 スパンデックス140d−12
7(クリアー) バック :第2弾性糸 スパンデックス40d−127
(クリアー) <筬への引込配列> 実施例1と同じ <編組織> 実施例1と同じ <給糸量> フロント:1000mm/R ミドル : 110mm/R(整経ストレッチ75%) バック : 300mm/R(整経ストレッチ100%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 311% 826g ヨコ方向 200% 1218g この比較例でも、第1弾性糸の給糸量が、この発明の条
件を外れている。この場合、伸度はかなり大きく、タテ
ヨコのバランスもほぼとれているが、前記した実施例の
性能には及ばない。
【0033】−比較例5− 比較例3と同じく、実公昭59−2148号公報に開示
された技術の実施品である。 <経編機> 実施例1と同じ <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−20Fil
Br異形 ミドル :第1弾性糸 スパンデックス70d−127
(クリアー) バック :第2弾性糸 スパンデックス40d−127
(クリアー) <筬への引込配列> 実施例1と同じ <編組織> 実施例1と同じ <給糸量> フロント:1080mm/R ミドル : 105mm/R(整経ストレッチ75%) バック : 290mm/R(整経ストレッチ100%) <伸度およびパワー> 伸度(2.25kg荷重時) パワー(80%伸長時) タテ方向 278% 411g ヨコ方向 140% 2079g この比較例では、第1弾性糸および第2弾性糸の給糸量
が、この発明の条件を少しづつ外れており、伸度が小さ
く、ヨコ方向のパワーが極端に大きくなってしまってい
る。
【0034】なお、図3〜6には、この発明の実施例
1、2と比較例1〜3について、伸度およびパワーの測
定試験結果をグラフで示している。
【0035】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる伸縮性
経編地およびその製造方法によれば、前記したように、
非弾性糸と2種類の弾性糸を用いて、特定の編成組織で
編成してなる経編地において、各糸の太さと、各糸の給
糸量を、前記のように規定したことにより、従来の伸縮
性経編地よりも、はるかに伸縮性に富んだ伸縮性経編地
を得ることができた。
【0036】特に、この発明の伸縮性経編地では、タテ
ヨコ両方向の伸度の差が少なく、従来の技術ではどうし
ても伸度が低くなっていたヨコ方向の伸度を大幅に向上
させることができる。さらに、このように優れた伸度を
有しているにも関わらず、経編地を各種用途に使用した
ときに必要とされるパワーも十分に発揮することができ
る。
【0037】以上の結果、この発明の伸縮性編地は、各
種のインナーウェアとして用いたときに、同じサイズで
も着用可能領域が拡大し、いわゆるフリーサイズの衣料
とすることができる。また、着用者に適度な緊迫力を伝
え、良好なフィット感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例となる伸縮性経編地の、具
象的編成組織図
【図2】 各糸に分解した状態の模式的編成組織図
【図3】 実施例および比較例の伸縮性経編地の、タテ
方向における伸度測定結果を表す線図
【図4】 同上の、ヨコ方向における伸度測定結果を表
す線図
【図5】 同上の、タテ方向におけるパワー測定結果を
表す線図
【図6】 同上の、ヨコ方向におけるパワー測定結果を
表す線図
【符号の説明】
10 非弾性糸 20 第1弾性糸 30 第2弾性糸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】具体的には、この発明の伸縮性経編地は、
伸度が、タテ350%以上、ヨコ220%以上で、タテ
ヨコの合計伸度が570%以上にもなる。また、経編地
のパワーは、タテ450〜650、ヨコ700〜11
00になり、前記インナーウェアなどに非常に適した
特性を備えたものとなる。ここに示した伸度およびパワ
ーは、後述する実施例の項に記載した条件で測定した値
を基準にしている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】
【実施例】 −実施例1− <経編機>カールマイヤー社製ラッル機RSE4N、
130インチ幅、56GG <糸使い> フロント:非弾性糸 ナイロン66、40d−13Fi
l SD異形 ミドル :第1弾性糸 スパンデックス140d−12
7(クリアー) バック :第2弾性糸 スパンデックス40d−127
(クリアー) <筬への引込配列>フロント、ミドル、バックそれぞれ
フルセット <編組織> フロント:42/24/20/24/42/46// ミドル :22/00// バック :22/00/66/44/66/00// 図1に具象的な編成組織図を、図2に各糸に分解した状
態の模式的編成組織図を示している。図中、経編地は、
非弾性糸10と、第1弾性糸20および第2弾性糸30
で構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】試験条件 荷重:2.25kgf 試料幅:2.5cm つかみ間
距離:10cm 3サイクル目の値を読み取った。但し、パワーの測定
は、幅5cmの試料を用い、つかみ間距離20cmで、
80%伸長時の値を測定した。試験結果のグラフを、図
3〜図6に示している。この試験結果から、常法によ
り、伸度およびパワーを算出した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非弾性糸と2種類の弾性糸から構成さ
    れ、非弾性糸は全ての編目でループを形成し、第1の弾
    性糸は全ウェールにわたり1コース毎に1〜2針の振り
    幅で挿入され、第2の弾性糸は全ウェールにわたり1コ
    ース毎に1〜3針の振幅で挿入されてなる編成組織を有
    する編地において、非弾性糸が30〜50デニールの長
    繊維または100〜150′Sの短繊維であり、第1弾
    性糸は105〜280デニール、第2弾性糸は40〜7
    0デニールであり、各糸の給糸量が、非弾性糸は110
    0〜1300mm/R、第1弾性糸は85〜95mm/R
    (整経ストレッチ75%)、第2弾性糸は280〜34
    0mm/R(整経ストレッチ100%)であることを特徴
    とする伸縮性経編地
  2. 【請求項2】 非弾性糸と2種類の弾性糸を用い、非弾
    性糸は全ての編目でループを形成し、第1の弾性糸は全
    ウェールにわたり1コース毎に1〜2針の振り幅で挿入
    され、第2の弾性糸は全ウェールにわたり1コース毎に
    1〜3針の振幅で挿入されるように編成してなる伸縮性
    経編地の製造方法において、非弾性糸として30〜50
    デニールの長繊維または100〜150′Sの短繊維を
    用い、第1弾性糸として105〜280デニール、第2
    弾性糸として40〜70デニールの糸を用い、各糸の給
    糸量が、非弾性糸は1100〜1300mm/R、第1弾
    性糸は85〜95mm/R(整経ストレッチ75%)、第
    2弾性糸は280〜340mm/R(整経ストレッチ10
    0%)になるように設定しておくことを特徴とする伸縮
    性経編地の製造方法。
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