JPS6111265Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はノンラン伸縮性二重編地、詳しくは編
密度が高く重厚感があり、ラン発生が防止された
伸縮性二重編地に関するものである。

従来より肌着、スポーツウエアー等の衣料素材
として二重組織の編地が汎用されている。そして
近年においては表面側に強度および外観の優れた
合成繊維糸を配し、裏面側に吸湿性に富んだ綿
糸、スフ糸等を配して編成し、それぞれの糸の特
性を活用した二重編地が衣料用として好んで使用
されている。

二重編地としては用途に応じて既に種々な組織
のものが提案されているが、なかでも表裏両面が
天竺編の二重編地は、編成方法が簡単で経済的で
あるという利点を有していることから、肌着用や
スポーツウエアー用の一般的な衣料素材に古くか
ら適用されている。

しかしながら天竺編組織は周知の通り、編地糸
の糸の１部に切断が生じるとラン（ラダリング）
が発生しやすく、またウエール方向の伸縮性がコ
ース方向に比べて小さいという特性を有し、この
特性が高級衣料への展開を妨げ身体へのフイツト
性を阻害している。

本考案は、上記した二重編地の難点が改善され
コース方向はもとよりウエール方向にも充分な伸
縮性を具備し、かつラン発生が防止されたノンラ
ン伸縮性二重編地を提供するものであつて、図面
にその実施例を示しているように、表組織および
裏組織がそれぞれ天竺編（平編）の二重編地にし
て、表組織を外観良好な糸条１、例えば光沢を有
する非円形断面をもつ合成繊維糸、風合いのよい
ウール糸、柔軟な合成繊維マルチフイラメント糸
等の糸条により編成して表面側ウエール２を外観
良好な糸条１によつて形成し、裏組織を綿糸、ス
フ糸等の吸湿性に富んだ糸条３と、原長に対して
約２倍の長さに伸長された細い弾性糸条４例えば
伸長状態の弾性ポリウレタンの裸糸（なま糸）と
を引揃えて編成して裏面側ウエール５を吸湿性糸
条３によるニードルループ６と、該ニードルルー
プ６よりもループ長の短かい弾性糸条４によるニ
ードルループ７とによつて形成するとともに表裏
のシンカーループを交差させ、編成後の上記弾性
糸の収縮によつて表面側ウエール２および裏面側
ウエール５の糸条１および３によるニードルルー
プ６，８を弛緩化して編密度を高め、重厚にして
伸縮性の優れた二重編地となしたものである。

本考案は以上の通り表組織および裏組織がそれ
ぞれ天竺編の二重編地にされ、表組織が光沢を有
する非円形断面をもつ合成繊維糸、風合いのよい
ウール糸、若しくは柔軟な合成繊維マルチフイラ
メント糸等の外観良好な糸条により編成され、裏
組織が、綿糸、スフ糸等の吸湿性に富んだ糸条
と、伸長状態の弾性ポリウレタンの裸糸等の原長
に対して約２倍の長さに伸長された細い弾性糸条
とを引揃えて編成され、裏面側ウエール５が吸湿
性に富んだ糸条によるニードルループと、該ニー
ドルループよりもループ長の短い弾性糸条による
ルードルループとによつて形成され、表裏のシン
カーループが交差され、編成後の前記弾性糸条の
収縮によつて表面側ウエールの糸条および裏面側
ウエールの糸条によるニードルループが弛緩され
て編密度が高められ、さらに、表面側ウエールの
外観良好な糸条によるニードルループ長が裏面側
ウエールの吸湿性に富んだ糸条によるニードルル
ープ長よりもやや大に編成されてなるから、従来
の二重編地に比べて編地が著しく重厚となり、嵩
高性に富んだ優雅な編地となり、しかもコース方
向のみならずウエール方向にも充分伸長し、かつ
伸長状態からの復元性が極めて良好であり、さら
にラン発生の生じないノンラン編地となり、ま
た、吸汗機能に優れたものである。

すなわち、表面側ウエールが外観良好な糸条に
よつて編成され、裏面側ウエールが吸湿性に富ん
だ糸条と原長に対して約２倍の長さに伸長された
細い弾性糸条とを引揃えて編成されて吸湿性に富
んだ糸条によるニードルループと、弾性復元した
弾性糸条による、吸湿性に富んだ糸条によるニー
ドルループよりもループ長の短いニードルループ
とにより形成されているから、伸長状態で編成し
た弾性糸条の原長復元弾力によつて該弾性糸条に
よるニードルループが縮小し、それにともなつて
表面側ウエールの外観良好な糸条および裏面側ウ
エールの吸湿性に富んだ糸条によるニードルルー
プが弛緩状態となり、編密度が度詰となつてこの
種の従来の二重編地に比べて編地が著しく重厚と
なり、しかも表面側の外観良好な糸条によるルー
プ長を裏面側の吸湿性に富んだ糸条のループ長よ
りも若干大きくして編成されているので、表面側
の糸条がより顕著に弛緩し、嵩高性に富んだ優雅
な編地となる。更に本考案の二重編地において
は、裏面側において弾性糸条が天竺編組織を形成
し、編成時には約２倍に伸長されている故、編み
上つた状態においては他の糸条の約1/2のループ
長となり、これにともなつて他の非弾性糸条によ
るループが弛緩されて、従来の非弾性糸条のみに
よる同組織の二重編地の約２倍の伸長性を発揮す
るとともにコース方向のみならずウエール方向に
も充分伸長し、かつ伸長状態からの復元性が極め
て良好となる。また、ラン発生、即ち編地をコー
ス方向に引張つた場合にニードルループがシンカ
ーループの方に移行して新ループが旧ループの中
から脱出するという現象がウエール方向に発生す
るが、本考案の編成においては、生地をコース方
向に引張つた場合、最初にループが脱出するのは
弾性糸条による短いループであつて、他の糸条は
ループ長が大きく自由状態時に充分弛緩している
ことから上記したループの脱出が生じ難く、その
上吸湿性に富んだ糸条のループ脱出が生じない限
り次のコースにおける弾性糸条によるループは脱
出せず、したがつて実質的にラン発生の生じない
ノンラン編地となる。しかも、外観良好な糸条が
編地の表面側にのみ編成されているから、この糸
条の特有の光沢、風合いが表現され、また外観良
好な糸条が、裏面側に出ず、しかも編地の裏面側
は吸湿性糸条であることから吸汗機能に優れ、着
心地が極めて良好であつて、特にスポーツ用のア
ンダーウエアーやアウトウエアー用として頗る好
適な編地となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示したもので、第１図
は編組織の拡大正面図、そして第２図は拡大平面
図である。 １……外観良好な糸条、２……表面側ウエー
ル、３……吸湿性糸条、４……弾性糸条、５……
裏面側ウエール、６……吸湿性糸条によるニード
ルループ、７……弾性糸条によるニードルルー
プ、８……外観良好な糸条によるニードルルー
プ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 表組織および裏組織がそれぞれ天竺編の二重編
   地にされ、 表組織が、光沢を有する非円形断面をもつ合成
   繊維糸、風合いのよいウール糸、若しくは柔軟な
   合成繊維マルチフイラメント糸等の外観良好な糸
   条により編成され、 裏組織が、綿糸、スフ糸等の吸湿性に富んだ糸
   条と、伸長状態の弾性ポリウレタンの裸糸等の原
   長に対して約２倍の長さに伸長された細い弾性糸
   条とを引揃えて編成され、 裏面側ウエール５が吸湿性に富んだ糸条による
   ニードルループと、該ニードルループよりもルー
   プ長の短い弾性糸条によるルードルループとによ
   つて形成され、 表裏のシンカーループが交差され、 編成後の前記弾性糸条の収縮によつて表面側ウ
   エールの糸条および裏面側ウエールの糸条による
   ニードルループが弛緩されて編密度が高められ、 さらに、表面側ウエールの外観良好な糸条によ
   るニードルループ長が裏面側ウエールの吸湿性に
   富んだ糸条によるニードルループ長よりもやや大
   に編成されてなる ノンラン伸縮性二重編地。